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  • 平成17年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等|
  • 第2節 国会からの検査要請事項に関する報告

国会からの検査要請事項に関する報告


<参考:報告書はこちら>

第7 中心市街地活性化プロジェクトの実施状況に関する会計検査の結果について

要請を受諾した年月日
平成17年6月8日
検査の対象
経済産業省、国土交通省、市区町村等
検査の内容
中心市街地活性化プロジェクトについての検査要請事項
プロジェクトに係る17年度末の市区町村数
603市区町村
報告を行った年月日
平成18年10月25日

1 検査の背景及び実施状況

(1)検査の要請の内容

 会計検査院は、平成17年6月8日、参議院から、下記事項について会計検査を行い、その結果を報告することを求める要請を受けた。

一、会計検査及びその結果の報告を求める事項

(一)検査の対象

 国土交通省、経済産業省など

(二)検査の内容

 中心市街地活性化プロジェクトについての次の各事項

1 平成10年度以降の省庁別事業費、国費負担額及び実施状況

2 プロジェクト実施機関の人的体制・財政基盤

3 中小企業の活性化等プロジェクトの有効性

(2)平成15年度決算審査措置要求決議の内容

 参議院決算委員会は、17年6月7日に検査を要請する旨の上記の決議を行っているが、同日に「平成15年度決算審査措置要求決議」を行っている。
 このうち、上記検査の要請に関連する項目の内容は、以下のとおりである。

31 中心市街地における商業活性化対策の有効性について

 中心市街地における商業活性化対策については、中核であるテナントミックス事業や空き店舗解消事業等の実施に当たり、中心となるべきタウンマネジメント機関(TMO)に十分な人的体制や財政的基盤が備わっていない、ひいては本来のTMO事業の趣旨が十分に浸透しておらず、TMOに期待される本来の機能が発揮されていないとの会計検査院の報告がある。
 中心市街地における市街地の整備改善等の予算額については、国土交通省関係で平成17年度予算で事業費1兆825億円、そのうち国費負担5,369億円、平成10年度以降の総額で事業費8兆9,319億円、そのうち国費負担4兆5,821億円となっている。
 同活性化対策が、中小企業の活性化等、真に中心市街地活性化に結び付いているのか、政府及び会計検査院は、その執行の有効性について、調査・検討及び会計検査を行う必要がある。

(3)検査対象の概要

ア 検査対象の背景

 モータリゼーションの進展、消費者の行動パターンの変化、大規模小売店舗の郊外展開の加速化等により、「街の顔」ともいうべき中心市街地の衰退や空洞化が進行しているとの現状認識の下、10年に「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律」(平成10年法律第92号。以下「法」という。)が制定され、併せて「大規模小売店舗立地法」(平成10年法律第91号)が制定されるとともに、「都市計画法」(昭和43年法律第100号)が改正された(以下、これらを総称して「まちづくり三法」という。)。

イ 法に基づく中心市街地の活性化を図るための仕組み

(ア)基本方針及び基本計画

 法によれば、主務大臣は中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならないとされており、市町村は、これに基づき市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を作成することができるとされている。

(イ)基本計画に定められる事業と国等の支援措置

 基本方針では、国は、市町村に対し、選択可能な各種支援措置の整備に努めることとされている。
 また、都道府県は、国と同様に必要な体制整備を行い、市町村への適切な支援等を行うことが望ましいとされている。

(ウ)TMO及びTMO構想

 基本計画に中小小売商業高度化事業(注1) に係る事項が盛り込まれている場合、商工会、商工会議所等は、当該事業に関する総合的かつ基本的な構想を作成し、市町村が認定をするものとされている(以下、認定された構想を「TMO構想」という。)。また、認定を受けた者は認定構想推進事業者(いわゆるタウンマネージメント機関。以下「TMO」という。)とされ、TMO構想を総合的に推進し、中心市街地における商業集積の一体的かつ計画的な整備を図ることとなる。

 中小小売商業高度化事業 中心市街地における中小小売商業の高度化を図るための事業(アーケード、駐車場等を整備する中心市街地商店街整備事業等)


(エ)中心市街地整備推進機構

 市町村長は、中心市街地の整備改善に資する建築物等を整備する事業等の業務を適正かつ確実に行うことができると認められる公益法人を中心市街地整備推進機構として指定することができるとされている。

(オ)中心市街地の活性化を図るためのその他の施策

 法に基づくもののほか、国は、各市区町村の中心市街地の活性化の取組に対する診断・助言、情報提供の実施等の委託事業等を行っている。

ウ 法の改正等

 18年5月、法及び都市計画法が改正され、同年9月に「中心市街地の活性化を図るための基本的な方針」(平成18年9月8日閣議決定。以下「新基本方針」という。)が定められた。

(4)検査の対象、観点及び着眼点

 本院は、10年度以降実施されている中心市街地活性化プロジェクト(以下「プロジェクト」という。)について、主として、国土交通省、経済産業省及びプロジェクトの実施主体である市区町村等を対象とし、有効性等の観点から、プロジェクトが中心市街地の活性化に結び付いているか、各事業の実施状況、実施体制等に着眼して検査した。

(5)検査の方法

 検査に当たっては、経済産業省、国土交通省等から各種資料の提出を受け、説明の聴取等を行った。また、10年度以降にプロジェクトを計画・実施している603市区町村(17年度末現在)から、687地区のプロジェクトに係る各種資料の提出を受けるとともに、うち351市区町村等について実地検査を実施した。

2 検査の結果

(1)平成10年度以降の省庁別事業費、国費負担額及び実施状況

 経済産業省以外の府省庁、多くの市町村等では、プロジェクトに係る事業費、国費負担額等を集計、整理していなかった。そこで、本院において、プロジェクトに係る事業費等を集計するとともに、基本計画の作成、内容及び実施状況を検査した。

