国の情報システム関係の契約には開発、買取り、賃貸借、運用等様々な内容のものがあり、その全体像は国の決算関係書類から直ちに把握することはできないため、各府省等のそれぞれの契約実績を積み上げる必要がある。
この点については、参議院決算委員会において、17年6月になされた「平成15年度決算に関わる内閣に対する警告決議」、「平成15年度決算審査措置要求決議」等を踏まえ、内閣官房、総務省及び財務省が、同年7月に、「最適化計画策定対象業務・システムに係る情報システム関係予算の執行状況調査」(以下「政府調査」という。)を実施している。政府調査は、行政機関を対象機関とし、最適化計画策定対象の77業務・システム(巻末の別表〔1〕参照)
に係る16年度の情報システム関係予算の執行状況を調査したものであり、その対象範囲は、16年度予算ベースでみると、行政機関における情報システム関係予算全体の約80%に相当している。
今回の会計検査院の検査においては、行政機関の契約状況について、政府調査の内容を確認した上で分析するとともに、政府調査の対象機関となっていない国会、裁判所及び会計検査院の契約状況については、16年度支払金額(単価契約の場合は年間支払金額)が100万円以上のものにつき資料の提出を受け、これを対象に分析した。
16年度における国の情報システム関係の契約件数及び支払金額は、図表1—1のとおりである。
すなわち、最適化計画策定対象の77業務・システムに係るものは、契約件数6,111件、支払金額4653億円となっており、これに国会、裁判所及び会計検査院の分を含めると、契約件数6,475件、支払金額4773億円となっている。
これを会計別にみると、一般会計1891億円(39.6%)、特別会計2862億円(59.9%)となっており、特別会計の中では、厚生保険特別会計、登記特別会計等の支払金額が多額となっている。
図表1—1 国における情報システム関係の契約及び支払の状況(16年度)
(単位:件、百万円)
区分
\
会計
|
行政機関
|
国会、裁判所および会計検査院
|
合計
|
||||
件数
|
金額
|
件数
|
金額
|
件数
|
金額
|
||
一般会計
|
5,078
|
177,184
|
364
|
11,935
|
5,442
|
189,120
|
|
特別会計
|
1,027
|
286,206
|
/
|
/
|
1,027
|
286,206
|
|
うち 厚生保険
|
65
|
96,397
|
65
|
96,397
|
|||
登記
|
142
|
55,621
|
142
|
55,621
|
|||
労働保険
|
211
|
55,039
|
211
|
55,039
|
|||
特許
|
159
|
51,910
|
159
|
51,910
|
|||
国民年金
|
37
|
16,480
|
37
|
16,480
|
|||
その他
|
413
|
10,756
|
413
|
10,756
|
|||
複数会計からの支出
|
6
|
1,979
|
/
|
/
|
6
|
1,979
|
|
計
|
6,111
|
465,370
|
364
|
11,935
|
6,475
|
477,305
|
注(1)
|
「行政機関」の「件数」については、複数の契約をまとめて1件としているものや、同一の契約が複数の業務・システムに関連しているために複数件数としているものが一部ある。
|
注(2)
|
金額は百万円未満を切り捨てているため、各項目の数値を合計しても合計欄の数値と一致しない場合がある。以下同じ。
|
6,475件の契約に係る支払金額を契約内容別にみると、図表1—2及び1—3のとおり、データ通信役務契約(注2)
1613億円(33.8%)、ハードウェア、ソフトウェア両者の賃貸借1340億円(28.0%)、システム整備495億円(10.3%)、運用、運用支援の請負等285億円(5.9%)等となっている。
このうち、データ通信役務契約は、大規模なソフトウェア開発経費を含めて役務の対価を支払っているものがあるため、支払金額全体に占める割合は大きくなっている。
契約内容
\
区分
|
システム整備
|
ハードウェアの買取り
|
ソフトウェアの買取り
|
ハードウェア及びソフトウェアの買取り
|
ハードウェア、ソフトウェア両者の賃貸借
|
通信回線の借上げ
|
運用、運用支援の請負等
|
データ通信役務
|
システム監査の請負等
|
レガシーシステム刷新可能性調査、最適化計画策定支援等
