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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • (第7 独立行政法人農業生物資源研究所)|
  • 不当事項|
  • 工事

埋設温水管改修工事の実施に当たり、監督が十分でなかったなどのため山留工が施工されていないもの


(285)埋設温水管改修工事の実施に当たり、監督が十分でなかったなどのため山留工が施工されていないもの

科目 構築物
部局等の名称 独立行政法人農業生物資源研究所
工事名 B地区埋設温水管改修工事(大わし地区)
工事の概要 埋設温水管の老朽化により、平成15事業年度に新たに温水管等を布設して改修する工事
工事費 103,635,000円
請負人 川本工業株式会社
契約 平成15年8月 一般競争契約
しゅん功検査 平成16年2月
支払 平成15年10月、16年3月 2回
支払金額 103,635,000円
不当と認める工事費 5,342,515円

1 工事の概要

 独立行政法人農業生物資源研究所(以下「生物研究所」という。)では、平成15事業年度に、国の施設整備費補助金により「B地区埋設温水管改修工事(大わし地区)」を工事費103,635,000円で実施している。
 この工事は、生物研究所の大わし地区(茨城県つくば市)内に所在する実験棟、温室等に熱エネルギー源を供給するため地中に埋設された温水管(以下「埋設温水管」という。)が老朽化したため、既存の埋設温水管を撤去するなどし、新たに、U型カルバート(延べ232.4m。以下「カルバート」という。)等を設置した上、カルバート等の内部に温水管を布設するものである。
 そして、生物研究所では、カルバート等の設置に際して、地盤をバックホウ等で掘削する根切り工事を行うことから、掘削面の崩壊を防止し工事の安全な施工を確保するため、深さ1.5m以上の根切り工事を行う箇所について山留工を729m 施工することとし、これに要する費用を含めて本件工事費を算定している。
 この山留工は、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)等に基づき、深さ1.5m以上の根切り工事を行う場合には、地盤が崩壊するおそれがないとき、及び周辺の状況により危害防止上支障がないときを除き、施工しなければならないこととされている。
 本件工事の施工場所は多数の研究施設が近接しており勾配を確保した掘削ができないこと、掘削面が崩壊するおそれがあることなどから、生物研究所では、特記仕様書及び現場説明書により、根切り深さが1.5m以上の部分については山留工の施工を請負人に義務付けている。

2 検査の結果

 検査したところ、山留工の施工が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、請負人が生物研究所に対して提出していた施工計画書には、山留工の施工場所、方法等について記載されておらず、実際にも、カルバート等の設置において、根切り工事の際に施工することとされていた山留工は729m のうち575m が施工されていなかった。
 このような事態が生じていたのは、生物研究所において、特記仕様書等に明示した山留工の施工についての監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、本件工事は、安全な施工を確保するために特記仕様書等において山留工の施工を義務付けているのに、山留工729m のうち575m が施工されておらず適切を欠いていて、これに係る工事費相当額5,342,515円が不当と認められる。