ア 10年度以降の省庁別事業費及び国費負担額

 10年度から16年度までのプロジェクトに係る省庁別事業費及び国費負担額は、次の〔1〕〜〔3〕の事業に係るもので、表1のとおりである。
〔1〕 基本計画に定められた事業(ただし、〔2〕のTMO構想に定められた事業に係るものについては除く。)
〔2〕 TMO構想に定められた事業
〔3〕 国において実施している委託事業等

表1 10年度以降の省庁別事業費及び国費負担額
上段:事業費
下段:国費負担額
(単位:千円、%)

省庁名
10年度
11年度
12年度
13年度
14年度
15年度
16年度
割合
内閣府
411,130
2,503,806
2,235,949
2,571,862
4,458,944
3,497,678
2,048,058
17,727,429
0.3
226,020
1,503,182
1,375,567
1,432,552
1,907,551
2,376,374
1,270,162
10,091,410
0.5
 
内閣本府
18,346
230,055
129
248,530
0.0
18,346
213,735
129
232,210
0.0
警察庁
244,676
224,349
212,442
175,833
169,518
115,312
1,142,130
0.0
122,338
112,174
106,221
87,916
84,823
57,720
571,194
0.0
防衛施設庁
 
411,130
2,259,130
2,011,600
2,359,420
4,264,765
3,098,105
1,932,617
16,336,769
0.3
226,020
1,380,844
1,263,393
1,326,331
1,801,289
2,077,816
1,212,313
9,288,006
0.4
総務省
3,742,892
7,887,583
13,448,460
8,406,291
5,145,638
1,780,971
6,169,579
46,581,416
0.9
2,630,222
4,734,955
4,897,141
3,372,154
1,855,422
662,684
567,562
18,720,143
0.9
法務省
 
2,435,984
824,113
3,260,098
0.0
2,435,984
824,113
3,260,098
0.1
文部科学省
995,835
6,201,416
2,589,660
7,491,460
11,480,137
14,709,702
7,822,540
51,290,752
1.0
604,305
1,833,796
1,288,861
4,651,110
3,055,607
3,594,059
2,283,754
17,311,493
0.8
厚生労働省
2,017,048
1,589,115
6,422,127
25,339,483
36,657,684
5,912,032
1,966,921
79,904,414
1.5
176,078
731,539
924,705
2,326,574
3,238,946
1,468,850
452,943
9,319,639
0.4
農林水産省
12,098,385
4,114,538
6,921,960
3,135,603
2,413,134
2,151,337
2,146,634
32,981,594
0.6
1,800,752
1,216,325
1,772,989
1,010,389
848,236
1,048,581
886,930
8,584,205
0.4
経済産業省
13,544,657
11,311,787
19,035,749
30,453,596
31,596,097
22,555,032
24,107,310
152,604,230
3.0
4,977,877
5,082,481
6,956,614
9,729,670
13,290,049
9,495,780
9,435,034
58,967,507
2.9
国土交通省
309,464,973
540,089,653
792,996,991
815,607,627
750,914,391
775,989,374
647,392,797
4,632,455,808
92.3
133,185,315
211,617,364
310,439,179
316,797,247
316,179,905
311,043,893
276,931,786
1,876,194,692
93.6
環境省
 
135,766
196,125
442,223
34,717
629,025
63,519
1,501,377
0.0
44,250
55,051
90,022
8,568
157,317
25,234
380,442
0.0
344,710,907
574,657,781
843,847,023
893,448,147
842,700,745
827,225,154
691,717,363
5,018,307,123
100.0
146,036,556
227,588,007
327,710,110
339,409,719
340,384,287
329,847,541
291,853,409
2,002,829,631
100.0

 ※印は、中心市街地の活性化の支援策として、国庫補助事業等を示している府省庁である。
 なお、省庁は平成13年1月6日以降の省庁で整理した。


イ 基本計画の作成、内容及び実施状況等

(ア)基本計画の作成状況等

 17年度までに687地区の基本計画が作成されていた。その中には、基本計画で定められた中心市街地の区域の形状が一体的、一団的であるとはいえない地区が見受けられた。

(イ)基本計画の内容及び基本計画に定められた事業の実施状況

 基本計画に定められた事業の実施状況を検討するには基本計画の作成からある程度の期間が必要であることから、10年度から12年度までに作成された455地区の基本計画を検査したところ、次のような状況となっていた。
〔1〕 基本計画の作成に当たり、市区町村が地域住民等の意向を把握していなかったものが、137地区となっていた。
〔2〕 中心市街地の区域に商業系用途地域が全く含まれていない地区が1地区となっていた。また、市街化調整区域が含まれている地区が22地区、非線引き都市計画区域の白地地域(用途地域が定められていない地域)が含まれている地区が39地区となっていた。
〔3〕 年間商品販売額や歩行者通行量等の具体的な数値目標を設定している地区は25地区にとどまっていた。
〔4〕 土地区画整理事業、商業・サービス業集積関連施設整備事業等の具体的な事業が記載されている地区の基本計画の中には、事業が構想段階にあり、その内容が具体化されていないものが含まれていた。また、事業の実施時期については、18地区において「短期・中期・長期」とされていて明確となっていなかったり、6地区において全く記載されていなかったりしていた。
 また、10、11両年度に作成された329地区の基本計画のうち294地区では、5年以内に着手できるとした事業が定められていたが、そのうち282地区では、地権者、関係者の合意形成が図られていないことなどのため、5年を経過しても着手していない事業が含まれていた。

