会計名及び科目 | 一般会計 (組織) | 国土交通本省 |
(項)住宅建設等事業費 | ||
(項)都市環境整備事業費 | ||
(項)北海道住宅建設等事業費 |
部局等の名称 | 国土交通本省 |
北海道ほか16都府県 |
補助の根拠 | (1) | 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和50年法律第67号)、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号)、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成5年法律第52号)、公営住宅法(昭和26年法律第193号) |
(2) | 予算補助 |
補助事業者 | 都道府県6、市21、特別区4、町1、地方住宅供給公社2、民間事業者等20、計54補助事業者(うち事業主体 地方住宅供給公社2、民間事業者等20、計22) |
間接補助事業者 (事業主体) |
地方住宅供給公社2、民間事業者等83、計85事業主体 |
(85事業主体と上記22事業主体の合計から重複する事業主体20を除いた事業主体数87事業主体) | |
補助事業 | 住宅市街地総合整備事業(平成15年度以前は住宅市街地整備総合支援事業及び密集住宅市街地整備促進事業)、21世紀都市居住緊急促進事業ほか5補助事業 |
補助事業の概要 | 良好な市街地住宅の供給、市街地の環境の整備改善等を目的として、住宅等を整備する事業主体に対し、地方公共団体が補助する場合、その費用の一部を国が補助などするもの |
補助対象事業費 | 2193億1247万余円(平成15、16両年度) |
(補助対象事業数 852事業) |
上記に対する国庫補助金交付額 | 281億2720万余円 | |
補助対象事業費のうち仕入税額控除していた補助対象施設の取得に係る消費税の額 | 16億7734万余円 | (平成15、16両年度) |
(補助対象事業数 126事業) |
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上記に対する国庫補助金相当額 | 2億4076万円 |
1 補助事業の概要
国土交通省では、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和50年法律第67号)等に基づき、良好な市街地住宅の供給、市街地の環境の整備改善、高齢者向けの賃貸住宅の供給の拡大等に資することなどを目的として、補助事業を実施している地方公共団体及び民間事業者等に対して、国庫補助金を交付している。
住宅市街地総合整備事業(平成15年度以前は住宅市街地整備総合支援事業及び密集住宅市街地整備促進事業)ほか4補助事業(注1)
については、各補助事業の補助要領等に基づき、事業を実施する者(以下「事業主体」という。)が各事業の施行に伴い必要となる共同施設の整備、調査設計計画の作成、土地の整備等に要する費用について、地方公共団体が地方住宅供給公社及び民間事業者等の事業主体に対し補助する場合、又は地方公共団体が自ら事業主体の場合、その費用の一部を国が地方公共団体に対し交付するものである。
また、21世紀都市居住緊急促進事業及び先導型再開発緊急促進事業については、両補助事業の補助金交付要綱に基づき、事業主体が上記5補助事業の実施に併せ、環境負荷の低減、福祉空間形成等について基準に適合する建物等の整備や、環境・資源問題の深刻化等に対処する住宅の供給を行う場合、その費用の一部を国が直接当該事業主体に対し交付するものである。
消費税法(昭和63年法律第108号)によれば、消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)の課税事業者は、課税期間における課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」という。)した額を消費税として納付することとなっている。そして、この仕入税額控除できる課税仕入れに係る消費税額は、課税期間における課税売上高を総売上高で除した課税売上割合が100分の95以上のときは課税仕入れに係る消費税額の全額、100分の95未満のときは課税売上高に対応する部分の金額などとなっている。
事業主体は、補助の対象となった建物等(以下「補助対象施設」という。)を取得する場合、建築業者等に対し消費税額を含む請負代金等を支払っている。そして、事業主体が消費税の課税事業者であり、当該補助対象施設により得られる売上げが課税売上げとなるなどの場合においては、補助対象施設の取得に係る消費税額は仕入税額控除の対象となり、消費税の確定申告の際に、課税売上割合に応じて補助対象施設の取得に係る消費税額は仕入税額控除できることとなる。この場合、事業主体は、補助対象施設の取得に係る消費税額を実質的に負担していないことになる。
2 検査の結果
住宅市街地総合整備事業ほか6補助事業の実施に当たり、毎年度交付される国庫補助金が多額に上ること、近年、民間活力を活用した市街地整備や高齢者に配慮した良質な賃貸住宅の供給等を推進しており、そのため、民間事業者等の事業主体の中に消費税の課税事業者が多数含まれていると見込まれることなどから、補助事業における消費税の取扱いが適切に行われているかに着眼して検査した。
北海道ほか27都府県(注2) 管内の603事業主体が、表1のとおり、15、16両年度に実施した住宅市街地総合整備事業ほか6補助事業(補助対象事業数852事業、補助対象事業費計2193億1247万余円、これに対する国庫補助金計281億2720万余円)を対象として検査した。
表1 | (単位:千円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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検査したところ、北海道ほか16都府県(注3)
管内の87事業主体が実施した住宅市街地総合整備事業ほか6補助事業(補助対象事業数126事業、消費税を含む補助対象事業費計373億9002万余円、これに対する国庫補助金計55億3352万余円)において、次のような事態が見受けられた。
上記の事業主体は、消費税の課税事業者であり、補助対象施設により得られる売上げが課税売上げとなることなどから、表2のとおり、消費税の確定申告により課税売上高に対する消費税額から、補助対象事業費計373億9002万余円に含まれている補助対象施設の取得に係る消費税額計16億7734万余円を仕入税額控除していた。しかし、現行の各補助事業の補助要領等には、事業主体が消費税の確定申告を行い、補助対象施設の取得に係る消費税額のうち仕入税額控除できる額が確定した場合、その額に係る国庫補助金を返還することなどの規定が定められていなかった。このため、仕入税額控除した消費税額に係る国庫補助金相当額計2億4076万余円が事業主体に対し交付されたままとなっていた。
上記のとおり、事業主体において補助対象事業費のうち仕入税額控除していた補助対象施設の取得に係る消費税額を実質的に負担していないのに、これに係る国庫補助金が交付されたままとなっている事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
表2 | (単位:千円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このような事態が生じていたのは、国土交通省において、事業主体が消費税の課税事業者である場合、補助対象施設の取得に係る消費税額について、消費税の確定申告の際に仕入税額控除できる場合があるということについての認識が十分でなく、補助事業における消費税の取扱いを明確にしていなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、国土交通省では、17年9月に、都道府県等に通知を発し、事業主体が課税事業者であり、補助金の額の確定後に消費税の確定申告により補助対象施設の取得に係る消費税額のうち仕入税額控除できる額が確定した場合、その額に係る国庫補助金について返還することなどとし、補助事業における消費税の取扱いを適切に行うための処置を講じた。
(注2) | 北海道ほか27都府県 東京都、北海道、京都、大阪両府、青森、岩手、山形、福島、茨城、群馬、埼玉、神奈川、石川、山梨、長野、岐阜、愛知、滋賀、兵庫、和歌山、鳥取、岡山、香川、高知、福岡、佐賀、長崎、宮崎各県 |
(注3) | 北海道ほか16都府県 東京都、北海道、京都、大阪両府、岩手、福島、群馬、埼玉、神奈川、石川、長野、岐阜、愛知、滋賀、兵庫、岡山、福岡各県 |