会計名及び科目 | 財務省所管 産業投資特別会計(社会資本整備勘定) | |
(項)改革推進公共投資電気通信格差是正施設整備資金貸付金 | ||
(項)改革推進公共投資情報通信格差是正事業資金貸付金 |
部局等の名称 | 総務本省 |
補助の根拠 | 予算補助 |
補助事業 | 電気通信格差是正 |
(1) 新世代地域ケーブルテレビ施設整備 | |
情報通信格差是正 | |
(2) 地域イントラネット基盤施設整備 | |
補助事業の概要 | 地域における高度情報化社会の均衡ある発展を図るため、高度情報通信ネットワーク等先導的な情報通信基盤の施設等を設置するもの |
補助事業者 | (1) 府1、県2 |
(2) 市1、町1、計2事業主体 | |
間接補助事業者 | (1) 市2 |
間接補助事業者(事業主体) | (1) 一部事務組合1、第三セクター2 |
事業費の合計 | 5,638,209,600円 | (平成14年度) |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 1,691,298,000円 | |
不当と認める事業費 | 140,383,113円 | (平成14年度) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 40,204,000円 | (平成14年度) |
1 補助金の概要
総務省では、地域における情報基盤を整備し高度情報化社会の均衡ある発展を図るため、電気通信格差是正事業等の一環として、次のような新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業等を行う都道府県等に対し、その事業に要する経費の一部として電気通信格差是正事業費補助金等を交付し又は無利子貸付金(注) を貸し付けている。
(1)新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業
新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業は、市町村(一部事務組合を含む。以下同じ。)又は第三セクターが地域住民に映像情報等を提供するケーブルテレビの施設及び設備を整備するものであり、その補助対象事業費は、当該事業に必要なセンター施設、光ファイバケーブル(以下「光ケーブル」という。)等からなる線路設備、インターネット設備等の整備に要する経費等とされている。そして、補助金の交付については、当該事業を市町村が行う場合は補助対象事業費の3分の1に相当する額を都道府県を通じて、また、第三セクターが行う場合は施設を整備する地域の区分に応じて同事業費の4分の1、6分の1又は8分の1に相当する額を都道府県、市町村を通じて交付することとなっている。
(2)地域イントラネット基盤施設整備事業
地域イントラネット基盤施設整備事業は、都道府県、市町村等が地域におけるLAN(地域イントラネット)等の施設及び設備を整備するものであり、その補助対象事業費は、当該事業に必要なセンター施設、伝送施設、送受信装置等の設備の整備に要する経費等とされている。このうち、センター施設については、送受信装置等を設置する機械室、及び機械室と一体的に整備され、機械室と接続している情報端末等の機器が設置されたホール等の整備に係る経費が補助対象事業費とされている。そして、補助金の交付については、当該事業を市町村が行う場合は補助対象事業費の3分の1に相当する額を当該市町村に交付することとなっている。
そして、事業主体は、事業完了後に実績報告書を都道府県、市町村を通じて又は直接に総務省に提出し、都道府県等及び同省は、その内容の審査を行うとともに必要に応じて現地調査等を行うこととなっている。
2 検査の結果
北海道ほか12府県において、道府県、市町村、第三セクター等の計236事業主体について検査した結果、5事業主体が実施した5件の補助事業(補助対象事業費計5,638,209,600円)において、事業主体が、補助対象事業費に補助の対象とはならない、情報端末等の機器が設置されていない施設に係る工事費、リースで設置しているのに購入して設置したとする設備費、ソフトウェアの購入費、申請書の作成費等を含めるなどしていた。このため、補助対象事業費140,383,113円が過大になっていて、これに係る国庫補助金相当額40,204,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において補助事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったこと、府県、市及び総務省において事業主体から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
これを事業主体の所在する府県別に示すと次のとおりである。
府県名 | 事業主体 | 補助事業 | 年度 | 事業費 (補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 |
(5) | 富山県 | 婦負(ねい)郡八尾町 (注) | 地域イントラネット基盤施設整備 | 14 | 532,875 (532,875) |
177,625 | 59,487 | 19,830 | 補助の対象外 |
この補助事業は、上記の事業主体が、婦負郡八尾町内において、マルチメディアを活用して、観光情報を観光客に提供したり、コミュニケーションと学習の場を町民に提供したりなどするため、サーバ等を設置したセンター施設(鉄筋コンクリート造り2階建て、延べ床面積1,103.2m2
)を整備するとともに、情報端末等の機器を町内の公民館等の公共施設に設置し、これらの施設とセンター施設とを光ケーブルで接続するネットワークを整備したものである。事業主体は、本件事業費を532,875,000円(補助対象事業費同額)とし、国庫補助金177,625,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、センター施設のうち、情報端末等の機器が設置されていないため、補助の対象とはならない図書館の図書コーナー及び書庫(延べ床面積125.1m2