(2)プロジェクト実施機関の人的体制・財政基盤

 本院では、プロジェクト実施機関の人的体制・財政基盤について、市区町村、中心市街地整備推進機構及びTMOを取り上げて検査することとした。
 また、併せて、国、都道府県等の市区町村に対する支援体制の整備状況等について検査することとした。
 検査に当たっては、16年度末までに作成された基本計画に基づく678地区(635市区町村)のプロジェクトを対象とした。

ア. 市区町村

 プロジェクトを実施している市区町村の人的体制・財政基盤の状況は、それぞれ次のとおりとなっていた。

(ア)人的体制

a 担当課室の状況

 プロジェクトを所掌する課室数は、678地区のうち基本計画の作成から間もないため職員数が把握できないなどとしている6地区を除く672地区において、計3,369課室となっていた。1地区当たりの課室数をみると、最も多いのは30課室、最も少ないのは1課室で、平均では5.0課室となっていた。課室数が1の地区は57地区となっていた。
 また、1地区当たりの担当職員数は、1人から5人が245地区と最も多くなっていた。そして、1地区当たりの平均担当職員数は15.5人となっていた。

b 連絡調整体制等の状況

(a)連絡調整会議

 市区町村における関係部局間の連絡調整を行うための連絡調整会議は、10年度から16年度までの間に、396地区で設置されていた。
 また、連絡調整会議を設置してから16年度までの間における同会議の開催回数は、同会議を設置している396地区のうち開催回数を把握できないなどの82地区を除く314地区において、年平均で1回未満が109地区と最も多くなっていた。
 そして、上記の314地区のうち16年度末までに同会議が廃止されているなどの67地区を除いた247地区のうち176地区において、同会議の開催回数は減少しており、同会議を設置したものの、翌年度以降開催実績のない地区も125地区となっていた。このように同会議の開催回数は、会議設置後、年数が経過するにつれて減少する傾向となっていた。

(b)窓口業務等を一元的に行う組織

 対外的な窓口業務等を一元的に行う組織は、10年度から16年度までの間において、295地区で設置されていた。
 また、この窓口業務等を一元的に行う組織の本来業務は、295地区から16年度末までに同組織が廃止された26地区を除く269地区のうち117地区の「商業の活性化事業」が最も多くなっていた。

(c)民間連携協議会

 中心市街地の活性化に一体となって取り組む民間組織との連携を円滑にするための民間連携協議会は、10年度から16年度までの間において、328地区で設置されていた。
 また、民間連携協議会を設置してから16年度までの間における同協議会の年平均開催回数は、上記328地区のうち開催回数を把握できない49地区を除く279地区において、4回以上が95地区と最も多くなっていた。
 なお、10年度から16年度までの間において、連絡調整会議、窓口業務等を一元的に行う組織及び民間連携協議会のいずれも設置していない地区は、129地区となっていた。

(イ)財政基盤

a 財政力指数の状況

 635市区町村の16年度の財政力指数(注2) は、0.50以上1.00未満となっているものが352市区町と最も多く、平均は0.60となっていた。なお、同年度の全国平均は0.46である。

 財政力指数 地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値


b 経常収支比率の状況

 16年度の経常収支比率(注3) は、90%以上となっているものが304市町村と最も多く、平均は89.8%となっていた。なお、同年度の全国平均は90.4%である。

 経常収支比率 この指標は経常的経費に経常一般財源収入がどの程度充当されているのかを見るものであり、比率が高いほど財政構造の硬直化が進んでいることを表す。


イ. 中心市街地整備推進機構

 基本計画を作成している635市区町村のうち、中心市街地整備推進機構を指定していたのは、2市となっていた。
 このうちの1市が指定した財団法人は、専任従事者は1人も置いていなかった。また、同財団法人は、自主財源確保のための収益事業を実施しておらず、その本来業務による都市整備事業収入等で経費を賄っていた。
 他の1市が指定した財団法人は、その業務に携わる人員は配置されていなかった。

ウ. TMO

 本院では、15年次及び16年次において、14年度末までに市区町村から認定を受けた北海道ほか42都府県の167TMOを対象に、TMOが本来の趣旨に沿って、合意形成等のコーディネーター的役割を適切に果たしているかなどに着眼して検査を実施した。その結果、事業を実施する上で十分な人的体制と財政的な基盤がTMOに備わっていない状況となっていることなどが判明したことから、これらの検査の状況を平成15年度決算検査報告に「特定検査対象に関する検査状況」として「タウンマネージメント機関(TMO)による中心市街地の商業活性化対策について」を掲記している。
 今回、上記の167TMOを検査したときと同様の着眼点から、16年度末までに認定された46都道府県の397TMOを対象にして検査を実施した。この397TMOの組織形態は、商工会、商工会議所及び公益法人がTMOであるもの(以下「商工会等TMO」という。)が278、特定会社(注4) がTMOであるもの(以下「特定会社TMO」という。)が119となっている。

 特定会社 中小企業者が出資している会社であって、大企業の出資割合等が2分の1未満であり、かつ、地方公共団体が発行済株式の総数又は出資金額の3%以上を所有又は出資している会社をいう。


(ア)人的体制

 16年度末における1TMO当たりの配置人員数は、上記の397TMOから16年度末までに破産等によりTMO認定が取り消されるなどした15TMOを除く382TMO(商工会等TMO265、特定会社TMO117)において、2人から3人が184TMOと最も多くなっていた。そして、1TMO当たりの平均配置人員数は2.8人となっていた。103TMOでは、従事者が1人となっていた。
 また、専任従事者を1人も置いていないTMOが234TMOとなっていた。
 この専任従事者の配置状況を、前記の167TMOを対象に検査したときの結果と比較したところ、14年度末時点と16年度末時点とでその割合に変化はなく、改善されたとは認められなかった。