|
その他
|
合計
|
|||
ハードウェアの賃貸借
|
ソフトウェアの賃貸借
|
ハードウェア及びソフトウェアの賃貸借
|
|||||||||||||
(件数割合)件数
|
(11.9)
772
|
(1.8)
118
|
(1.2)
81
|
(0.9)
62
|
(17.5)
1,139
|
(5.6)
367
|
(0.5)
38
|
(11.3)
734
|
(5.2)
337
|
(16.2)
1,051
|
(4.8)
314
|
(0.7)
51
|
(0.6)
42
|
(38.7)
2,508
|
(100)
6,475
|
(支払金額割合)支払金額
|
(10.3)
49,558
|
(0.3)
1,909
|
(0.1)
857
|
(0.2)
1,284
|
(28.0)
134,075
|
(9.8)
47,121
|
(0.2)
1,344
|
(17.9)
85,610
|
(1.4)
6,906
|
(5.9)
28,567
|
(33.8)
161,395
|
(0.0)
341
|
(0.4)
1,942
|
(18.9)
90,467
|
(100)
477,305
|
6,475件の契約に係る支払金額を契約相手方別にみると、図表1—4のとおり、株式会社エヌ・ティ・ティ・データへの支払金額が最も多く、全体の36.2%となっている。そして、支払金額の上位5者で全体の65.4%を占めている。
また、支払金額の上位10者について、その支払金額を契約内容別にみると、株式会社エヌ・ティ・ティ・データではデータ通信役務契約が89.2%、支払金額1543億円に上っている。そして、この支払金額は全省庁のデータ通信役務契約に係る支払金額1613億円(図表1—2参照)
のうち95.6%を占めている。
図表1—4 主な契約相手方と支払金額等
(単位:億円、%)
契約相手方
|
支払金額
|
割合
|
契約内容
|
|||||
システム整備
|
ハードウェア、ソフトウェア両者の賃貸借
|
運用、運用支援の請負等
|
データ通信役務
|
その他
|
||||
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
1,730
|
36.2
|
65.4
|
1.5
|
2.2
|
0.6
|
89.2
|
6.3
|
日本電子計算機株式会社
|
481
|
10.0
|
0
|
99.9
|
0
|
0
|
0.0
|
|
株式会社文祥堂
|
328
|
6.8
|
0
|
0
|
2.4
|
0
|
97.5
|
|
富士通株式会社
|
314
|
6.5
|
37.5
|
28.8
|
20.3
|
0.0
|
13.2
|
|
株式会社日立製作所
|
267
|
5.6
|
44.0
|
47.1
|
4.4
|
0
|
4.3
|
|
財団法人民事法務協会
|
213
|
4.4
|
34.5
|
0
|
0
|
0
|
0
|
100
|
日本電気株式会社
|
165
|
3.4
|
9.3
|
74.0
|
8.2
|
0
|
8.2
|
|
株式会社シー・エス・エス
|
147
|
3.0
|
0.8
|
76.3
|
9.8
|
0
|
12.9
|
|
日本アイ・ビー・エム株式会社
|
124
|
2.6
|
44.2
|
39.4
|
11.8
|
0
|
4.3
|
|
日本ユニシス株式会社
|
102
|
2.1
|
19.7
|
56.7
|
7.2
|
0.5
|
15.6
|
|
その他
|
896
|
18.7
|
\
|
\
|
\
|
\
|
\
|
|
合計
|
4,773
|
100
|
100
|
\
|
\
|
\
|
\
|
\
|
6,475件の契約のうち、年間支払金額が1億円以上となっている31省庁における契約について、省庁別に支払金額が上位の契約相手方3者をみると、図表1—5のとおり、1者で支払金額の50%以上を占めているのは13省庁となっている。
図表1—5 年間支払金額1億円以上の省庁における契約相手方(支払金額の上位3者)
(単位:百万円、%)
省庁名
|
契約相手方
|
支払金額
|
割合
|
内閣官房
|
センチュリー・リーシング・システム株式会社
|
272
|
31.5
|
株式会社インターネットイニシアティブ
|
221
|
25.6
|
|
株式会社ぷららネットワークス
|
148
|
17.2
|
|
人事院
