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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 財務省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

確定申告説明会に係る謝金の支払が業務の実態等に適合したものとなるよう改善させたもの


(3)確定申告説明会に係る謝金の支払が業務の実態等に適合したものとなるよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)国税庁 (項)税務官署
部局等の名称 金沢国税局、富山税務署ほか13税務署
謝金の概要 納税者による自発的かつ適正な申告の定着を図るための説明会において、確定申告書の作成指導を依頼した税理士に支払うもの
謝金の支払額 1800万余円 (平成14、15両年度)
節減できた謝金の額 896万円 (平成14、15両年度)

1 確定申告説明会に係る謝金の概要

(確定申告説明会)

 金沢国税局(以下「金沢局」という。)管内の富山税務署ほか13税務署(注) (以下「各署」という。)では、納税者自身による自発的かつ適正な申告の定着を図るため、毎年1月下旬から3月上旬にかけて、確定申告相談業務の一環として、納税者に対する確定申告説明会を開催している。
 この説明会は、住宅借入金等特別控除適用者、公的年金受給者等の納税者を対象として、税務当局が作成し一般に配布している手引書等の資料に基づき確定申告書の作成方法を説明するとともに、納税者の質問に答えるなどして、確定申告書の作成指導を行い、併せて確定申告書の収受を行うもので、午前又は午後の半日を単位として行われている。
 そして、各署では、確定申告期の納税者の相談機会を拡大し効率的に実施するため、北陸税理士会の各支部に所属する税理士に、確定申告説明会における確定申告書の作成指導の業務(以下「申告説明会業務」という。)を依頼している。

(謝金の支払)

 各署は、申告説明会業務に従事した税理士に対して謝金を支払っている。この謝金の額については、金沢局が単価を設定し、文書により各署に通知しており、その謝金単価は1人1日(1回)当たり平成14年度17,940円、15年度17,580円となっている。
 そして、各署の申告説明会業務に従事した税理士に対する謝金の支払額は、14年度898万余円、15年度901万余円、計1800万余円となっている。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 金沢局管内の各署における申告説明会業務に係る謝金の支払は、業務の実態等に適合したものとなっているかに着眼して検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、金沢局は、国税庁が定めた謝金の額に基づいて、申告説明会業務に係る謝金単価を設定しているが、その謝金単価の設定及び謝金の支払が次のように同庁の想定と異なるものとなっていた。
 すなわち、同庁では、個人事業者を対象として記帳方法の指導を行う記帳指導業務を税理士に依頼する場合の謝金について、1人1日当たりの単価(14年度は17,940円、15年度は17,580円)を定め、各国税局等に指示文書をもって通知している。また、申告説明会業務等の確定申告相談業務に従事した税理士に対して謝金を支払う場合にも、この単価(以下「国税庁指示単価」という。)に準じる取扱いとすることにしていた。そして、国税庁指示単価は、税理士が午前・午後を通して1日業務に従事することを想定して定めているものであり、上記の指示文書では「1人1日当たり」の単価として各国税局等に示されていた。
 しかし、金沢局では、確定申告相談業務の謝金単価を設定する際に、金額は同額としながら、その適用条件について「1人1日(1回)当たり」として、管内の各税務署に示していた。そして、各署では、開催単位が午前又は午後の半日となっている申告説明会業務において、半日の業務1回に対して1日当たりの国税庁指示単価と同額で設定されている前記の謝金単価の額を支払っていた。
 そして、金沢局管内の他の業務及び金沢局以外の国税局等管内の申告説明会業務についてみると、金沢局管内の各署では、申告説明会業務以外に記帳指導業務の一環として開催している記帳指導説明会における指導業務も税理士に依頼していて、当該業務の実施方法や従事時間は申告説明会業務と同様であるが、金沢局では、0.5日当たりの単価として国税庁指示単価の半額の謝金単価を設定しており、半日の業務1回に対して当該0.5日当たりの単価により謝金が支払われていた。また、金沢局以外の国税局等管内における申告説明会業務においては、業務内容や従事時間は金沢局管内と同じであるが、その謝金については、国税庁指示単価と同額の1日当たりの単価と国税庁指示単価の半額の半日当たりの単価を設定するなどしており、半日の業務に対しては国税庁指示単価の半額の謝金が支払われていた。
 以上のことから、金沢局における申告説明会業務に係る謝金の支払について、業務の実態や他の業務等に係る謝金の額を考慮し、これらと適合したものとする要があると認められた。

(節減できた謝金の額)

 金沢局管内の各署における申告説明会業務に係る謝金を、半日の業務につき同局設定の謝金単価の半額として算定すると、14年度451万余円、15年度452万余円、計903万余円となり、前記支払額との差額14年度447万余円、15年度449万余円、計896万余円節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、金沢局において、国税庁指示単価の検討及び申告説明会業務以外の業務等に係る謝金との比較検討を十分行っていなかったこと、また、国税庁指示単価が午前・午後を通して1日業務に従事した場合を想定した単価であるとの趣旨が国税庁の指示文書の上で必ずしも明確でなく、金沢局にその趣旨が徹底していなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、金沢局では、16年度(17年1月〜3月)の申告説明会業務について、半日の業務につき謝金単価の設定額の半額を支払うこととするとともに、17年9月に、税理士依頼業務の謝金について、1日又は半日(0.5日)当たりの謝金単価を設定し、業務従事時間を基本として支払を行うなどとする事務処理要領を定め、管内の各税務署に通知し、業務の実態等に適合した謝金の支払を行う処置を講じた。また、国税庁では、同月、各国税局等に対して上記要領と同様の内容の通知を発して、謝金単価の取扱いについて周知徹底する処置を講じた。

富山税務署ほか13税務署 富山、高岡、魚津、砺波、金沢、小松、輪島、松任、福井、敦賀、武生、小浜、大野、三国各税務署