(イ)財政基盤

 上記397TMOのうち、TMOの活動に係る収支を明確に区分していないなどの66商工会等TMO及び設立直後のため16年度末までに第1期の決算を迎えていないなどの6特定会社TMOを除く325TMO(商工会等TMO212、特定会社TMO113)について、TMO認定を受けてから16年度末までの財政基盤の状況は以下のとおりとなっていた。
 212商工会等TMOの財源の状況は、TMOの活動に係る支出の50%以上を国、都道府県及び市町村からの補助で賄っているものが155TMOとなっていた。そして、212TMOのうち、収益事業を実施しているものは27TMOにすぎないが、このうち25TMOはTMOの活動に係る支出の50%以上を国等からの補助で賄っていた。
 また、113特定会社TMOの財源の状況は、104TMOで物品販売事業、店舗等の賃貸事業等の収益事業を実施していた。そして、113TMOのうち79TMOでTMOの活動に係る支出の50%以上を自主財源で賄っていたが、自主財源が50%を超えるTMOにおいても、市区町村等からの受託収入の割合が50%を超えるものが20TMOとなっていた。

エ. 国、都道府県等の支援体制

(ア)国

 国は、基本計画に定められた事業に対する支援を行うため、10年8月に関係13省庁(18年3月末現在8府省庁)による中心市街地活性化関係省庁連絡協議会を発足させている。10年度から16年度までの間において、同協議会は、局長級の会議を1回、課長級の会議を延べ27回開催するなどしており、基本計画に定められた各年度の事業に対して重点的に支援を行うための協議や、中心市街地活性化施策に関する状況報告等が行われている。
 また、国は、市区町村からの各種問い合わせ・相談などに対応する関係府省庁の統一窓口として、10年7月に中心市街地活性化推進室を開設しており、総務省、経済産業省及び国土交通省を中心に2人から4人の職員が勤務している。
 さらに、主務省庁(注5) における法に基づく事務を所掌する課室数及び担当職員数は、10年度から16年度までの間において、課室数は10課程度、また、担当職員数は30人程度となっていた。

 主務省庁 総務省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省(13年1月5日以前は農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、建設省及び自治省)


(イ)都道府県

a 担当課室の状況

 プロジェクトを所掌する課室数は、47都道府県において計326課室となっていた。1都道府県当たりの課室数をみると、最も多いのは42課室、最も少ないのは1課室で、平均で7課室となっていた。
 また、上記の326課室に所属する職員6,624人のうち中心市街地の活性化に関する事務を担当する職員は1,193人となっていた。一方、中心市街地の活性化に関する事務を担当する職員が10人以下である都府県は19となっていた。

b 連絡調整体制の状況

 都道府県の関係部局間の連絡調整を行うための会議は、10年度から16年度までの間において、35道府県で設置されていた。同会議を設置してから16年度までの間における開催回数は、35道府県のうち開催回数が把握できない3県を除く32道府県において、年平均で1回未満が15府県となっており、16年度末において2年以上開催実績がない府県が14となっていた。
 また、市町村からの問い合わせ等に対する窓口業務等を行う組織は、23道府県で設置されていた。この窓口業務等を一元化している23道府県の組織の本来業務は、「商業の活性化事業」が19府県と最も多く、「市街地の整備改善事業」が3道県、「市町村に対する総合的な支援等」が1県となっていた。

c 市区町村に対する支援・助言

 基本計画について市区町村に対する助言を行っているのは、43都道府県となっていた。そのうち、各市町村の基本計画策定委員会等に委員やオブザーバーを派遣しているのは、23県となっていた。また、市区町村に対して、国、都道府県の支援事業や全国の取組事例の情報提供などを実施していたが、基本計画相互の整合性確保やそれぞれの事業の連携促進を図ることを含めた広域的観点からの支援・助言はほとんど行われていなかった。

(3)中小企業の活性化等プロジェクトの有効性

 本院では、プロジェクトの有効性について、12年度までに基本計画が作成された455地区のプロジェクトを対象として、人口、事業所数、年間小売商品販売額等の指標の動向から分析するとともに、プロジェクトにおいて実施された事業の種別、都市計画上の用途地域の状況等の地区の特性と各指標との関係を分析した。

ア 人口、事業所数、年間小売商品販売額等からみたプロジェクトの有効性

 プロジェクトに投じられた事業費(以下「プロジェクト事業費」という。)と、中心市街地の人口等の指標の推移に着眼し、事業所・企業統計(3年は事業所統計)及び商業統計調査の行われた3年、9年(事業所数は8年)及び16年の数値を用いて、3年から8年又は9年までの間(以下、この期間を「プロジェクト実施前」という。)の指標の年平均増加率(以下単に「増加率」という。)と、8年又は9年から16年までの間(以下、この期間を「プロジェクト実施後」という。)の指標の増加率を比較するなどして、プロジェクトの実施が中心市街地の活性化に与えた影響を分析した。
 455地区の中心市街地のプロジェクト実施前後の各指標の増加率を全国との対比でみると、図1のとおりである。

図1 中心市街地及び全国の各指標増加率の状況

図1中心市街地及び全国の各指標増加率の状況

(ア)人口の推移からみたプロジェクトの有効性

 中心市街地の人口は、3年以降の推移を把握できた377地区の合計で、3年4,376千人、9年4,146千人、16年4,092千人となっている。
 人口の増加率の変化をみると、7割近くの260地区(68.9%)において全国平均値を上回っていた。また、プロジェクト実施前後で人口が減少から増加に転じていたのは50地区(13.2%)となっていて、これら50地区のプロジェクト事業費の平均は約274億円と、377地区の平均約155億円より大きくなっている。
 このように、プロジェクトの実施は、中心市街地の人口の下げ止まりに一定の寄与があったと思料された。

