部局等の名称 | 日本放送協会本部、大阪放送局ほか1放送局 |
不正行為期間 | 平成4年8月〜16年12月 |
損害金の種類 | 番組制作費 |
損害額 | 164,890,098円 |
日本放送協会(以下「協会」という。)本部、大阪放送局ほか1放送局において、関係職員の不正行為による損害が生じたものが4件、損害額で164,890,098円ある。このうち平成17年9月末現在で損害の補てんが終わっていないものが1件、損害額で143,349,101円(うち同月末現在補てんされた額20,517,061円)、損害額のすべてが補てん済みとなっているものが3件、損害額で21,540,997円となっている。
この4件を補てんが終わっていないものと補てん済みとなっているものとに分けて示すと、次のとおりである。
ア 平成17年9月末現在で損害の補てんが終わっていないもの
部局等の名称 | 不正行為期間 | 損害額 | |
年月 | 円 | ||
(293) | 本部 大阪放送局 |
8.9から 13.11まで |
143,349,101 |
本件は、上記の両部局において、放送番組の制作に当たるチーフ・プロデューサー磯野某が、番組制作費の請求決定に関する事務に従事中、複数の知人と共謀し自己の担当する番組において仕事をさせたように装うなどして、知人の銀行口座に振り込ませるなどした番組制作費を領得し、協会に計143,349,101円の損害を与えたものである。
なお、本件損害額については、平成17年9月末までに共謀者である知人等から20,517,061円が返納されている。
上記のほか、16年9月末現在で判明していた損害額として48,886,600円を、平成15年度決算検査報告に掲記したところである。この損害額については、17年9月末までに共謀者である知人から12,100,000円が返納されている。
イ 平成17年9月末現在で損害額のすべてが補てん済みとなっているもの
(294) | 本部 | 4.8から 13.11まで |
12,416,889 |
本件は、上記の部局において、音響デザイン担当の職員が、番組テーマ曲等の依頼先選定に関する事務に従事中、制作会社の社長である知人と共謀し自己が作曲した音楽を同会社に依頼して作曲させたように装うなどして、同会社の銀行口座に振り込ませるなどした番組制作費を領得し、協会に計12,416,889円の損害を与えたものである。
なお、本件損害額については、平成16年11月までに全額が同人及び共謀者である知人から返納されている。
(295) | 本部 | 16.3から 16.10まで |
5,578,888 |
本件は、上記の部局において、映像デザイン担当の職員が、映像デザイン制作の一部委託に関する事務に従事中、親族の者を委託業務に従事させたように装い、協会から委託会社を通じて、親族の者名義の銀行口座に振り込ませた番組制作費を領得し、協会に計5,578,888円の損害を与えたものである。
なお、本件損害額については、平成17年5月に全額が同人から同会社を通じて返納されている。
(296) | 福井放送局 | 12.6から 16.12まで |
3,545,220 |
本件は、上記の部局において、放送番組の映像取材に当たるチーフ・カメラマンが、番組制作費の支払請求に関する事務に従事中、請求決定者である副部長の印鑑を無断で使用し127回にわたり、取材協力者への謝礼を装い、支払請求票を作成し、支払決定を受けて購入したビール券を領得し、協会に計3,545,220円の損害を与えたものである。
なお、本件損害額については、平成17年7月に全額が同人から返納されている。
(293)—(296) の計 | 3件 | 21,540,997 |
ア、イの計 | 4件 | 164,890,098 |
なお、協会では、不正行為の再発防止を図ることを目的として、16年9月に「コンプライアンス(法令遵守)推進委員会」を設置し、内部監査に関する体制を強化するなどの処置を講じたところであるが、その後更に、次のような処置を講じるなどしている。
〔1〕 同年10月に、事前審査体制を強化するため「委嘱業務等審査委員会」を設置した。
〔2〕 同年11月に、業務実態を的確に把握した厳格な審査を行うため主な番組制作部局に経理審査担当管理職を配置した。
〔3〕 17年1月に、責任体制を強化するため委嘱料の請求決定権限を副部長から部長に変更するとともに成果物の確認を厳格化した。
本院においても、協会における再発防止策の実施状況等について引き続き注視していくこととする。