会計名及び科目 | 石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計 |
(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定) | |
(項)エネルギー需給構造高度化対策費 | |
部局等の名称 | 経済産業本省 |
補助の根拠 | 予算補助 |
補助事業者 (事業主体) |
(1) | 帝人ファイバー株式会社 |
(2) | 小松精練株式会社 | |
補助事業 | (1) | エネルギー使用合理化技術開発 |
(高機能ファイバー創成ナノ加工技術開発) | ||
(光干渉繊維の用途技術開発) | ||
(2) | エネルギー使用合理化技術開発 | |
(電気分解と膜処理による染色排水の脱色と再利用技術開発) |
事業費 | (1) | 165,207,475円 |
(2) | 45,370,726円 | |
計 | 210,578,201円 | |
補助対象事業費 | (1) | 165,187,483円 |
(2) | 45,370,726円 | |
計 | 210,558,209円 | |
上記に対する国庫補助金交付額 | (1) | 88,113,059円 |
(2) | 44,221,000円 | |
計 | 132,334,059円 | |
不当と認める事業費 | (1) | 7,048,198円 |
(2) | 1,899,253円 | |
計 | 8,947,451円 | |
不当と認める国庫補助金交付額 | (1) | 3,560,523円 |
(2) | 1,899,253円 | |
計 | 5,459,776円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、帝人ファイバー株式会社及び小松精練株式会社が、エネルギーの使用合理化に資するため、平成15年度に、繊維に環境負荷低減につながる高度な機能性を付与する技術等の開発を実施したものである。
帝人ファイバー株式会社では、本件補助事業のうち〔1〕高機能ファイバー創成ナノ加工技術開発事業を消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)を含め、事業費128,260,424円(補助対象事業費同額、これに対する国庫補助金51,186,000円)、〔2〕光干渉繊維の用途技術開発事業を消費税を含め、事業費36,947,051円(うち補助対象事業費36,927,059円、これに対する国庫補助金同額)、事業費計165,207,475円(うち補助対象事業費計165,187,483円、これに対する国庫補助金計88,113,059円)で実施している。
また、小松精練株式会社では、本件補助事業のうち電気分解と膜処理による染色排水の脱色と再利用技術開発事業を消費税を含め、事業費45,370,726円(補助対象事業費同額、これに対する国庫補助金44,221,000円)で実施している。
そして、帝人ファイバー株式会社では16年3月に、また、小松精練株式会社では16年6月に、それぞれ経済産業省に実績報告書を提出するなどし、これに基づき国庫補助対象事業費の精算を受けていた。
消費税は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生じるが、生産、流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」といい、控除する額を「消費税仕入控除税額」という。)する仕組みが採られている。
そして、補助事業の事業主体が補助対象の設備を取得することなども課税仕入れに該当し、上記の仕組みにより確定申告の際に課税仕入れに係る消費税額を仕入税額控除した場合には、事業主体は補助事業で取得した設備等に係る消費税を、実質的に負担していないことになる。
このため、補助事業の事業主体は、エネルギー使用合理化技術開発費補助金(高機能ファイバー創成ナノ加工技術開発)交付要綱(平成15・03・26財製第2号)等により、実績報告書の提出後に、消費税の申告により課税売上高に対する消費税額から補助事業に係る消費税額を課税仕入れに係るものとして控除し、補助金に係る消費税仕入控除税額が確定したときには、その金額を速やかに報告するとともに、当該金額を返還しなければならないなどとなっている。
2 検査の結果
検査したところ、帝人ファイバー株式会社では、16年5月に消費税の確定申告を行い、前記〔1〕及び〔2〕の補助事業に係る消費税額計7,048,198円全額を課税仕入れに係る消費税額として控除していた。また、小松精練株式会社では、同様に16年5月に消費税の確定申告を行い、前記の補助事業に係る消費税額1,899,253円を課税仕入れに係る消費税額として控除していた。
しかし、帝人ファイバー株式会社では、上記の消費税仕入控除税額7,048,198円のうち本件補助金に係る額計3,560,523円を、また、小松精練株式会社では、上記の消費税仕入控除税額1,899,253円と同額の本件補助金に係る額1,899,253円を、それぞれ報告、返還しておらず、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、両会社において、補助事業における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、経済産業省において、本件補助事業の消費税の取扱いについての指導が十分でなかったことなどによると認められる。