(イ)事業所数の推移からみたプロジェクトの有効性

 中心市街地の事業所数は、3年以降の推移を把握できた454地区の合計で、3年873,852事業所、8年826,425事業所、16年680,457事業所となっている。
 事業所数の増加率の変化をみると、261地区(57.4%)において全国平均値を上回っていた。また、プロジェクト実施前後で事業所数が減少から増加に転じていたのは18地区(3.9%)となっていて、これら18地区のプロジェクト事業費の平均は約86億円と、454地区の平均約142億円より小さくなっている。
 このように、プロジェクトの実施は、中心市街地の事業所数に対し影響があったといえるような状況には必ずしもなっていなかった。

(ウ)年間小売商品販売額等の推移からみたプロジェクトの有効性

a 中心市街地の年間小売商品販売額の推移

 中心市街地の年間小売商品販売額(以下「販売額」という。)は、3年以降の推移を把握できた438地区の合計で、3年17兆6791億円、9年16兆2910億円、16年11兆1701億円となっている。
 販売額の増加率の変化をみると、105地区(23.9%)において全国平均値を上回っていた。また、プロジェクト実施前後で販売額が減少から増加に転じていたのは13地区(2.9%)となっていて、これら13地区のプロジェクト事業費の平均は約188億円と、438地区の平均約145億円より若干大きくなっている。

b 中心市街地における商店数及び空き店舗数の推移

 中心市街地の商店数は、前記438地区の合計で、3年169,289店舗、9年151,949店舗、16年115,081店舗となっている。
 商店数の増加率の変化をみると、59地区(13.4%)において全国平均値を上回っていた。また、プロジェクト実施後で商店数が減少から増加に転じていたのは14地区(3.1%)となっていて、これら14地区のプロジェクト事業費の平均は約177億円と、438地区の平均約145億円より若干大きくなっている。
 中心市街地の空き店舗数は、基本計画を作成した年度と16年度(それぞれ該当する年度に調査していない場合は前後の年度。(エ)において同じ。)の間の空き店舗数の変化を把握できた173地区の合計で、基本計画を作成した年度には6,949店舗、16年度には8,126店舗となっており、この間で16.9%増加していた。この173地区のうち、空き店舗が増加していたのは105地区(60.6%)、減少していたのは68地区(39.3%)となっていた。
 このように、中心市街地の商業の状況は、販売額が全国と比べて大きく減少しているなどしていて、プロジェクトの実施により活性化しているといえるような状況には必ずしもなっていなかった。

(エ)歩行者通行量の推移からみたプロジェクトの有効性

 中心市街地における「にぎわい」を示すとされる歩行者通行量は、基本計画を作成した年度と16年度の歩行者通行量を把握できた平日142地区、休日140地区についてみると、増加しているのは平日26地区(142地区の18.3%)、休日22地区(140地区の15.7%)となっていた。
 また、歩行者通行量が増加している地区のプロジェクト事業費の平均は、平日26地区が約154億円、休日22地区が約177億円で、全体の平均(平日142地区約201億円、休日140地区約228億円)に比べて小さくなっていた。
 このように、一部の地区で「にぎわい」の回復がみられるものの、プロジェクトの実施により中心市街地の「にぎわい」が回復しているとは認められなかった。

イ 事業の種別、都市計画上の用途地域の状況などの地区の特性等とプロジェクトの有効性

 プロジェクトが効果を発現するかどうかには、事業費の大きさばかりでなく、実施される事業の種別、都市計画上の用途地域の状況、大規模小売店舗(大規模小売店舗立地法にいう大規模小売店舗で、売場面積が1,000m 以上のもの。以下同じ。)や公共・公益施設の立地状況といった地区の特性等が影響を与えると考えられる。そこで、455地区の地区の特性等と、事業費及び各指標の増加率の変化等との関係を分析し、どのような特性がプロジェクトの有効性に影響を与えるかを検討した。
 分析に当たっては、455地区のうち、プロジェクト実施前後の人口、事業所数及び販売額の3指標(以下「3指標」という。)の増加率の変化がすべて全国平均値を上回っていた39地区(455地区の8.6%。以下、「A群」という。)と、3指標の増加率の変化がすべて全国平均値を下回っていた43地区(455地区の9.5%。以下、「B群」という。)を取り上げ、比較検討した。
 A群及びB群の3指標の増加率の変化、平均事業費及び地区の特性等は、表2のとおりである。

表2 A群とB群の比較

A群

B群

(参考)455地区

地区数
39
43
 
455
3指標の増加率の変化
 人口
 事業所数
 年間小売商品販売額
ポイント
1.19
-0.04
1.53
ポイント
-0.87
-3.39
-9.95
差A-B
2.06
3.35
11.49
ポイント
0.43
-1.26
-6.30
 
プロジェクト事業費
 市街地整備改善事業費
  面整備事業費
  道路事業費
  住宅事業費
 商業等活性化事業費
  商業施設等整備事業費
  空き店舗活用事業費
46,081,413,143
42,689,454,801
16,973,348,718
10,028,935,162
581,620,860
3,302,415,914
786,238,527
71,340,311
9,290,124,231
8,898,138,807
2,983,839,426
3,073,777,680
138,710,509
387,738,608
140,789,346
25,164,414
比率A/B
4.96
4.80
5.69
3.26
4.19
8.52
5.58
2.83
14,185,563,639
12,878,451,642
4,335,646,536
3,677,122,797
282,039,565
1,237,888,232
311,339,603
35,225,524
中心市街地の状況
 中心市街地の面積
 中心市街地の人口(平成9年)(人)
 土地利用の状況
  商業系用途地域の比率
  住居系の地域の比率
 大規模小売店舗
  区域外の立地件数
   (売場面積)
  区域内の立地件数
   (売場面積)
  区域内からの撤退件数
   (売場面積)
 公共・公益施設
  新規立地件数
   区域内
   区域外
  移転件数
   区域内から区域外へ
   区域外から区域内へ
 
