70法人116資金の資金事業の運営について検査した結果、33資金において次のような事態が見受けられた。なお、同一の資金で複数の事態を掲記しているものがあるため、延べ資金数では36資金となる。
上記33資金の内訳は、13年次検査資金が25資金(うち平成12年度決算検査報告において検討すべき点が見受けられた資金が12資金)、新規資金が8資金(うち12年度以降に設置されたものが5資金)となっている。
事業の内容に関しては、次のような事態が1資金において見受けられた。したがって、同資金については、資金事業として継続していく必要性はあるかについて検討することが必要である。
資金事業として継続していく必要性を検討すべきもの(1資金)
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 社団法人全国石油協会 | 品質管理基金 2,730,000(同額)千円
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昭和 57 |
調査等その他 運用型 |
本資金は、揮発油製品品質管理体制の整備に関する事業を円滑に行わせることを目的に設置造成されたものであり、全国9箇所の試験センターの設置完了後、資金の運用益は、センターを技術面からサポートし、総合的な品質確保体制を整備するため、平成3年度にリース方式により導入された品質試験室の賃借料及び維持管理費(以下「賃借料等」という。)に使用されている。 この賃借料等は、本資金の運用益のほかに他事業部門の収入が充てられており、15年度の賃借料等6606万円のうち資金の運用益分は2074万円、16年度は3002万円のうち1770万円となっている。 しかし、品質試験室は8年度に拡充され、当該拡充部分の賃借料については、毎年度別途国庫補助金の交付を受けていることもあり、単に賃借料等を支払う事業を資金事業として継続していく必要があるのか検討が必要な状況であった。 なお、実地検査後の17年4月以降、本資金運用益の賃借料等への使用は取りやめられ、新たに分析技術研修を実施していくこととしている。 |
事業の実績に関しては、次のように13年次検査時と同様な事態が17資金において見受けられ、なかには平成12年度決算検査報告において検討すべき点が見受けられた資金として掲記したものの、事態が好転していない資金も散見された。
したがって、これらの資金については、見直しに当たって実効性のある方策を検討するとともに、利用者のニーズを的確に反映した事業内容、利用条件となっているか、事業財源の減少への対応を適切に行っているかなど多角的に検証し、改めて資金事業としての在り方を総合的に見直すことが必要である。
(ア)事業実績が継続的に少ない状況となっているもの(12資金)
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 財団法人食品流通構造改善促進機構 | 食品流通構造改善対策債務保証事業基金 425,096(350,000)千円
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平成 3 |
債務保証 保有型 |
本資金による事業は、食品流通構造改善促進法(平成3年法律第59号)に基づき農林水産大臣が認定する構造改善事業等において、卸売市場等の整備に必要な資金を借り入れようとする事業者のうち、既存の信用保証制度の対象にならない者に対して債務保証を行うものである。 この事業について平成12年度決算検査報告で、3年度の資金設置以降、12年度まで債務保証実績が全くない旨を掲記したところ、農林水産省及び本法人では、被保証者の事務負担を軽減し利用の促進を図るため、業務規程を改正するなどしている。 しかし、景気の低迷等により食品販売業者等の設備投資需要が低いことなどから、13年度以降も債務保証実績は依然として3件と少なく、また、16年度末における債務保証限度額に対する債務保証残高の割合も6%にすぎない状況である。 なお、17年7月に、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(平成17年法律第85号)が制定され、同年10月の同法施行後は新たに認定総合効率化事業による流通施設の整備等も本資金による債務保証の対象に追加された。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 社団法人全国農地保有合理化協会 | 農地保有合理化法人債務保証基金 758,375(455,025)千円
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平成 7 |
債務保証 保有型 |
本資金による事業は、農地保有合理化法人(都道府県農業公社等)が農地保有合理化事業その他の農地保有の合理化に関する事業を実施するために必要な資金の借入れについて、本協会が債務保証を行うものである。 しかし、資金が設置された平成7年度から16年度までの債務保証実績は12件(357百万円)であり、近年農産物価格の低迷等厳しい農業事情の下で、新たに資金を借り入れて取り組む事業も減少しているため、直近3年間(14年度から16年度)の新規の債務保証実績は1件となっている。 また、16年度末における債務保証限度額に対する債務保証残高の割合は0.2%にすぎない状況である。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 全国漁業協同組合連合会 | 漁業経営安定特別対策基金 1,407,934(同額)千円
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昭和 56 |
補助・補てん 取崩し型 |
本資金による事業は、第2次オイルショックによる燃油価格の高騰、魚価低迷等により困難な状況に直面している中小漁業者の漁業経営の安定を図るため、〔1〕漁業用石油タンクの建設に要する経費等を助成したり、〔2〕燃油価格が高騰し緊急対策が必要な場合に、漁協系統で緊急輸入する石油製品の価格差や漁業経営のショック緩和対策のための助成を行ったりするものである。そして、〔1〕の事業については本資金の単年度の運用益を充て、〔2〕の事業については本資金を取り崩して使用することとしている。 しかし、〔1〕の事業については、タンク建設用地となる漁港の整備の遅れや近年の低金利による運用益の減少などのため、直近3年間(平成14年度から16年度)の平均事業実績額741千円は、元年度以降のピーク時32,794千円(4年度)の2.2%となっており、また、〔2〕の事業については、オイルショック以降、燃油の需給が緩和基調で推移し、緊急対策を必要とするような状況が発生しなかったことから、事業を開始した昭和59年度以降平成16年度までの間の事業実績は全くない状況である。 なお、17年9月に燃油価格高騰に伴う運転資金等の需要増に対応した新たな低利融資制度が創設されるなどしている。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 社団法人全国信用保証協会連合会 | 特定中堅企業金融円滑化特別基金 7,945,217(同額)千円
