国の各機関においては、社会経済情勢が著しく変化する中で、複雑多様化する行政施策等の企画・立案を進め、また、的確な基礎データの構築及び創造的なデータの解析を行うために種々の情報収集や分析が必要であることから、様々な調査、研究等に係る事業(以下「調査研究事業」という。)を実施している。
この調査研究事業の中には、国が自ら実施しているもののほか、広範囲な情報収集や専門的な知識・知見を必要とするものについては、外部に発注して実施しているものがある。そして、国は、「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画」(平成11年4月27日閣議決定)、「行政改革大綱」(平成12年12月1日閣議決定)等に基づいて、国家公務員の削減、国の事務事業の独立行政法人化などによる行政の減量化を進めるとともに、国の事務事業の民間への委託を推進していることから、今後、国が外部に発注する調査研究事業は更に増加すると見込まれる。
近年、国の行政は、専門的・国際的知見がますます必要とされてきており、これに伴い、調査研究事業の範囲は拡大傾向にあると考えられる。そして、調査研究事業の推進は、的確な行政施策等の企画・立案にとって重要であるばかりでなく、その成果は国民にとっても有用な情報となるものである。こうしたことから、調査研究の成果の公表は重要であるが、個人情報の保護、機密保持など配慮しなければならない課題もある。
調査研究事業の中には、国の各機関がそれぞれ独自に実施しているものが多いことから、外部に発注する場合も、契約の内容、契約の種類及び方式、成果を取りまとめた報告書(以下「成果物」という。)の利用及び管理の方法等は様々であり、その状況を把握しにくい面がある。また、調査研究事業については、その必要性や成果物の有用性の判断が容易ではないこともあり、社会経済情勢の変化に対応した検討や見直しが十分になされないまま契約が継続される懸念を持たれている。さらに、調査研究事業の契約の相手方の一つである公益法人(民法(明治29年法律第89号)に基づく財団法人及び社団法人をいう。以下同じ。)については、「行政改革大綱」、「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(平成14年3月29日閣議決定)等において、行政との関係の透明性が一層求められているなど、その在り方に社会的関心が持たれているところである。