科目 | 郵便業務区分 営業原価 |
部局等の名称 | 日本郵政公社 近畿支社 |
購入契約の概要 | 一般小包郵便物(ゆうパック)の取扱いに際して、利用者の利便を図るため、管内の郵便局で販売する包装用品を購入するもの |
契約の相手方 | 3会社 |
契約 | 平成16年4月 一般競争契約(単価契約) |
包装用品の購入数量の合計 | 513,270個 |
購入金額 | 44,197,351円 |
過大となっている購入数量の合計 | 405,740個 |
過大となっている購入金額 | 33,735,571円 |
1 購入契約の概要
日本郵政公社近畿支社では、一般小包郵便物(以下「ゆうパック」という。)の取扱いに際して利用客の利便を図るため、ゆうパックを利用して差し出す品物を包装するためのダンボール箱、紙袋等のゆうパック包装用品を管内の郵便局において販売している。
このゆうパック包装用品については、平成16年10月から、ゆうパックの利用拡大を目指した「ゆうパックリニューアル」が実施され、料金体系がそれまでの重量制からサイズ制に変更されたことなどに伴い、箱や袋のサイズ及びデザインの仕様が変更されている。そして、それまで販売されていた旧仕様のゆうパック包装用品(以下「旧仕様品」という。)は同年9月末で販売を中止し、10月以降は、新仕様のゆうパック包装用品(以下「新仕様品」という。)のみを販売することとする措置が執られている。
従来、ゆうパック包装用品の調達は各支社で行うこととなっていたため、上記の仕様変更に当たり、日本郵政公社本社(以下「本社」という。)では、同年3月に、あらかじめ各支社に対して指示文書を発している。この指示文書によれば、〔1〕各支社における旧仕様品の調達は9月末までの必要数を調達すること、〔2〕9月末における旧仕様品の在庫ができる限りなくなるよう管内の需給調整を行うこととされている。
近畿支社では、16年4月に一般競争契約により、物品販売会社3会社とゆうパック包装用品に係る物品売買契約(単価契約)を締結し、同年5月から8月までの間に、旧仕様品の箱4品目及び袋2品目について計513,270個を購入金額計44,197,351円で調達している。
各郵便局が保有している販売品や事務用物品(以下「物品」という。)の在庫管理については、郵便局と本社、各支社及び物品の保管・配送を行う全国4箇所の物流センターをオンラインで結ぶロジスティクス・システムが構築されている。
このシステムは、各郵便局の物品の在庫量をリアルタイムで把握するとともに、在庫量が所定の基準数量を下回った場合に、一定期間分の必要量が物流センターから各郵便局に自動的に払い出されるものである。そして、本社、各支社では、随時、これらの払出し及び在庫状況を勘案して必要量を調達している。
2 検査の結果
検査の結果、次のとおり、近畿支社における旧仕様品の調達に当たり、購入数量が過大になっていた。
すなわち、近畿支社では、16年度における旧仕様品の調達に当たり、次表のとおり、年度当初に管内の郵便局等に大量の在庫を保有していたにもかかわらず、16年5月から8月までの間に、箱4品目(大、中、小及び特大)278,270個(購入金額計18,944,851円)及び袋2品目(大、小)235,000個(同25,252,500円)、計513,270個(同44,197,351円)を購入していたため、同年10月のゆうパックリニューアル時に大量の旧仕様品の在庫を抱える事態が生じていた。そして、その後、それらの在庫品は販売することなく、そのまま廃棄処分されていた。
15年度 | 在庫月数 | 16年度における旧仕様品の調達数量 | 廃棄処分数量 | |||||||||
在庫量 (期末) |
販売数量 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 計 | ||||
箱 | 大 | 112,931 | 170,911 | 7.9 | 35,300 | 20,000 | 55,300 | 85,231 | ||||
中 | 115,465 | 203,573 | 6.8 | 67,360 | 30,000 | 97,360 | 117,179 | |||||
小 | 132,668 | 228,305 | 6.9 | 48,080 | 30,000 | 78,080 | 111,874 | |||||
特大 | 33,250 | 93,662 | 4.2 | 10,000 | 27,530 | 10,000 | 47,530 | 26,269 | ||||
計 | 394,314 | 696,451 | — | — | 10,000 | 178,270 | 90,000 | — | — | 278,270 | 340,553 | |
袋 | 大 | 135,876 | 223,734 | 7.2 | 10,000 | 10,000 | 15,000 | 20,000 | 55,000 | 92,087 | ||
小 | 246,623 | 613,252 | 4.8 | 70,000 | 20,000 | 50,000 | 40,000 | 180,000 | 168,121 | |||
計 | 382,499 | 836,986 | — | — | 80,000 | 30,000 | 65,000 | 60,000 | — | 235,000 | 260,208 | |
合計 | 776,813 | 1,533,437 | — | — | 90,000 | 208,270 | 155,000 | 60,000 | — | 513,270 | 600,761 |
注(1) | 15年度在庫量は、管内の郵便局及び物流センターにおける在庫量である。 |
注(2) | 在庫月数=期末在庫量/(販売数量/12箇月) |
近畿支社では、従来、これらの旧仕様品の調達に当たり、ロジスティクス・システム上の払出数量を基にして購入数量を決定していたが、16年度においては、ゆうパックリニューアルを控えていることを考慮して、6月に同システムでの旧仕様品の自動払出しを中止し、その後は、管内の各郵便局から不足分について臨時請求を行わせることとし、それらの臨時請求分を取りまとめて、支社全体の必要量として購入していた。
しかし、ゆうパック包装用品の旧仕様品の在庫状況は、ロジスティクス・システムにより管内の各郵便局及び物流センターの在庫量を把握できるようになっており、これによれば、旧仕様品6品目の16年度当初(15年度期末)における各郵便局及び物流センターの在庫量は計776,813個となっていた。これに対し、15年度中の販売数量(棚ずれ品等の減耗分を含む。以下同じ。)の合計は約153万個であった。そこで、この販売実績により、各品目ごとの在庫月数を算出すると、旧仕様品のうち箱3品目(大、中、小)及び袋(大)の計4品目については、6.8箇月分から7.9箇月分といずれもゆうパックリニューアルまでの販売期間である6箇月を超える在庫を保有しており、また、箱(特大)及び袋(小)の計2品目についても4.2箇月分及び4.8箇月分と多くの在庫を保有していることとなっていた。
一方、近畿支社以外の多くの支社では、本社の通知を受け在庫量を確認するなどして、16年度における旧仕様品の調達を取りやめたり、購入数量を大幅に削減したりするなどの措置を執るとともに、在庫に不足が生じた場合などは各郵便局間で融通するなどの方策を執っていた。
したがって、近畿支社における16年度の旧仕様品の調達については、箱3品目(大、中、小)及び袋(大)の計4品目は、年度当初の在庫数量と過去の販売実績を考慮すれば、4月以降の購入数量計285,740個(購入金額23,466,571円)は、すべて購入する必要はなかったと認められる。また、箱(特大)については、各月末の在庫量と過去の販売実績を考慮すれば、7月分10,000個(購入金額1,260,000円)は購入する必要はなく、袋(小)についても、同様に6月から8月分の110,000個(同9,009,000円)は購入する必要はなかったと認められ、これらに係る購入金額、計33,735,571円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、近畿支社において、販売終了が予定されていた旧仕様品の調達に当たり、郵便局等の在庫量や過去の販売実績を考慮して、必要最小限の数量を購入するべきであったのに、各郵便局から臨時請求のあった数量をそのまま購入していたことなどによると認められる。