会計名及び科目 | 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費 |
部局等の名称 | 東北、関東、近畿、九州各経済産業局 |
補助の根拠 | 予算補助 |
補助事業者 | 岩手県ほか5都府県 |
間接補助事業者 (事業主体) |
化学工業者ほか9中小企業者等 |
補助事業 | 地域活性化創造技術研究開発等 |
補助事業の概要 | 中小企業者等が新製品、新技術等に関する研究開発等を行うもの |
事業費の合計 | 185,600,264円 | (平成13、14両年度) |
補助対象事業費の合計 | 178,465,313円 | (平成13、14両年度) |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 59,068,000円 | |
不当と認める補助対象事業費 | 119,960,734円 | (平成13、14両年度) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 39,604,516円 | (平成13、14両年度) |
1 補助金の概要
中小企業庁では、中小企業者等に対して、地域活性化創造技術研究開発に要する補助金、地域産業集積中小企業等活性化に要する補助金、中小企業連携組織対策に要する補助金及び中小企業経営革新支援対策に要する補助金を交付している。
これらの補助金の交付の目的、補助の対象、補助の対象となる事業費及び補助率は次表のとおりである。
補助金名 | 交付の目的 | 補助の対象 | 補助の対象となる事業費 | 補助率 |
地域活性化創造技術研究開発費補助金 | 中小企業の技術開発を促進し技術改善を図り、もって中小企業製品の高付加価値化等に資することなど | 中小企業者又は組合等が行う新製品、新技術等の研究開発等に要する経費の一部を国が都道府県を通じて補助するものなど | 原材料、機械装置等の購入費、外注加工費、研究開発に直接関与する研究者の人件費等 | 当該経費の3分の1以内で、かつ都道府県が事業主体へ補助する額の2分の1以内など |
地域産業集積中小企業等活性化補助金 | 地域の中小企業の基盤的技術の高度化等の円滑化を図り、地域産業集積の活性化及び地域中小企業の振興と経営の安定化に寄与すること | 中小企業者又は組合等が行う新商品、新技術等の研究開発等に要する経費の一部を国が都道府県を通じて補助するものなど | 原材料、機械装置等の購入費等 | 同上 |
中小企業連携組織対策事業費補助金 | 中小企業連携組織の推進並びに中小企業団体の育成及び指導を促進すること | 都道府県中小企業団体中央会が行う中小企業連携組織推進指導事業に要する経費の一部を国が都道府県を通じて補助するもの | 組合等が行う中小企業活路開拓調査・実現化事業に係る原材料、機械装置等の購入費等 | 同上 |
中小企業経営革新支援対策費補助金 | 中小企業の創意ある向上発展を図り、もって国民経済の健全な発展に資することなど | 中小企業者又は組合等が行う経営革新のための事業に要する経費の一部を国が都道府県を通じて補助するものなど | 原材料、機械装置等の購入費、外注費、旅費、広告宣伝費等 | 同上 |
また、地域活性化創造技術研究開発費補助金の交付要綱によれば、研究者の人件費は補助事業の技術内容がソフトウェア・情報処理等の研究開発の場合以外は補助対象経費総額の2分の1を超えない額とすることとされている。
そして、事業主体は、事業完了後に、実績報告書を都道府県に提出し、都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を確認することとなっている。
2 検査の結果
岩手県ほか27都府県の518件の補助事業について検査を実施した。その結果、岩手県ほか5都府県の11件の補助事業(補助対象事業費計178,465,313円)において、事業主体が、補助対象事業の全部又は一部を実施していなかったり、補助対象の機械装置を実際には購入していなかったり、補助対象事業費の支払の実績がなかったりなどしていた。このため、補助対象事業費119,960,734円が過大になっていて、これに係る国庫補助金相当額39,604,516円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体が事実と相違した内容の実績報告等を行っていたこと、都府県の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
これを都府県別・事業主体別に示すと次のとおりである。
都府県名 | 事業主体 | 補助事業 | 年度 | 事業費 補助対象事業費
|
左に対する国庫補助金 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(150) | 岩手県 | 化学工業者 | 地域活性化創造技術研究開発 | 13 | 26,819 (23,019) |
7,672 | 6,356 | 2,118 | 精算過大 |
この補助事業は、植物から抽出した染料で天然素材の塗布剤を着色する研究開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置等の購入費等に要したとする事業費26,819,000円(補助対象事業費23,019,250円)に対して、国庫補助金7,672,500円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、無償で取得したなどのため、実際には支払の実績がない機械装置等の購入費等6,356,250円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は16,663,000円となり、前記の補助対象事業費23,019,250円との差額6,356,250円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金2,118,452円が過大に交付されていた。