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平成 10 |
補助・補てん 取崩し型 |
本資金による事業は、破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、これら事業者の借入れについて債務保証を行う都道府県信用保証協会の代位弁済に対して出えんを行うものである。 しかし、資金設置後の平成11年度から16年度までの各年度の事業実績をみると、主要行及び中小・地域金融機関における不良債権問題への対応が図られてきたこと、11年12月の中小企業基本法(昭和38年法律第154号)の改正により事業の対象となる中堅事業者の範囲が縮小したことなどから、出えん件数が1件から4件(2,791千円から31,527千円)程度と少ない状況である。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 社団法人電炉業構造改善促進協会 | 債務保証事業基金 700,000(350,000)千円
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昭和 52 |
債務保証 保有型 |
本資金による事業は、電炉業を営む者が構造改善に係る電気炉等の廃棄処分等を行うのに必要な資金の借入れについて、本法人が債務保証を行うものである。 この事業について平成12年度決算検査報告で、債務保証の対象となる本法人の会員数が当初の22社から16社に減少していること、バブル期においては電炉業界の事業が好調で廃棄処分等が進まなかったことなどから、元年度以降における債務保証の実行は、7年度及び10年度にそれぞれ1件、計2件である旨を掲記したところ、経済産業省及び本法人では、設備処理に要する資金のほかに、事業再構築、事業革新等に要する資金についても対象とする見直しを行った。 しかし、13年度から16年度までの債務保証実績をみると、最近の鋼材需要環境の激変による鋼材市況の急上昇を背景に電炉業界の事業が好調であること、また、業績は好調であるものの、事業革新に踏み切るほどには電炉業者の財務状況が改善されていないことなどから、依然として1件と少なく、また、16年度末における債務保証限度額に対する債務保証残高の割合も0.9%にすぎない状況である。 一方、本法人では、資金の運用益を資金事業に要する人件費及び一般管理費に充てており、その額は、直近3箇年平均で1259万円となっている。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 社団法人プラスチック処理促進協会 | 債務保証基金 327,588(163,794)千円
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昭和 47 |
債務保証 保有型 |
本資金による事業は、廃プラスチック有効利用事業者が、設備を取得するのに必要な資金及び運転資金の借入れについて、本法人が債務保証を行うものである。 この事業について平成12年度決算検査報告で、元年度から12年度までの間における債務保証実績は計7件と少ない旨を掲記したところ、経済産業省及び本法人では、業務方法書を改定して被保証者の資格、保証対象資金等を拡大し、事業実施の要件を緩和したり、対象となる事業者に対して広報活動を実施したりした。 しかし、13年度から16年度にかけて、プラスチック加工業界における業況の回復には遅れがみられたことなどから、債務保証実績は依然として1件と少なく、また、16年度末における債務保証限度額に対する債務保証残高の割合も1.7%にすぎない状況である。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 財団法人古紙再生促進センター | 債務保証事業基金 560,000(280,000)千円
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昭和 49 |
債務保証 保有型 |
本資金による事業は、古紙の回収、流通に係る事業の近代化を遂行するため、〔1〕古紙供給事業の協同化若しくは協業化を実施し、又は実施しようとする古紙供給業者、及び〔2〕〔1〕以外の古紙供給業者の設備近代化に要する資金の借入れについて、本法人が債務保証を行うものである。 この事業について平成12年度決算検査報告で、中小零細業者がその大多数を占める古紙業界において設備の近代化を推進するためには、協同化・協業化が有効な手段であるが、12年度までの債務保証の実施状況は、〔2〕に係るものが大部分を占めており、協同化・協業化を行う〔1〕に係るものは少ない旨を掲記したところ、経済産業省及び本法人では、古紙供給業者等が構成員となっている各地区委員会の事務局連絡会を13年度より2回に増やし、本制度の実施状況を報告したり、PRを強化したりして、各地区委員会への本制度の理解を深めるよう努めているとしている。 しかし、13年度から16年度までの債務保証実績をみると、事業者が本制度を利用せずに独自に金融機関から融資を受けている場合があることなどから、〔1〕及び〔2〕を合わせても依然として3件と少なく、また、16年度末における債務保証限度額に対する債務保証残高の割合も5.4%にすぎない状況である。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 日本商工会議所 | 保証事業等に係る信用基金 522,000(500,000)千円
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平成 5 |
債務保証 保有型 |
本資金による事業は、商工会議所が、小規模事業者向け共同施設等を整備するのに必要な資金の借入れについて、本法人が債務保証を行うものである。 しかし、小規模事業者向け共同施設等にはこれまで都道府県及び市町村から多額の助成が行われており、商工会議所の自己負担分に充てる借入金は少ない額で済むことなどから、資金が設立された平成5年度から16年度までの債務保証実績は1件(16年度に保証期間終了)と極めて少ない状況である。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 全国商工会連合会 | 保証事業等に係る信用基金 522,000(500,000)千円
