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  • 平成15年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金(22)−(132)

介護保険事務費交付金が過大に交付されているもの


(72)(73)介護保険事務費交付金が過大に交付されているもの

会計名及び科目 一般会計(組織) 厚生労働本省
  (項) 介護保険助成費(平成12年度)
  (項) 介護保険推進費(平成13、14両年度)
部局等の名称 厚生労働本省(交付決定庁)
(平成13年1月5日以前は厚生本省)
(1) 愛知県(支出庁)
(2) 岡山県(支出庁)
交付の根拠 介護保険法(平成9年法律第123号)
交付先 (1) 愛知県名古屋市
  (2) 岡山県津山市
介護保険事務費交付金の概要 介護保険制度の円滑な運営を図るため、市町村が行う要介護認定等に係る事務処理に要する費用の一部を交付するもの
上記に対する交付金交付額 (1)  1,349,572,086円 (平成12年度〜14年度)
(2) 87,816,050円 (平成12年度〜14年度)
1,437,388,136円  
不当と認める交付金交付額 (1) 4,418,900円 (平成12年度〜14年度)
(2) 1,705,101円 (平成12年度〜14年度)
6,124,001円  

1 交付金の概要

 介護保険事務費交付金(以下「交付金」という。)は、介護保険法(平成9年法律第123号)に基づき、介護保険制度の円滑な運営を図ることを目的に、市町村(特別区、一部事務組合及び広域連合を含む。以下同じ。)が、被保険者(当該市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者及び40歳以上65歳未満の医療保険に加入している者)について行う要介護認定等に係る事務処理(以下「要介護認定等事務処理」という。)に要する費用の一部を交付するものである。この交付金の交付額は、要介護認定等申請者1人当たりの事務処理に要する費用の額として定められている額に要介護認定等申請者数を乗じて得た基準額と、要介護認定等事務処理に要する費用の額から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して、少ない方の額に2分の1を乗じて得た額などとなっている。

2 検査の結果

 北海道ほか21都府県の333市町村について検査した結果、愛知県ほか1県の2市において、要介護認定等申請者数の中に、介護保険の被保険者ではない者が生活保護法(昭和25年法律第144号)に基づく介護扶助を受けるために必要な審査判定の申請を行った数を含めたり、要介護認定等事務処理に要する費用の中に、要介護認定等事務処理に要するとは認められないシステムを含む介護保険システムの保守委託に要する費用などを含めたりして、交付額を算定していたため、交付金交付額計1,437,388,136円のうち計6,124,001円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、2市において交付金の算定の対象について理解が十分でなかったこと、2県において実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを県別・交付先別に示すと次のとおりである。

  県名 交付先 年度 交付金交付額 左のうち不当と認める額
        千円 千円
(72) 愛知県 名古屋市 12〜14 1,349,572 4,418

 名古屋市では、平成12年度から14年度までの各年度の交付金の額の算定に当たり、要介護認定等申請者数に、介護扶助に係る審査判定申請者数12年度211人、13年度288人、14年度311人を含めるなどしていた。
 しかし、上記の審査判定申請者は、40歳以上65歳未満の医療保険に未加入の者であり、介護保険の被保険者ではないため、要介護認定等申請者数にこれらの審査判定申請者数を含めることは適切とは認められない。
 したがって、上記の介護扶助に係る審査判定申請者数を除くなどして適正な交付金の交付額を算定すると、12年度から14年度までの各年度の交付額は計1,345,153,186円となり、計4,418,900円が過大に交付されていた。

(73) 岡山県 津山市 12〜14 87,816 1,705

 津山市では、平成12年度から14年度までの各年度の交付金の額の算定に当たり、要介護認定等事務処理に要する費用の中に、介護保険システムに係る保守委託に要する費用などの額、12年度3,684,240円、13年度4,265,940円、14年度4,404,540円を含めていた。
 しかし、この介護保険システムのうち、被保険者の資格の得喪や保険料の収納等の管理業務を処理するシステムは、その内容からみて要介護認定等事務処理に要するものとは認められず、これに係る保守委託に要する費用の額を交付金の算定対象に計上していたことは適切とは認められない。
 したがって、介護保険システムに係る保守委託に要する費用のうち要介護認定等事務処理に要するとは認められない費用などの額を除いて、適正な交付金の交付額を算定すると、12年度から14年度までの各年度の交付額は計86,110,949円となり、計1,705,101円が過大に交付されていた。

(72)(73)の計     1,437,388 6,124