|
富士通株式会社
|
854
|
74.2
|
日本ユニシス株式会社
|
92
|
8.0
|
|
沖電気工業株式会社
|
70
|
6.1
|
|
内閣本府
|
◎日本電子計算機株式会社—富士通株式会社
|
1,409
|
37.3
|
富士通株式会社
|
385
|
10.2
|
|
センチュリー・リーシング・システム株式会社
|
360
|
9.5
|
|
宮内庁
|
新日鉄ソリューションズ株式会社
|
98
|
41.5
|
株式会社インターネットイニシアティブ
|
66
|
28.3
|
|
センチュリー・リーシング.システム株式会社
|
31
|
13.4
|
|
公正取引委員会
|
富士通株式会社
|
71
|
31.3
|
株式会社大塚商会
|
22
|
9.8
|
|
社団法人行政情報システム研究所
|
17
|
7.6
|
|
警察庁
|
日本電子計算機株式会社
|
3,324
|
35.5
|
日本電気株式会社
|
2,149
|
23.0
|
|
株式会社日立製作所
|
1,344
|
14.3
|
|
防衛本庁
|
日本電気株式会社
|
10,052
|
52.5
|
富士通株式会社
|
6,269
|
32.7
|
|
株式会社日立製作所
|
1,611
|
8.4
|
|
防衛施設庁
|
◎日本電子計算機株式会社—株式会社日立製作所
|
561
|
54.2
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
102
|
9.9
|
|
日本電気株式会社
|
47
|
4.5
|
|
金融庁
|
富士通株式会社
|
580
|
46.3
|
◎昭和リース株式会社—富士通株式会社
|
212
|
16.9
|
|
日本アイ・ビー・エム株式会社
|
145
|
11.6
|
|
総務本省
|
日本アイ・ビー・エム株式会社
|
11,263
|
56.4
|
社団法人行政情報システム研究所
|
2,802
|
14.0
|
|
新日鉄ソリューションズ株式会社
|
739
|
3.7
|
|
法務本省
|
日本電子計算機株式会社
|
23,636
|
36.4
|
財団法人民事法務協会
|
21,304
|
32.8
|
|
富士通株式会社
|
5,572
|
8.5
|
|
外務省
|
富士通株式会社
|
1,879
|
23.1
|
◎センチュリー・リーシング・システム株式会社—富士通株式会社
|
784
|
9.6
|
|
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
|
740
|
9.1
|
|
財務本省
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
8,736
|
29.9
|
独立行政法人通関情報処理センター
|
5,507
|
18.8
|
|
富士通株式会社
|
5,121
|
17.5
|
|
国税庁
|
株式会社文祥堂
|
32,803
|
60.8
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
7,791
|
14.4
|
|
◎株式会社文祥堂、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、キヤノン販売株式会社、東芝ソリューション株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社、日本電気株式会社、株式会社日立製作所
|
5,788
|
10.7
|
|
文部科学本省
|
日本電子計算機株式会社
|
473
|
21.3
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
391
|
17.5
|
|
日立キャピタル株式会社
|
214
|
9.6
|
|
厚生労働本省
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
22,323
|
37.9
|
株式会社シー・エス・エス
|
14,795
|
25.1
|
|
日本ユニシス株式会社
|
9,449
|
16.0
|
|
社会保険庁
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
81,846
|
72.4
|
日本電子計算機株式会社
|