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平成 5 |
債務保証 保有型 |
本資金による事業は、商工会等が、小規模事業者向け共同施設等を整備するのに必要な資金の借入れについて、本法人が債務保証を行うものである。 この事業について平成12年度決算検査報告で、資金が設立された5年度から12年度までの間における債務保証実績は全くない旨を掲記したところ、経済産業省(中小企業庁)及び本法人では、商工会等に対して債務保証事業の周知を図った。 しかし、小規模事業者向け共同施設等にはこれまで都道府県及び市町村から多額の助成が行われており、商工会等の自己負担分に充てる借入金は少ない額で済むことなどから、13年度から16年度までの債務保証実績は依然として1件と少なく、また、16年度末における債務保証限度額に対する債務保証残高の割合も0.3%にすぎない状況である。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
国土交通省 | 財団法人高齢者住宅財団 | 家賃債務保証基金 2,034,437(2,000,000)千円
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平成 13 |
債務保証 保有型 |
本資金による事業は、高齢者の民間賃貸住宅への円滑な入居を支援するため、高齢者の家賃の支払債務について、本法人が債務保証を行うもので、単年度の平均的な新規制度活用戸数を9,800戸と計画して資金造成している。 しかし、平成13年度から16年度までの債務保証実績は、高齢者等に本制度の周知がされていないことなどから、0件(13年度)、18件(14年度)、63件(15年度)、80件(16年度)と計画に対して0%から0.8%と少なく、また、16年度末における債務保証限度額に対する債務保証残高の割合は0.08%にすぎない状況である。 なお、寄附行為等が改正され、17年9月に債務保証の対象が障害者世帯にも拡大された。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
国土交通省 | 財団法人住宅保証機構 | 住宅完成保証基金 406,651(200,000)千円
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平成 11 |
債務保証 保有型 |
本資金による事業は、住宅建設を受注した中小企業である住宅建設業者が倒産するなどした場合に、発注者が最小限の追加負担で住宅を完成させることができるよう本法人が保証するもので、年間1万戸の保証が可能となるよう資金造成されている。 しかし、資金設置以降平成16年度までの保証実績は、住宅生産者及び消費者に本制度が浸透していないことなどから、年平均188戸で、資金造成額算定の基礎となっている保証対象戸数1万戸に対して1.8%と少ない状況となっている。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
環境省 | 財団法人日本環境協会 | 土壌汚染対策基金 1,348,899(1,110,620)千円
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平成 14 |
補助・補てん 取崩し型 |
本資金による事業は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、土壌汚染の原因者が不明等の場合、汚染の除去等の措置を当該土地所有者等が実施するのに必要な資金を都道府県等が助成する場合に助成金を交付したり、環境リスクについての普及啓発を行ったりするものである。 事業実績についてみると、汚染土壌の原状回復に対する助成制度を整備している都道府県等が少ないことなどから、資金設置以降助成金を交付する事業は実績が全くなく、普及啓発のための事業(平成14年度6,680千円、15年度5,986千円、16年度4,333千円)のみを実施している状況である。 |
(イ)事業実績がピーク時に比べて低調となっているもの(3資金)
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 財団法人中央果実生産出荷安定基金協会 | パインアップル対策資金(旧パインアップル緊急特別対策資金) 509,282(同額)千円
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昭和 63 |
補助・補てん 取崩し型 |
本資金による事業は、パインアップルの調製品の輸入自由化に伴う需給事情の変化に対処するため、県基金協会が優良種苗の増殖、栽培管理の改善等に対して補助金を交付する事業等に補助するものである。 この事業について平成12年度決算検査報告で、輸入自由化への対応のピークであった元年度の事業実績約4億7000万円に対して直近3年間(10年度から12年度)の平均は約8000万円(ピーク時の17.0%)となっている旨を掲記したところ、農林水産省及び本法人では、15年度からは事業内容を見直して新たな事業を実施するとともに、事業の重点化を図り、ニーズを踏まえた機動的な事業実施に努めているとしている。 しかし、事業実績についてみると、直近3年間(14年度から16年度)の平均事業実績は約4800万円(ピーク時の10.1%)となっていて、13年次検査当時から更に事業規模が減少している。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 社団法人全国石油協会 | 揮発油販売業経営合理化指導基金 465,000(同額)千円
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昭和 60 |
調査等その他 運用型 |
本資金による事業は、揮発油販売業者の経営の合理化を図り、もって揮発油の安定供給の確保を図ることを目的として、経営改善講習会や指導員養成講習会の開催を行うものである。 平成元年度以降の事業実績をみると、ピーク時の2年度には、財源の運用益約3300万円に対して約2000万円であったが、研修会のテーマや開催時期が対象者の希望と合わなかったなどのため、直近3年間(14年度から16年度)の平均では、運用益の860万円に対し、225万円(ピーク時の10.8%)となっている状況である。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 社団法人全国石油協会 | 石油製品販売業消費税転嫁円滑化基金 15,000,000(同額)千円
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昭和 63 |
利子助成 運用型 |
