会社名 | (1) | 東日本電信電話株式会社 |
(2) | 西日本電信電話株式会社 | |
科目 | (1) | 営業費用 |
(2) | 営業費用 | |
部局等の名称 | (1) | 東日本電信電話株式会社東京支店ほか8支店 |
(2) | 西日本電信電話株式会社大阪支店ほか6支店 |
契約名 | ビル清掃委託契約 |
契約の概要 | 電気通信事業のために保有するビルの清掃作業を行わせるもの |
契約の相手方 | (1) | テルウェル東日本株式会社 |
(2) | テルウェル西日本株式会社 | |
契約 | (1) | 平成12年3月(基本契約) 随意契約 |
(2) | 平成12年3月(基本契約) 随意契約 |
ビルの清掃作業に係る委託費 | (1) | 31億5236万余円 | (平成16年4月〜11月) |
(2) | 30億8548万余円 | (平成16年4月〜11月) | |
節減できた委託費 | (1) | 1億1350万円 | (平成16年4月〜11月) |
(2) | 1億2300万円 | (平成16年4月〜11月) |
1 契約の概要
東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)では、電気通信事業の用に供するビルを多数保有している。これらのビルには、〔1〕社員等が常時勤務しているビル(以下「有人ビル」という。)と、〔2〕機械設備等は設置されているものの通常は社員等が勤務しておらず、必要に応じて有人ビルから社員等を派遣するなどしているビル(以下「無人ビル」という。)とがある。そして、これらのビルの清掃作業については、「ビル清掃委託基本契約(注1) 」等に基づき、NTT東日本では各支店等がテルウェル東日本株式会社に、また、NTT西日本では各支店等がテルウェル西日本株式会社に、それぞれ委託して実施している。
NTT東日本及びNTT西日本(以下「両会社」という。)の各支店等では、清掃作業を委託するに当たり、両会社の本社が制定した「ビル清掃委託費算定要領」等に基づき、次のとおり、ビルごとに月額の清掃費を算定することとしている。
〔1〕 有人ビル
〔2〕 無人ビル
上記のうち、移動費については、無人ビルの清掃作業に当たり、作業員が最寄りの有人ビル等(以下「拠点ビル」という。)から出向いて清掃を行う場合であって、その移動距離が1km以上の場合に、拠点ビルと無人ビルとの往復に要する交通実費と移動時間に応じた労務費相当額を合算して算定することとされている。
2 検査の結果
両会社では、多数のビルを保有していることから、その清掃費も多額に上っている。また、両会社では、業務の集約、保守拠点の統廃合等を実施するなどして業務運営体制の効率化を進めているところであり、これに伴い、無人ビルが増加している状況にある。このような状況を踏まえ、清掃費の算定が適切に行われているかなどに着眼して検査した。
NTT東日本の東京支店ほか8支店(注2) 及びNTT西日本の大阪支店ほか8支店(注3) において、清掃作業を委託していたビル1,315箇所及び1,992箇所に係る平成16年4月から11月までの清掃費それぞれ31億5236万余円、34億9207万余円を対象として検査した。
検査したところ、無人ビルの清掃作業に係る移動費の算定について、次のような事態が見受けられた。
NTT東日本の東京支店ほか8支店では無人ビル852箇所について、また、NTT西日本の大阪支店ほか6支店(注4)
では無人ビル1,121箇所について、作業員が、バス、鉄道等の公共交通機関を利用して拠点ビルから各無人ビルに出向いて清掃作業を行い、作業終了後は再び拠点ビルに戻ることとして、往復に要する公共交通機関の交通費と移動時間に応じた労務費相当額を合算して移動費を算定し、これを清掃費に計上していた。
しかし、上記の無人ビル計1,973箇所に係る清掃作業の実態等について調査したところ、次のような状況となっていた。
ア 1,116箇所の無人ビル(NTT東日本624箇所、NTT西日本492箇所)については、作業員が、清掃を担当する無人ビルの近傍に居住していることなどから、自宅から無人ビルに直接出向いて清掃作業を行い、作業終了後は直接帰宅している状況であった。
また、NTT西日本の無人ビル153箇所については、受託会社が作業員を拠点ビルに集合させてから各無人ビルに向かわせて清掃作業を行わせていたが、これらの作業員は、清掃を担当する無人ビルの近傍に居住するなどしており、自宅から無人ビルに直接出向いて清掃作業を行い、作業終了後は直接帰宅することとしても、特に支障はないと認められた。
したがって、これらの無人ビル計1,269箇所については、移動費を清掃費に計上する必要はないと認められた。
イ 残りの無人ビル704箇所(NTT東日本228箇所、NTT西日本476箇所)については、作業員が、公共交通機関を利用して拠点ビルと各無人ビルとの間をそれぞれ往復して清掃作業を行うのではなく、実際には、複数の無人ビルを自動車で巡回するなどして経済的、効率的に移動して清掃作業を行っている状況であった。
したがって、これらの無人ビル704箇所については、実際の移動方法に基づくなどして、移動費を適切に算定すべきであると認められた。
本件について、上記のとおり、移動費を適切に算定したとすれば、NTT東日本の東京支店ほか8支店における清掃費31億5236万余円は30億3880万余円、NTT西日本の大阪支店ほか6支店における清掃費30億8548万余円は29億6240万余円となり、それぞれ約1億1350万円、約1億2300万円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、NTT東日本の東京支店ほか8支店及びNTT西日本の大阪支店ほか6支店において、無人ビルの清掃作業における作業員の移動の実態等を十分に把握しておらず、移動費を適切に算定するための検討が十分でなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、両会社では、17年9月に、各支店等に対して指示文書を発し、移動の実態等に基づいて移動費を適切に算定することなどにより無人ビルに係る清掃費の節減を図るよう周知徹底する処置を講じた。
(注1) | ビル清掃委託基本契約 両会社の各支店等が締結する個別の清掃業務委託契約に共通する基本的な事項について定めたもので、NTT東日本とテルウェル東日本株式会社との間、NTT西日本とテルウェル西日本株式会社との間で、それぞれ締結されている。 |
(注2) | 東京支店ほか8支店 東京、神奈川、千葉、埼玉、栃木、山梨、長野、新潟、宮城各支店 |
(注3) | 大阪支店ほか8支店 大阪、京都、兵庫、名古屋、金沢、広島、岡山、福岡、熊本各支店 |
(注4) | 大阪支店ほか6支店 大阪、京都、兵庫、名古屋、金沢、福岡、熊本各支店 |