 空き店舗伸び率
   (地区数)
 
194ha
14,842
 
57.4%
28.3%
 
8.95
(53,736m2 )
4.23
(36,020m2 )
0.54
(2,040m2 )
 
0.44
0.44
 
0.92
0.12
 
-0.8%
(12)
 
128ha
9,253
 
51.6%
39.4%
 
6.47
(38,545m2 )
3.05
(16,316m2 )
0.49
(2,613m2 )
 
0.29
0.32
 
0.57
0.10
 
34.3%
(19)
比率A/B
1.52
1.60
差A-B
5.8
-11.1
比率A/B
1.38
(1.39)
1.39
(2.21)
1.10
(0.78)
 
 
1.52
1.36
 
1.62
1.20
差A-B
-35.1
 
 
139ha
10,918
 
54.5%
34.9%
 
8.68
(53,784m2 )
3.18
(22,641m2 )
0.58
(3,169m2 )
 
0.31
0.45
 
0.54
0.10
 
34.9%
(180)
中心市街地の所在する市区町村の状況
 人口(平成9年)(人)
 
 財政力指数(平成16年)
 経常収支比率(平成16年)
 都市計画区域の状況
  都市計画区域が指定された市区町村数
   (うち用途地域の定めがないもの)
  都市計画区域が指定されていない市町村数
 
298,463
 
0.71
88.8%
 
39
(1)
0
 
115,727
 
0.59
89.9%
 
38
(2)
5
比率A/B
2.58
差A-B
0.11
-1.1
 
 
 
 
 
136,827
 
0.63
89.5%
 
435
(17)
20
人的体制
 連絡調整会議の設置数
 
  (基本計画作成後の平均開催回数)
 窓口業務を一元的に行う組織の設置数
 
 民間連携協議会の設置数
 
  (基本計画作成後の平均開催回数)
 TMOの認定状況
 
 
24
(61.5%)
(2.09)
16
(41.0%)
18
(46.1%)
(4.81)
32
(82.0%)
 
24
(55.8%)
(1.41)
19
(44.1%)
18
(41.8%)
(2.30)
23
(53.4%)
差A-B
 
5.7
0.68
 
-3.1
 
4.3
2.51
 
28.6
 
270
(59.3%)
(1.31)
200
(43.9%)
197
(43.2%)
(3.25)
303
(66.5%)

注(1)
 地区数及び市区町村数以外はすべて平均値である。
注(2)
 地区数の下段のかっこ内の数値は、各群の全体地区数に対する割合である。

(ア)事業の種別による分析

 A群とB群のプロジェクト事業費を比較すると、面整備事業費及び商業等活性化事業費において、A群はB群の約5.7倍、約8.5倍となっており、大きな差がみられた。

a 面整備の事業の実施と3指標の増加率の変化との関係

 455地区における面整備事業費と3指標の増加率の変化との関係についてみたところ、3指標の増加率の変化の平均は、面整備の事業を実施している248地区(54.5%)ではそれぞれ0.67ポイント、マイナス1.47ポイント、マイナス5.41ポイント、面整備の事業を実施していない207地区(45.4%)ではそれぞれ0.13ポイント、マイナス1.01ポイント、マイナス7.39ポイントとなっていて、面整備事業の実施は人口及び販売額に影響を与えていると思料された。

b 商業等活性化事業の実施と3指標の増加率の変化との関係

 455地区における商業等活性化事業費と3指標の増加率の変化との関係についてみたところ、商業等活性化事業費が大きい地区ほど3指標の増加率の変化が良好である傾向が見受けられたが、商業等活性化事業費が大きい地区ほど市街地整備改善事業費も大きくなっていた。
 市街地整備改善事業のうち市街地再開発事業と、商業等活性化事業のうち商業施設等整備事業に着目してみると、これらの事業を両方実施している52地区の3指標の増加率の変化が最も良好で、どちらも実施していない271地区と比べると、人口で0.93ポイント、事業所数で0.26ポイント、販売額で2.20ポイント高くなっていた。ただし、これらの事業を両方実施している地区は、プロジェクト事業費の平均も527億円と著しく多額になっていた。

(イ)都市計画上の用途地域の状況等の影響の分析

 455地区について都市計画の状況をみたところ、都市計画区域が指定されていないか、都市計画区域が指定されていても用途地域が定められていない市町村の中心市街地は37地区(8.1%)あり、プロジェクト事業費は平均約28億円、3指標の増加率の変化は平均でそれぞれマイナス0.01ポイント、マイナス0.96ポイント、マイナス10.58ポイントとなっていて、455地区の平均と比べると人口増加率が改善しておらず、販売額の増加率の減少幅もより大きくなっていた。
 次に、用途地域の状況についてみたところ、中心市街地の面積に対し商業系用途地域の面積が占める比率はA群がB群より大きかったことから、さらにア(ウ)aの438地区について、商業系用途地域の比率が50%以上の地区と50%未満の地区に区分して比較すると、販売額の増加率の変化は、前者は235地区(53.6%)の平均でマイナス5.35ポイント、後者は203地区(46.3%)の平均でマイナス7.40ポイントとなっていて、前者の方が販売額の増加率の減少幅が小さくなっていた。
 このように、都市計画上の用途地域の状況等はプロジェクトの有効性に影響を与えるものと思料された。