本資金による事業は、消費税の導入に当たり、石油製品販売業における消費税の円滑な転嫁に関する事業を行わせるため、資金の運用益により、経営の改善に向けた異業種への進出又は転換を行う揮発油販売業者に対する利子補給等を行うものである。 平成元年度以降の事業実績をみると、ピーク時の3年度には、財源の運用益10億円に対して約9億7000万円であったが、その後の景気低迷や低金利のため利子助成の申込者が減少したことなどに伴い、直近3年間(14年度から16年度)の平均では、運用益の2億3087万円に対し、5259万円(ピーク時の5.4%)となっている状況である。 一方、本法人では、資金の運用益を資金事業に要する人件費及び一般管理費に充てており、その額は、直近の3箇年平均で5346万円となっている。 |
(ウ)事業財源の減少への対応の検討が必要な状況となっているもの(2資金)
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 社団法人潤滑油協会 | 潤滑油製造業近代化基金 2,855,000(同額)千円
|
昭和 53 |
調査等その他 運用型 |
本資金による事業は、潤滑油の安定供給の確保を図るため、潤滑油製造業の経営合理化と高度化対策に関する品質・性能の試験研究等の事業を行うものである。 この事業について平成12年度決算検査報告で、この事業は運用益のみで事業を行うスキームとしているため、近年の運用利回りの低下に伴い、事業規模を縮小せざるを得ない状況となっていて、事業規模はピーク時の約46%に縮小している旨を掲記したところ、経済産業省(資源エネルギー庁)及び本法人では、基金運用方針協議会を設置して基金の運用方法を検討したり、基金対象事業検討会を設置して事業の重点化・効率化を図ることについて検討したりした。 しかし、事業実績についてみると、依然として低金利(直近3年間(14年度から16年度)の平均運用益は92,296千円)であることから、運用益で実施する本資金の事業規模を縮小せざるを得ない状況が続いており、直近3年間の平均事業実績は9683万円(ピーク時の42.3%)となっている。 したがって、本資金が設置されている趣旨を更に生かすためには、事業財源の減少への対応についての検討が必要な状況である。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 全国商店街振興組合連合会 | 商店街振興基金 5,020,000(5,000,000)千円
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昭和 63 |
補助・補てん 運用型 |
本資金による事業は、商店街の振興を図るコミュニティ活動や交流事業等の事業を行うことにより、平成元年度に導入されることとなった消費税の適正かつ円滑な転嫁を促し、商店街の発展に寄与することを目的とするものである。 この事業について平成12年度決算検査報告で、事業の主目的が消費税の適正かつ円滑な転嫁という面から、中心市街地の空洞化等といった新たな商店街の情勢変化に対応した活性化対策へと変化している旨を掲記したところ、経済産業省(中小企業庁)及び本法人では、効果的な事業の実施を図るため、14年度から事業実施後のフォローアップのためのアンケート調査を実施した。 しかし、本事業の事業実績についてみると、運用益の減少(14年度61,413千円、15年度44,970千円、16年度36,484千円)に伴い、1件当たりの助成額を下げて事業を実施しなければならない状況が続いており、14年度は65,485千円(ピーク時の19.1%)、15年度は51,216千円(同15.0%)、16年度は16,743千円(同4.9%)と事業規模は縮小している。 したがって、本資金が設置されている趣旨を更に生かすためには、事業財源の減少への対応についての検討が必要な状況である。 |
資金の保有量に関しては、次のような事態が12資金において見受けられ、なかには13年次検査時と同様な事態も見受けられた。したがって、これらの資金については、使用見込みのない資金がある場合にはできるだけ速やかに国に返納させるなどの措置を講ずるとともに、事業量に応じた適正な資金規模・水準とするよう更に配慮し、また、使用見込みのない資金を保有していないか、事業実績等からみて多額な余裕資金を保有していないか、資金を効率的に使用できないかなど多角的に検証し、改めて資金の保有量を総合的に見直すことが必要である。
(ア)使用見込みのない資金を保有しているもの(5資金)
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 財団法人全国瑞穂食糧検査協会 | 検査機器リース事業基金 204,760(同額)千円
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平成 12 |
補助・補てん 取崩し型 |
本資金による事業は、これまで国が行ってきた農産物検査の円滑な民営化を図り、適正かつ確実な農産物検査を実施するため、登録検査機関として登録を受けようとする者等が登録に必要な検査機器をリースにより導入する場合に、そのリース料の一部を助成するものである。 この助成事業は、平成12年度から16年度末までに採択したリース契約に対して契約期間内の助成を行うものであり、17年度以降は新規の採択は行わないことから、今後必要となる助成額は確定しており、事業完了年度である21年度末時点の資金残額として2億0365万円程度が見込まれている。 このため、将来使用見込みのないこの資金残額については、事業の完了を待つまでもなく国に返納できる状況であった。 なお、当該資金残見込額は、実地検査後の17年8月に国に返納されている。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 社団法人中央畜産会 | 経営効率化機械緊急整備リース助成基金 777,563(同額)千円
|
平成 7 |
補助・補てん 取崩し型 |
本資金による事業は、ガット・ウルグアイ・ラウンド対策として、生産性の高い畜産経営体を緊急に育成するため、農業者が近代的・省力的な飼養管理関連機械をリース方式により導入する場合に、リース料の一部を助成するもので、平成12年度に助成事業の新規採択を終了し、13年度以降は過去に採択したリース契約に対する助成の継続分を実施している。 この助成事業は、リース期間の終了する20年度末で完了する予定であるが、新規の採択は行わないことから、12年度決算で今後必要となる助成額は確定しており、20年度末時点での資金残額として5億5000万円が見込まれていた。そして、本法人では、この資金残見込額を国に返納することとし、国に報告するとともに所要額を本法人の13、14両年度の予算書に計上していた。 しかし、農林水産省では、13年秋に社会問題化したBSEへの対応などから国庫返還の手続を執らなかったため、本法人は、この資金残見込額を13年度以降も引き続き保有していた。 なお、当該資金残見込額は、実地検査後の17年7月に国に返納されている。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 財団法人日本木材総合情報センター | 木材産業高度化促進特別資金 913,962(456,980)千円