(151) | 岩手県 | 一般産業用機械・装置製造業者 | 地域活性化創造技術研究開発 | 13 | 15,012 (15,012) |
5,000 | 6,290 | 2,096 | 精算過大 |
この補助事業は、災害により発生した廃棄物から木材と土砂利等を選別する装置の試作を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、原材料等の購入費等に要したとする事業費15,012,804円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金5,000,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、原材料等の購入費を水増しした額6,290,880円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は8,721,924円となり、前記の補助対象事業費15,012,804円との差額6,290,880円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金2,096,500円が過大に交付されていた。
(152) | 岩手県 | 事業協同組合 | 地域産業集積中小企業等活性化 | 13 | 10,749 (10,749) |
3,575 | 10,749 | 3,575 | 補助の対象外 |
(153) | 同 | 同 | 中小企業連携組織対策 | 同 | 7,547 (7,547) |
2,500 | 7,547 | 2,500 | 同 |
(1)地域産業集積中小企業等活性化事業について
この補助事業は、電動動力補助装置を用いた重量物運搬用荷車(平台車)の研究開発等を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、原材料等の購入費等に要したとする事業費10,749,206円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金3,575,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体が研究開発等の対象とした重量物運搬用荷車は、事業主体の構成員が既に開発していることから、本件事業はすべて補助の対象とならないものであった。
したがって、本件国庫補助金3,575,000円は交付の要がなかった。
(2)中小企業連携組織対策事業について
この補助事業は、積雪量の少ない都市部でも有効に使用できる排土板を利用した中型除雪車両の研究開発等を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置等の購入費等に要したとする事業費7,547,278円(補助対象事業費同額)に対し、岩手県中小企業団体中央会を通して、国庫補助金2,500,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体が研究開発等の対象とした中型除雪車両は、事業主体の構成員が既に開発していることから、本件事業はすべて補助の対象とならないものであった。
したがって、本件国庫補助金2,500,000円は交付の要がなかった。
(154) | 東京都 | 情報サービス業者 | 中小企業経営革新支援対策 | 13 | 27,366 (26,063) |
8,687 | 25,233 | 8,410 | 精算過大 |
この補助事業は、CAD(注1)
データを従来の汎用機より高速かつ低コストで処理する新たなプログラムの開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置の購入費に要したとする事業費27,366,521円(補助対象事業費26,063,361円)に対して、国庫補助金8,687,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、上記の補助対象事業費のうち、機械装置25,233,102円については、既存のパーソナルコンピュータ等を使用するなどして開発を行っていたため、実際には購入していなかった。
したがって、適正な補助対象事業費は830,259円となり、前記の補助対象事業費26,063,361円との差額25,233,102円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金8,410,500円が過大に交付されていた。
(155) | 東京都 | 医療用機械器具製造業者 | 地域活性化創造技術研究開発 | 14 | 23,277 (23,080) |
7,693 | 23,080 | 7,693 | 精算過大 |
この補助事業は、要介護者に取り付けた検知器で痰詰まり時の振動音を検出し、それを解析・判定した結果を看護師等に送信する痰詰まり検知システムの開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置等の外注加工費、研究者の人件費等に要したとする事業費23,277,684円(補助対象事業費23,080,610円)に対して、国庫補助金7,693,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、実際には外注していないため実体のない外注加工費7,704,761円及び支払の実績がない外注加工費等4,502,141円、計12,206,902円を上記の補助対象事業費に含めていた。また、交付要綱によると、人件費は本件補助事業の技術内容から、補助対象経費総額の2分の1を超えない額とされており、このため研究者の人件費10,873,708円についても補助対象経費とはならない。
したがって、本件国庫補助金7,693,000円は交付の要がなかった。
(156) | 静岡県 | プラスチック製品製造業者 | 地域活性化創造技術研究開発 | 13 | 15,139 (15,139) |
