この公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が供給することを困難とするものを供給すること、又は一般の金融機関による供給を支援するための貸付債権の譲受け、債務の保証等を行うこと並びに中小企業者に対する貸付けに係る債務の保証等についての保険及び信用保証協会に対する資金の貸付けを行うことを目的として設置されているものである。その資本金は16年度末現在で1兆5687億7225万余円となっている。
同公庫の会計は、融資、証券化支援買取業務、証券化支援保証業務、信用保険等業務、機械保険経過業務及び破綻金融機関等関連特別保険等特別の6勘定に区分して経理されている。このうち、証券化支援買取業務勘定及び証券化支援保証業務勘定は、「中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律」(平成16年法律第35号)に基づき、16年7月1日、新たに証券化支援保証等の業務を行うこととなり、これに関する経理を行うために設置されたものである。また、信用保険等業務勘定、機械保険経過業務勘定及び破綻金融機関等関連特別保険等特別勘定は同法律に基づき、同公庫が16年7月1日、信用保険等及び破綻金融機関等関連特別保険等の業務を中小企業総合事業団信用保険部門から承継(注)
することとなり、これに関する経理を行うために設置されたものである。
同公庫の16年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。
1 収入支出決算
区分 | 16年度 | (15年度) |
千円 | 千円 | |
(収入) | ||
収入済額 | 453,944,850 | 194,218,890 |
(支出) | ||
支出予算現額 | 983,455,985 | 140,520,358 |
支出済額 | 587,608,883 | 136,807,243 |
不用額 | 395,847,102 | 3,713,114 |
不用額の主なものは、中小企業信用保険保険金(支出予算現額8357億4300万余円)の3793億9611万余円、機械保険経過業務保険金(同111億0989万余円)の47億6743万余円及び破綻金融機関等関連特別保険等保険金(同28億7106万余円)の28億3501万余円である。
2 損益
区分 | 16年度 | (15年度) |
千円 | 千円 | |
(融資勘定) | ||
経常収益 | 203,999,701 | 221,922,985 |
(うち貸付金利息) | (134,278,374) | (146,248,976) |
経常費用 | 203,957,255 | 221,962,769 |
(うち借入金利息) | (14,722,742) | (21,393,854) |
特別利益 | 24,308 | 105,449 |
特別損失 | 66,754 | 65,664 |
(証券化支援買取業務勘定) | ||
経常収益 | 104,471 | |
(うち雑収入) | (100,469) | |
経常費用 | 122,124 | |
(うち事務費) | (72,080) | |
当期損失金 | 17,653 | |
(損失金の処理) | ||
翌年度に繰越欠損金として整理 | 17,653 | |
(証券化支援保証業務勘定) | ||
経常収益 | 122,648 | |
(うち保証料) | (121,865) | |
経常費用 | 122,648 | |
(うち事務費) | (91,675) | |
(信用保険等業務勘定) | ||
経常収益 | 387,098,891 | |
(うち保険料) | (112,474,539) | |
経常費用 | 573,612,008 | |
(うち保険金) | (456,346,893) | |
当期損失金 | 186,516,107 | |
(損失金の処理) | ||
翌年度に準備基金及び融資基金を減額して整理 | 186,516,107 | |
(機械保険経過業務勘定) | ||
経常収益 | 24,328,710 | |
(うち保険料) | (28,484) | |
経常費用 | 22,875,437 | |
(うち保険金) | (6,342,460) | |
当期利益金 | 1,452,771 | |
(利益金の処理) | ||
翌年度に積立金として整理 | 1,452,771 | |
(破綻金融機関等関連特別保険等特別勘定) | ||
経常収益 | 197,116 | |
(うち保険料) | (9,839) | |
経常費用 | 197,073 | |
(うち保険金) | (36,049) | |
特別損失 | 42 |
3 借入金等
区分 | 16年度末 | (15年度末) |
千円 | 千円 | |
(融資勘定) | ||
借入金残高 | 2,434,825,000 | 2,438,957,000 |
(財政融資資金等) | ||
中小企業債券発行残高 | 4,604,549,000 | 4,702,359,000 |
4 主な業務実績
区分 | 16年度 | (15年度) | |||
(融資勘定) | |||||
貸付け等 | 件数 | 31,286件 | 31,561件 | ||
金額 | 1,635,284,520千円 | 1,693,674,607千円 | |||
貸付金回収等 | 金額 | 1,729,302,848千円 | 1,659,118,499千円 | ||
(うち貸付金償却) | (67,564,103千円) | (57,987,962千円) | |||
年度末貸付金等残高 | 件数 | 196,176件 | 192,446件 | ||
金額 | 7,500,024,493千円 | 7,594,042,821千円 | |||
上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に公庫において開示している債権 | |||||
破綻先債権 | 139,750,367千円 | 167,126,589千円 | |||
延滞債権 | 489,781,708千円 | 359,058,318千円 | |||
3カ月以上延滞債権 | 382,270千円 | 13,871千円 | |||
貸出条件緩和債権(注) | 421,311,550千円 | 101,803,358千円 | |||
計 | 1,051,225,896千円 | 628,002,137千円 | |||
(注) | 貸出条件緩和債権については、15年度と16年度では異なる基準によっているため、両年度は比較できない。 | ||||
貸倒引当金 | 18,184,582千円 | 30,191,570千円 | |||
(貸倒引当金計上率(注) ) | (2.4/1000) | (3.9/1000) | |||
(注) | 貸倒引当金に計上できる金額は、当該事業年度末における貸付金残高(貸付受入金残高を控除)に6/1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。 | ||||
(証券化支援買取業務勘定) | |||||
債権買取り及び債権譲渡 | 件数 | 567件 | |||
金額 | 12,963,000千円 | ||||
(証券化支援保証業務勘定) | |||||
債務保証 | 件数 | 1,389件 | |||
金額 | 44,922,500千円 | ||||
(信用保険等業務勘定) | |||||
(1) | 中小企業信用保険事業 | ||||
保険関係成立 | 件数 | 886,798件 | |||
保険価額 | 9,598,822,722千円 | ||||
保険金支払 | 件数 | 71,642件 | |||
金額 | 456,346,893千円 | ||||
支払保険金等回収 | 金額 | 162,927,293千円 | |||
(2) | 融資事業 | ||||
貸付け | 件数 | 299件 | |||
金額 | 472,291,000千円 | ||||
貸付金回収 | 金額 | 534,921,000千円 | |||
年度末貸付金残高 | 件数 | 299件 | |||
金額 | 472,291,000千円 | ||||
(機械保険経過業務勘定) | |||||
保険関係成立 | 件数 | 251件 | |||
保険価額 | 1,532,439千円 | ||||
保険金支払 | 件数 | 4,659件 | |||
金額 | 6,342,460千円 | ||||
支払保険金等回収 | 金額 | 2,318,770千円 | |||
(破綻金融機関等関連特別保険等特別勘定) | |||||
保険関係成立 | 件数 | 2件 | |||
保険価額 | 136,000千円 | ||||
保険金支払 | 件数 | 3件 | |||
金額 | 36,049千円 | ||||
支払保険金回収 | 金額 | 948千円 |
なお、この公庫について検査した結果、「第3章 個別の検査結果」に「中堅事業者に係る破綻金融機関等関連特別保険等の利用が低調となっているため、制度の在り方について検討することが必要な事態について」 を掲記した。