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平成 7 |
利子助成 取崩し型 |
本資金による事業は、木材加工業者等が、経営の合理化等のための設備導入等を行うのに必要な借入れについて利子助成を行うものである。 この利子助成事業は、平成7年度から11年度までの間に借入れを行った木材加工業者等を対象として10年間の利子助成を行うものである。このため、12年度以降は新規の採択は行わないことから、助成対象が確定した11年度末時点において、事業完了年度である22年度までの間に必要な利子助成額等の所要見込額を算定することが可能であった。これに対して、本法人では、7年度採択分の助成期間が終了する16年度において、当該採択分に係る造成額と助成額の差74,646千円だけを国に返納している。 しかし、上記返納額を控除してもなお22年度末時点の資金残額として6億9000万円程度が見込まれることから、このうち国庫補助金相当額3億4400万円程度については、事業の完了を待つまでもなく国に返納できる状況であった。 なお、当該資金残見込額は、実地検査後の17年8月に国に返納されている。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 財団法人日本木材総合情報センター | 木材産業体質強化対策特別資金 232,212(116,104)千円
|
平成 12 |
利子助成 取崩し型 |
本資金による事業は、木材加工業者等が、ダイオキシン対策等の環境保全や加工・流通の合理化等のための施設整備を行うのに必要な借入れについて利子助成を行うものである。 この利子助成事業は、平成12、13両年度に借入れを行った木材加工業者等を対象として10年間の利子助成を行うものである。このため、14年度以降は、新規の採択は行わないことから、助成対象が確定した13年度末時点において、事業完了年度である23年度までの間に必要な利子助成額等の所要見込額を算定することが可能であった。 したがって、23年度末時点の資金残額は16年度末現在において5000万円程度が見込まれることから、このうち国庫補助金相当額2300万円程度については、事業の完了を待つまでもなく国に返納できる状況であった。 なお、当該資金残見込額は、実地検査後の17年8月に国に返納されている。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構 | 産炭地域振興事業債調整分利子補給資金等交付金 1,743,287(1,736,944)千円
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平成 12 |
利子助成 取崩し型 |
本資金による事業は、旧産炭地域振興臨時措置法(昭和36年法律第219号)の規定に基づき、関係道県が産炭地域の特定の公共事業を実施するため平成13年度までに発行を許可され、15年度までに発行された地方債(産炭地域振興事業債)の利子額のうち、年利3.5%を超える部分に相当する額(4.5%に相当する額を限度)について利子補給を行うものである。 この利子補給事業は、16年度以降には新規に利子補給の対象とする上記地方債は発行されないことから、助成対象が確定した15年度末時点において、事業完了年度である22年度末までの間に必要な利子補給額等の所要見込額を算定することが可能であった。 したがって、22年度末時点で見込まれる資金残額(12億3800万円程度)は、利子補給事業の完了を待つまでもなく、15年度末時点で国に返納できる状況であった。 なお、当該資金残見込額は、実地検査後の17年10月に国に返納されている。 |
(イ)事業実績等からみて資金規模の検討が必要なもの(2資金)
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
厚生労働省 | 財団法人高年齢者雇用開発協会 | 緊急雇用創出特別基金 324,706,856(同額)千円
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平成 10 |
補助・補てん 取崩し型 |
本資金による事業は、中高年の非自発的失業者等に対する必要な雇用機会の提供、早期再就職の支援等を行うため、雇用又は教育訓練を行った事業者に対して奨励金等の支給等を行うものである。そして、この事業は、緊急雇用創出特別奨励金支給事業、雇用再生集中支援事業等の5事業が実施されており、いずれも平成16年度末(同年度末までに届けられた対象者に係る支援が終了していない場合は終了するまで)で事業終了の予定であったが、雇用再生集中支援事業及び地域雇用受皿事業については、所要の見直しを行った上で3年間期間延長されている。 期間延長された上記2事業のうち、雇用再生集中支援事業については、当初、14年度から16年度までの3年間の事業として、15年1月に、本資金の他事業の財源から300億円を振り替えて資金造成し、また、同年、補正予算により800億円の追加造成を受けて実施されてきたもので、16年度末の資金残高は992億円となっている。これに対して、事業実績は、14年度0円、15年度720,136千円、16年度2,801,247千円となっている。このうち事業実績が最も多額であった16年度の事業実績と資金の保有規模についてみると、奨励金の申請受付や広報等の業務に係る財団法人産業雇用安定センターへの委託費を加えても6,112,058千円であり、上記の16年度末資金残額はその約16倍となっている。 また、地域雇用受皿事業については、当初、14年度から16年度までの3年間の事業として、15年1月に、同様に本資金の他事業の財源から50億円を振り替えて資金造成し、また、同年、補正予算により950億円の追加造成を受けて実施されてきたもので、16年度末の資金残高は987億円となっている。これに対して、事業実績は、14年度0円、15年度5,234千円、16年度129,906千円となっている。このうち事業実績が最も多額であった16年度の事業実績と資金の保有規模についてみると、財団法人産業雇用安定センターへの委託費を加えても603,642千円であり、上記の16年度末資金残額はその約164倍となっている。 これらのことから、事業が終了する19年度末において資金に多額の剰余が生ずることのないよう、事業実績の推移、雇用情勢等をみながら、余裕金を生ずることが判明した場合にはできるだけ早期に国に返納することも含め適切な対応を検討することが必要な状況である。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 社団法人農林水産航空協会 | 農林水産航空乗員養成費貸付事業 166,382(166,381)千円
