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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第16 独立行政法人都市再生機構|
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  • 工事

総合スポーツ公園の整備工事の施行に当たり、波付硬質樹脂管の布設工費の積算を誤ったため、契約額が割高になっているもの


(290)総合スポーツ公園の整備工事の施行に当たり、波付硬質樹脂管の布設工費の積算を誤ったため、契約額が割高になっているもの

科目 (都市再生勘定)(項)防災公園街区整備事業費
部局等の名称 独立行政法人都市再生機構東日本支社(契約部局)
(積算部局 都市基盤整備公団本社)
工事名 千葉市総合スポーツ公園市民球技場(仮称)周辺土木工事
工事の概要 総合スポーツ公園を整備するため、平成16、17両年度に、園路広場整備工、通信設備工等を施行するもの
契約額 803,408,550円  (当初契約額591,150,000円)
請負人 清水・伊藤特定建設工事共同企業体
契約 平成16年7月 公募型指名競争契約
支払 平成16年10月 (前払金177,345,000円)
割高になっている契約額 25,100,000円  

1 工事の概要

(工事の内容)

 この工事は、独立行政法人都市再生機構(平成16年6月30日以前は都市基盤整備公団)東日本支社が、防災公園街区整備事業の一環として、千葉市内の蘇我臨海地区において、広域防災拠点の機能を併せ持つ総合スポーツ公園の整備を図るため、16、17両年度に千葉市総合スポーツ公園市民球技場(仮称)周辺の園路広場整備工、通信設備工等を契約額803,408,550円で施行するものである。
 このうち通信設備工は、通信ケーブルを地中に埋設する際のケーブルの防護用として、内径50mmの波付硬質樹脂管(以下「50mm管」という。)を2条延べ延長244m、内径100mmの波付硬質樹脂管(以下「100mm管」という。)を5条延べ延長610mそれぞれ布設するなどのものである。

(波付硬質樹脂管の布設工費の積算)

 上記工事の工事費の積算は都市基盤整備公団本社(以下「積算部局」という。)が行っており、積算部局では、本件通信設備工の波付硬質樹脂管の布設工費については、次のように、管1m当たりの布設に要する労務費に材料費を加えて1m当たりの施工単価を算出し、これに延べ延長を乗じて積算していた。
〔1〕 1m当たりの労務費については、同公団制定の「造園工事積算要領」における給水用硬質塩化ビニール管を布設する場合の職種及び歩掛かりを適用するなどして、50mm管は配管工0.09人、100mm管は配管工2.0人とし、それぞれ1,548円、34,400円と算出していた。
〔2〕 上記の労務費に材料費を加えた1m当たりの施工単価については、50mm管は1,825円、100mm管は35,000円と算出し、これにそれぞれの延べ延長を乗じて、波付硬質樹脂管の布設工費を、50mm管445,300円、100mm管21,350,000円、計21,795,300円と積算していた。

2 検査の結果

 検査したところ、波付硬質樹脂管の布設工費の積算が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、本件のような通信ケーブルの防護用管を布設する場合の職種及び歩掛かりについては同公団制定の「電気設備工事積算要領」に規定されており、本件工事で使用する波付硬質樹脂管の布設工費の積算に当たっては、同要領に規定する波付硬質樹脂管布設工の職種及び歩掛かりを適用すべきであったのに、誤って、工事種別の異なる造園工事積算要領の職種及び歩掛かりを適用していた。
 また、造園工事積算要領には100mm管に対応した歩掛かりが規定されていなかったことから、100mm管の1m当たりの労務費の算出においては配管工の歩掛かりを2.0人と設定しこれを用いていた。しかし、この数値は全く根拠のないものであり、電気設備工事積算要領に規定された100mm管の歩掛かりに比べて大幅に過大なものとなっていた。
 そこで、1m当たりの労務費について、電気設備工事積算要領に規定された波付硬質樹脂管の布設工の職種及び歩掛かりを適用して算出すると、50mm管は電工0.035人、100mm管は電工0.06人であることから、50mm管では595円、100mm管では1,020円となる。そして、これに、当初積算で見込んでいなかった規格品を切断することにより発生する材料のロス等を加算した材料費を加えると、1m当たりの施工単価は、50mm管880円、100mm管1,647円となる。
 したがって、波付硬質樹脂管の布設工費は、上記1m当たりの施工単価にそれぞれの延べ延長を乗じて算定すると、50mm管が214,720円、100mm管が1,004,670円、計1,219,390円となり、20,575,910円が過大に積算されていた。
 このような事態が生じていたのは、積算部局において、積算の基準に対する理解が十分でなかったこと及び工事費の積算に対する審査が十分でなかったことによると認められる。
 上記により本件工事費を修正計算すると、諸経費等を含めた工事費総額は778,224,300円となり、本件契約額803,408,550円はこれに比べて約2510万円割高になっていると認められる。