16,928
|
14.9
|
|
株式会社日立製作所
|
12,353
|
10.9
|
|
農林水産本省
|
株式会社日立製作所
|
1,245
|
18.9
|
センチュリー・リーシング・システム株式会社
|
1,149
|
17.4
|
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
803
|
12.1
|
|
林野庁
|
センチュリー・リーシング・システム株式会社
|
673
|
41.3
|
林野弘済会・富士通・沖電気ソフトウェア開発共同企業体
|
569
|
34.8
|
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
200
|
12.3
|
|
経済産業本省
|
◎日本電子計算機株式会社—富士通株式会社
|
1,771
|
43.2
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
429
|
10.4
|
|
みずほ情報総研株式会社
|
293
|
7.1
|
|
資源エネルギー庁
|
財団法人社会経済生産性本部
|
130
|
97.1
|
日本レコードマネージメント株式会社
|
2
|
2.1
|
|
TIS株式会社
|
0
|
0.7
|
|
特許庁
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
40,230
|
77.4
|
株式会社日立製作所
|
3,337
|
6.4
|
|
東芝ソリューション株式会社
|
3,109
|
5.9
|
|
国土交通本省
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
6,132
|
62.0
|
日本電気株式会社
|
543
|
5.5
|
|
センチュリー・リーシング・システム株式会社
|
361
|
3.6
|
|
気象庁
|
日本電子計算機株式会社
|
1,323
|
59.1
|
日立キャピタル株式会社
|
272
|
12.1
|
|
株式会社日立製作所
|
182
|
8.1
|
|
海上保安庁
|
株式会社リコー
|
88
|
27.0
|
キヤノン販売株式会社
|
55
|
16.9
|
|
財団法人港湾空間高度化環境研究センター
|
51
|
15.8
|
|
環境省
|
富士通株式会社
|
895
|
67.8
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
90
|
6.8
|
|
財団法人環境情報普及センター
|
69
|
5.2
|
|
衆議院
|
東日本電信電話株式会社
|
1,318
|
74.0
|
アクセンチュア株式会社
|
173
|
9.7
|
|
センチュリー・リーシング・システム株式会社
|
164
|
9.2
|
|
参議院
|
株式会社ITサービス
|
870
|
70.8
|
東日本電信電話株式会社
|
153
|
12.4
|
|
富士通株式会社
|
100
|
8.1
|
|
国立国会図書館
|
株式会社日立製作所
|
1,562
|
35.1
|
アクセンチュア株式会社
|
1,021
|
22.9
|
|
富士通株式会社
|
426
|
9.5
|
|
最高裁判所
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
706
|
18.4
|
三菱電機株式会社
|
616
|
16.1
|
|
富士ゼロックス株式会社
|
469
|
12.2
|
|
会計検査院
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
|
184
|
28.1
|
KPMGビジネスアシュアランス株式会社
|
85
|
13.0
|
|
沖電気工業株式会社
|
80
|
12.3
|
注(1)
|
「契約相手方」欄に◎のあるものは、契約相手方が複数のものである。
|
|
注(2)
|
は、1者で支払金額が50%以上を占めているものである。
|
