会計名及び科目 | 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)職業転換対策事業費 |
部局等の名称 | 厚生労働本省 |
補助の根拠 | 予算補助 |
補助事業者 (事業主体) |
財団法人高年齢者雇用開発協会 |
事業 | 緊急雇用創出特別基金事業 |
事業の概要 | 国の補助金により造成した基金から、非自発的失業者等を雇い入れた新規・成長分野の事業を行う事業主等に対し新規・成長分野雇用創出特別奨励金の支給等を行うもの |
不適正な支給となっていた新規・成長分野雇用創出特別奨励金 | 新規・成長分野雇用奨励金 |
支給の相手方 | 6事業主 |
上記の事業主に対する新規・成長分野雇用奨励金の支給額の合計 | 11,900,000円 | (平成14、15両年度) |
上記に対する国庫補助金相当額 | 11,900,000円 | |
不適正支給額 | 4,200,000円 | (平成14、15両年度) |
不当と認める国庫補助金相当額 | 4,200,000円 |
1 事業の概要
厚生労働省では、緊急雇用対策の一環として、緊急雇用創出特別基金事業実施要領(平成11年労働省発職第1号事務次官通達)に基づき、新規・成長分野における雇用機会の創出を図るなどの緊急雇用創出特別基金事業を実施する財団法人高年齢者雇用開発協会(以下「協会」という。)に対し、緊急雇用創出特別基金補助金(以下「補助金」という。)を交付している。協会では、この補助金を財源として緊急雇用創出特別基金を造成し、新たな雇用機会の創出を期待できる新規・成長15分野の事業(注1)
を行う事業主等に対し新規・成長分野雇用創出特別奨励金を支給するなどしている。
この新規・成長分野雇用創出特別奨励金には、解雇、倒産等非自発的な理由で失業を余儀なくされた中高年齢者等を雇入れ時期を前倒しして雇用した事業主に支給される新規・成長分野雇用奨励金(以下「奨励金」という。)と職業能力開発を行う事業主等に支給される新規・成長分野能力開発奨励金がある。
協会では、新規・成長分野雇用創出特別奨励金に係る業務の一部を都道府県高年齢者雇用開発協会(注2)
(以下「都道府県協会」という。)に委託しており、また、支給要件の確認事務の一部については、都道府県労働局(以下「労働局」という。)等と連携して行うこととしている。
奨励金は、事業主の都合により離職した者等で、30歳以上60歳未満の者(以下「対象労働者」という。)を、公共職業安定所等の紹介により、新たに常用労働者として雇い入れることなどが支給要件となっている。
そして、支給額は対象労働者1人につき70万円となっている。
奨励金の支給を受けようとする事業主は、対象労働者の氏名、生年月日、雇入年月日などを記載した支給申請書等を、対象労働者の雇入れ日から起算して3箇月(注3)
を経過する日から1箇月以内に都道府県協会を経由して協会に提出することとなっている。
また、都道府県協会では、協会から委託された業務のうち、支給申請書等の記載事項の確認を行うに当たっては、雇入年月日などについて労働局に照会することとなっており、労働局では、雇用保険被保険者データによりこれを確認することとなっている。そして、都道府県協会は奨励金の支給要件を満たしていると認めるときは、支給申請書等を協会に送付することとなっている。
協会では、送付された支給申請書等の内容を審査し、支給を決定し、これに基づいて奨励金を支給することとなっている。
(注1) | 新規・成長15分野の事業 平成9年5月16日閣議決定された「経済構造の変革と創造のための行動計画」において示された医療・福祉、情報通信などに関連する分野の事業等 |
(注2) | 都道府県高年齢者雇用開発協会 高年齢者等の雇用の安定等を図ることを目的として各都道府県に設立された社団法人又は財団法人 |
(注3) | 3箇月 平成14年3月31日までは1箇月 |
2 検査の結果
協会において、平成14、15両年度に奨励金の支給を受けた事業主のうち245事業主について、支給申請書等の記載内容が事実でかつ支給要件に合致しているかに着眼して検査した。
検査したところ、6事業主に対する支給額11,900,000円(国庫補助金相当額同額)のうち、4,200,000円(国庫補助金相当額同額)が適正に支給されていなかった。したがって、これに係る国庫補助金相当額4,200,000円が不当と認められる。
上記の不適正支給となっていたものの主な態様は、次のとおりである。
(ア)既に雇い入れている者を新たに雇い入れたこととして申請した事業主に対して支給していたもの
(イ)既に事実上雇入れが決定している者に形式的に公共職業安定所の紹介を受けさせ、その紹介により雇い入れたこととして申請した事業主に対して支給していたもの
このような事態が生じていたのは、事業主が誠実でなかったため支給申請書等の記載内容が事実と相違していたのに、協会及び労働局において、これに対する調査確認が十分でないまま、協会において支給の決定を行っていたことなどによると認められる。
なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。