ページトップ
  • 平成15年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • その他

介護給付費に係る国の負担が不当と認められるもの


(135)介護給付費に係る国の負担が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織) 厚生労働本省
  (項) 老人医療・介護保険給付諸費
  (項) 国民健康保険助成費
  (項) 社会保険国庫負担金
部局等の名称 北海道ほか9都県
国の負担の根拠 介護保険法(平成9年法律第123号)、健康保険法(大正11年法律第70号)、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)
実施主体 市47、特別区8、町37、村5、一部事務組合1、広域連合4、計102実施主体
事業者 指定介護療養型医療施設26、指定介護老人福祉施設5、計31事業者
不適切に支払われた介護給付費に係る介護サービスの種類 介護療養施設サービス、介護福祉施設サービス等
不適切に支払われた介護給付費の件数 8,170件 (平成12年度〜16年度)
不適切に支払われた介護給付費の額 200,263,246円 (平成12年度〜16年度)
不当と認める国の負担額 63,375,918円 (平成12年度〜16年度)

1 介護給付の概要

(介護保険)

 介護保険は、市町村(特別区、一部事務組合及び広域連合を含む。以下同じ。)が保険者となって、市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者及び40歳以上65歳未満の医療保険加入者を被保険者として、被保険者の要介護状態などに関し、必要な保険給付を行う保険である。

(介護サービス)

 被保険者が、介護保険法に基づく居宅サービス及び施設サービス(以下、これらを「介護サービス」という。)を受けようとする場合の手続については、次のとおりとなっている。
(ア)要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)に該当すること及びその該当する要介護状態区分等について、市町村の認定を受ける。
(イ)介護支援専門員等に依頼するなどして、介護サービス計画を作成する。
(ウ)介護サービス計画に基づいて、都道府県知事の指定等を受けた指定居宅サービス事業者又は介護保険施設(以下、これらを「事業者」という。)において介護サービスを受ける。

(介護報酬の算定)

 事業者が介護サービスを提供して請求することができる報酬の額(以下「介護報酬」という。)は、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第19号)及び「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第21号)(以下、これらを「算定基準」という。)等に基づき、介護サービスの種類ごとに定められた所定単位数に単価(10円〜10.72円)を乗ずるなどして算定することとなっている。ただし、介護報酬のうち、介護保険施設の入所者における食事の提供に要する費用(以下「基本食事サービス費」という。)は、算定基準により定められた額(1日につき2,120円)となっている。

(介護給付費)

 市町村は、要介護者等が事業者から介護サービスの提供を受けたときは、当該事業者に対して基本食事サービス費を除いた介護報酬の100分の90に相当する額及び基本食事サービス費から当該要介護者等の属する世帯の所得等に応じて定められた標準負担額を除いた額(以下、これらの額を「介護給付費」という。)を支払うこととなっている。
 介護給付費の支払手続は、次のとおりとなっている(次図参照) 。

介護給付費に係る国の負担が不当と認められるものの図1

(ア)介護サービスの提供を行った事業者は、介護給付費等を記載した介護給付費請求書等(以下「請求書等」という。)を、市町村から介護給付費に係る審査及び支払に関する事務の委託を受けた国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」という。)に送付する。
(イ)国保連合会は、事業者から送付された請求書等の審査点検を行い、介護給付費を市町村に請求する。
(ウ)請求を受けた市町村は、金額等を確認の上、国保連合会を通じて事業者に介護給付費を支払う。

(国の負担)

 介護給付費は、100分の50を公費で、100分の50を被保険者の保険料でそれぞれ負担することとなっている(次図参照) 。

介護給付費は、100分の50を公費で、100分の50を被保険者の保険料でそれぞれ負担することとなっている(次図参照)。

 そして、公費負担については、介護保険法に基づき、国が100分の25を、都道府県及び市町村がそれぞれ100分の12.5を負担している。
 また、国は、健康保険法及び国民健康保険法に基づき、医療保険者(注1) が社会保険診療報酬支払基金に納付する介護給付費納付金に要する費用の額の一部を負担している。