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昭和 48 |
貸付け 回転型 |
本資金による事業は、農林水産業における航空機による薬剤、肥料の散布等に従事する航空機搭乗員の養成を受ける者に対し、養成費の貸付けを行うものである。そして、平成元年度より旧運輸省航空大学校(現独立行政法人航空大学校)回転翼航空機操縦科の学生を対象に資金の貸付募集を行ってきた。 しかし、同大学校が11年度から同科の学生募集を中止し、大手の航空会社も農林水産航空事業から撤退したのに伴い、航空防除の操縦士が余剰となったことなどから、資金の貸付けは11年度以降は全く行われておらず、本法人では、貸付金の返還に係る業務のみを実施している状況である。 これらのことから、資金の保有規模について、検討する必要がある状況である。 |
(ウ)事業実績等からみて資金が滞留しているもの(3資金)
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
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農林水産省 | 財団法人食品流通構造改善促進機構 | 食品流通構造改善緊急対策事業資金 1,765,790(1,750,000)千円
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平成 4 |
貸付け 回転型 |
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本資金による事業は、食品流通構造改善促進法(平成3年法律第59号)に基づく食品販売業近代化事業の一環として、食品流通の構造改善を緊急に実施することにより、食品に係る流通機構の合理化と流通機能の高度化を推進するなどのため、食品販売業者等が必要とする設備等の購入資金の一部を食品販売業者等に代わって本法人が一時負担し、これらの金利負担の軽減を図るものである。 本資金事業に係る貸付実績、償還金、資金保有額及び貸付残高の平成12年度から16年度までの状況をみると、下表のとおりとなっている。 (単位:千円)
すなわち、近年の景気低迷等によって食品販売業者等が設備投資を抑制していることなどから貸付実績は少なくなっている。一方、過去には比較的高い水準であったことから、償還金が貸付額を上回っている。このため、年度末保有額から貸付残高を除いた使用残額は、9億6073万円(12年度末)から14億1505万円(16年度末)に増加している状況である。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 財団法人中央果実生産出荷安定基金協会 | 果樹特別対策資金(旧果樹等緊急対策資金) 12,655,773(同額)千円
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昭和 59 |
補助・補てん 取崩し型 |
本資金による事業は、うんしゅうみかん園の転換対策、価格低落時における生食用果実の加工原料仕向の促進対策等の事業を行う各県基金協会等に対して、当該事業に必要な資金を補助するものであった。 この事業について平成12年度決算検査報告で、7年度から12年度にかけてガット・ウルグアイ・ラウンド対策を緊急実施するため、国庫補助金等により総額175億円の追加造成を行っているが、実際には、各年度の事業執行が見込みを下回ったため、6年度末で87億円であった保有額が12年度末で133億円となっている旨を掲記したところ、農林水産省及び本法人では、追加造成を取りやめたり、天候等により果実の需給が不均衡となったり品質が低下したりした場合の新たな資金需要に機動的に対応できるよう緊急市場隔離促進事業や果汁等特別調整保管事業を新設したりなどした。 しかし、これら2事業の事業実績についてみると、直近3年間(14年度から16年度)には緊急に出荷調整等を行うような状況に至らなかったため支出は全くなく、他の事業に係る支出が直近3年間の平均で約4100万円あるだけで、16年度末の保有額は12年度末(旧果樹等緊急対策資金のうち本資金該当分120億円)とほぼ同程度の水準となっている。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
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農林水産省 | 財団法人海外漁業協力財団 | 貸付事業資金 91,694,461(90,695,005)千円
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昭和 48 |
貸付け 回転型 |
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本資金による事業は、海外漁業協力の円滑な促進及び漁場の確保を通じた我が国漁業の安定的な発展に資することを目的に、海外漁業協力事業を行う本邦法人等に対して、当該事業の実施のために必要な資金の貸付けを行うものである。 本資金事業に係る貸付実績、償還金、資金保有額及び貸付残高の平成12年度から16年度までの状況をみると、下表のとおりとなっている。 (単位:百万円)
すなわち、漁業の特性から資金需要は年によって大きく変わることから、貸付実績は年によって変動し、また、償還額も過去の貸付期間等によって影響を受けるが、近年の景気低迷等によって本邦法人等が新規投資を抑制し、遠洋漁業の経営状況も厳しくなっていることなどから、14年度及び15年度の貸付実績は前年度を下回っている。その結果、13年度以降の各年度とも、償還金が貸付額を上回っており、年度末保有額から貸付残高を除いた使用残額は、389億円(12年度末)から518億円(16年度末)に増加している状況である。 |
(エ)資金の効率的使用等を検討すべきもの(2資金)
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 財団法人中央果実生産出荷安定基金協会 | 果実生産出荷安定資金 5,575,553(同額)千円
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昭和 47 |
補助・補てん 取崩し型 |
