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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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  • 不当事項|
  • 補助金(45)—(201)

精神保健対策費補助金の経理において、補助対象事業費の精算が過大となっているもの


(141)精神保健対策費補助金の経理において、補助対象事業費の精算が過大となっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)精神保健費
部局等の名称 広島県
補助の根拠 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)
補助事業者 広島市
間接補助事業者
(事業主体)
医療法人比治山病院
補助事業 精神障害者社会復帰施設運営事業
補助事業の概要 精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、精神障害者社会復帰施設を運営するもの
上記に対する国庫補助金交付額 33,047,000円 (平成14、15両年度)
不当と認める国庫補助金交付額 3,553,000円 (平成14、15両年度)

1 補助金の概要

 精神保健対策費補助金(精神障害者社会復帰施設運営事業分)は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)等に基づき、市町村、社会福祉法人等が行う精神障害者生活訓練施設等の精神障害者社会復帰施設の運営事業に対し、都道府県又は政令指定都市(以下「県等」という。)が補助する場合などに、その費用の一部を国が補助するものである。
 そして、その交付額は、所定の月額単価を用いるなどして算出される基準額、補助対象経費の実支出額(以下「実支出額」という。)及び総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額(以下「差引額」という。)とを比較して最も少ない額を選定し、これと県等が補助した額とを比較して少ない方の額を補助対象事業費とし、これに補助率2分の1を乗じて得た額とすることとなっている。
 広島市に所在する医療法人比治山病院では、平成14、15両年度に実施した精神障害者生活訓練施設の運営事業について、基準額、実支出額及び差引額を比較して、両年度とも差引額が最も少ない額であるとして、広島市から補助金を受け、同市に実績報告書を提出していた。そして、同市では、補助対象事業費を差引額と同額の14年度31,908,000円、15年度34,186,000円とし、国庫補助金14年度15,954,000円、15年度17,093,000円、計33,047,000円の交付を受けていた。

2 検査の結果

 検査したところ、同法人では、上記差引額の算定に当たり、寄附金その他の収入額に、入所者から徴収していた居室利用料等の収入を計上していなかったなどのため、両年度における差引額が過大となっていた。
 したがって、適正な差引額を基に補助対象事業費を算定すると、14年度27,058,269円、15年度31,930,743円となり、補助対象事業費が過大に精算されていた。そして、適正な補助対象事業費に基づき国庫補助金を算定すると、14年度13,529,000円、15年度15,965,000円となり、交付額との差額、14年度2,425,000円、15年度1,128,000円、計3,553,000円が過大となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同法人において補助制度の内容についての理解が十分でなかったこと、同市において同法人から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。