)の整備等に係る経費59,487,516円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は473,387,484円となり、前記の補助対象事業費532,875,000円との差額59,487,516円に係る国庫補助金相当額19,830,000円が過大に交付されていた。
(6) | 富山県 | 新川広域圏事務組合 (注) | 新世代地域ケーブルテレビ施設整備 | 14 | 3,858,447 (3,858,447) |
1,286,149 | 11,971 | 3,991 | 補助の対象外 |
この補助事業は、上記の事業主体が、黒部市及び宇奈月、入善、朝日各町内において、ケーブルテレビのネットワークを活用したケーブルテレビ放送サービス等を住民に提供するため、センター施設、線路設備、スタジオ施設等を整備したものである。事業主体は、本件事業費を3,858,447,000円(補助対象事業費同額)とし、国庫補助金1,286,149,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、補助の対象とはならない電柱に線路設備を敷設する際の添架申請書の作成等に係る経費11,971,497円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は3,846,475,503円となり、前記の補助対象事業費3,858,447,000円との差額11,971,497円に係る国庫補助金相当額3,991,000円が過大に交付されていた。
(7) | 大阪府 | 大阪セントラルケーブルネットワーク株式会社 (注) | 新世代地域ケーブルテレビ施設整備 | 14 | 900,922 (858,021) |
107,252 | 15,243 | 1,905 | 補助金の過大交付 |
この補助事業は、上記の事業主体が、大阪市内において、公共情報に係る映像情報等の通信基盤を高度化するため、同軸ケーブル、増幅器等を設置する工事(以下「新設工事」という。)と既設伝送路の増幅器等の機器のみを交換する改修工事を実施したものである。事業主体は、設置した増幅器のうち双方向分岐増幅器の1台当たり単価を、施工業者の請求書の明細どおり、新設工事では195,000円、改修工事では295,000円として、本件事業費を900,922,050円(補助対象事業費858,021,000円)とし、国庫補助金107,252,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、補助対象事業費の算出に当たり、改修工事で設置した双方向分岐増幅器の単価について、当該増幅器が新設工事で設置した双方向分岐増幅器と同型であるため、これと同額の195,000円とすべきところ、施工業者の請求書に誤って記載された単価295,000円としていた。
したがって、適正な補助対象事業費は842,778,000円となり、前記の補助対象事業費858,021,000円との差額15,243,000円に係る国庫補助金相当額1,905,000円が過大に交付されていた。
(8) | 大阪府 | 阪南市 | 地域イントラネット基盤施設整備 | 14 | 276,666 (276,666) |
92,222 | 12,686 | 4,229 | 補助の対象外 |
この補助事業は、上記の事業主体が、阪南市内において、行政情報を市民に提供し、市民からの意見・質問を受け付けるなどのため、各種サーバ等を設置してセンター施設を整備するとともに、情報端末等の機器を市内の小・中学校、公民館等の公共施設に設置し、これらの施設とセンター施設とを既存の光ケーブル網を借用して接続するネットワークを整備したものである。事業主体は、本件事業費を276,666,600円(補助対象事業費同額)とし、国庫補助金92,222,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、補助の対象とはならないソフトウェアの購入、サーバの設定マニュアルの作成等に係る経費12,686,100円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は263,980,500円となり、前記の補助対象事業費276,666,600円との差額12,686,100円に係る国庫補助金相当額4,229,000円が過大に交付されていた。
(9) | 大分県 | 大分ケーブルテレコム株式会社 (注) | 新世代地域ケーブルテレビ施設整備 | 14 | 117,810 (112,200) |
28,050 | 40,995 | 10,249 | 補助の対象外 |
この補助事業は、上記の事業主体が、大分市内において、ケーブルテレビのネットワークを活用して行政情報等を提供するなどのインターネットサービス事業を行うため、インターネット設備、線路設備等を整備したものである。事業主体は、本件事業費を117,810,000円(補助対象事業費112,200,000円)とし、国庫補助金28,050,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、上記のインターネット設備について、いったん購入した後、国庫補助金の額の確定前にリース会社に売却して同社から補助の対象とはならないリース契約(リース期間60箇月)により借り受けていたのに、同設備を購入した際の経費40,995,000円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は71,205,000円となり、前記の補助対象事業費112,200,000円との差額40,995,000円に係る国庫補助金相当額10,249,000円が過大に交付されていた。
(5)-(9)の計 | 5,686,720 (5,638,209) |
1,691,298 | 140,383 | 40,204 |