本資金による事業は、各道府県基金協会が果実の安定的な生産及び出荷を促進するために行う事業、果樹経営者の経営安定を図るための事業等に補助などを行うものである。 この事業について平成12年度決算検査報告で、輸入自由化への対応のピークであった元年度の事業実績53億円に対して直近3年間(10年度から12年度)の平均は6億円(ピーク時の11.9%)となっている旨を掲記したところ、農林水産省及び本法人では、13年4月に新たな実施要綱等を制定して果樹農家の経営安定を図るための事業を資金事業に追加したり、15年3月に実施要綱等を改正して利用対象者を拡大したりするなどの見直しを行った。その結果、資金保有額は12年度末の139億円から16年度末には約56億円に減少していて、その間毎年度計約58億円の追加造成を行っている。 一方、本資金の運用益については、実施要領等において「資金の運用益は、資金に、繰り入れるもののほか、生産局長が認める事業に要する経費若しくは管理費に充て、又は事業資金剰余積立金として積み立てるものとする」となっている。そして、本法人では、農林水産省生産局長が認めた調査関係事業等に使用したり、別途に事業資金剰余積立金に積み立てたりしており、同積立金の額は16年度末で76億円(他の資金からの積立て分を含む。)に上っている。 したがって、今後、追加造成の必要が生じた場合には、上記積立金を本資金事業に有効活用することについての検討が必要となる。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
環境省 | 財団法人産業廃棄物処理事業振興財団 | 債務保証基金(一般債務保証基金と特定債務保証基金を統合) 3,320,377(2,487,623)千円
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平成 4 |
債務保証 保有型 |
本資金による事業は、産業廃棄物の処理を効率的かつ適正なものとするために「産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律」(平成4年法律第62号)に基づき、〔1〕産業廃棄物処理業者等が処理施設の近代化、高度化等を図るのに必要な借入金及び〔2〕同じく特定施設に該当する処理施設を建設するのに必要な借入金について、本法人が債務保証(以下、〔1〕の借入金に対する債務保証を「一般債務保証」、〔2〕の借入金に対する債務保証を「特定債務保証」という。)を行うものである。そして、これらの両債務保証は、平成14年1月までは、いずれも国庫補助金及び民間出えん金等により設置造成された一般債務保証基金及び特定債務保証基金を財源としてそれぞれ運営されていた。 このうち特定債務保証基金について平成12年度決算検査報告で、資金が設立された4年度から12年度までの間における債務保証実績は、産業廃棄物を処理する特定施設の建設に対する地元住民の反対が強く、整備が進まない例があるという事情から、1件だけである旨を掲記した。これに対して、環境省及び本法人では、一般債務保証基金で多額の代位弁済が生ずる可能性が高まり、同基金の残高だけでは対応できない事態が生ずることも考えられるとして、14年1月に寄附行為等を改正し、両資金を統合して効率的な資金の利用が可能となるよう措置を講じた。その結果、代位弁済についてみると、統合前の両資金に係る民間出えん金等分は相互の使用が可能となり、また、国庫補助金分も、14年3月に新たに追加造成した12億円については、両債務保証のいずれにも使用可能な資金となっていたが、それ以前の国庫補助金分については補助金交付要綱で使途が限定されていることから、依然として相互の使用が不可能なままとなっている。 しかし、16年度末の債務保証残高72億円のうち一般債務保証の残高は67億円で、環境省では今後も同債務保証の利用の増加が見込まれるとしている一方、特定債務保証の実績は依然として1件にとどまっている。したがって、本資金をより効率的に使用して代位弁済の発生に伴う新たな追加造成を軽減する観点から、統合前の両資金に係る国庫補助金分についても相互に使用することを検討することが必要であると思料される。 |
資金の管理に関しては、次のような事態が6資金において見受けられた。したがって、これらの資金については、資金の経理状況、決算状況を適切に把握するとともに、資金の造成趣旨に沿った経理となっているか、資金の保有額が正しく表示されているかなどに十分留意し、適切な資金管理を行う必要がある。
(ア)資金の管理が適切でないもの(1資金)
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 財団法人甘味資源振興会 | いもでん粉工場再編整備等対策資金(旧いもでん粉工場再編整備対策資金) 428,828(同額)千円
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平成 7 |
補助・補てん 取崩し型 |
本資金は、当初、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意に基づくでん粉輸入関税化に対処することを目的に、いもでん粉工場の再編整備に必要な経費の助成を平成7年度から12年度にかけて実施するため、設置造成されたものである。 この事業について平成12年度決算検査報告で、資金保有額と事業見込額を勘案すれば、12年度に行った追加造成の一部(8981万円)は造成の必要がなかった旨を掲記した。これに対し、農林水産省では、14年3月及び16年6月、新たに通知を発し、いもでん粉工場再編整備の更なる効果発現のための緊急的措置として、生産性の向上や製造コストの低減を図ること等の産地の自主的取組に対する事業に活用することを目的として、引き続き本法人に資金を保有させており、本法人は、16年度末において4億2882万円の資金を、定期預金等として金融機関に預け入れている。 一方、本法人は、当該資金事業以外の事業の財源を賄うため、資金設置造成以前より、資金の定期預金等の預入先と同一の金融機関から当座借越契約による3億円程度の短期借入(16年度末現在3億5350万円)を繰り返し行っている。そして、当該金融機関との借入金に係る銀行取引約定書によれば、借入金の期限の到来や期限の利益の喪失等の場合には、当該金融機関はいつでも本法人の借入金と預金とを相殺できることとなっている。 そして、本法人は、10億2002万円(取得価格)の有価証券を保有しているものの、本資金以外の預金は16年度末現在で当該金融機関への2386万円しかない状況である。このため、定期預金等として預け入れている本資金が短期借入金と相殺されるおそれがあり、資金の管理として適切を欠いたものとなっている。 |
(イ)資金残高が過大に表示されているもの(1資金)
