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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成18年9月

政府開発援助(ODA)に関する会計検査の結果について


(2) 緊急援助物資供与の実施状況

ア インドネシア共和国

(ア)援助の要請と引渡し

 インドネシア共和国においては、緊急援助物資供与を行うに当たって、JICAのインドネシア事務所が物資の受入手続及び引渡手続の準備等を担当し、在インドネシア日本国大使館がインドネシア共和国政府からの要請の受理、供与決定後の通知及び引渡しを担当した。
 まず、同国国家災害管理調整委員会が地方の災害管理調整委員会から直接現地の情報を得るとともに、同国保健省からの情報や地方政府からの要請等の需要を把握し、我が国に対して被災当日の16年12月26日に援助の要請を行った。そして、我が国政府による翌27日の供与決定を経て、緊急援助物資は、被災地の近傍にある在メダン日本国総領事館によって30日に同国政府に引き渡された。

(イ)供与された物資の内訳とその後の使用状況

 我が国が緊急援助として供与した物資は、表4―6のとおりである。

表4―6 供与された緊急援助物資の具体的内訳(インドネシア共和国)
品目
数量
テント(6人用)
毛布(普通)
発電機
コードリール
スリーピングマット
簡易水槽3000L
浄水器
ポリタンク
28張
3,000枚
100台
100台
300枚
20台
20台
300個
8品目(19,177,918円相当)
 

 会計検査院は、これらの物資の具体的内訳が記載され、これに被災地のアチェ州に近接する北スマトラ州のメダン中央対策本部長が署名した受領書(写し)を確認した。
 また、その後の使用状況については、外務省の説明によれば、同国政府は未利用のものはないとしている。また、JICAのインドネシア事務所の説明においても、国際移住機関(IOM)等を通じ、すべて被災地に配布され未利用のものはないとしている。

イ モルディブ共和国

(ア)援助の要請と引渡し

 モルディブ共和国においては、緊急援助物資供与を行うに当たって、JICAのスリランカ事務所が物資の受入手続及び引渡手続の準備等を担当し、在スリランカ日本国大使館がモルディブ共和国政府からの要請の受理、供与決定後の通知及び引渡しを担当した。
 まず、同国外務省が緊急物資として必要な機材リストを作成し、我が国に対して被災当日の16年12月26日に援助の要請を行った。そして、我が国政府による翌27日の供与決定を経て、緊急援助物資は、17年1月2日に同国政府に引き渡された。

(イ)供与された物資の内訳とその後の使用状況

 我が国が緊急援助として供与した物資は、表4―7のとおりである。

表4―7 供与された物資の具体的内訳(モルディブ共和国)
品目
数量
テント(6人用)
毛布(普通)
発電機220V/50Hz
コードリール
ポリタンク
簡易水槽3000L
30張
2,000枚
20台
20台
300個
10台
6品目(7,866,755円相当)
 

 会計検査院は、これらの物資を同国外務省に引き渡す際に在スリランカ日本国大使館が相手国に手交したとする、物資の具体的内訳が記載された書類(写し)を確認した。
 また、その後の使用状況については、外務省の説明によれば、同国政府においてこれらの物資は受入後、順次、国家災害管理センター、建設環境省、国家警備局等を通じ、被災地の住民に配布されたとしている。また、JICAのスリランカ事務所の説明においても、ほぼすべての物資が同国政府の組織を通じて被災地に配布され有効に活用されていることが確認できているとしている。

ウ スリランカ共和国

(ア)援助の要請と引渡し

 スリランカ共和国においては、緊急援助物資供与を行うに当たって、JICAのスリランカ事務所が物資の受入手続及び引渡手続の準備等を担当し、在スリランカ日本国大使館がスリランカ共和国政府からの要請の受理、供与決定後の通知及び引渡しを担当した。
 まず、同国首相府が災害管理センターと調整の上、我が国から提示された物資リストを参考にして、被災当日の16年12月26日に援助の要請を行った。そして、我が国政府による翌27日の供与決定を経て、緊急援助物資は、在スリランカ日本国大使館によって31日に同国政府に引き渡された。

(イ)供与された物資の内訳とその後の使用状況

 我が国が緊急援助として供与した物資は、表4―8のとおりである。

表4―8 供与された物資の具体的内訳(スリランカ共和国)
品目
数量
テント(6人用)
同(20人用)
スリーピングマット
プラスチックシート
発電機220V/50Hz
コードリール
浄水器
簡易水槽2000L
毛布(普通)
30張
10張
300枚
30巻
20台
20台
10台
15台
2,000枚
9品目(14,209,853円相当)
 

 会計検査院は、これらの物資を同国女性活力・社会福祉省に引き渡す際に相手国に手交したとする、物資の具体的内訳が記載された書類(写し)を確認した。
 また、その後の使用状況については、外務省の説明によれば、同国政府においてこれらの物資は受入後、順次、県事務所、漁業省、復興救済和解省等を通じて被災地の住民に配布されたとしている。また、JICAのスリランカ事務所の説明においても、ほぼすべての物資が同国政府の組織を通じて、被災地に配布され、有効に活用されていることが確認できているとしている。

エ タイ王国

(ア)援助の要請と引渡し

 タイ王国においては、緊急援助物資供与を行うに当たって、JICAのタイ事務所が物資の受入手続及び引渡を担当し、在タイ日本国大使館がタイ王国政府からの要請の受理及び供与決定後の通知を担当した。
 まず、同国政府が16年12月30日に援助の要請を行った。そして、我が国政府による翌31日の供与決定を経て、緊急援助物資は、JICAのタイ事務所によって翌年の17年1月1日及び5日に同国政府に引き渡された。

(イ)供与された物資の内訳とその後の使用状況

 我が国が緊急援助として供与した物資は、表4―9のとおりである。

表4―9 供与された物資の具体的内訳(タイ王国)
品目
数量
テント(20人用)
毛布(普通)
浄水器
発電機220V/50Hz
コードリール
医薬品
8張
1,000枚
15台
20台
20台
一式
6品目(11,752,352円相当)
 

 会計検査院は、これらの物資の具体的内訳が記載され、これにタイ王国のプーケット県の副知事が署名した受領書(写し)を確認した。
 また、その後の使用状況については、JICAの説明によれば、JICAのタイ事務所では、これらの物資は受入後、各支援国や国連、NGOなどからの援助物資を含めて、同国外務省等の調整のもと各地の被災者に広く活用されたことを確認しており、また、プーケット県知事等受領機関から未利用のものはないとの説明を受けたとしている。