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労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの


(39)労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(徴収勘定) (款)保険収入
      (項)保険料収入
部局等の名称 北海道労働局ほか19労働局
保険料納付義務者 徴収不足があった事業主数 319事業主
徴収過大があった事業主数 167事業主
徴収不足額 徴収不足額
 227,365,305円
(平成14年度〜17年度)
  徴収過大額
67,832,218円
(平成14年度〜17年度)

1 保険料の概要

(労働保険)

 労働保険は、労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険を総称するものである。このうち、〔1〕労災保険は、労働者の業務上の事由又は通勤による負傷、疾病等に対する療養補償給付等を行う保険であり、原則として、事業所に使用されるすべての労働者が対象となる。また、〔2〕雇用保険は、労働者の失業等に対する失業等給付、雇用安定事業等を行う保険であり、常時雇用される一般労働者のほか、事業所で雇用されるいわゆるパートタイム労働者等のうち1週間の所定労働時間が20時間以上で引き続き1年以上雇用されることが見込まれるなどの要件を満たす労働者などが被保険者となる。

(保険料の徴収)

 保険料は、〔1〕労災保険分については事業主が負担し、〔2〕雇用保険分については、失業等給付に充てる部分を労働者と事業主とが折半して負担し、雇用安定事業等に充てる部分を事業主が負担して、〔1〕と〔2〕のいずれも事業主が納付することとなっている。
 保険料の納付は、原則として次のとおり行われることとなっている。
ア 毎年度の初めに、事業主は、都道府県労働局に対し、その年度の労働者に支払う賃金総額の見込額に保険料率(注) を乗じて算定した概算保険料を申告し、納付する。
イ 次の年度の初めに、事業主は、都道府県労働局に対し、前年度に実際に支払った賃金総額に基づいて計算した確定保険料申告書を提出する。
ウ 都道府県労働局は、この申告書の記載内容を審査し、その結果に基づき保険料の過不足分が精算される。
 この労働保険の保険料の平成16年度の収納済額は3兆6052億余円に上っている。

(注) 保険料率 労災保険率と雇用保険率に分かれており、それぞれ次のとおりである。
   〔1〕  労災保険率は、労災保険の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率等を考慮して定められており、事業の種類ごとに平成16年度の場合は最低1000分の5から最高1000分の129となっている。
   〔2〕  雇用保険率は、失業等給付、雇用安定事業等に要する費用を考慮して定められており、16年度の場合は1000分の17.5(ただし、農林、水産等の事業は1000分の19.5、建設の事業は1000分の20.5)となっている。

2 検査の結果

(検査の対象)

 近年、事業所で雇用されるいわゆるパートタイム労働者等が増加していることから、北海道労働局ほか19労働局管内の事業主のうち、これらの労働者を雇用している割合の高い事業主等724事業主を選定して、14年度から17年度までの間における保険料の徴収の適否を検査した。

(徴収過不足の事態)

 検査したところ、上記の724事業主のうち、319事業主について徴収額が227,365,305円不足しており、167事業主について徴収額が67,832,218円過大となっていた。
 このような事態が生じていたのは、事業主が確定保険料申告書を提出するに当たり、制度を十分理解していなかったり、計算誤りをしたりなどしていて、賃金総額の記載が次のように事実と相違しているなどしていたのに、前記の20労働局において、これに対する調査確認が十分でなかったことによると認められる。
ア 雇用保険分の保険料の算定において、同保険の加入要件を満たすパートタイム労働者等を保険加入させていなかったため、その賃金が算入漏れとなっていた。
イ 労災保険分の保険料の算定において、出向労働者に支払われた賃金は出向先の賃金総額に含めて保険料を算定すべきところ、出向先においてその賃金が算入漏れとなっていた。
 なお、これらの徴収不足額及び徴収過大額については、本院の指摘により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。
 これらの徴収不足額及び徴収過大額を都道府県労働局ごとに示すと次のとおりである。

労働局名 本院が調査した事業主数 徴収不足があった事業主数
徴収過大があった事業主数
徴収不足額
徴収過大額(△)
      千円
北海道労働局 62 18
14
5,031
△2,758
岩手労働局 19 13
4
7,712
△1,529
秋田労働局 20 2
2
875
△216
福島労働局 37 18
8
5,484
△955
茨城労働局 27 18
7
24,141
△2,218
埼玉労働局 42 24
5
25,731
△2,242
千葉労働局 52

22
8

18,834
△3,249
東京労働局 125 81
32
82,907
△21,859
神奈川労働局 38 15
9
8,517
△3,386
富山労働局 27 10
7
2,910
△1,058
福井労働局 24 6
3
695 
△3,026
長野労働局 27 13
7
8,160
△2,130
静岡労働局 21 5
8
1,924
△2,390
愛知労働局 26 12
10
4,818
△3,853
滋賀労働局 29 11
11
3,816
△3,033
大阪労働局 44 16
11
14,696
△7,751
岡山労働局 17 7
2
932
△540
広島労働局 17 3
3
2,803
△85
徳島労働局 32 7
8
3,016
△2,619
福岡労働局 38 18
8
4,351
△2,925
計20労働局 724 319
167
227,365
△67,832