会計名及び科目 | (1) | 一般会計 (組織) | 経済産業本省 |
(項)産業技術振興費 | |||
(項)中小企業新技術振興費 | |||
(2) | 一般会計 (組織) | 中小企業庁 | |
(項)中小企業対策費 |
部局等の名称 | (1) | 北海道、九州両経済産業局 |
(2) | 北海道、東北、関東、近畿、中国各経済産業局 | |
補助の根拠 | 予算補助 | |
補助事業者 | (1) | 2会社(事業主体) |
(2) | 2会社(事業主体)及び北海道ほか5都県 | |
間接補助事業者 (事業主体) |
(2) | 7会社 |
補助事業 | (1) | 地域新規産業創造技術開発等 |
(2) | 中小企業経営革新支援等 | |
補助事業の概要 | (1) | 企業等がリスクの高い実用化技術開発等を行うもの |
(2) | 中小企業者等が経営革新のための事業等を行うもの |
事業費の合計 | (1) | 59,824,021円 | (平成14、15両年度) |
(2) | 145,907,438円 | (平成13年度〜15年度) | |
計 | 205,731,459円 | ||
補助対象事業費の合計 | (1) | 55,466,055円 | (平成14、15両年度) |
(2) | 140,448,848円 | (平成13年度〜15年度) | |
計 | 195,914,903円 | ||
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | (1) | 36,976,669円 | |
(2) | 52,699,840円 | ||
計 | 89,676,509円 | ||
不当と認める補助対象事業費 | (1) | 30,889,953円 | (平成14、15両年度) |
(2) | 110,023,141円 | (平成13年度〜15年度) | |
計 | 140,913,094円 | ||
不当と認める国庫補助金交付額 | (1) | 20,592,861円 | (平成14、15両年度) |
(2) | 39,781,650円 | (平成13年度〜15年度) | |
計 | 60,374,511円 |
1 補助金の概要
経済産業省では、企業等に対して地域新規産業創造技術開発費補助金を、中小企業者等に対して地域創造技術研究開発事業費補助金をそれぞれ交付している。また、中小企業庁では、中小企業者等に対して、中小企業経営革新等対策費補助金、中小企業経営資源強化対策費補助金、中小企業経営革新支援対策費補助金、地域産業集積中小企業等活性化補助金を交付している。
これらの補助金の交付の目的、補助の対象、補助の対象となる事業費及び補助率は次表のとおりである。
補助金名 | 補助事業 | 交付の目的 | 補助の対象 | 補助の対象となる事業費 | 補助率 |
<経済産業省> | |||||
地域新規産業創造技術開発費補助金 | 地域新規産業創造技術開発 | 地域において新産業・新事業を創出し、地域経済の活性化を図ること | 企業等が行うリスクの高い実用化技術開発に要する経費の一部を国が直接補助するもの | 機械装置等の購入費等 | 当該経費の3分の2以内など |
地域創造技術研究開発事業費補助金 | 地域創造技術研究開発 | 中小企業の技術開発の促進を図り、新産業の創出を促し、もって地域経済の再生を図ること | 中小企業者等が大学等との連携により行う新製品、新技術等の研究開発に要する経費の一部を国が直接補助するもの | 研究開発に直接関与する研究者の人件費等 | 当該経費の3分の2以内 |
<中小企業庁> | |||||
中小企業経営革新等対策費補助金 | 創造技術研究開発 | 中小企業の技術開発を促進し、中小企業の技術改善を図り、もって中小企業製品の高付加価値化、中小企業の新分野進出等の円滑化等に資すること | 中小企業者等が行う新製品、新技術等の研究開発に要する経費の一部を国が直接補助するもの | 研究開発に直接関与する研究者の人件費等 | 当該経費の2分の1以内など |
IT活用型経営革新モデル | 中小企業の経営革新の促進に資すること | 中小企業者等が地域でのビジネスモデルとなりうるITを活用した経営革新を行うために有効なシステムの構築に向けての開発・導入事業等に要する経費の一部を国が直接補助するもの | ソフトウェア開発委託費等 | 当該経費の2分の1以内 | |
中小企業経営資源強化対策費補助金 | 中小企業経営革新支援 | 中小企業の創意ある向上発展を図り、もって国民経済の健全な発展に資すること | 中小企業者等が行う経営革新のための事業に要する経費の一部を国が都道府県を通じて補助するもの | 旅費、原材料、機械装置等の購入費、外注費、委託費等 | 当該経費の3分の1以内で、かつ都道府県が事業主体へ補助する額の2分の1以内 |
中小企業経営革新支援対策費補助金 | |||||
地域産業集積中小企業等活性化補助金 | 地域産業集積中小企業活性化 | 地域の中小企業の基盤的技術の高度化等を図り、地域産業集積の活性化及び地域中小企業の振興と経営の安定化に寄与すること | 中小企業者等が行う新商品、新技術等の研究開発等に要する経費の一部を国が都道府県を通じて補助するものなど | 機械装置等の購入費等 | 当該経費の3分の1以内で、かつ都道府県が事業主体へ補助する額の2分の1以内など |
そして、事業主体は、事業完了後に、実績報告書を経済産業局若しくは内閣府沖縄総合事務局又は都道府県に提出し、経済産業局若しくは内閣府沖縄総合事務局又は都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を確認することとなっている。
2 検査の結果
北海道経済産業局ほか7経済産業局及び内閣府沖縄総合事務局並びに北海道ほか23都府県の356件の補助事業について検査を実施した。その結果、北海道経済産業局ほか3経済産業局及び北海道ほか1都4県の11件の補助事業(補助対象事業費計195,914,903円)において、事業主体が、支払の実績がない委託費等を補助対象事業費に含めていたり、補助事業により取得した機械装置等を無断で売却したり、補助対象の機械装置等を実際には購入していなかったりなどしていた。このため、補助対象事業費140,913,094円が過大になっていて、これに係る国庫補助金相当額60,374,511円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体が事実と相違した内容の実績報告を行っていたこと、経済産業局又は都道県の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
