所管、会計名及び科目 | 厚生労働省所管 一般会計 (組織) | 厚生労働本省 |
(項)社会福祉施設整備費 | ||
財務省所管 産業投資特別会計(社会資本整備勘定) | ||
(項)改革推進公共投資社会福祉施設整備資金貸付金 |
部局等の名称 | 北海道ほか5県 |
補助の根拠 | 老人福祉法(昭和38年法律第133号) |
補助事業者 | 道、県4、市1、計6補助事業者 |
間接補助事業者 (事業主体) |
8社会福祉法人 |
補助事業 | 社会福祉施設等施設整備事業 |
補助事業の概要 | 特別養護老人ホーム等の施設の整備を行うもの |
上記に対する国庫補助金交付額の合計(社会福祉施設整備資金貸付金を含む。) | 3,121,973,000円 | (平成13、14両年度) |
不当と認める国庫補助金交付額(社会福祉施設整備資金貸付金を含む。) | 36,672,000円 | (平成13、14両年度) |
1 補助金等の概要
社会福祉施設等施設整備費補助金及び社会福祉施設等施設整備資金貸付金(注)
(以下、これらを「補助金」という。)は、施設入所者等の福祉の向上を図るため、社会福祉法人等が行う特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)等の施設整備事業に対し、都道府県、政令指定都市及び中核市(以下「県等」という。)が補助する場合にその費用の一部について国が補助又は貸付け(以下、これらを「交付」という。)をするものである。
そして、その交付額は、施設ごとの本体工事費、暖房設備工事費、冷暖房設備工事費、浄化槽設備工事費、スプリンクラー設備工事費、介護用リフト等特殊附帯工事費等の経費の種目ごとに、所定の基準額と補助対象となる経費の実支出額(以下「実支出額」という。)とを比較して少ない方の額を選定し、これらを合算するなどして得た額に県等が補助する場合の補助率4分の3を乗じ、これを基に算定した補助対象事業費に国庫補助率3分の2を乗じて得た額の範囲内となっている。
上記の基準額は、1m2
当たりの基準単価と実支出額をその整備面積で除して得た実施単価とを比較して少ない方の単価に、所定の基準面積と実整備面積とを比較して少ない方の面積を乗じて算出するなどして得た額となっている。
2 検査の結果
北海道ほか21都府県及び11市が補助した86社会福祉法人等について検査した結果、北海道ほか4県及び1市の8社会福祉法人が実施した特別養護老人ホーム等の施設整備の8事業に係る補助対象事業費が過大に算定されていて補助金計36,672,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において補助制度の内容についての理解が十分でなかったこと、道県市において事業主体から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
これを道県市別に示すと次のとおりである。
道県市名
|
事業主体
(所在地) |
補助事業
|
年度
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補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要
|
|
千円
|
千円
|
千円
|
千円
|
||||||
(79) | 北海道 | 社会福祉法人彩咲会 (登別市) |
ケアハウス等施設整備 | 14
|
384,518
|
256,345
|
8,606
|
5,737
|
補助金の過大交付 |
(80) | 岩手県 | 社会福祉法人土淵朗親会 (盛岡市) |
ケアハウス等施設整備 | 13
|
501,489
|
334,326
|
2,841
|
1,895
|
補助金の過大交付 |
上記の2社会福祉法人では、当該施設のうちケアハウスの施設整備に係る実支出額を算出する際、暖房設備工事費として計上すべきパネルヒーター等の経費計65,686,960円を基準単価の高い冷暖房設備工事費に計上していたなどのため、補助対象事業費が計11,447,647円過大に算定されていた。
したがって、暖房設備工事費、冷暖房設備工事費等に係る適正な実支出額に基づいて補助金を算定すると計583,039,000円となり、計7,632,000円が過大に交付されていた。
(81) | 岩手県 | 社会福祉法人希望会 (盛岡市) |
特別養護老人ホーム等施設整備 | 13
|
434,932
|
289,954
|
1,754
|
1,170
|
補助金の過大交付 |
