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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 財務省|
  • 不当事項|
  • 予算経理|
  • 1 旅費支給の概要|
  • 税関及び地区税関(以下「税関等」という。)では、輸出入される貨物の通関、関税等の徴収、密輸等の取締り、保税地域の管理などの税関業務を行っている。そして、税関等では、これらの業務に従事する職員等に対して、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和25年法律第114号。以下「旅費法」という。)の規定により、旅費を支給している。|
  • 旅費は、旅費法の規定により、最も経済的な通常の経路及び方法により計算することとされ、その内訳は鉄道賃、航空賃、日当、宿泊料等とされている。そして、内国旅行の航空賃については、現に支払った旅客運賃によることとなっており、また、宿泊料については、宿泊先の地域区分等に応じた定額によることとなっている。|
  • 国内線の航空賃には、普通運賃と割引運賃があり、さらに割引運賃には、同一区間を往復することを条件とした往復運賃のほか、特定の便を利用することなどを条件とした特定便運賃、利用する一定期間前(例えば、21日前)までに航空券を予約することなどを条件とした事前購入運賃、旅行サービス(主に宿泊)とセットにすることなどを条件とした包括旅行運賃(通常は航空賃と宿泊代がセットになったパック料金で販売されるもの)及びその他各種の割引運賃がある。そして、通常は、このような航空賃の種別に応じた記号(以下「運賃種別の記号」という。)が、搭乗の際、航空券から切り離される搭乗券に印字されている。|
  • 旅費法の規定により、旅費(概算払に係る旅費を含む。)の支給を受けようとする旅行者及び概算払に係る旅費の支給を受けた旅行者でその精算をしようとする者(以下、これらの者を「旅費請求者」という。)は、所定の請求書に必要な資料を添えて、これを当該旅費の支出又は支払をする者に提出しなければならないこととなっている。    そして、内国旅行の航空賃については、上記の必要な資料として平成12年4月以降、国家公務員等の旅費支給規程(昭和25年大蔵省令第45号)により、その支払を証明するに足る資料を添付することとなっている。そして、この資料は具体的には航空賃を支払ったことを証明する領収証(航空券の写しでも可)及び搭乗券とされている。|
  • 2 検査の結果|
  • 函館税関及び沖縄地区税関が12年度から16年度までの間に支給した航空機を利用した旅費計279,188,066円(函館税関85,584,189円、沖縄地区税関193,603,877円)を対象として、その支給及び精算が適切に行われているか検査した。検査に当たっては、請求された航空賃と、搭乗券に印字された運賃種別の記号から推定される航空賃とを突合し、これらが合致しないなど過大に支給されているおそれのあるものについては、当該税関等の協力を得て、旅行業者等に販売価額を問い合わせたり、旅費請求者に購入価額等の事実関係を聴取したりするなどの確認を行った。|
  • 検査したところ、12年度から16年度までの間において、函館税関で99件(これに係る旅費支給額8,973,940円)、沖縄地区税関で194件(同17,426,954円)、計293件(同26,400,894円)について、旅費が計5,655,945円(函館税関2,137,390円、沖縄地区税関3,518,555円)過大に支給されていた。これらの過大に支給されていた額等を態様別・税関等別に示すと、次のとおりである。   ア 実際に支払った航空賃より高額の航空賃を請求していたもの|
  • これらにおいては、旅費請求者が、実際には割引運賃の航空券を購入して出張等しているのに、その支払額よりも高額の航空賃の領収証を旅行業者等から入手し、これを所定の請求書に添付するなどして過大に請求していた。   イ 実際に支払ったパック料金以上の航空賃を請求していたものなど

航空機を利用した出張等に係る旅費の支給が過大となっているもの


(11)(12)航空機を利用した出張等に係る旅費の支給が過大となっているもの

会計名及び科目 一般会計  (組織)財務本省  (項)財務本省
  平成12年度は、
    (組織)財務本省  (項)財務本省
      (項)大蔵本省
    (組織)税関 (項)税関
部局等の名称 (1) 函館税関
  (2) 沖縄地区税関
旅費の概要 輸出入される貨物の通関、関税等の徴収、密輸等の取締り、保税地域の管理などの税関業務のための旅費
航空機を利用した旅費の合計額 (1) 
85,584,189円
(平成12年度〜16年度)
(2) 
193,603,877円
(平成12年度〜16年度)
計 
279,188,066円
 
上記のうち支給が過大となっていた旅費の合計額 (1) 
2,137,390円
(平成12年度〜16年度)
(2) 
3,518,555円
(平成12年度〜16年度)
計 
5,655,945円
 