これを経済産業局又は都道県別・事業主体別に示すと次のとおりである。
経済産業局又は都道県名 | 事業主体 (所在地) |
補助事業 | 年度 | 事業費 (補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(214) | 北海道経済産業局 | 株式会社金印わさびオホーツク (網走市) |
地域新規産業創造技術開発 | 15 | 48,967 (46,499) |
30,999 | 29,224 | 19,482 | 無断処分 |
この補助事業は、馬鈴薯栽培における土壌病害を抑制する西洋わさび含有コンポスト(堆肥)の研究開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置等の購入費等に要したとする事業費48,967,516円(補助対象事業費46,499,550円)に対して、国庫補助金30,999,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、本件事業で取得した機械装置等(購入金額29,224,000円)を、平成16年3月に、経済産業局に無断で、購入金額と同額で売却していた。
したがって、無断処分された同機械装置等に係る国庫補助金相当額19,482,226円が不当と認められる。
(215) | 九州経済産業局 | 株式会社ジムコ (佐賀市) |
地域創造技術研究開発 | 14 | 10,856 (8,966) |
5,977 | 1,665 | 1,110 | 精算過大 |
この補助事業は、大量の画像情報を効率的に保存するための高圧縮・解凍技術の開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、研究者の人件費等に要したとする事業費10,856,505円(補助対象事業費8,966,505円)に対して、国庫補助金5,977,669円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、実際には支払っていない手当に係る人件費1,665,953円を上記の補助対象事業費に含めるなどしていた。
したがって、適正な補助対象事業費は7,300,552円となり、前記の補助対象事業費8,966,505円との差額1,665,953円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金1,110,635円が過大に交付されていた。
(216) | 近畿経済産業局 | 株式会社カルディオ (大阪市) |
創造技術研究開発 | 15 | 26,660 (26,032) |
12,981 | 9,925 | 4,961 | 精算過大 |
この補助事業は、ナノ構造を有する生分解性ポリマーを利用した新しい心筋再生医療技術の開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、研究者の人件費等に要したとする事業費26,660,741円(補助対象事業費26,032,519円)に対して、国庫補助金12,981,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、実際には研究者が本件補助事業に従事していない時間に係る人件費9,925,348円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は16,107,171円となり、前記の補助対象事業費26,032,519円との差額9,925,348円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金4,961,650円が過大に交付されていた。
(217) | 中国経済産業局 | 株式会社ゆだ (山口市) |
IT活用型経営革新モデル | 15 | 21,092 (20,124) |
10,062 | 19,362 | 9,681 | 精算過大 |
この補助事業は、ITを活用した情報システム構築による部品サプライ受託業務の効率化を行うためのプログラム開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、プログラム開発の委託費等に要したとする事業費21,092,968円(補助対象事業費20,124,868円)に対して、国庫補助金10,062,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、返金を受けていたため実際には支払の実績がないプログラム開発の委託費19,362,000円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は762,868円となり、前記の補助対象事業費20,124,868円との差額19,362,000円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金9,681,000円が過大に交付されていた。
(218) | 北海道 | 株式会社岡高組 (札幌市) |
中小企業経営革新支援 | 15 | 9,380 (8,933) |
2,425 | 8,933 | 2,425 | 事業不実施 |
この補助事業は、高活性の透明光触媒塗料の開発などを行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、原材料等の購入費等に要したとする事業費9,380,541円(補助対象事業費8,933,853円)に対して、国庫補助金2,425,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、本件事業を全く実施していなかった。
したがって、本件国庫補助金2,425,000円は交付の要がなかった。
(219) | 岩手県 | 株式会社及精鋳造所 (水沢市) |
中小企業経営革新支援 | 14 | 7,500 (7,500) |
2,406 | 7,500 | 2,406 | 精算過大 |
この補助事業は、建設現場での重機との接触事故等を防止する位置検知システムの開発等を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、試作機の製作等に要したとする事業費7,500,917円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金2,406,000円の交付を受けていた。
