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  • 平成16年度|
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  • 平成15年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

教員等個人あて寄附金の経理について


教員等個人あて寄附金の経理について

(平成15年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した改善の処置

(検査結果の概要)

 国立大学は、文部科学省に置かれる施設等機関として設置されていたが、平成16年4月1日、国立大学法人が設置する大学とされた。
 法人化前の国立大学において、教育・研究の奨励等を目的とする寄附金(以下「奨学寄附金」という。)を受けた場合は、これを国立学校特別会計の歳入に計上し、文部科学大臣は、当該奨学寄附金に相当する額を教育・研究に要する経費等に充てるため国立大学の長に交付してその経理を委任するものとされていた。
 そして、国立大学に所属する教員等が職務上行う教育・研究については国立大学にその遂行に関する事務上の管理責任があることなどから、文部科学省では、国立大学の教員等の職務上の教育・研究に対するもので寄附者の意向によって教員等個人に対して寄附された寄附金(以下「教員等個人あて寄附金」という。)についても、あらためて当該教員等から国に寄附させることとしていた。
 前記のとおり、国立大学が法人化され、これに伴って法人化前に定められていた奨学寄附金に係る規程等がすべて廃止されたことにより、教員等から教員等個人あて寄附金を国立大学法人にあらためて寄附させる根拠も失われることとなった。
 このため、国立大学法人においては、所属する教員等が教員等個人あて寄附金を受けた場合には、教員等が職務上行う教育・研究について当該国立大学法人にその遂行に関する事務上の管理責任があることなどから、あらためてこれを国立大学法人に寄附しなければならない旨を定める学内規程等を自ら整備する必要が生じることとなった。
 そこで、法人化前の北海道大学ほか8国立大学(注1) (以下「9国立大学」という。)における14、15両年度の教員等個人あて寄附金を含む奨学寄附金の受入状況は適切か、また、国立大学法人北海道大学ほか8国立大学法人(注2) (以下「9国立大学法人」という。)において、教員等個人あて寄附金を受け入れることができるよう学内規程等を整備しているかなどについて検査した。
 その結果、法人化前の9国立大学では、教員等個人あて寄附金のうち、あらためて大学に寄附する手続が執られていないものが相当数あった。また、9国立大学法人では、会計実地検査時において、新たに寄附金の取扱いを定めた学内規程等を整備するなどしていたものの、教員等が教員等個人あて寄附金を受けたときは、あらためてこれを所属する国立大学法人に寄附しなければならない旨を定めていなかった。
 このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められた。
(ア)法人化前の9国立大学において、前記の国立大学の法人化前に定められていた奨学寄附金に係る規程等により教員等個人あて寄附金についてはあらためて大学に寄附する必要があったのに、これについての教員等の認識が十分でなかったこと
(イ)9国立大学法人において、国立大学の法人化に当たり、教員等個人あて寄附金を適切に受け入れて経理するための学内規程等を整備してその周知徹底を図ることの必要性に対する認識が十分でなかったこと

(検査結果により要求した改善の処置)

 教員等個人あて寄附金について適切に把握しこれを受け入れて経理を行うよう、次のとおり、9国立大学法人の学長に対し16年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
(ア)教員等が教員等個人あて寄附金を受けたときは、これをあらためて国立大学法人に寄附しなければならない旨を明確にして学内規程等の整備を図ること
(イ)教員等個人あて寄附金の個人経理を防止するため、広く教員等向けの研修会や説明会を実施するなどして上記の学内規程等に基づく当該寄附金の取扱いについて一層の周知徹底を図ること
(ウ)寄附金開示情報や推薦等実績を活用するなどして、教員等個人あて寄附金の調査・把握に努めること
(エ)個人で経理している教員等個人あて寄附金について速やかに現状を把握して、未使用の寄附金がある場合にはこれを国立大学法人に受け入れて経理すること

2 当局が講じた改善の処置

 9国立大学法人では、本院指摘の趣旨に沿い、教員等個人あて寄附金について適切に把握しこれを受け入れて経理するため、次のような処置を講じた。
(ア)教員等が教員等個人あて寄附金を受けたときは、これをあらためて国立大学法人に寄附しなければならない旨を明確にした学内規程等の整備を図った(注3)
(イ)教員等個人あて寄附金の個人経理を防止するため、教員等向けの研修会や説明会を実施するなどして上記の学内規程等に基づく当該寄附金の取扱いについて一層の周知徹底を図った。
(ウ)寄附金開示情報や推薦等実績を活用するなどして、教員等個人あて寄附金の調査・把握に努めた。
(エ)個人で経理している教員等個人あて寄附金について現状を把握した。そして、未使用の寄附金があった国立大学法人北海道大学ほか8国立大学法人(注4) では、計63件、48,846,059円を受け入れて経理した。

(注1) 北海道大学ほか8国立大学 北海道、群馬、東京、東京工業、新潟、浜松医科、京都、大阪、熊本の各国立大学
(注2) 国立大学法人北海道大学ほか8国立大学法人 北海道大学、群馬大学、東京大学、東京工業大学、新潟大学、浜松医科大学、京都大学、大阪大学、熊本大学の各国立大学法人
(注3) 東京大学、京都大学、熊本大学の各国立大学法人が改善の処置を講じたことについては、平成15年度決算検査報告に掲記している。
(注4) 国立大学法人北海道大学ほか7国立大学法人 北海道大学、群馬大学、東京大学、東京工業大学、新潟大学、京都大学、大阪大学、熊本大学の各国立大学法人