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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 阪神高速道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

貸与した建物施設等に係る光熱水費を利用等の実態に応じて適切に負担させることにより、光熱水費支払額の節減を図るよう改善させたもの


貸与した建物施設等に係る光熱水費を利用等の実態に応じて適切に負担させることにより、光熱水費支払額の節減を図るよう改善させたもの

科目 (項)業務管理費
部局等の名称 大阪、湾岸及び神戸各管理部
建物施設等の貸与の概要 自動車専用道路等の管理業務を受託している業者等に公団所有の建物施設等を貸与するもの
貸与の実績 事務室等の使用貸借契約等 69件(平成16年度)
節減できた光熱水費 2820万円(平成15、16両年度)

1 建物施設等の貸与の概要

(貸与の概要)

 阪神高速道路公団(平成17年10月1日以降は、阪神高速道路株式会社及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構。以下「公団」という。)大阪、湾岸及び神戸各管理部では、自動車専用道路の維持、修繕その他の管理業務を行っている。
 そして、各管理部では、公団所有の建物施設等に所在する事務室等を公団から管理業務を受託している業者等(以下「受託業者等」という。)に無償で貸与しており、この貸与に当たっては、公団の定めた阪神高速道路公団不動産管理規程(昭和42年規程第3号)に基づき使用貸借契約を締結したり、管理業務に係る契約に基づき使用許可を与えたり(以下、このような使用貸借契約及び使用許可を併せて「使用貸借契約等」という。)していて、16年度における使用貸借契約等は69件(うち15年度から継続しているもの58件)となっている。

(光熱水費の負担)

 公団では、特に内部規程を定めていないが、建物施設等の一部を事務室等として貸与した場合には、当該事務室等の使用者である受託業者等に事務室等の使用に伴う光熱水費を負担させている。そして、受託業者等の負担額については、貸与した事務室等に個別メーターが設置されている場合にはその検針値を基に算出し、個別メーターが設置されていない場合には、公団及び受託業者等がそれぞれ専用する事務室等の面積(以下「専用面積」という。)、使用者の人数等を基に全体の使用量をあん分するなどして算出している。
 また、電力料金等の光熱水費は電力会社等から建物施設等の所有者である公団に請求されるため、公団では、光熱水費の支払に当たり受託業者等からその負担すべき金額を預り金として仮受けし、公団の負担すべき金額と併せて電力会社等に支払っている。

(受託業者等に負担させた光熱水費)

 公団では、前記の使用貸借契約等に基づき、受託業者等に15年度6492万余円、16年度6816万余円の光熱水費を負担させている。

2 検査の結果

(検査の着眼点及び対象)

 公団では、15年3月にコスト削減計画を策定し、業務の合理化・効率化による管理費用の低減を図ってきているが、17年10月の民営化を契機としてその一層の推進が求められている。
 そこで、前記69件の使用貸借契約等に係る15、16両年度の光熱水費について、受託業者等の負担額は適切に算定されているかなどに着眼して検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、大阪、湾岸及び神戸各管理部における使用貸借契約等に係る受託業者等の光熱水費負担額の算定において、次のように公団の専用面積が過大に算定されている事態が見受けられた。
ア 公団では、各管理部の建物施設等の使用に伴う光熱水費について、自動車専用道路の運営施設の使用に伴うもの(以下「道路使用分」という。)は維持修繕費で、事務室等の庁舎の維持管理のための使用に伴うもの(以下「庁舎使用分」という。)は業務管理費でそれぞれ区分して支出している。
 しかし、28件の使用貸借契約等に係る光熱水費負担額の算定に当たり、誤って庁舎使用分の対象となる公団の専用面積に道路使用分として別途支出の対象となっている通信機器室等の面積を含めて計算していた。
イ 33件(上記の28件を含む。)の使用貸借契約等に係る光熱水費負担額の算定に当たり、実際には公団と受託業者等とが共用している屋内駐車場等の面積を、公団の専用面積として計算していた。
 したがって、上記ア及びイの事態については、受託業者等に貸与した建物施設等に係る光熱水費負担額の算定において公団の専用面積が過大なものとなっていたので、公団の専用面積とする必要のない施設等の面積を除いた適切な専用面積により受託業者等の光熱水費負担額を算定すべきであると認められた。

(節減できた光熱水費)

 上記により、受託業者等が更に負担すべきであった光熱水費の額を計算すると、15年度約1470万円、16年度約1340万円、計約2820万円となり、公団は相応の光熱水費支払額を節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められた。
ア 公団本社において、受託業者等に建物施設等を貸与する場合の光熱水費の負担方法を内部規程として定めていなかったこと
イ 前記の3管理部において、関係各課の連絡調整が十分でなく、貸与した建物施設等に係る受託業者等の光熱水費負担額の算定の際、施設の用途や利用実態等が十分に反映されていなかったこと

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、公団では、17年9月に各管理部等に対して事務連絡を発し、受託業者等の負担額を適切なものとすることにより公団の光熱水費支払額の節減を図るよう次のような処置を講じた。
ア 面積によりあん分して光熱水費負担額を算定する場合に、公団の専用面積には道路使用分の光熱水費の対象となっている通信機器室等の面積を含めないこととした。
イ 屋内駐車場等の受託業者等と共用している部分に係る光熱水費については、その利用実態に応じて適切にあん分することとした。