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 財団法人残留農薬研究所 | 新農薬等開発促進事業 496,101(436,279)千円
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昭和 53 |
貸付け 回転型 |
本資金による事業は、農薬の登録等の申請に必要な各種試験の円滑な推進により、新農薬等の開発を促進するため、農薬の開発のための毒性試験等に要する経費の立替えを行うものである。そして、実施要領では、本法人は、設置造成した資金の適正な管理を図るため、他の会計と区分して経理することとされている。 本事業の実施に当たっては、農薬メーカーから農薬の毒性試験等の委託を受けた場合、それに要する経費を資金会計から一般会計(本資金事業により行う試験も含めた各種受託試験に係る経費を一括して経理する会計)に振り替えるなどして使用し、当該農薬を登録できた場合には経費の全額を、登録できなかった場合には経費の半額を、農薬メーカーから納入させることになっている。 しかし、試験の中止申請に伴い農薬メーカーから返還させることになった立替金のうち特別の事情によって平成10年度に納入を免除した額等2880万円については、資金の保有額から控除すべきであるが、この処理を行わず、立替金として資産管理しているため、資金保有額が過大に表示されたままとなっている。 さらに、8年度から11年度までの受託試験のうち11件については、それぞれの所要経費のうち一部しか一般会計に振り替えていなかったりなどしていた。 また、本法人では、一般会計等資金会計以外の会計の決算については、寄附行為の規定に基づき、理事会の承認を得た上で所管大臣に届け出ているが、資金会計の決算については同様の手続を全く執っておらず、毎年実施されている所管省庁の検査においても検査を受けていない状況である。 |
(ウ)資金及び運用益を一時的に他事業の財源として使用しているもの(4資金)
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
農林水産省 | 財団法人食品流通構造改善促進機構 | 食品流通構造改善緊急対策事業資金 1,765,790(1,750,000)千円
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平成 4 |
貸付け 回転型 |
本資金による事業は、食品流通構造改善促進法(平成3年法律第59号)に基づく食品販売業近代化事業の一環として、食品流通の構造改善を緊急に実施することにより、食品に係る流通機構の合理化と流通機能の高度化を推進するなどのため、食品販売業者等が必要とする設備等の購入資金の一部を食品販売業者等に代わって本法人が一時負担し、これらの金利負担の軽減を図るものである。 本法人では、資金事業とは異なる一般的な経費や他の補助事業に要する経費に充てるため、必要額(平成14年度6000万円、15年度7000万円、16年度1億円)を本資金を管理している普通預金口座から一般会計口座へ振り替え、年度内に当該普通預金口座へ戻し入れる経理を14年度から16年度にかけて行っている。しかし、本資金は上記の事業の財源に充てるために造成されたものであることから、このような経理処理はその趣旨に沿わないものとなっている。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 社団法人潤滑油協会 | 潤滑油製造業近代化基金 2,855,000(同額)千円
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昭和 53 |
調査等その他 運用型 |
本資金は、潤滑油の安定供給の確保を図るため、潤滑油に関する品質・性能の試験研究等の事業の財源としてその運用益を充てるため設置造成されたものである。 しかし、本法人では、運用益を、従前より、本資金とは関係ない他事業の財源として一時的に使用し、年度末までに戻し入れる経理を毎年度繰り返しており(平成14年度約2800万円、15年度約3300万円、16年度約3200万円)、品質・性能の試験研究等の事業の財源に充てるという本資金の造成趣旨に沿わない経理処理となっている。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 社団法人全国石油協会 | 特定事業基金 2,011,300(2,000,000)千円
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昭和 48 |
調査等その他 運用型 |
本資金は、良質な石油製品の安定供給の確保を図ることを目的に、本法人が実施する石油製品販売業経営実態調査等の財源として、その運用益を充てるため設置造成されたものである。 一方、本法人は、本資金による事業のほかに石油製品の試買分析等を行う補助事業も実施しており、その分析費用、人件費等に対し別途国庫補助金の交付を受けている。 しかし、本法人では、上記補助事業において、補助金の概算払を受ける前の試買分析に用いる対象ガソリン等の購入代金や人件費の支払に、従前より、本資金の運用益を一時使用し、概算払を受けた後に戻し入れる経理を毎年度繰り返しており(平成15年度4939万円、16年度3430万円)、石油製品販売業経営実態調査等の財源に充てるという本資金の造成趣旨に沿わない経理処理となっている。 |
所管 省名 |
法人名 | 資金(事業)名 16年度末保有額(国庫補助金相当額) |
設置 年度 |
使途別分類 運営形態別分類 |
経済産業省 | 社団法人全国石油協会 | 石油製品販売業消費税転嫁円滑化基金 15,000,000(同額)千円
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昭和 63 |
利子助成 運用型 |
本資金は、消費税の導入に当たり、石油製品販売業における消費税の転嫁を円滑に行わせるため、経営の改善に向けた異業種への進出又は転換を行う揮発油販売業者に対する利子補給等の財源として、その運用益を充てるため設置造成されたものである。 一方、本法人は、本資金による事業のほかに、石油販売業者が経営高度化のために行う調査・セミナー等や、廃業により閉鎖する給油所等の地下タンク等の解体撤去費用を対象とした補助事業も実施しており、調査研究費、解体撤去費、人件費等に対し別途国庫補助金の交付を受けている。 しかし、本法人では、上記補助事業において、補助金の概算払を受ける前の解体撤去費や人件費等の支払に、従前より、本資金の運用益を一時使用し、概算払を受けた後に戻し入れる経理を毎年度繰り返しており(平成14年度3672万円、15年度2億4754万円、16年度9842万円)、揮発油販売業者に対する利子補給等の財源に充てるという本資金の造成趣旨に沿わない経理処理となっている。 |