国の役務等の調達事務は、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等に従って執行することとされており、契約を締結する場合、原則として一般競争に付さなければならないとされている。ただし、契約の性質又は目的により競争に加わるべき者が少数で一般競争に付する必要がない場合、一般競争に付することが不利と認められる場合等においては、指名競争に付することとされている。また、契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合等は随意契約によることとされている。
そこで、6,475件の契約のうち支払金額300万円以上の契約2,873件、支払金額4732億円については競争契約(注3)
(一般競争契約及び指名競争契約をいう。以下同じ。)の対象となることから、これらの契約の競争性の状況をみると、次のとおりである。
2,873件の契約を契約方式別にみると、図表1—6のとおり、競争契約の割合が、件数で19.1%、金額で3.6%であるのに対し、随意契約の割合は、件数で80.8%、金額で96.3%となっており、国における情報システム関係の契約の大半は随意契約で執行されている。
図表1—6 契約方式の状況(300万円以上)
(単位:件、百万円、%)
契約方式
\
区分
|
競争契約
|
随意契約
|
合計
|
||
一般競争契約
|
指名競争契約
|
計
|
|||
(件数割合)件数
|
(18.8)
542
|
(0.3)
9
|
(19.1)
551
|
(80.8)
2,322
|
(100)
2,873
|
(支払金額割合)支払金額
|
(3.6)
17,037
|
(0.0)
312
|
(3.6)
17,349
|
(96.3)
455,851
|
(100)
473,201
|
これを支払金額規模別にみると、図表1—7のとおり、件数ベースで競争契約の割合が高いのは、支払金額500万円以上1000万円未満の25.2%、随意契約の割合が高いのは、支払金額1億円以上の94.1%となっており、支払金額が大きくなるほど随意契約の割合が高くなる傾向となっている。
図表1—7 支払金額規模別の契約方式(300万円以上)
(単位:件、百万円、%)
契約方式
\
支払金額
|
競争契約
|
随意契約
|
合計
|
支払金額による構成内訳
|
||||||||
競争契約
|
随意契約
|
合計
|
||||||||||
件数
|
割合
|
件数
|
割合
|
件数
|
割合
|
金額
|
構成比
|
金額
|
構成比
|
金額
|
構成比
|
|
1億円以上
|
25
|
5.8
|
400
|
94.1
|
425
|
100
|
8,798
|
(50.7)
|
417,199
|
(91.5)
|
425,998
|
(90.0)
|
1億円未満5000万円以上
|
43
|
17.6
|
201
|
82.3
|
244
|
100
|
2,936
|
(16.9)
|
14,481
|
(3.1)
|
17,417
|
(3.6)
|
5000万円未満1000万円以上
|
198
|
18.8
|
851
|
81.1
|
1,049
|
100
|
3,937
|
(22.6)
|
19,024
|
(4.1)
|
22,961
|
(4.8)
|
1000万円未満500万円以上
|
170
|
25.2
|
504
|
74.7
|
674
|
100
|
1,223
|
(7.0)
|
3,728
|
(0.8)
|
4,952
|
(1.0)
|
500万円未満300万円以上
|
115
|
23.9
|
366
|
76.0
|
481
|
100
|
453
|
(2.6)
|
1,419
|
(0.3)
|
1,872
|
(0.3)
|
合計
|
551
|
19.1
|
2,322
|
80.8
|
2,873
|
100
|
17,349
|
(100)
|
455,851
|
(100)
|
473,201
|
(100)
|
2,873件の契約について、契約内容別に契約方式をみると、図表1—8のとおりである。このうち、ハードウェア、ソフトウェア両者の買取りにおいて競争契約の割合が高いのは、購入機材等の中にパーソナルコンピュータやサーバのように仕様の一般化が進んでいるものが多いことによると思料される。一方、データ通信役務、通信回線の借上げにおいて随意契約の割合が高いのは、従来からのサービスを受け続けているなどのためサービスを提供できる者が限定されていることなどによると思料される。
なお、16年度に随意契約としているものの中には、新たなハードウェアを初めて導入する際には競争入札を実施したが、毎年度競争入札を実施しハードウェアを入れ替えることは困難であるとして、次年度以降、同一の契約相手方と随意契約としているものが含まれている。
