会計名及び科目 | 空港整備特別会計 | (項)空港整備事業費 |
(項)北海道空港整備事業費 | ||
(項)沖縄空港整備事業費 | ||
(項)航空路整備事業費 | ||
(項)離島空港整備事業費 |
部局等の名称 | 国土交通本省 |
契約の概要 | 航空保安施設の新設、更新等に伴い、各施設に設置する装置の予備品を購入するもの |
契約の相手方 | 株式会社三和エレックほか5社 |
契約 | 平成15年5月〜16年1月 随意契約 |
予備品の積算額 | 15億4580万余円 | (平成15年度) |
低減できた予備品の積算額 | 8673万円 | (平成15年度) |
1 事業の概要
国土交通省では、航空保安業務の一環として、航空の安全運航及び定時運行を図り、管制業務等の円滑な実施を支援するため、管制情報処理システム及び航空保安無線施設(以下「航空保安施設」という。)の運用を行っている。
航空保安施設には、航空機の監視等を行うレーダー等の管制施設、航空機の便名及び高度等をレーダー画面に表示するための管制情報処理システム、航空機に対して、位置及び飛行経路等の情報を提供するための航空保安無線施設、航空機と関係機関相互間で通信する対空通信施設等があり、それらが一体となってネットワーク化された航空保安システムを構成している。
航空保安施設については、航空交通の増大と多様化に対応して、空域の有効利用による航空交通容量を拡大させ、航空保安システムの水準をより一層高める必要があることから、施設の整備が逐次行われている。
そして、国土交通省では、空港等における施設の設置及び運用状況等を考慮した上で、毎年度、施設の新設、更新等を行っている。
国土交通省では、航空保安施設の新設、更新等の整備に伴い、各施設に設置するレーダー装置等の各種の装置(以下「本体装置」という。)を製造メーカーから購入しており、この本体装置は、規格化された多数のユニットで構成されている。
同省では、本体装置の購入後、これを構成するユニットの不具合によって航空機の運航に支障を生じさせないため、不具合の発生時に速やかにユニットの交換ができるように本体装置に組み込まれたユニットと同一の規格のユニットを予備品として、製造メーカー又はこの製造メーカーの代理人から購入し、同一の規格のユニットには同じ規格番号を付して管理している。
本体装置及び予備品の調達については、次のとおり行っている。
〔1〕 本体装置
本体装置の購入契約は一般競争契約により行っており、その予定価格については、本体装置の製造メーカーから徴したユニットごとの見積額を査定した上、各ユニットの積算単価を決定し、この積算単価を合算するなどして算出している。
〔2〕 予備品
予備品の購入契約は、本体装置と同一規格のユニットを指定して購入することから随意契約により行っており、そのユニットの予定価格については、国土交通省が作成している積算単価表に登載されている単価を各ユニットの積算単価とし、この積算単価を合算するなどして算出している。
上記積算単価表の単価は、当初製造メーカー等から徴した各ユニットごとの見積額を査定したものを登載し、その後は、製造メーカー等と予備品の購入契約を締結する際提出させる購入単価を基に、毎回新しい単価に更新するなどしている。
2 検査の結果
前記のとおり、国土交通省では、航空保安施設を運用するとともに、航空保安施設の新設、更新等を行っており、本体装置の購入に伴い、本体装置を構成するユニットの不具合に備えて保有する予備品としてのユニットの購入も多数に上っている。
そこで、予備品の購入契約に係る予定価格の積算が適切に行われているかに着眼し、平成15年度において購入した予備品(積算額15億4580万余円)を対象として検査した。
検査したところ、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。
国土交通省は、予備品の積算に当たり、予備品の購入が本体装置の購入後になることから、すでに製造メーカーが把握している本体装置の各ユニットの製造実績に基づいた単価を製造メーカーから徴するなどした上で積算することは可能であったが、同省では、製造メーカーから本体装置の各ユニットの製造実績に基づいた単価を提出させておらず、この製造実績単価を把握していなかった。
また、同省では、購入実績のある装置と同型の本体装置を購入する際には、その積算に当たり、製造メーカーからユニットごとの見積書を徴していたが、本体装置と予備品の積算担当部門が異なることから、予備品として保有する同一規格のユニットの積算に当たり、本体装置のユニットごとの見積単価と、予備品のユニットごとの積算単価表の単価との比較についても行っていなかった。
そこで、15年度に購入した本体装置と規格番号が同一の予備品のユニットについて、本体装置のユニットごとの見積単価と、積算単価表の単価を比較したところ、規格番号が同一であるのに、本体装置の製造メーカーが提示したユニットごとの見積単価よりも、積算単価表の単価が割高となっている予備品が276ユニット(積算額2億0478万余円)あった。
前記の予備品276ユニットについて、本体装置の製造メーカーが提出した見積額を積算単価としたとすれば、予備品の積算額2億0478万余円は1億1804万余円となり、約8673万円が低減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、国土交通省において、予備品の予定価格の積算に当たり、本体装置の各ユニットごとの製造実績単価を製造メーカーから提出させていなかったこと、本体装置と予備品のそれぞれの積算担当部門間で単価についての連絡が十分でなかったため、単価の比較検討が行われていなかったことによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、国土交通省では、16年9月に通知を発し、17年1月以降の本体装置の製造契約について、製造メーカーに対し、本体装置を構成する各ユニットの製造実績単価の提出を義務付け、予備品の予定価格の積算に当たっては、本体装置の製造実績単価と比較できる体制を整備するとともに、積算単価表を改訂し、製造実績に基づいた単価となるよう処置を講じた。