1 旅費支給の概要

(旅費支給の概要)

 税関及び地区税関(以下「税関等」という。)では、輸出入される貨物の通関、関税等の徴収、密輸等の取締り、保税地域の管理などの税関業務を行っている。そして、税関等では、これらの業務に従事する職員等に対して、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和25年法律第114号。以下「旅費法」という。)の規定により、旅費を支給している。

(旅費の計算)

 旅費は、旅費法の規定により、最も経済的な通常の経路及び方法により計算することとされ、その内訳は鉄道賃、航空賃、日当、宿泊料等とされている。そして、内国旅行の航空賃については、現に支払った旅客運賃によることとなっており、また、宿泊料については、宿泊先の地域区分等に応じた定額によることとなっている。

(航空賃の割引運賃及び搭乗券)

 国内線の航空賃には、普通運賃と割引運賃があり、さらに割引運賃には、同一区間を往復することを条件とした往復運賃のほか、特定の便を利用することなどを条件とした特定便運賃、利用する一定期間前(例えば、21日前)までに航空券を予約することなどを条件とした事前購入運賃、旅行サービス(主に宿泊)とセットにすることなどを条件とした包括旅行運賃(通常は航空賃と宿泊代がセットになったパック料金で販売されるもの)及びその他各種の割引運賃がある。そして、通常は、このような航空賃の種別に応じた記号(以下「運賃種別の記号」という。)が、搭乗の際、航空券から切り離される搭乗券に印字されている。

(旅費の請求手続)

 旅費法の規定により、旅費(概算払に係る旅費を含む。)の支給を受けようとする旅行者及び概算払に係る旅費の支給を受けた旅行者でその精算をしようとする者(以下、これらの者を「旅費請求者」という。)は、所定の請求書に必要な資料を添えて、これを当該旅費の支出又は支払をする者に提出しなければならないこととなっている。
 そして、内国旅行の航空賃については、上記の必要な資料として平成12年4月以降、国家公務員等の旅費支給規程(昭和25年大蔵省令第45号)により、その支払を証明するに足る資料を添付することとなっている。そして、この資料は具体的には航空賃を支払ったことを証明する領収証(航空券の写しでも可)及び搭乗券とされている。

2 検査の結果

(検査の対象及び方法)

 函館税関及び沖縄地区税関が12年度から16年度までの間に支給した航空機を利用した旅費計279,188,066円(函館税関85,584,189円、沖縄地区税関193,603,877円)を対象として、その支給及び精算が適切に行われているか検査した。検査に当たっては、請求された航空賃と、搭乗券に印字された運賃種別の記号から推定される航空賃とを突合し、これらが合致しないなど過大に支給されているおそれのあるものについては、当該税関等の協力を得て、旅行業者等に販売価額を問い合わせたり、旅費請求者に購入価額等の事実関係を聴取したりするなどの確認を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、12年度から16年度までの間において、函館税関で99件(これに係る旅費支給額8,973,940円)、沖縄地区税関で194件(同17,426,954円)、計293件(同26,400,894円)について、旅費が計5,655,945円(函館税関2,137,390円、沖縄地区税関3,518,555円)過大に支給されていた。これらの過大に支給されていた額等を態様別・税関等別に示すと、次のとおりである。
ア 実際に支払った航空賃より高額の航空賃を請求していたもの

税関等
件数
旅費支給額
左のうち過大に支給されていた額
 
函館税関
52
4,147,280
414,450
沖縄地区税関
177
16,138,014
3,279,365

229
20,285,294
3,693,815

 これらにおいては、旅費請求者が、実際には割引運賃の航空券を購入して出張等しているのに、その支払額よりも高額の航空賃の領収証を旅行業者等から入手し、これを所定の請求書に添付するなどして過大に請求していた。
イ 実際に支払ったパック料金以上の航空賃を請求していたものなど

税関等
件数
旅費支給額
左のうち過大に支給されていた額
 
函館税関
47
4,826,660
1,722,940
沖縄地区税関
17
1,288,940
239,190

64
6,115,600
1,962,130

 これらにおいては、旅費請求者が、実際には宿泊代が含まれたパック料金で航空券を購入して出張しているのに、その金額と同一又はそれより高額の航空賃の領収証を旅行業者等から入手し、これを所定の請求書に添付するなどして過大に請求していた。
 このような事態が生じていたのは、旅費請求者において旅費の請求を適正に行うという認識が著しく欠けていたことにもよるが、上記の税関等において旅費の支給及び精算に当たり審査が十分でなかったことなどによると認められる。
 なお、上記の過大に支給されていた旅費の金額については、17年10月に全額国庫に返納等された。