図表1—8 契約内容別の契約方式の状況(300万円以上)
(単位:件、百万円、%)
契約方式
\
契約内容
|
競争契約
|
随意契約
|
合計
|
|||||||
件数
|
割合
|
金額
|
割合
|
件数
|
割合
|
金額
|
割合
|
件数
|
金額
|
|
システム整備
|
69
|
13.7
|
4,145
|
8.4
|
432
|
86.2
|
45,099
|
91.5
|
501
|
49,244
|
ハードウェアの買取り
|
22
|
64.7
|
503
|
27.2
|
12
|
35.2
|
1,347
|
72.7
|
34
|
1,851
|
ソフトウェアの買取り
|
11
|
47.8
|
253
|
30.6
|
12
|
52.1
|
573
|
69.3
|
23
|
827
|
ハードウェア及びソフトウェアの買取り
|
19
|
57.5
|
612
|
48.6
|
14
|
42.4
|
647
|
51.3
|
33
|
1,259
|
ハードウェアの賃貸借
|
22
|
11.5
|
433
|
0.9
|
168
|
88.4
|
46,488
|
99.0
|
190
|
46,922
|
ソフトウェアの賃貸借
|
1
|
4.5
|
64
|
4.8
|
21
|
95.4
|
1,259
|
95.1
|
22
|
1,323
|
ハードウェア及びソフトウェアの賃貸借
|
59
|
13.0
|
2,662
|
3.1
|
394
|
86.9
|
82,690
|
96.8
|
453
|
85,352
|
通信回線の借上げ
|
7
|
4.3
|
121
|
1.8
|
153
|
95.6
|
6,625
|
98.1
|
160
|
6,747
|
運用、運用支援の請負等
|
76
|
12.3
|
1,914
|
6.8
|
541
|
87.6
|
26,163
|
93.1
|
617
|
28,078
|
データ通信役務
|
0
|
0
|
0
|
0
|
144
|
100
|
161,265
|
100
|
144
|
161,265
|
システム監査の請負等
|
16
|
47.0
|
123
|
38.2
|
18
|
52.9
|
199
|
61.7
|
34
|
322
|
レガシーシステム刷新可能性調査、最適化計画策定支援等
|
12
|
30.0
|
358
|
18.4
|
28
|
70.0
|
1,581
|
81.5
|
40
|
1,939
|
その他 | 237
|
38.1
|
6,155
|
6.9
|
385
|
61.8
|
81,909
|
93.0
|
622
|
88,065
|
合計
|
551
|
19.1
|
17,349
|
3.6
|
2,322
|
80.8
|
455,851
|
96.3
|
2,873
|
473,201
|
2,873件の契約を実施している35省庁について、省庁別に契約方式をみると、図表1—9のとおりである。各省庁における情報システムと契約の内容は一様ではなく、省庁によって契約件数及び支払金額には隔たりがあることから、一概に図表1—9の数値によって情報システム関係の契約の競争性を比較することはできない。しかし、35省庁のうち、随意契約の割合が金額ベースで90%以上となっているものが27省庁と7割以上になっている。
契約方式
\
省庁名
|
競争契約
|
随意契約
|
合計
|
|||||||
件数
|
割合
|
金額
|
割合
|
件数
|
割合
|
金額
|
割合
|
件数
|
金額
|
|
内閣官房
|
2
|
7.4
|
13
|
1.5
|
25
|
92.5
|
833
|
98.4
|
27
|
846
|
内閣法制局
|
0
|
0
|
0
|
0
|
5
|
100
|
48
|
100
|
5
|
48
|
人事院
|
2
|
13.3
|
918
|
82.1
|
13
|
86.6
|
199
|
17.8
|
15
|
1,118
|
内閣本府
|
12
|
10.9
|
154
|
4.1
|
98
|
89.0
|
3,521
|
95.8
|
110
|
3,675
|
宮内庁
|
0
|
0
|
0
|
0
|
9
|
100
|
227
|
100
|
9
|
227
|
公正取引委員会
|
