会計名及び科目 | 石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計 |
(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定) | |
(項)石油生産流通合理化対策費 | |
部局等の名称 | 資源エネルギー庁 |
補助の根拠 | 予算補助 |
補助事業者 (事業主体) |
社団法人全国石油協会 |
補助事業 | 石油製品品質確保事業 |
補助事業の概要 | 石油製品の品質を確保するため、全国の給油所から揮発油等の試料を購入し分析等を行うもの |
事業費 | 37億7025万余円 | (平成14、15両年度) |
上記に対する国庫補助金交付額 | 37億7025万余円 | |
うち試買分析業務に係る国庫補助金交付額 | 27億6248万余円 | |
低減できた試買分析業務に係る国庫補助金相当額 | 4億6140万円 | (平成14、15両年度) |
1 補助事業等の概要
資源エネルギー庁では、石油製品品質確保事業(以下「品質確保事業」という。)を行う社団法人全国石油協会(以下「石油協会」という。)に対し、その事業に要する経費の全額について石油製品品質確保事業費補助金(以下「補助金」という。)を交付している。
この事業は、全国の給油所で販売されている揮発油(レギュラーガソリン及びハイオクガソリン)、軽油及び灯油の品質を分析することなどにより、適正な品質の石油製品の安定供給の確保を図ることを目的として実施されるものである。
そして、上記補助金の交付額は、平成14年度18億9391万余円、15年度18億7633万余円、計37億7025万余円となっている。
石油協会は、品質確保事業として、全国のすべての給油所から年1回、試料として各油種をそれぞれ1lずつ購入する試買業務、購入した試料を全国9箇所に所在する試験センターにおいて所定の分析方法により分析(以下「試買分析」という。)する試買分析業務などを行っている。
そして、このうち試買分析業務に係る補助金交付額は、14年度13億8898万余円、15年度13億7349万余円、計27億6248万余円に上っている。
石油協会では、補助事業である試買分析業務のほか、全国の揮発油販売業者から委託料を徴して揮発油を分析(以下「受託分析」という。)する業務(以下「受託分析業務」という。)を別途行っている。
この業務は、「揮発油等の品質の確保等に関する法律」(昭和51年法律第88号。以下「品質確保法」という。)により、適正な品質の揮発油を安定的に供給するため、揮発油販売業者に対して給油所ごとに義務付けられている揮発油の分析(原則は10日に1回、所定の要件を満たし、特則の適用を受けて軽減されている場合は年に1回)について、揮発油販売業者から委託を受けて、全国の試験センターで行っているものである。
石油協会では、上記のとおり、補助金の交付を受けて行う試買分析業務と、揮発油販売業者から委託料を徴して行う受託分析業務との双方を試験センターで実施していることから、補助事業である試買分析業務に要する経費の算定に当たって、試験センターに係る機器リース料、人件費等の経費を試買分析業務と受託分析業務に配分して算定している。
2 検査の結果
試買分析業務は毎年度実施されており、これに交付される補助金は多額に上っている。また、近年、安全上問題のある揮発油等に対応するため、試買分析業務においても対象油種や分析項目などが変更されてきている。そこで、試買分析業務について、その経費の配分が実態を反映した適切なものとなっているかなどに着眼して検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
石油協会では、試験センターに係る経費の配分の方法については、試買分析及び受託分析に要する時間の比率を基にして、次のとおりとしていた。
〔1〕 試買分析については、分析項目のうち一定の項目について行うスクリーニング分析と、この分析で疑義が生じた場合にだけ残りの項目について行う残項目分析とを、それぞれすべての試料について行うことと想定して、分析に要する時間を1給油所当たり4,088分とする。
〔2〕 受託分析については、受託したすべての給油所について年1回の分析しか行わないものと想定して、これに要する時間を1給油所当たり803分とする。
〔3〕 〔1〕及び〔2〕で算出した分析所要時間に基づき、あん分率を試買分析84%、受託分析16%と算定し、このあん分率を基にして、機器リース料、人件費等を試買分析業務と受託分析業務とに配分し、試買分析業務に要する経費を算定する。
しかし、試買分析の実態をみると、14、15両年度とも分析した試料の99%以上はスクリーニング分析の段階で品質確保法等で定める基準に適合していることが確認されており、これらの試料については残項目分析を行っていない状況であった。したがって、上記〔1〕においてすべての試料について残項目分析まで行うと想定した算定方法は、試買分析の実態と大きくかい離していた。
また、受託分析の実態をみると、受託した給油所のうち90%以上の給油所が特則の適用を受けて年1回の分析に軽減されているものの、原則どおり10日に1回分析を行っている給油所も14、15両年度で全体の7%程度存在する状況となっていた。したがって、上記〔2〕において10日に1回分析を行っている給油所に係る分析回数を考慮せず、分析を受託したすべての給油所について年1回の分析しか行わないと想定した算定方法は、受託分析の実態とかい離していた。
したがって、前記〔3〕のあん分率に基づき算定された試買分析業務に要する経費を補助対象経費としていることは適切とは認められず、試買分析に要する時間、受託分析を行う頻度などの実態を反映したあん分率に基づき試買分析業務に要する経費を算定し、これを補助対象経費として補助金を交付する要があると認められた。
試買分析業務に要する経費の算定に当たり、実態を反映したあん分率を算定すると、試買分析の対象となる油種を4油種とすべきところを3油種として分析に要する時間を算定していたことなどを考慮しても、14年度及び15年度においてあん分率はいずれも試買分析69%、受託分析31%となった。そして、上記のあん分率に基づき試買分析業務に要する経費を算定し、これを補助対象経費として補助金を交付したとすれば、同業務に係る補助金交付額は、14年度11億5757万余円、15年度11億4346万余円となり、14年度約2億3140万円、15年度約2億3000万円、計約4億6140万円低減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、石油協会において試買分析及び受託分析の実態を反映したあん分率の算定の必要性に対する認識が十分でなかったことにもよるが、主として資源エネルギー庁において試買分析業務に要する経費の算定方針を定めるなどの措置を執っていなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、資源エネルギー庁では、16年9月に石油協会に対して通知を発し、試買分析業務に要する経費の算定に当たり、試買分析業務の実態を反映したあん分方法によるよう、その算定方針を明示し、17年度から適用することとする処置を講じた。