(ウ)大規模小売店舗及び公共・公益施設の立地の影響の分析

 中心市街地の空洞化の原因として、大規模小売店舗の郊外への展開や、市役所、病院等の公共・公益施設の中心市街地から郊外への移転が挙げられる。
 A群とB群の大規模小売店舗の立地状況を比較すると、中心市街地の区域内外を問わず立地する大規模小売店舗の数はA群の方が多くなっており、区域内の大規模小売店舗の売場面積はA群がB群の2倍以上となっていた。また、A群とB群の公共・公益施設の立地状況を比較すると、区域内の新規立地件数はA群がB群に比べて多くなっていた。

a 大規模小売店舗の立地の影響の分析

 中心市街地の商業等に影響を与えている大規模小売店舗が中心市街地の区域内又は区域外に立地するとしている419地区のうち、中心市街地の区域内に立地する大規模小売店舗の売場面積が区域外に立地する大規模小売店舗の売場面積より大きい地区は86地区(20.5%)、その逆の地区は333地区(79.4%)となっていた。
 これらの86地区及び333地区について、売場面積が10,000m 以上の大規模小売店舗(以下「大型店」という。)が中心市街地の区域内又は区域外にあるか否かと、販売額の増加率の変化等についてみると、区域内の大規模小売店舗の売場面積が大きい86地区のうち、大型店がある50地区はマイナス4.17ポイント、大型店がない36地区はマイナス8.37ポイントとなっており、区域内の大規模小売店舗の売場面積が小さい333地区のうち、大型店がある248地区はマイナス5.76ポイント、大型店がない85地区はマイナス7.84ポイントとなっていた。
 このように、区域内の大規模小売店舗の売場面積が区域外よりも大きく、大型店がある場合は、中心市街地に一定の集客力が保たれていることなどにより、プロジェクトの効果が比較的現れやすいものと思料された。

b 公共・公益施設の立地の影響の分析

 公共・公益施設の立地状況に移転等による変化があったとする317地区のうち、施設が中心市街地の区域内から区域外へ移転等した件数が、区域外から区域内へ移転等した件数を上回っていたか又は同じ地区は271地区(85.4%)、その逆の地区は46地区(14.5%)となっていた。
 これらの271地区及び46地区の3指標の増加率の変化の平均についてみると、46地区では、それぞれ0.66ポイント、マイナス0.82ポイント、マイナス3.91ポイントとなっているのに対し、271地区では、それぞれ0.45ポイント、マイナス1.18ポイント、マイナス6.46ポイントと低くなっていた。
 このように、中心市街地の区域内にある公共・公益施設が区域外へ移転するなどの都市機能の郊外移転が進行している地区においては、プロジェクトの効果は発現しにくくなるものと思料された。

(エ)プロジェクト実施機関の人的体制・財政基盤の影響の分析

 A群とB群のプロジェクト実施機関の財政基盤を比較すると、平均財政力指数(16年)はA群0.71、B群0.59となっていた。また、プロジェクト実施機関の人的体制を比較すると、連絡調整会議及び民間連携協議会については、設置している地区の割合、平均開催回数ともにA群の方が多くなっており、TMOの認定状況については、A群の8割以上が認定しているのに対してB群は5割強にとどまっており、事業実施・推進体制に差がみられた。
 455地区について、民間連携協議会の設置状況等及びTMOの認定状況と3指標の増加率の変化の状況等についてみたところ、設置状況等にかかわらず平均財政力指数は0.62から0.65と大きな差はなく、3指標の増加率の変化の平均も、民間連携協議会を設置しかつTMOを認定している地区はそれぞれ0.56ポイント、マイナス1.17ポイント、マイナス5.66ポイントとなっており、民間連携協議会を設置しておらずTMOも認定していない地区はそれぞれ0.27ポイント、マイナス1.05ポイント、マイナス5.71ポイントとなっていて、大きな差がみられなかった。
 このように、民間連携協議会が設置されていたり、TMOが認定されていたりすることが、中心市街地の活性化に大きな影響を与えているといえるような状況には必ずしもなっていないが、これは、民間連携協議会でプロジェクトの検討等がなされてもTMOにおける専門的人材や自主財源の不足等により事業の実施に至らないなどの理由によるものと思料された。

3 検査の結果に対する所見

 国が10年から実施してきた中心市街地の活性化施策は、市街地の整備改善と商業等の活性化を一体的に推進することにより、中心市街地が快適で利便性の高い生活空間として、また、人、モノ、情報等の活発な交流による新たな経済活動の苗床として、豊かで活力ある地域経済社会の実現に貢献することが期待されてきた。
 このため、国においては、法に基づき基本方針を定め、この基本方針に基づき市町村が定めた基本計画の実施に向けた取組を促進するため、関係省庁が連携調整を図りつつ総合的に支援策を講ずることとされた。また、市区町村においては、中心市街地活性化を確実に実現するべく、地域住民、地権者等の事業関係者や中心市街地整備推進機構、TMO、商工会・商工会議所等の民間事業者との間で基本計画の内容に関する協議や調整を行うこととされた。
 今般、参議院からの要請を受け、検査を実施したところ、次のような状況となっていた。