2
|
13.3
|
24
|
15.6
|
13
|
86.6
|
131
|
84.3
|
15
|
156
|
警察庁
|
13
|
25.0
|
320
|
3.4
|
39
|
75.0
|
9,007
|
96.5
|
52
|
9,328
|
防衛本庁
|
34
|
21.3
|
741
|
3.8
|
125
|
78.6
|
18,341
|
96.1
|
159
|
19,083
|
防衛施設庁
|
4
|
10.5
|
118
|
11.5
|
34
|
89.4
|
906
|
88.4
|
38
|
1,024
|
金融庁
|
2
|
5.5
|
105
|
8.5
|
34
|
94.4
|
1,116
|
91.4
|
36
|
1,221
|
総務本省
|
47
|
21.1
|
1,441
|
7.3
|
175
|
78.8
|
18,210
|
92.6
|
222
|
19,651
|
法務本省
|
11
|
5.6
|
3,336
|
5.2
|
184
|
94.3
|
60,410
|
94.7
|
195
|
63,746
|
外務省
|
11
|
12
|
715
|
8.9
|
80
|
87.9
|
7,289
|
91.0
|
91
|
8,005
|
財務本省
|
47
|
21.3
|
1,879
|
6.5
|
173
|
78.6
|
27,010
|
93.4
|
220
|
28,890
|
国税庁
|
150
|
52.6
|
3,399
|
6.3
|
135
|
47.3
|
50,160
|
93.6
|
285
|
53,559
|
文部科学本省
|
14
|
17.5
|
192
|
8.9
|
66
|
82.5
|
1,952
|
91.0
|
80
|
2,145
|
文化庁
|
0
|
0
|
0
|
0
|
7
|
100
|
97
|
100
|
7
|
97
|
厚生労働本省
|
32
|
12.8
|
371
|
0.6
|
218
|
87.2
|
58,008
|
99.3
|
250
|
58,380
|
社会保険庁
|
3
|
4.8
|
10
|
0.0
|
59
|
95.1
|
112,951
|
99.9
|
62
|
112,962
|
農林水産本省
|
34
|
19.7
|
710
|
11.2
|
138
|
80.2
|
5,628
|
88.7
|
172
|
6,338
|
林野庁
|
4
|
21.0
|
143
|
8.8
|
15
|
78.9
|
1,484
|
91.1
|
19
|
1,628
|
水産庁
|
1
|
20.0
|
6
|
20.7
|
4
|
80.0
|
23
|
79.2
|
5
|
29
|
経済産業本省
|
13
|
17.3
|
292
|
7.2
|
62
|
82.6
|
3,768
|
92.7
|
75
|
4,061
|
資源エネルギー庁
|
0
|
0
|
0
|
0
|
1
|
100
|
130
|
100
|
1
|
130
|
特許庁
|
23
|
25.5
|
792
|
1.5
|
67
|
74.4
|
51,066
|
98.4
|
90
|
51,859
|
国土交通本省
|
29
|
12.1
|
327
|
3.4
|
210
|
87.8
|
9,035
|
96.5
|
239
|
9,363
|
気象庁
|
6
|
10.0
|
56
|
2.5
|
54
|
90.0
|
2,142
|
97.4
|
60
|
2,199
|
海上保安庁
|
2
|
18.1
|
62
|
19.3
|
9
|
81.8
|
261
|
80.6
|
11
|
323
|
海難審判庁
|
0
|
0
|
0
|
0
|
1
|
100
|
3
|
100
|
1
|
3
|
環境省
|
1
|
3.2
|
5
|
0.4
|
30
|
96.7
|
1,291
|
99.5
|
31
|
1,296
|
衆議院
|
1
|
2.2
|
40
|
2.2
|
43
|
97.7
|
1,726
|
97.7
|
44
|
1,767
|
参議院
|
0
|
0
|
0
|
0
|
34
|
100
|
1,209
|
100
|
34
|
1,209
|
国立国会図書館
|
19
|
19.1
|
416
|
9.4
|
80
|
80.8
|
3,988
|
90.5
|
99
|
