ODAにおいては、対象となる分野が多岐にわたっており、高い技術力と援助ニーズの多様化に伴う専門性が従来にも増して要求されていることから、コンサルタントの果たす役割とそれに対する信頼が不可欠となっている。特に、JICAが開発調査等を実施するためにコンサルタントと締結する業務実施契約においては、その過半において再委託契約が締結される現状となっている。そうした中で、コンサルタントが現地で締結した再委託契約の精算に当たって、JICAにおいて、対コスタリカODAのPCIに係る不祥事が発覚し、さらに、4箇国4案件について適正を欠く事態があり、また、JBICにおいて1箇国2案件について適切でなかった事態があったことは遺憾である。
コンサルタントは、JICAから事前に承認を得て現地で再委託契約を締結することとされていたが、JICAは、承認後は、再委託先及び再委託契約の実施状況の把握を十分行っていなかった。上記の事態を踏まえ、JICAは、ガイドラインを定め、再委託契約締結後の契約の確認の徹底と再委託契約業務完了後の第三者機関による抽出検査の導入等を図っているところである。また、JBICは、運用指針に則した精算を行うよう指導を徹底しているところである。
JICA等においては、再委託契約を伴うコンサルタントとの委託契約について、ガイドライン等に沿って、適正な契約の履行の確保に徹底を期する必要がある。また、外務省においては、このような事態が生じることがないように、JICA等に対し指導監督等を十分に行う必要がある。
会計検査院としては、今後とも、ODAに関するコンサルタントとの委託契約について、特に再委託契約に関しては、JICA等が講じた再発防止策が有効に機能して、適正な契約の履行が確保されているか、引き続き注視していく。
そして、今回の検査によって、再委託契約に係る経理処理や精算手続が事実と異なっていることが判明したJICAとPCIとの委託契約に係る11箇国13案件については、今後、JICAによる精査の結果の報告を踏まえ、引き続き検査を実施する必要がある。
また、PCI以外のコンサルタントとの委託契約について、現地での再委託契約の精算の適否について報告を求めたところ、JICAでは39箇国における20コンサルタントに係る60案件、JBICでは7箇国における8コンサルタントに係る11案件の再委託契約の精算の適否について、特に問題がなかった旨の報告を受けている。これらの71案件については、JICA等の報告における調査内容を検証する必要がある。
したがって、これらPCIに係る13案件の検査及びPCI以外のコンサルタントに係る71案件の検証の結果については、取りまとめが出来次第報告することとする。