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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第5 日本郵政公社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

郵便局で使用するオートバイ等の郵便用車両について、集配業務の作業の実態に応じて適切に配備するとともに効率的に運用するよう改善させたもの


郵便局で使用するオートバイ等の郵便用車両について、集配業務の作業の実態に応じて適切に配備するとともに効率的に運用するよう改善させたもの

部局等の名称 日本郵政公社
郵便用車両の概要 郵便業務の一環として行っている郵便物の取り集めや配達の業務を実施するために、全国の集配郵便局に配備している軽自動四輪車、各種のオートバイ等
集配郵便局数 4,726局
上記の郵便局における配備台数 107,377台 (平成16年度末)
郵便用車両の購入台数 10,371台 (平成16年度)
郵便用車両の購入金額 37億8415万円 (平成16年度)
必要台数を上回って配備されている車両数 1,647台  
上記の車両に係る購入費、保守管理費等 4億0630万円 (平成16年度)

1 郵便用車両の概要

(郵便用車両)

 日本郵政公社(以下「公社」という。)では、郵便業務の一環として、郵便物の取り集めや配達の業務を全国の集配郵便局で行っており(以下、これらの業務を「集配業務」、郵便局を「集配局」という。)、平成16年度末における集配局数は4,726局となっている。
 そして、これらの集配業務を実施するために、公社では、軽自動四輪車、各種のオートバイ等の郵便用車両(以下「車両」という。)を購入し、上記の集配局に配備することとしている。16年度におけるこれら車両の購入台数及び金額は、10,371台、37億8415万余円となっており、同年度末の配備台数は計107,377台となっている。

(車両の配備基準)

 公社では、車両を配備するに当たっては、「郵便用車両配備の考え方」(平成10年郵集第29号)によることとしている。これによれば、〔1〕配備台数は業務量を考慮し、平常期において集配業務がピークとなる時間帯を基準として必要となる車両の最大使用人員数の範囲内とすること、〔2〕集配業務に使用する車両については自動二輪車、原動機付自転車を基本とし、郵便物の取扱量等を考慮して軽自動四輪車等も配備することとなっている。
 また、配備された車両の更改は、所定の経過年数や走行距離を基に車両状態を確認するなどして行うこととなっている。

(配備車両の購入と管理)

 公社では、集配局に配備する車両の購入に当たっては、集配業務の業務量や経過年数等を考慮して行うこととしている。そして、各支社では各集配局からの要望を基に、車種、台数等について調整した上で本社が購入し、その後、支社を通じて管内の集配局に配備することとしている。
 また、車両の管理に当たっては、本社から支社に対し、集配局における車両の使用状況を常時把握し、稼動率が低い車両については速やかに他の集配局への管理換え等を行うことなどを指示し、車両の適正配備及び有効活用が図られるよう努めることとしている。そして、集配局においては、配備されている車両ごとに運行日誌を備え付け、運転者が運行時間、作業内容、走行距離等を記録することとなっている。

2 検査の結果

(検査の着眼点及び対象)

 集配局では、大量の車両を保有しており、また、近年、集配作業に従事する勤務時間が短時間の非常勤職員数が増加するなど職員の構成や勤務体制に変化が生じている。このような状況を踏まえ、集配局に配備されている車両台数が集配作業の実態に適合したものとなっているか、車両は効率よく運用されているかなどに着眼して、北海道支社ほか12支社管内の89集配局を対象に検査を実施した。

(検査の結果)

 検査に当たっては、各集配局において、配備された車両のうち、主に配達に使用されている軽自動四輪車、自動二輪車、並びに原動機付自転車及び原動機付三輪車(以下、それぞれ「軽四」、「自動二輪」、「原付」という。)について、17年5月又は6月の平常期の1週間を対象に、車両の使用状況を調査し、その間で最も多くの職員(非常勤職員を含む。)が作業に従事した日の使用車両数を基に、各集配局における必要台数を算出した。
 その結果、調査を実施した89集配局のうち84局において配備台数が必要台数を上回るなど、配備台数と実際に必要とする台数との間に開差が生じており、それらを集計すると次表のとおりとなっていた。

表 集配局における車両の配備台数と必要台数の比較表
車種 配備台数(A) 必要台数(B) 開差
(A-B)

軽四
1,434
1,274
160
自動二輪 5,820 4,988 832
原付 3,046 2,391 655
合計 10,300 8,653 1,647
(注)
必要台数には、臨時の業務に待機するための車両、故障等に備えるための車両を含む。

 すなわち、89集配局の配備台数計10,300台に対し、必要台数は計8,653台となっており、1,647台が過大に配備されていた。
 そこで、各集配局における車両の使用実態を調査したところ、自動二輪や原付については、常勤職員や非常勤職員にそれぞれ車両を1台ずつ割り当て専用使用させるなどしているために、職員の出勤状況等により使用されていない車両が多数見受けられた。軽四については、業務量が減少するなどしていても緊急又は臨時の場合に備えるための車両として、引き続き保有しているものも見受けられた。また、配備されている車両の運行日誌により、その稼働日数を調査したところ、1台当たり1箇月間の平均稼働日数は19.2日で、なかには10日以下の車両が734台(調査した車両6,313台の11.6%)もあった。
 このように集配局における車両の配備が職員の勤務体制や作業実態を反映した効率的なものとなっていない一方で、更改等のために新たな車両を購入していたり、過大に配備されていた車両に係る保守管理費、租税公課、自動車損害賠償責任保険料等の負担が生じたりしている事態は適切とは認められず、改善を図る必要があると認められた。

(節減できた車両関係経費)

 16年度において、過大となっている車両1,647台分の新規購入を行わなかったとすれば、車両購入費を約3億1880万円、1年間の保守管理費等を約8740万円、計約4億0630万円を節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、各支社において、集配局における車両の稼働状況の把握が十分でなく、車両の配備に当たって、職員の勤務体制、作業の実態を考慮した必要台数の算定を行っていなかったことや、本社において、車両の効率的な運用についての具体的な基準を作成しておらず、各支社及び集配局に対する指導が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、公社では、17年10月に、各支社に対して指示文書を発し、車両の効率的な運用を図るための基準を作成し、各支社及び集配局への指示・指導を徹底するとともに、各支社において、各集配局における配備状況を把握して車両の管理体制を強化するなどして適切な配備と効率的な運用を図る処置を講じた。