科目 | (都市基盤整備勘定) | (項)管理諸費 |
(項)都市機能更新事業費 | ||
(項)都市整備事業費 | ||
(項)居住環境整備事業費 | ||
(項)土地有効利用事業費 | ||
(項)防災公園街区整備事業費 | ||
(項)公園建設費 | ||
(項)市街地整備改善管理費 | ||
(項)賃貸住宅管理費 | ||
(項)分譲住宅特別管理業務費 | ||
(鉄道勘定) | (項)管理諸費 |
部局等の名称 | 都市基盤整備公団(平成16年7月1日以降は独立行政法人都市再生機構)本社ほか20支社等 |
契約名 | 清掃業務委託契約ほか20件 |
契約の概要 | 本社、支社等で使用する事務所等の清掃業務を委託するもの |
適切な契約事務を実施する要があると認められた契約金額 | 5億5921万円(平成15年度) |
1 契約等の概要
都市基盤整備公団(平成16年7月1日以降は独立行政法人都市再生機構。以下「公団」という。)の本社及び支社、開発事務所、住宅管理センター等(以下「支社等」という。)では、自ら所有していたり、賃借したりして使用している事務所等の清掃業務委託契約(以下「清掃契約」という。)を清掃業者と締結しており、15年度の契約件数及び契約総額は、59件、6億3205万余円となっている。
公団の契約事務は、都市基盤整備公団会計規程(平成11年都市基盤整備公団規程第4号。以下「会計規程」という。)等に基づき行うこととされている。
会計規程等によると、役務等の契約を締結する場合には、原則として一般競争に付することとされているが、一般競争に付することが不利と認められるときなどの場合は指名競争に付することとされている。また、契約の性質又は目的が競争を許さないときなどの場合には随意契約によることとされている。
政府調達に関する協定(平成7年条約第23号。以下「協定」という。)は、世界貿易機関(WTO)の下で運用される協定の一つで、政府機関による調達について、内外無差別原則の確立と手続の透明性の確保を目的とするものである。協定では、公団は適用対象機関とされ、また、清掃業務は適用対象サービスとされていることから、公団が一定額以上の清掃契約を締結する場合には、協定に従った契約事務を行うことが求められている。
そして、公団では、協定に対応するため、「物品等又は特定役務の調達契約に係る事務の取扱いについて」(平成11年制定。以下「特例通達」という。)等を定めている。
特例通達等によれば、清掃業務など役務に係る調達契約で、その予定価格が「国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令」(昭和55年政令第300号)に規定する額(15年度は1400万円)以上であるもの(以下「特定調達」という。)については、原則として一般競争に付することとされているが、調達の相手方が特定されているなどの場合には随意契約によることができるとされている。また、特定調達を一般競争契約による場合には、入札に係る公告を官報により行い、随意契約による場合には、契約前に契約の内容、予定している契約相手方等を官報により公示し、いずれの場合にも契約の相手方を決定したときは、契約相手方、契約金額等を官報により公示しなければならないこととされている。
2 検査の結果
事務所等の清掃業務は、毎年度、清掃契約により実施されていて、これに係る費用は多額に上っている。
そこで、本社、支社等が15年度に締結していた清掃契約のうち、予定価格が100万円を超える43件、契約総額6億2105万余円を対象として、契約事務は会計規程、特例通達等に基づき適切に行われているか、特に契約方式の決定は公正性、競争性及び透明性を確保したものとなっているかなどに着眼して検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
(1)契約方式について
技術センターほか13支社等(注1)
が締結した清掃契約14件、契約総額3億1292万余円については、当初の契約締結に当たり、清掃業務を実施する際に清掃業者が公団の取り扱う居住者情報等の秘密情報に接触する可能性があることから、情報漏えい等の事故を起こさず、安定的に業務を遂行できる者を契約の相手方とする必要があるため、会計規程等に基づき、契約の性質又は目的が競争を許さない場合に該当するとして随意契約によっていた。
しかし、これらの契約は、競争を行う際の入札参加業者の資格審査に当たり、信頼性や業務の履行能力などの審査を十分に行うなどすれば、上記の条件を満たす者を契約の相手方とすることは十分可能であることから、競争契約によるべきであったと認められた。そして、実際にも、支社等の中には、清掃契約に当たり、入札参加業者の選定資格審査を十分に行い、競争により契約を締結している事例があり、現在に至るまで事故等は発生していない。
上記14件のうち、茨城地域支社ほか4支社等(注2)
が契約していた予定価格が1400万円以上である5件、契約総額2億8043万余円については、当初契約は協定の発効以前に締結している。そして、これらの契約は公団又は清掃業者の双方又はいずれか一方から、何らの申出のないとき、同一条件により、契約期間が1年間更新されるものとし、更新された契約についても同様とする自動更新条項により継続していることから、同一条件による契約であり、特定調達に該当しないとしていた。
しかし、上記5件は、いずれの契約についても、協定発効後に清掃員の労務単価の改定、清掃対象面積、箇所等の増減などの条件に変更があるごとに変更契約を締結しており、このような変更契約は同一条件による契約ではなく、特定調達に該当するものであることから、特例通達等に基づき、一般競争に付するべきであったと認められた。
(2)契約事務手続について
本社ほか6支社等(注3)
が締結した清掃契約のうち、予定価格が1400万円以上である7件、契約総額2億4629万余円については、事務所等の所有者との賃貸借契約等において清掃業者が指定されていることから、随意契約によりこの清掃業者と契約を締結していた。そして、上記の本社及び支社等では、これらの契約は公団が清掃業者を選定するものではないことから、特定調達に該当しないとし、特例通達等で定められた官報による公示の事務手続を執っていなかった。
しかし、予定価格が1400万円以上であれば、公団が業者を選定したか否かにかかわらず特定調達に該当し、特例通達等の適用があることから、所定の事項を官報に公示するなどの事務手続を執る要があったと認められた。
このような事態が生じていたのは、本社及び支社等において、契約事務の執行に当たり、公正性、競争性及び透明性の確保についての検討が十分でないこと、また、特例通達等に定められた調達手続についての理解が十分でなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、16年7月に公団の業務を承継した独立行政法人都市再生機構では、同年9月に支社等に対して通知を発し、契約事務において、公正性、競争性及び透明性を確保するため、清掃契約の締結に当たっては、特例通達等に基づき、競争入札に付するなどするとともに、官報による公示を実施するなど、適切な契約事務の実施について周知徹底を図るなどの処置を講じた。
(注1) | 技術センターほか13支社等 技術センター、茨城地域、関西両支社、多摩ニュータウン、千葉ニュータウン、関西文化学術研究都市各事業本部、多摩センター案内所、仙台都市整備事務所、武蔵小金井駅南口再開発事務所、木更津開発事務所、東埼玉、浦和、西埼玉、高蔵寺各住宅管理センター |
(注2) | 茨城地域支社ほか4支社等 茨城地域、関西両支社、多摩ニュータウン、千葉ニュータウン、関西文化学術研究都市各事業本部 |
(注3) | 本社ほか6支社等 本社、土地有効利用事業本部、東京、千葉地域、神奈川地域、埼玉地域、中部各支社 |