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私立高等学校等経常費助成費補助金の経理が不当と認められるもの


(14)—(17)私立高等学校等経常費助成費補助金の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)文部科学本省 (項)私立学校助成費
部局等の名称 北海道ほか3県
補助の根拠 私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)
補助事業者
(事業主体)
北海道ほか3県
補助事業 私立高等学校等経常費助成費補助
補助事業の概要 私立の小学校、中学校、高等学校等の専任教職員給与費等の経常的経費を補助する都道府県に対し、その一部を国が補助するもの
上記に対する国庫補助金交付額の合計 10,084,894,000円 (平成14、15両年度)
不当と認める国庫補助金交付額 172,650,000円 (平成14、15両年度)

1 補助金の概要

(補助金交付の目的)

 私立高等学校等経常費助成費補助金(以下「補助金」という。)は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)に基づき、都道府県が、私立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び幼稚園(以下「私立学校」という。)の専任教職員給与費等の経常的経費を補助する場合に、その一部を国が補助するものである。この補助金は、私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する児童、生徒又は幼児(以下「生徒等」という。)に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高めることを目的として交付されるものである。

(補助金の額の算定方法)

 補助金の額は、私立高等学校等経常費助成費補助金(一般補助)交付要綱(昭和51年文部大臣裁定。以下「交付要綱」という。)等に基づき、各都道府県において、小学校、中学校等の学校の区分及び全日制・定時制等の課程の区分(以下「学校等の区分」という。)ごとに次の算式により算定した額の合計額となっている。

私立高等学校等経常費助成費補助金の経理が不当と認められるものの図1

 上記算式の「生徒等1人当たりの国庫補助単価」は、次のア及びイを合算したものである。
ア 学校等の区分ごとの生徒等1人当たりの都道府県の助成額を基に算定した都道府県ごとの生徒等1人当たりの補助単価(以下「基本国庫補助単価」という。)
イ 情報教育の推進を図るなど交付要綱に定められた特定の事由に該当する施策を行っている私立学校に対して都道府県が特別な助成をしている場合に、基本国庫補助単価に加算される、学校等の区分別、特定の事由別に算定した額(以下「加算単価」という。)の合計そして、加算単価の対象となる特定の事由の主なものは、次のとおりとなっている。
〔1〕 情報教育の推進を図るため、教育用コンピュータ等をレンタル又はリース方式により整備するもの(以下「レンタル又はリース方式による教育用コンピュータ等整備の推進」という。)
〔2〕 教員の能力開発及び資質向上の促進を図るため、研修等への派遣などを行うもの(以下「教員の能力開発及び資質向上の促進」という。)
〔3〕 少人数教育等きめ細かな学習指導の推進を図るため、私立学校(ただし幼稚園を除く。)が教職員を配置するもの(以下「少人数教育等の推進」という。)

(加算単価の算定方法)

 この加算単価は、文部科学省が、学校等の区分別、加算単価の対象となる特定の事由別に、年度ごとに定めた全国一律の生徒等1人当たりの配分単価を基に、各都道府県ごとに次のとおり算定することとなっている。

この加算単価は、文部科学省が、学校等の区分別、加算単価の対象となる特定の事由別に、年度ごとに定めた全国一律の生徒等1人当たりの配分単価を基に、各都道府県ごとに次のとおり算定することとなっている。

 そして、上記算式における「学校等の区分ごとの加算単価の対象となる生徒等数」は、加算単価の対象となる特定の事由に該当する施策を行っている私立学校に対し、都道府県が特別な助成をしている場合の当該私立学校の生徒等数とされている。

(注)
定員内実員 学則で定められた収容定員と当該年度の5月1日現在の生徒等の実員(ただし、幼稚園については、当該年度中に満3歳に達し5月2日以降に入園するなどの園児数を含んだ数)のうちいずれか少ない数をいう。