医療保険者 医療保険各法の規定により医療に関する給付を行う国、市町村、国民健康保険組合等

2 検査の結果

(不適切な支払の事態)

 北海道ほか21都府県において検査したところ、北海道ほか9都県の102市区町村等が31事業者に対して行った平成12年度から16年度までの間における介護給付費の支払について、8,170件、200,263,246円が適切でなく、これに対する国の負担額63,375,918円が不当と認められる。
 これらの事態について、介護サービスの種類ごとに示すと次のとおりである。

ア 介護療養施設サービス及び短期入所療養介護

 指定介護療養型医療施設(療養病床を有する病院又は診療所)において要介護者等に介護療養施設サービス(注2) 及び短期入所療養介護(注3) を提供する際、算定基準等によると、個室又は2人部屋の提供により、要介護者等から特別料金を徴収している場合には、当該病室の提供を受けている要介護者等について1日当たりの所定単位数から105単位又は90単位を減算して介護報酬を算定することとなっている。
 しかし、26事業者では、要介護者等から上記の特別料金を徴収しているのに、上記の減算をして算定していなかった。このため、介護給付費7,473件、169,734,486円の支払が適切でなく、これに対する国の負担額53,244,221円が過大となっていた。

イ 介護福祉施設サービス

 指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)において要介護者に介護福祉施設サービス(注4) を提供する際、算定基準等によると、経管栄養として提供される濃厚流動食が薬価基準に収載されている場合には、当該施設の協力医療機関において医療保険における薬剤費等を算定できることから、当該施設においては基本食事サービス費を算定できないこととなっている。
 しかし、5事業者では、薬価基準に収載された濃厚流動食を提供している要介護者について基本食事サービス費を算定していた。このため、介護給付費697件、30,528,760円の支払が適切でなく、これに対する国の負担額10,131,697円が過大となっていた。

(注2) 介護療養施設サービス 指定介護療養型医療施設の療養病床等に入院する要介護者に対する療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他の世話及び機能訓練その他必要な医療
(注3) 短期入所療養介護 要介護者等を指定介護療養型医療施設等に短期間入所させて行う看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話
(注4) 介護福祉施設サービス 指定介護老人福祉施設に入所する要介護者に対する入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、事業者において算定基準等に対する認識が十分でなかったこと、市区町村等の審査点検が十分でなかったこと、都道県において事業者に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを都道県別に示すと次のとおりである。

都道県名 実施主体
(事業者数)
年度 不適切に支払われた介護給付費の件数 不適切に支払われた介護給付費 不当と認める国の負担額 摘要
      件 千円 千円  
北海道 札幌市ほか6市町(4) 12〜16 938 25,575 8,181 ア、イ
千葉県 千葉市ほか3市(1) 12〜15 214 5,884 1,747 ア
東京都 府中市ほか17市区(1) 13〜15 1,263 32,115 9,910 ア
福井県 福井市ほか7市町等(2) 12〜15 309 6,035 1,971 ア
愛知県 名古屋市ほか20市町等(7) 12〜15 3,299 77,399 23,888 ア
三重県 津市ほか28市町村等(8) 12〜14 1,241 29,866 9,661 ア
和歌山県 和歌山市ほか6市町村(3) 14〜16 377 5,514 1,886 ア
岡山県 岡山市ほか2市町(2) 12〜15 184 3,802 1,251 ア
鹿児島県 鹿児島市ほか5市町(2) 12〜15 296 11,433 3,960 イ
沖縄県 糸満市(1) 13〜15 49 2,63 6916 イ
計 102市区町村等(31)   8,170 200,263 63,375  
注(1) 計欄の実施主体数は、都道県の間で実施主体が重複することがあるため、各都道県の実施主体数を合計したものとは符合しない。
注(2) 摘要欄のア、イは、本文の不適切な支払の事態の介護サービスの種類に対応している。