科目
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一般勘定(一般経理)
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部局等の名称
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独立行政法人中小企業基盤整備機構本部、北海道支部ほか8支部、中小企業大学校旭川校ほか8校
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経理の根拠
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独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成14年法律第147号)
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一般勘定(一般経理)の業務の概要
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中小企業者が共同して経営基盤の強化を図るために行う高度化事業に対する資金の貸付け、中小企業大学校における人材育成等の研修等
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一般勘定(一般経理)において多額に保有されていた普通預金の平均残高
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219億4671万円(平成17年度)
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独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成14年法律第147号)に基づき、中小企業者その他の事業者の事業活動に必要な資金の貸付け、研修、出資、助成、債務の保証、地域における施設の整備、共済制度の運営等の事業を行っている。
機構の会計は、8勘定に区分されており、このうち、一般勘定については、中小企業者が共同して経営基盤の強化を図るために行う高度化事業に対する資金の貸付け(以下、この貸付金を「高度化貸付金」という。)、中小企業大学校における人材育成等のための研修、ベンチャー企業等への出資などの業務を経理する「一般経理」と、繊維事業者に対する助成、債務保証等を経理する「繊維関連業務経理」の2つの経理単位に区分されている。
一般経理の資金について、機構の本部では、入金した資金及び当座の支払に必要な資金は、主に業務区分ごとに普通預金口座を設けて管理している。
また、機構が全国に設置している北海道支部ほか8支部及び中小企業大学校旭川校ほか8校(注)
(以下、支部及び中小企業大学校を併せて「支部等」という。)においても一般経理に係る業務を行っており、業務に必要な資金は、普通預金口座を設けて管理し、収入金を充てて不足する分は本部から定期又は随時に送金を受けている。
そして、機構では、年間の資金収支計画上1年以上の長期にわたり運用可能となる資金を余裕金として、「独立行政法人中小企業基盤整備機構余裕金運用要領」(平成17年要領第33号。以下「運用要領」という。)に基づき、本部が金融債等の有価証券等により運用している。
近年、高度化貸付金に係る貸付額が償還額を大幅に下回っていることなどにより、機構の一般経理においては、保有する資金が著しく増加している(別掲第4章第2節国会からの検査要請事項に関する報告参照
)。
そこで、経済性・効率性等の観点から、本部及び支部等において、資金が適切に管理され、かつ効率的に運用されているかなどに着眼し、現金・預金残高報告書、預金通帳等により検査した。
平成17年度における一般経理の主な資金の受払状況についてみると、定期預金、譲渡性預金、金融債等の満期到来額及び高度化貸付金の償還額の合計が月平均781億1668万余円に上っていたのに対し、高度化貸付金の貸付額、出資金の交付額及び借入金の返済額の合計は月平均34億8147万余円にすぎない状況となっていた。
機構では、このように、毎月、事業に必要な資金を大幅に超過する入金があるため、運用が可能となった資金については、前記のとおり、運用要領に基づき、本部で一元的に運用を行うこととし、定期預金や譲渡性預金に預け入れたり、金融債等の購入に充てたりしていた。しかし、普通預金にも常時多額の残高があり、その17年度の平均残高は219億4671万余円に上っていて、資金需要を大幅に上回っていた(次表参照)
。
(単位:百万円)
区分
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16年度末残高
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17年度
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17年度末残高
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平均残高(構成割合(%))
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運用利回り(%)
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||||
普通預金
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14,448
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21,946
(6.2)
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0.001
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8,295
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うち本部管理分
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13,862
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19,877
|
/
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7,672
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うち支部等管理分
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585
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2,068
|
/
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622
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定期預金
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—
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23,593
(6.6)
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0.068
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86,700
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譲渡性預金
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171,500
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120,624
(34.2)
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0.042
|
20,000
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金融債等
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153,000
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186,041
(52.8)
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0.682
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269,000
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計
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338,948
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352,206
(100.0)
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0.379
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383,995
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また、前記のとおり、普通預金の一部は支部等において管理されているが、各支部等の平均残高は、毎月の事業の運営等に要する経費(平均2487万余円)の4.6箇月分に相当する1億1493万余円に上っており、多額の資金が常時滞留している状況となっていた。
以上のように、機構において、一般経理の資金の管理及び運用に当たり、毎月の資金の受払いの時期やその額を的確に把握していなかったことから、多額の資金を普通預金として保有している事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、資金の管理及び運用に関し、機構において、17年9月に運用要領を定めていたものの、保有している資金の状況を適時適切に把握し、資金収支を的確に予測するための取扱基準を整備していなかったこと、また、資金管理の担当部門と、高度化貸付金の貸付けや償還業務、研修業務等を行う各部門、各支部等との相互の連絡、調整が十分にできるような体制を整備していなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、機構では、18年5月に、資金の管理、運用に関する準則を整備するなどして、定期的な資金収支の予測の下に資金を適切に管理することにより、運用可能な資金額や期間を的確に把握し、効率的に運用する体制を整備するとともに、支部等における資金の滞留を解消する処置を講じた。
そして、機構が改善の処置を講じた結果、18年8月末現在の一般経理の普通預金残高は、前年同月末の113億3470万余円(保有資金残高の3.2%)から14億5592万余円(同0.3%)へと大幅に減少し、保有する資金が、定期預金や金融債等によって、より効率的に運用されるようになっている。