4,404
|
最高裁判所
|
23
|
28
|
672
|
17.7
|
59
|
71.9
|
3,110
|
82.2
|
82
|
3,783
|
会計検査院
|
9
|
28.1
|
78
|
12.4
|
23
|
71.8
|
554
|
87.5
|
32
|
633
|
合計
|
551
|
19.1
|
17,349
|
3.6
|
2,322
|
80.8
|
455,851
|
96.3
|
2,873
|
473,201
|
(注)
|
は、随意契約の割合が金額ベースで90%以上となっているものである。
|
契約相手方が、契約の全部又は一部を更に第三者に下請又は再委託(以下「下請等」という。)に出すことを無条件に認めると、当該契約相手方を選定した発注者の意図に沿わないこととなったり、契約履行の責任の所在が不明確になって適正な履行の確保が阻害されることとなったりするおそれがある。このため、一般的には、下請等は発注者の承認を要することとされている。
そこで、2,873件の契約のうち、支払金額が1億円以上で、契約の種類が請負契約又は委託契約となっている218件の契約(支払金額756億円)について、契約相手方が行っている下請等の状況を検査した。
218件の契約について、契約書、仕様書等の条項(以下「契約条項」という。)で下請等についてどのように定めているかをみると、図表1—10のとおり、下請禁止24件(11.0%)、条件付(申請、許可、承諾等)認容149件(68.3%)、無条件認容4件(1.8%)、定めなし41件(18.8%)となっている。
このうち、無条件認容及び定めなしとなっているものについては、契約履行上の責任の所在の明確化、適正な履行の確保、情報漏えいの防止等がなされないおそれがあることから、少なくとも下請等の認容の可否、認容条件等に関する契約条項を規定することが必要であると思料される。
218件の契約について、下請等の状況をみると、図表1—11のとおり、実施されているものは105件(48.1%)、実施されていないものは93件(42.6%)、実施の有無を発注者が把握していないものは20件(9.1%)となっている。発注者が実施の有無を把握していない20件について、下請等に関する契約条項の定めの状況をみると、定めなし19件、条件付認容1件となっていて、前記のように、契約履行上の責任の所在の明確化、適正な履行の確保、情報漏えいの防止等の上からも、契約条項で下請等の取扱いについて規定し、その実施の有無を把握することが必要と思料される。
図表1—11下請等の実施状況
(単位:件、百万円、%)
実施されている
|
実施されていない
|
実施の有無を把握していない
|
合計
|
||||||||||||
件数
|
割合
|
金額
|
割合
|
件数
|
割合
|
金額
|
割合
|
件数
|
割合
|
金額
|
割合
|
件数
|
割合
|
金額
|
割合
|
105
|
48.1
|
33,752
|
44.6
|
93
|
42.6
|
33,371
|
44.1
|
20
|
9.1
|
8,491
|
11.2
|
218
|
100
|
75,615
|
100
|
また、下請等が実施されている105件の契約のうち、下請等に係る金額を発注者が把握している78件の契約について、国の支払金額に対する下請等に係る支払金額の割合(以下「下請率」という。)をみると、図表1—12のとおり、下請率が50%以上となっている契約が73件(93.5%)となっている。なお、78件のうち70件は法務省の法務局等の発注の契約である。
図表1—12 下請率の状況
(単位:件、%)
下請率
\
項目
|
50%未満
小計
|
50%以上
|
計
|
下請等金額を把握していないもの
|
合計
|
||||||||||
10%未満
|
10%以上
20%未満
|
20%以上
30%未満
|
30%以上
40%未満
|
40%以上
50%未満
|
50%以上
60%未満
|
60%以上
70%未満
|
70%以上
80%未満
|
80%以上
90%未満
|
90%以上
|
||||||
契約件数
|
1
|
2
|
0
|
1
|
1
|
5
|
2
|
11
|
60
|
0
|
0
|
73
|
78
|
27
|
105
|
割合
|
1.2
|
2.5
|
0
|
1.2
|
1.2
|
6.4
|
2.5
|
14.1
|
76.9
|
0
|
0
|
93.5
|
100
|