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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 経済産業省|
  • 不当事項|
  • 補助金(213)—(229)

電源立地促進対策事業の実施に当たり、施工が設計と著しく相違していたため、無停電電源装置の地震時の機能の維持が確保されていない状態になっているもの


(227)電源立地促進対策事業の実施に当たり、施工が設計と著しく相違していたため、無停電電源装置の地震時の機能の維持が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目 電源開発促進対策特別会計
  (電源立地勘定)(項)電源立地対策費
部局等の名称 関東経済産業局
交付の根拠 発電用施設周辺地域整備法(昭和49年法律第78号)
補助事業者 茨城県
間接補助事業者
(事業主体)
茨城県常陸太田市
交付対象事業 消防緊急通信指令施設設置工事
事業の概要 消防、救急等の指令業務を迅速かつ的確に行うため、平成15年度に消防緊急通信指令施設を設置するもの
事業費 120,015,000円  
  (うち交付対象事業費117,944,422円)
上記に対する交付金交付額 106,150,250円  
不当と認める事業費 2,163,399円 (全額交付対象額)
不当と認める交付金交付額 1,947,064円  

1 事業の概要

 この事業は、茨城県常陸太田市が、電源立地促進対策交付金の交付を受け、消防、救急等の指令業務を迅速かつ的確に行うため、平成15年度に消防緊急通信指令施設設置工事を事業費120,015,000円(うち交付対象事業費117,944,422円、これに対する交付金106,150,250円)で実施したものである。
 上記の工事は、消防庁舎の新築に当たり、同庁舎内に設置される常陸太田市消防本部(以下「消防本部」という。)等に、消防、救急等の指令業務を行う指令装置、各種ディスプレイ、無停電電源装置(以下「UPS」という。)等の装置を設置するものである。
 上記の装置のうち、UPS(重さ115kg、定格出力5kVA)2台は、商用電源の停電時などに自家発電設備から電気が供給されるまでの間などに、消防緊急通信指令施設に電気を供給するために設置されたものである。
 同市では、消防本部が火災等の災害発生時に消防、救急等の活動の中心となる施設であり、地震発生時にもその機能を確保する必要があることから、同市が作成した設計図書である工事の仕様書において、電源設備の据付けは、UPSを床面に固定するなどの耐震工事の方法により実施することとしていた。

2 検査の結果

 検査したところ、UPSの設置に係る施工が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、UPSの設置について、施工業者は、UPSの下面に取り付けられている4個のキャスターに、それぞれ車止めとしてキャスターホルダーを設置したのみで、仕様書で指示する耐震工事を行っていなかった。
このため、本件UPSは、地震時に移動・転倒するおそれが強いものとなっていた。そして、地震時の移動・転倒により、UPSが破損を起こしたり、接続しているケーブルが断線したりした場合には、UPSとケーブルにより接続している各種装置(価額計約1億0300万円)が自家発電設備等からの電気の供給を受けられないこととなるため、消防本部が地震発生時に所要の機能を十分発揮できないこととなる。
 このような事態が生じていたのは、同市において、UPSの設置に係る施工が設計と著しく相違していたのに、これに対する同市の監督及び検査が適切でなかったこと、同市に対する茨城県の指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、本件UPS(工事費相当額2,163,399円)は、その施工が設計と著しく相違していたため、地震時の機能の維持が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額1,947,064円が不当と認められる。