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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書

国が公益法人等に補助金等を交付して設置造成させている資金等に関する会計検査の結果について


1 検査の要請の内容

 会計検査院は、平成17年6月、参議院から、下記事項について会計検査を行い、その結果を報告するよう要請を受けた。

(1)検査の対象

 公益法人等に資金を設置造成させるために補助金等を交付している国の機関

(2)検査の内容

 国が公益法人等に補助金等を交付して設置造成させている資金等についての次の各事項

〔1〕 資金の設置、保有の状況
〔2〕 「平成12年度決算検査報告」で検査対象とした資金の見直しの状況
〔3〕 〔2〕以外のものも含めた各資金の運営の状況
〔4〕 資金の制度の見直し体制の整備状況

2 資金及び平成12年度決算検査報告に掲記した事項の概要

(1)資金の概要

 国は、一部の公益法人等(注1) の団体に補助金等を交付して資金を設置造成させ、単年度で完結しない特定の目的を持つ公益性の高い事業を継続して行わせている。これらの事業は、国民生活又は産業の特定分野、特定業種等を対象として、社会経済情勢等の変化によって生じた急激な変化を緩和したり、一定の構造調整や政策誘導等を行ったりすることを目的としており、その内容に応じて、短期・集中的に又は長期・継続的に実施する必要がある。
このため、国は、公益法人等に対し、上記の事業に必要な財源の全部又は一部を助成して資金を設置造成させ、資金需要の変動に対して柔軟かつ機動的に対応できるよう、また、安定的な事業実施が可能となるよう措置している。助成を受けた公益法人等(以下「法人」という)は、国の補助金交付要綱等に基づき、造成した資金を他の事業の財源と区分して経理し、それぞれ、貸付け、債務保証、利子助成、価格差補てん等の財源として事業を実施している。

公益法人等 公益法人(社団法人及び財団法人)、認可法人、独立行政法人及び特別法の規定により法人格を取得している法人

(2)平成12年度決算検査報告に掲記した事項の概要

 本院では、13年次において、内閣府ほか7省が所管する56法人、94資金(以下「13年次検査資金」という。)を対象に、それら資金が設置の趣旨又はその後の事業環境の変化等を踏まえて、適切かつ有効に運営され、国が交付した補助金等の効果が発現しているかという有効性の観点から統一的に検査し、このうち27資金については事業の運営に関し検討すべき点が見受けられたことなどの検査の状況を平成12年度決算検査報告に「特定検査対象に関する検査状況」として掲記している。その要旨は、次のとおりである。

 平成12年度末現在、設置後1年以上を経過している資金として、8府省の56法人94資金について検査した状況は次のとおりである。

〔1〕 資金設置後の経過年数に関し、2法人2資金において、事業終了後も資金を保有していたなどしていて、事業終了後は直ちに資金を返納させるなどの措置を講じる必要がある。

〔2〕 事業の実績に関し、17法人18資金において、実績が全くない又は継続的に少ない状況となっていたり、ピーク時と比べて低調となっていたり、事業財源の減少に伴い実績が減少したりなどしていて、事業の在り方を総合的に見直す必要がある。

〔3〕 資金の保有量に関し、6法人7資金において、使用見込みのない資金を保有していたり、追加造成によって資金が滞留していたりしていて、資金の保有規模、追加造成時期等を見直す必要がある。

 これらの事態は、低金利情勢下で資金の利点がそがれていることなど社会経済的な要因にもよるが、事業の終期が明確でなく、目的達成度を判定する仕組みも組み込まれていないなど、資金の制度及び運営面に起因する点もある。
したがって、資金事業の運営に関し検討すべき点が見受けられた上記27資金については、早急に見直し、必要な措置を講じるとともに、94資金も含めた今後の資金事業の実施に当たっては、適時適切に見直しを行い、需要に留意して造成を行ったり、サンセット方式を導入したりするなどの必要がある。

 また、本院では、14年次以降においても各資金について個別に検査しており、財務省(国税庁)、農林水産省(本省、水産庁)及び国土交通省(本省)が所管する計5法人、5資金について、滞留している保有資金を国に返納させるなど資金事業の運営に関して、13年度から15年度までの決算検査報告に掲記している。

3 検査の方法及び実績

 今回の検査においては、13年次検査資金(94資金)のほか、設置後16年度末までに1年以上の事業実施期間を有する資金で13年次に検査の対象となっていなかった44資金(以下「新規資金」という。このうち、12年度以降に設置されたものが32資金、11年度以前に設置されたもので13年次の検査対象に含めていなかったものが12資金)、計138資金(78法人)を対象とした。
検査に当たっては、78法人の138資金すべてについて資料の提出を求めるとともに、資金の所管府省である内閣府ほか8省(13省庁)及び36法人、80資金について実地検査を実施した。
実地検査の人日数及び実地検査箇所数は、次のとおりである。

 ・実地検査人日数  :  168.5人日  
 ・実地検査箇所数  : 49箇所  

 

(内訳)
検査対象機関 検査箇所 実地検査箇所数
内閣府 防衛施設庁 1
総務省 本省 1
財務省 国税庁 1
文部科学省 本省 1
厚生労働省
本省
法人
1
3
農林水産省
本省
林野庁
水産庁
法人
1
1
1
17
経済産業省
本省
資源エネルギー庁
中小企業庁
法人
1
1
1
9
国土交通省
本省
法人
1
5
環境省
本省
法人
1
2
合計
本省庁
法人
13
36
(参考)検査対象法人の状況
区分 法人数(うち13年次検査資金分) 資金数(うち13年次検査資金分)
検査対象法人 78 (56) 138 (94)
16年度末現在の法人 70 (48) 116 (72)
実地検査実施法人 36 (25) 80 (54)
(注)
検査対象138資金から、資金事業を終了したなどの22資金を除いたものが、16年度末現在の116資金となる。