上記の社会福祉法人では、当該施設のうち特別養護老人ホームの施設整備に係る実支出額を算出する際、本件補助事業の対象経費とはならない特殊浴槽の経費2,853,504円を介護用リフト等特殊附帯工事費に計上していたため、補助対象事業費が1,754,253円過大に算定されていた。
したがって、介護用リフト等特殊附帯工事費に係る適正な実支出額に基づいて補助金を算定すると288,784,000円となり、1,170,000円が過大に交付されていた。
(82) | 同 | 社会福祉法人とおの松寿会 (遠野市) |
特別養護老人ホーム等施設整備 | 13
|
844,433
|
571,287
|
28,073
|
18,715
|
補助金の過大交付 |
上記の社会福祉法人では、当該施設の施設整備に係る実支出額を算出する際、施設本体とは別の地域交流スペースに計上すべき電気設備等の経費22,030,450円及び本件補助事業の対象経費とはならない特殊浴槽等の経費10,653,933円を本体工事費、冷暖房設備工事費等に計上していたり、ヘルパーステーションを実際には整備していなかったりなどしていたため、補助対象事業費が28,073,851円過大に算定されていた。
したがって、本体工事費、冷暖房設備工事費等に係る適正な実支出額に基づいて補助金を算定すると552,572,000円となり、18,715,000円が過大に交付されていた。
(83) | 山形県 | 社会福祉法人悠愛会 (東村山郡山辺町) |
特別養護老人ホーム等施設整備 | 13、14
|
657,547
|
438,364
|
2,637
|
1,758
|
補助金の過大交付 |
上記の社会福祉法人では、当該施設のうち特別養護老人ホームの施設整備に係る実支出額を算出する際、冷房設備工事費として計上すべき冷房専用の空調機等の経費4,306,133円を冷暖房設備工事費に含めて実施単価を算出していたため、補助対象事業費が2,637,000円過大に算定されていた。
したがって、冷房設備工事費及び冷暖房設備工事費に係る適正な実支出額に基づいて補助金を算定すると436,606,000円となり、1,758,000円が過大に交付されていた。
(84) | 茨城県 | 社会福祉法人健誠会 (つくば市) |
特別養護老人ホーム等施設整備 | 13
|
440,541
|
302,027
|
3,575
|
2,383
|
補助金の過大交付 |
上記の社会福祉法人では、当該施設のうち特別養護老人ホームの施設整備に係る実支出額を算出する際、冷暖房設備と同一箇所に整備されていないことから、本体工事費として計上すべき換気設備及び排煙設備の経費5,674,627円を冷暖房設備工事費に計上していたため、補助対象事業費が3,575,000円過大に算定されていた。
したがって、冷暖房設備工事費に係る適正な実支出額に基づいて補助金を算定すると299,644,000円となり、2,383,000円が過大に交付されていた。
(85) | 群馬県 | 社会福祉法人おおぎだ (伊勢崎市) |
特別養護老人ホーム等施設整備 | 13、14
|
610,973
|
407,313
|
2,930
|
1,954
|
補助金の過大交付及び補助の対象外 |
上記の社会福祉法人では、当該施設整備に係る実支出額を算出する際、本体工事費として計上すべき生ごみ処理槽等の経費5,895,411円を浄化槽設備工事費に計上していたり、本件事業の対象とはならない構外の市道排水設備の経費2,459,946円を本体工事費に計上していたりしたため、補助対象事業費が2,930,000円過大に算定されていた。
したがって、本体工事費及び浄化槽設備工事費に係る適正な実支出額に基づいて補助金を算定すると405,359,000円となり、1,954,000円が過大に交付されていた。
(86) | 名古屋市 | 社会福祉法人紫水会 (名古屋市) |
特別養護老人ホーム等施設整備 | 13、14
|
783,538
|
522,357
|
4,589
|
3,060
|
補助金の過大交付 |
上記の社会福祉法人では、当該施設のうち特別養護老人ホームのスプリンクラー設備工事費に係る基準額を算出する際、実施単価が基準単価を下回ったことから、実施単価を適用すべきであったのに、基準単価を適用したため、補助対象事業費が4,589,000円過大に算定されていた。
したがって、スプリンクラー設備工事費に係る適正な基準額に基づいて補助金を算定すると519,297,000円となり、3,060,000円が過大に交付されていた。
(79)—(86) の計 | 4,657,973
|
3,121,973
|
55,006
|
36,672
|