5,000 | 3,518 | 1,157 | 精算過大 |
この補助事業は、介護用折りたたみ式浴槽に昇降機能を付加した浴槽の研究開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、原材料等の購入費等に要したとする事業費15,139,564円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金5,000,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、実際には本件研究開発に使用していない原材料費3,518,551円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は11,621,013円となり、前記の補助対象事業費15,139,564円との差額3,518,551円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金1,157,564円が過大に交付されていた。
(157) | 大阪府 | 機械器具卸売業者 | 中小企業経営革新支援対策 | 13 | 10,094 (10,094) |
3,354 | 7,840 | 2,604 | 事業一部不実施及び精算過大 |
この補助事業は、高速油圧駆動装置等の販路開拓及び同装置を組み込んだ小型高速プレスの開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、旅費、外注費等に要したとする事業費10,094,611円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金3,354,500円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、小型高速プレスの開発(補助対象事業費4,828,153円)については、事業を実施していなかった。また、販路開拓については、通常の営業活動に係るものであったり、支払の実績がなかったりした旅費等3,012,625円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は2,253,833円となり、前記の補助対象事業費10,094,611円との差額7,840,778円に係る国庫補助金相当額2,604,000円が過大に交付されていた。
(158) | 大阪府 | 機械器具卸売業者 | 地域活性化創造技術研究開発 | 14 | 15,779 (15,269) |
4,763 | 5,349 | 1,456 | 精算過大 |
この補助事業は、風力及び太陽光の自然エネルギー等を活用してため池等の浄化を行うばっ気装置の開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置の購入費及び研究者の人件費に要したとする事業費15,779,043円(補助対象事業費15,269,595円)に対して、国庫補助金4,763,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、無償で取得したため、実際には支払の実績がない運転制御装置の購入費3,451,429円及び研究者の人件費を水増しした額1,897,892円、計5,349,321円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は9,920,274円となり、前記の補助対象事業費15,269,595円との差額5,349,321円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金1,456,500円が過大に交付されていた。
(159) | 兵庫県 | ソフトウェア業者 | 地域活性化創造技術研究開発 | 14 | 13,706 (13,338) |
4,445 | 4,844 | 1,615 | 精算過大 |
この補助事業は、XML(注2)
文書のデータベースを管理するためのシステムの開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、研究者の人件費等に要したとする事業費13,706,948円(補助対象事業費13,338,934円)に対して、国庫補助金4,445,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、実際には支払っていない役員報酬等に係る人件費4,844,658円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は8,494,276円となり、前記の補助対象事業費13,338,934円との差額4,844,658円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金1,615,000円が過大に交付されていた。
(160) | 宮崎県 | スポーツ用衣服製造業者 | 中小企業経営革新支援対策 | 13 | 20,107 (19,150) |
6,378 | 19,150 | 6,378 | 事業不実施 |
この補助事業は、植物を主原料としたサーフボード用ワックスの開発及び販路開拓を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置の購入費、広告宣伝費等に要したとする事業費20,107,605円(補助対象事業費19,150,100円)に対して、国庫補助金6,378,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、本件事業を全く実施していなかった。
したがって、本件国庫補助金6,378,000円は交付の要がなかった。
(150)−(160)の計 | 185,600 (178,465) |
59,068 | 119,960 | 39,604 |