2 検査の結果

 北海道ほか10府県について検査したところ、北海道ほか3県では、加算単価の算定において、道県が私立学校に対する特別な助成をしていなかったり、私立学校が加算単価の対象となる特定の事由に該当する施策を行っていなかったりしていて、加算単価の対象とならない私立学校であるのに、これらの私立学校の生徒等数を含めるなどしていた。このため、国庫補助金172,650,000円が過大に交付されていると認められる。
 このような事態が生じていたのは、上記の4道県において、補助金の交付申請に当たり加算単価の対象となる学校の確認及び本件補助制度に対する理解が十分でなかったことによると認められる。
 これを道県別に示すと次のとおりである。

  道県名 年度 国庫補助金交付額 不当と認める国庫補助金
      千円 千円
(14) 北海道 14 3,664,395 160,649

 北海道は、平成14年度の教員の能力開発及び資質向上の促進分に係る加算単価の対象を幼稚園473園の園児数64,474人、高等学校(全日制・定時制課程)26校の生徒数20,396人と算定し、この人数等に基づき、補助金3,664,395,000円の交付を受けていた。
 しかし、上記幼稚園及び高等学校のうち幼稚園375園の園児数50,501人、高等学校1校の生徒数925人計51,426人については、同道が教員の能力開発及び資質向上の促進分に係る特別な助成をしていないため加算単価の対象とはならない。
 したがって、上記の生徒等数51,426人を除外して加算単価を算定すると本件加算単価が減少し、生徒等1人当たりの国庫補助単価も減少するので、適正な国庫補助金は3,503,746,000円となり、160,649,000円が過大に交付されていた。

(15) 埼玉県 14 4,482,993 1,433

 埼玉県は、平成14年度の少人数教育等の推進分に係る加算単価の対象を高等学校(全日制・定時制課程)33校の生徒数37,370人と算定し、この人数等に基づき、補助金4,482,993,000円の交付を受けていた。
 しかし、上記高等学校のうち、少人数教育等の推進分に係る高等学校1校の生徒数900人については、少人数教育等のための教職員の配置が行われていないため加算単価の対象とはならない。
 したがって、上記の生徒数900人を除外して加算単価を算定すると本件加算単価が減少し、生徒等1人当たりの国庫補助単価も減少するので、適正な国庫補助金は4,481,560,000円となり、1,433,000円が過大に交付されていた。

(16) 岡山県 15 1,081,915 6,695

 岡山県は、平成15年度の教員の能力開発及び資質向上の促進分、少人数教育等の推進分等に係る加算単価の対象を高等学校(全日制・定時制課程)9校、中学校3校、小学校2校、計14校の生徒等数9,308人と算定し、この人数等に基づき、補助金1,081,915,000円の交付を受けていた。
 しかし、上記のうち、教員の能力開発及び資質向上の促進分、少人数教育等の推進分等に係る高等学校3校、中学校2校、小学校2校、計7校の生徒等数3,592人については、同県が特別な助成をしていないため加算単価の対象とはならない。
 したがって、上記の生徒等数3,592人を除外して加算単価を算定すると本件加算単価が減少し、生徒等1人当たりの国庫補助単価も減少するので、適正な国庫補助金は1,075,220,000円となり、6,695,000円が過大に交付されていた。

(17) 愛媛県 14 855,591 3,873

 愛媛県は、平成14年度のレンタル又はリース方式による教育用コンピュータ等整備の推進分に係る加算単価の対象を高等学校(全日制・定時制課程)4校の生徒数6,296人と算定し、この人数等に基づき、補助金855,591,000円の交付を受けていた。
 しかし、上記高等学校のうち1校の生徒数1,006人については、レンタル又はリース方式による教育用コンピュータ等の整備が行われていないため加算単価の対象とはならない。
 したがって、上記の生徒数1,006人を除外して加算単価を算定すると本件加算単価が減少し、生徒等1人当たりの国庫補助単価も減少するので、適正な国庫補助金は851,718,000円となり、3,873,000円が過大に交付されていた。

(14)-(17)の計   10,084,894 172,650