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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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介護保険事務費交付金が過大に交付されているもの


(143)介護保険事務費交付金が過大に交付されているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)介護保険推進費
部局等の名称 厚生労働本省(交付決定庁)
  奈良県(支出庁)
交付の根拠 介護保険法(平成9年法律第123号)
交付先 奈良県五條市
介護保険事務費交付金の概要 介護保険制度の円滑な運営を図るため、市町村等が行う要介護認定等に係る事務処理に要する費用の一部を交付するもの
上記に対する交付金交付額 25,445,450円 (平成14、15両年度)
不当と認める交付金交付額 2,453,344円 (平成14、15両年度)

1 交付金の概要

 介護保険事務費交付金(以下「交付金」という。)は、介護保険法(平成9年法律第123号)に基づき、介護保険制度の円滑な運営を図ることを目的に、市町村等が、被保険者について行う要介護認定等に係る事務処理(以下「要介護認定等事務処理」という。)に要する費用の一部を、国が交付するものである。この交付金の交付額は、要介護認定等申請者1人当たりの事務処理に要する費用の額として定められている額に要介護認定等申請者数を乗じて得た額に2分の1を乗じて得た基準額と、要介護認定等事務処理に要する費用の額から寄付金その他の収入額を控除した額(以下「差引額」という。)に2分の1を乗じて得た額とを比較して少ない方の額となっている。
 そして、上記の要介護認定等事務処理に要する費用には、市町村が一般財源により措置すべきものである正規職員に係る人件費は計上できないこととされており、また、市町村が要介護認定等事務処理の一部を広域連合において行うため、広域連合を構成する市町村から派遣されている正規職員の人件費について、負担金等の費目で負担している場合も、同様に計上できないこととされている。
 五條市では、平成14、15両年度の交付金の額の算定に当たり、基準額と差引額に2分の1を乗じて得た額とを比較して、両年度とも基準額が少ないことから、基準額と同額の交付金14年度12,489,050円、15年度12,956,400円、計25,445,450円の交付を受けていた。

2 検査の結果

 検査したところ、同市では、要介護認定等事務処理に要する費用の中に、被保険者の要介護状態等の審査判定を行う南和広域連合に対する負担金14年度9,170,000円、15年度6,190,000円を計上していた。
 この負担金は、同広域連合が審査判定を行うために要した事務局職員3名の人件費等の費用について同広域連合を構成する14市町村が負担することとされているもので、このうちの同市負担分である。
 しかし、この事務局職員3名は上記14市町村のうちの1市2町から派遣されている各市町の正規職員であることから、上記の負担金のうち人件費に係る分14年度3,378,000円、15年度3,366,000円は要介護認定等事務処理に要する費用には計上できないものである。
 したがって、上記の負担金のうちの人件費に係る分を除いた要介護認定等事務処理に要する費用の額に基づき交付金の交付額を算定すると、両年度とも、差引額に2分の1を乗じて得た額14年度11,696,718円、15年度11,295,388円が適正な交付額となり、交付金交付額との差額14年度792,332円、15年度1,661,012円、計2,453,344円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同市において交付金の算定の対象について理解が十分でなかったこと、奈良県において同市から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。