ア 平成10年度以降の省庁別事業費、国費負担額及び実施状況

 10年度から16年度までの間に実施された中心市街地活性化プロジェクトに係る事業費は5兆0183億0712万円、これに対する国費負担額は2兆0028億2963万円となっていた。
 そして、基本計画の作成、内容及び実施状況等において、次のような事態が見受けられた。
(ア)経済産業省以外の府省庁、多くの市区町村は、中心市街地活性化プロジェクトに係る事業費及び国費負担額等を把握していなかった。
(イ)多くの地区において、市区町村は地域住民等の意向を把握していない。
(ウ)中心市街地の区域の形状が一体的、一団的なものとなっていない地区がある。
(エ)中心市街地の区域に、商業系用途地域を含めずに新たな市街地を創出することとしている地区がある。また、市街化調整区域及び非線引き都市計画区域の白地地域を中心市街地の区域に含め、新たに市街地として整備することとしている地区がある。
(オ)ほとんどの地区において、中心市街地の活性化の状況を評価するための具体的な数値目標を設定していない。
(カ)内容が具体化されていない事業を基本計画に含めていたり、事業の実施時期が明確でなかったり、記載されていなかったりしている地区がある。
(キ)基本計画の作成から5年以内に着手できるとした事業を定めているほとんどの地区において、地権者、関係者の合意形成が図られていないことなどのため、5年を経過しても着手していない事業が含まれている。
 なお、これらの点については、新基本方針において次のような措置が講じられている。
(ア)国は、市町村から、毎年度、基本計画に位置付けられた取組の実績額や進ちょく状況等について報告を受け、これらを把握することとされている。
(イ)市町村は基本計画を作成するに当たり、地域住民等の意向を把握し、分析することとされている。
(ウ)中心市街地の区域を設定するに当たり、事業の実施範囲からみて、各種取組が総合的かつ一体的に実施することが可能な範囲となるよう定めることとされている。
(エ)これまで都市機能の集積がなく、今後新たに市街地として整備する地区等を含めて広く中心市街地の区域とすることは適当ではないとされている。
(オ)基本計画に、人口、歩行者通行量、事業所数等の定量的な指標に基づく数値目標を設定することとされている。
(カ)基本計画に定められる事業は、事業を実施する主体が特定されており、その実施スケジュールが明確であることが必要であるとされている。
(キ)基本計画には、取組等の効果が発現する時期等を考慮しておおむね5年以内を目安に計画期間を適切に設定し、事業が円滑かつ確実に実施されるようにするものとされている。

イ プロジェクト実施機関の人的体制・財政基盤

 プロジェクト実施機関のうち、市区町村では、民間組織との連携を円滑にするための協議会の設置が5割程度にとどまっており、設置していても約4割の地区では年平均開催回数が0回から2回未満となっていた。また、TMOでは、専任従事者を1人も置いていないものが6割以上となっており、その活動に係る支出の5割以上を国、都道府県及び市町村の補助で賄っている商工会等TMOが7割あるなどしていた。このように、基本計画に基づく各種事業を円滑かつ効率的に実施していくために重要と考えられる地域住民、地権者等との連携体制の整備及び財政基盤の確立に対する取組が必ずしも十分とはいえない状況が見受けられた。

ウ 中小企業の活性化等プロジェクトの有効性

 プロジェクト実施後の中心市街地の状況についてみると、人口については比較的多くの地区において下げ止まりがみられるが、年間小売商品販売額等については一部の地区を除いて下げ止まりがみられない状況となっていた。また、人口、年間小売商品販売額等の増加率が全国平均値を上回っている地区は、面整備の事業や商業等活性化事業等を多く行っている地区や、大規模小売店舗や公共・公益施設が中心市街地の区域内に比較的多く立地している地区などに多い傾向が見受けられた。さらに、TMOや民間連携協議会を設置していても、連携の推進に向けた活動が低調であったり、TMOにおける専門的人材や自主財源の不足等により事業の実施に至らなかったりしているなどのため、プロジェクトの効果が上がっているといえるような状況には必ずしもなっていなかった。
 このように、プロジェクトが効果を上げているといえるような状況には必ずしもなっていない中で、プロジェクトの実施が3指標の下げ止まりなどに影響を与えていると思料される地区も見受けられ、これらの地区においては、地区の特性等を踏まえて、例えば次のような施策が講じられていた。
(ア)住民や消費者のニーズを踏まえ、中心市街地の核となるような適切な規模の住宅・商業施設を整備することにより、人口の定住化を図るとともに商業の活性化を図っている
(イ)中心市街地の人口規模等に応じた内容の市街地整備改善事業等を実施している
(ウ)商業の活性化に率先して取り組む地元の商業者の活動を支援する形で商業等活性化事業等を実施している
(エ)市街地整備改善事業と商業等活性化事業が複合して効果を生ずるよう、適切な計画の下に集中的に事業を実施している
 今後の中心市街地活性化施策においては、人口増加を前提とした従来型の制度設計ではなく、人口が減少し高齢化が加速する時代に通用し、多くの人にとって暮らしやすい、持続可能なまちづくりを実現するための基本的な方針を確立し実施していくことが望まれている。
 そして、国は、改正後のまちづくり三法の下、新基本方針を定め、「選択と集中」の原則により、内閣総理大臣から認定を受けた基本計画に基づき多様な都市機能の増進と経済活力の向上に意欲的に取り組む市区町村を重点的に支援していくこととしている。
 したがって、改正後のまちづくり三法に基づく中心市街地活性化施策の実施に当たっては、次の点に留意することが望まれる。
ア 市区町村において、中心市街地が将来目指すべき方向を見定め、改正後のまちづくり三法及び新基本方針等を踏まえ、地域の実情に応じた適切かつ具体的な基本計画を作成し、施策を確実に実現するための事業推進体制及び施策の進行管理のための体制の整備・充実を図り、明確な目標を定めて施策を実現していくこと
イ 国等において、効果的な施策の実施に積極的に取り組む市区町村の事業推進体制等の整備状況等を踏まえつつ中心市街地活性化のための地域の取組を適切に評価する仕組みを整備し、厳しい財政状況の下、中心市街地における都市機能の増進、経済活力の向上、「にぎわい」の回復等のための一体的な取組が効果的になされるよう効率的な国費等の投入を行っていくこと

 なお、本院としては、まちづくり三法が改正され、国等が新基本方針による新たな仕組みの下で中心市街地活性化施策に取り組むこととなったことから、今後とも、その効果が発現しているか引き続き注視していくこととする。