しかし、上記の補助対象事業費はすべて第三者が負担していたため、事業主体は同事業費を全く支払っていなかった。
したがって、本件国庫補助金2,406,000円は交付の要がなかった。
(220) | 東京都 | フォーラム株式会社 (中央区) |
中小企業経営革新支援 | 13 | 15,083 (12,700) |
4,233 | 12,700 | 4,233 | 精算過大 |
この補助事業は、インターネット上で情報を発信している端末機の所在をサーバーで検索し、配信することができる共同防犯防災緊急システムの研究開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、プログラム設計等の外注費に要したとする事業費15,083,250円(補助対象事業費12,700,000円)に対して、国庫補助金4,233,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、プログラム設計等の成果品を無償で取得するなどしていたため、外注費を全く支払っていなかった。
したがって、本件国庫補助金4,233,000円は交付の要がなかった。
(221) | 東京都 | 株式会社クマクラ (大田区) |
地域産業集積中小企業活性化 | 14 | 24,972 (24,972) |
7,344 | 24,493 | 7,185 | 精算過大 |
この補助事業は、小径穴あけ、小径ピン等の微細加工が可能な卓上型多目的マイクロ加工機及び制御システムの開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置等の購入費、外注加工費等に要したとする事業費24,972,669円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金7,344,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、機械装置の購入費を水増しするなどした額24,493,939円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は478,730円となり、前記の補助対象事業費24,972,669円との差額24,493,939円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金7,185,000円が過大に交付されていた。
(222) | 神奈川県 | 株式会社アグルー・ジャパン (厚木市) |
中小企業経営革新支援 | 14 | 20,687 (19,750) |
6,437 | 14,252 | 4,605 | 精算過大及び無断処分 |
この補助事業は、半導体の製造工程で発生する研磨剤(スラリー)の廃液を再利用可能な状態にするスラリーリサイクル・モニタリング装置の開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、原材料及び機械装置の購入費等に要したとする事業費20,687,500円(補助対象事業費19,750,000円)に対して、国庫補助金6,437,500円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、上記補助対象事業費のうち、原材料の購入費等7,700,000円については、既存の装置を使用して開発を行っていたなどのため、実際には購入等していなかった。また、本件事業で取得した機械装置(購入金額8,500,000円)を、平成15年11月に県に無断で売却していた(処分時点での残存価額6,552,084円)。
したがって、適正な補助対象事業費は5,497,916円となり、前記の補助対象事業費19,750,000円との差額14,252,084円に係る国庫補助金相当額4,605,000円が不当と認められる。
(223) | 福井県 | 株式会社文京精練 (坂井郡春江町) |
中小企業経営革新支援 | 15 | 8,434 (8,434) |
2,811 | 8,355 | 2,785 | 精算過大 |
この補助事業は、セラミックを利用した人と環境にやさしい染色加工商品の開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置等の購入費等に要したとする事業費8,434,022円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金2,811,340円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、上記の補助対象事業費のうち、機械装置等の購入費8,355,000円については、既存の貯蔵タンク等を使用していたため、実際には購入していなかった。
したがって、適正な補助対象事業費は79,022円となり、前記の補助対象事業費8,434,022円との差額8,355,000円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金2,785,000円が過大に交付されていた。
(224) | 岡山県 | カーディオメディックス株式会社 (岡山市) |
中小企業経営革新支援 | 14 | 12,094 (12,000) |
4,000 | 4,500 | 1,500 | 精算過大 |
この補助事業は、心疾患の患者に負担の少ない治療を可能にする経左心室心筋内遺伝子・細胞注入装置及び専用カテーテルの開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、旅費及び外注費に要したとする事業費12,094,830円(補助対象事業費12,000,000円)に対して、国庫補助金4,000,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、返金を受けていたため実際には支払の実績がない専用カテーテルの製作に係る外注費4,500,000円を上記の補助対象事業費に含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は7,500,000円となり、前記の補助対象事業費12,000,000円との差額4,500,000円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金1,500,000円が過大に交付されていた。
(214)—(224) の計 | 205,731 (195,914) |
89,676 | 140,913 | 60,374 |