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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 補助金(45)—(201)

医療施設等施設整備費補助金等の経理において、仕入税額控除した消費税額に係る補助金を返還していないもの


(54)—(57)医療施設等施設整備費補助金等の経理において、仕入税額控除した消費税額に係る補助金を返還していないもの

会計名及び科目 一般会計 (組織) 厚生労働本省
    (項)保健衛生施設整備費
    (項)保健衛生諸費
部局等の名称 北海道ほか3県
補助の根拠 予算補助
補助事業者 北海道ほか3県
間接補助事業者
(事業主体)
厚生農業協同組合連合会2、財団法人1、医療法人1、計4事業主体
補助事業 医療施設等施設整備事業、医療施設等設備整備事業
補助事業の概要 医療従事者の養成力の充実、患者の療養環境及び医療従事者の職場環境の改善等を図るため、医療施設等の施設や設備の整備を行うもの
国庫補助基本額 5,533,279,880円 (平成12年度〜15年度)
上記に対する国庫補助金交付額 2,096,945,000円  
国庫補助基本額のうち仕入税額控除した消費税の額 20,211,957円 (平成12年度〜15年度)
不当と認める国庫補助金交付額 8,130,111円 (平成12年度〜15年度)

1 補助金の概要

(医療施設等施設整備費補助金等)

 医療施設等施設整備費補助金及び医療施設等設備整備費補助金は、医療従事者の養成力の充実、患者の療養環境及び医療従事者の職場環境の改善等を図ることを目的として、市町村、公益法人、医療法人等が事業主体となって施設や設備を整備する事業に対して、都道府県が補助する場合などに、その費用の一部を国が補助するものである。
 これらの補助金の交付額は、医療施設等施設整備費補助金交付要綱(昭和54年厚生省発医第137号)及び医療施設等設備整備費補助金交付要綱(昭和54年厚生省発医第117号)(以下、これらを「交付要綱」という。)により、次のように算定することとなっている。
(1)工事費(又は工事請負費)、備品購入費等を対象経費として、所定の基準額、対象経費の実支出額及び総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額などのうち最も少ない額を国庫補助基本額とする。
(2)(1)により選定した国庫補助基本額に、補助事業の区分ごとに補助率を乗じて得た額等を交付額とする。

(補助事業における消費税の取扱い)

 消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生じるが、生産、流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」といい、控除する額を「消費税仕入控除税額」という。)する仕組みが採られている。
 そして、補助事業の事業主体が補助対象の施設や設備を取得することも課税仕入れに該当し、上記の仕組みにより確定申告の際に課税仕入れに係る消費税額を仕入税額控除した場合には、事業主体は補助事業で取得した施設等に係る消費税額を実質的に負担していないことになる。
 また、事業主体が財団法人等の公益法人、厚生農業協同組合連合会等である場合は、消費税の確定申告において、補助金収入など売上以外の収入(以下「特定収入」という。)の額を売上高と特定収入の合計額で除した割合(以下「特定収入割合」という。)が100分の5以下の場合、特定収入により賄われる消費税額は、課税仕入れに係る消費税額として仕入税額控除できることとなっている。そして、この場合、上記と同様に事業主体は特定収入により賄われる消費税額を実質的に負担していないことになる。
 このため、これら補助事業の事業主体は、交付要綱により、補助事業完了後に、消費税の申告により課税売上高に対する消費税額から補助事業に係る消費税額を課税仕入れに係るものとして控除し、補助金に係る消費税仕入控除税額(国庫補助金相当額)が確定したときには、その金額を速やかに厚生労働省に報告するとともに、当該金額を返還することとなっている。

2 検査の結果

 北海道ほか9都府県の12事業主体について検査した結果、北海道ほか3県の4事業主体において、平成12年度から15年度までの各年度の消費税の確定申告に当たり、医療法人である1事業主体は、国庫補助基本額に含まれる消費税額4,757,511円を課税仕入れに係るものとして控除していた。また、公益法人等である3事業主体は、各年度の特定収入割合がいずれも100分の5以下であったことから、上記と同様に国庫補助基本額に含まれる消費税額計15,454,446円を課税仕入れに係るものとして控除していた。
 しかし、これらの4事業主体では、上記の消費税仕入控除税額計20,211,957円のうち本件補助金に係る額計8,130,111円(医療施設等施設整備費補助金分計6,866,489円、医療施設等設備整備費補助金分1,263,622円)を厚生労働省に報告して返還する措置を執っておらず、不当と認められる。
 上記の事態について一例を示すと次のとおりである。

<事例>

 愛知県愛知郡長久手町に所在する愛知県厚生農業協同組合連合会(以下「愛知県厚生連」という。)では、愛知県厚生連尾西病院及び安城更生病院の医療施設近代化施設整備事業について、平成12、13両年度に、消費税を含めて国庫補助基本額を計3,205,692,828円と算定して、各年度の補助事業の完了後に実績報告書を提出し、国庫補助金計1,068,563,000円の交付を受けていた。
 そして、愛知県厚生連では14年5月及び15年5月の消費税の確定申告において、特定収入割合がいずれも100分の5以下であったため、国庫補助基本額に含まれる消費税額10,888,492円を課税仕入れに係る消費税額として課税売上高に対する消費税額から控除していた。
 しかし、愛知県厚生連では、上記の消費税仕入控除税額10,888,492円のうち本件補助金に係る額3,629,491円を厚生労働省に報告して返還する措置を執っていなかった。

 このような事態が生じていたのは、事業主体において、補助事業における消費税の取扱いに対する認識が十分でなかったこと、道県において事業主体に対する指導や確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを、道県別・事業主体別に示すと次のとおりである。

道県名
事業主体
(所在地)
補助事業
年度
国庫補助基本額
(うち消費税の額)
左に対する国庫補助金 消費税仕入控除税額 不当と認める国庫補助金相当額
     
千円
千円
千円
千円
(54)
北海道 北海道厚生農業協同組合連合会(札幌市) 看護師等養成所施設整備
15
691,124
(3,302)
345,562
3,302
1,651
(55)
茨城県 財団法人筑波メディカルセンター(つくば市) 電子カルテ・レセプト電算処理システム導入
15
206,000
(1,263)
206,000
1,263
1,263
(56)
愛知県 愛知県厚生農業協同組合連合会(愛知郡長久手町) 医療施設近代化施設整備
12、13
3,205,692
(10,888)
1,068,563
10,888
3,629
(57)
鳥取県 医療法人同愛会(米子市) 医療施設近代化施設整備
13、14
1,430,462
(4,757)
476,820
4,757
1,585
(54)—(57) の計
   
5,533,279
(20,211)
2,096,945
20,211
8,130