科目 | 設備投資勘定 |
部局等の名称 | 西日本電信電話株式会社本社 |
購入の概要 | 平成15年度に、光ファイバケーブルを利用したインターネット接続サービスを提供するための装置に搭載する加入者収容パッケージを購入するもの |
購入数量 | 4,442枚 |
購入費 | 4億2132万余円 |
上記のうち購入の要がなかった数量 | 382枚 |
節減できた購入費 | 4140万円 |
1 設備の概要
西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)では、平成13年8月から、加入者と設備センタビルとの接続に光ファイバケーブルを使用することで、インターネットに高速で接続する月間利用料定額のサービスをBフレッツとして提供している。
このサービスには、提供条件等の違いにより、ベーシックタイプ、マンションタイプ、ビジネスタイプ、ファミリー100タイプなどの種別がある。
Bフレッツの加入者数は、16年3月末で414,030契約(15年3月末で87,746契約)となっており、これをサービス種別ごとの加入者数でみると、ファミリー100タイプで316,142契約(同55,553契約)、マンションタイプで60,618契約(同9,140契約)、ベーシックタイプで31,233契約(同15,126契約)、ビジネスタイプで1,508契約(同801契約)などとなっていて、ビジネスタイプの加入者数は他のサービス種別に比べて伸び悩んでいる。
NTT西日本では、Bフレッツのサービスを提供するに当たり、本社が制定した電気通信技術標準実施方法に基づき、各支店において、設備センタビルに、〔1〕加入者との間で伝送される光信号を電気信号に変換するメディアコンバータ、〔2〕メディアコンバータで変換した電気信号をインターネットと接続する加入者集約スイッチなどを設置している(参考図参照) 。
メディアコンバータには、ベーシック、ビジネス及びマンションの3タイプ用の装置(以下「MCI」という。)、ベーシック及びビジネスの2タイプ用の装置(以下「MCII」という。)などがある。そして、これらに加え、15年4月からは、ベーシック、ビジネス及びマンションの3タイプ用で、MCI又はMCIIの改良型(以下、これらの装置をそれぞれ「MCI改」、「MCII改」という。)が導入されている。
各メディアコンバータには、加入者との接続を行うため、それぞれ専用の加入者収容パッケージ(以下「パッケージ」という。)を複数枚搭載できることになっている。
そして、MCI、MCI改、MCII及びMCII改に搭載するパッケージは、下表のとおり、それぞれのメディアコンバータに対応して、複数のサービス種別のいずれにも使用することができることとなっている。
サービス種別名
\
装置名 |
提供可能サービス種別 | ||
ベーシックタイプ | マンションタイプ | ビジネスタイプ | |
MCI用パッケージ | 〇 | 〇 | 〇 |
MCII用パッケージ | 〇 | × | 〇 |
MCI改用パッケージ | 〇 | 〇 | 〇 |
MCII改用パッケージ | 〇 | 〇 | 〇 |
そして、パッケージをメディアコンバータに搭載する際は、1枚のパッケージには複数のサービス種別を混在させずに、サービス種別ごとにそれぞれ別のパッケージを使用することとなっている。
Bフレッツのサービスを新たに開始する際には、各支店では、本社からの指示に基づき、〔1〕営業部門において、設備センタビルごとの加入者需要見込数を算出する、〔2〕設備構築部門において、これに基づき設備の必要数量を算出し、パッケージについては3箇月先の、パッケージを搭載するメディアコンバータについては6箇月先の需要に対して不足が生じないよう設備を構築することとなっている。そして、サービスの運用を開始して以降は、設備の不足による開通の遅延を防ぐため、3箇月ごとに、〔1〕営業部門において、販売実績などから加入者需要見込数を算出する、〔2〕設備構築部門において、これに基づきパッケージなどに不足が生じないよう設備を構築することとなっている。
2 検査の結果
Bフレッツは、サービス開始から2年以上が経過し、前記のとおり、その加入者数及び加入者増加数には、サービス種別により大きな差が生じている。
このような状況において、複数のサービス種別に共通して使用されている前記4種類のパッケージの購入が、サービス種別ごとの使用状況や需要動向に応じて適切に行われているかに着眼して検査した。
大阪支店ほか15支店(注) において、16年3月末時点で、メディアコンバータに搭載している4種類のパッケージを対象としてその使用状況を検査するとともに、15年度に購入した4種類のパッケージ(4,442枚、購入金額4億2132万余円)を対象にその購入数量の必要性を検査した。
検査したところ、16年3月末時点で、ビジネスタイプのサービスを提供するために搭載しているパッケージ1,084枚のうち、加入者がいない状況(以下、このような状況を「加入者未収容」という。)で、サービスの提供に使用されていないものが445枚見受けられた。
これらのビジネスタイプ用のパッケージは、同一種類のパッケージを使用している他のサービス種別にも対応できるのであるから、上記の加入者未収容となっているパッケージについて、今後の需要動向を判断するための期間を考慮したとしても、16年3月末時点で加入者未収容となっている期間が6箇月を超えている398枚については、他のサービス種別に転用すれば、新たにパッケージを購入する要はなく、購入費の節減を図ることができたと認められた。
本件について、上記398枚のうち15年度中に、他のサービス種別に用途変更することなどにより転用が可能であったと認められる382枚を、同一ビル内又は他の設備センタビルに転用していたとすれば、大阪支店ほか15支店で15年度に購入したパッケージ4,442枚のうち382枚は購入の要がなく、約4140万円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、ビジネスタイプの加入者数が伸び悩んでいるのに、各支店において、サービス提供後における設備構築を、すべてのサービス種別で需要が伸び続けることを前提として行っていたため、加入者未収容となっているビジネスタイプ用のパッケージが多数あるにもかかわらず、これを転用する措置が執られていなかったことによるものと認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、NTT西日本では、16年9月に、各支店に対して次のような内容の指示文書を発し、パッケージの購入及び設置に当たっては経済的、効率的な設備構築を行うことにより、その購入費の節減を図る処置を講じた。
(1)ビジネスタイプ用のパッケージについて、6箇月以上加入者未収容となっているものなどについては転用による利活用を徹底し、新規の購入を抑制すること
(2)パッケージの購入に当たっては、事前に利活用できるパッケージの有無を確認した上で、適切に実施すること