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  • 平成18年10月

各府省等におけるコンピュータシステムに関する会計検査の結果について


3 主なシステムの利用の状況

 IT戦略の重要な目標の一つは、ITの利用・活用による国民の満足度の向上であり、国民によるシステムの利用の拡大は重要な課題となっている。
 そこで、国民が各種手続等を電子的に行うことが可能な各省庁の様々な電子申請等関係システムについて、それらが、国民にどの程度利用されているかを共通的な比較指標を用いて検査するとともに、同様に、民間事業者が利用するシステムとして各省庁がそれぞれ導入している電子入札システムの利用状況についても検査した。

(1)電子申請等関係システムの利用状況

ア システムの概要等

 各省庁は、国民が国の行政機関とこれまで書面を用いてやり取りしてきた申請・届出等手続について、その利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資するため、手続を電子化し、電子申請書類の受付等を行うための電子申請等関係システムを整備・運用している。同システムは、〔1〕国民からのインターネットによる各種申請・届出等手続の一元的な窓口機能を有するシステム(以下「汎用システム」という。)と、〔2〕大量かつ反復継続して行われる手続を扱い、当該手続の個別のシステムとして整備することが効率的であるとして構築されたシステム(以下「専用システム」という。)の2種類に分けられる。
 検査の対象とした各省庁の内部部局が管理・運用する電子申請等関係システムは、図表3—1のとおり、汎用システムは16省庁16システム、専用システムは12省庁25システム、合計で20省庁41システムとなっている。
 これら41システムの整備・運用に係る15、16両年度の支払金額は、合計329億円に上っており、このうち、汎用システム分は100億円、専用システム分は229億円となっている。
 なお、総務省電波利用電子申請・届出システムについては、総合無線局監理システムの一部であり、同監理システムの契約に含まれていること、また、経済産業本省の新世代統計システム、企業活動基本調査オンラインシステム及び国土交通本省の道路占用許可電子申請システムについては、他のシステムを含んで契約されていることから、上記の支払金額には計上していない。

図表3—1 電子申請等関係システムの導入状況及び支払金額

(単位:百万円)

省庁名
電子申請等関係システム名
システム形態
システム運用開始年月
支払金額
15年度
16年度
合計
内閣本府
内閣府電子申請・届出システム
汎用
15年5月
286
113
400
警察庁
警察庁電子申請・届出システム
汎用
15年3月
132
80
213
防衛本庁
防衛庁申請・届出システム
汎用
15年3月
100
107
208
金融庁
金融庁電子申請・届出システム
汎用
15年3月
525
266
791
証券取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)
専用
13年6月
306
322
629
公正取引委員会
共通受付等システム
汎用
14年4月
21
74
95
総務本省
総務省電子申請・届出システム
汎用
14年3月
306
434
741
政治資金政党助成業務システム
専用
17年2月
236
237
474
総務省電波利用電子申請・届出システム 注(3)
15年3月
(9,008)
(8,285)
(17,293)
法務本省
総合的な受付・通知システム
汎用
15年3月
821
354
1,176
<うちオンライン登記申請システム> 注(1)
16年6月
<379>
<127>
<507>
乗員上陸許可支援システム
専用
15年7月
33
50
83
外務省
汎用受付等システム
汎用
15年3月
103
78
182
財務本省
財務省電子申請システム
汎用
15年3月
175
149
325
国税庁
国税電子申告・納税システム(e—Tax)
専用
16年2月
8,051
8,564
16,616
情報公開請求受付システム
16年3月
1
2
4
文部科学本省
オンライン申請システム
汎用
15年3月
608
200
808
電子調査票収集システム
専用
15年4月
52
81
134
厚生労働本省
厚生労働省電子申請・届出システム 注(2)
汎用
15年3月
606
496
1,103
労働保険適用徴収電子申請システム
専用
15年10月
17
117
135
港湾EDIシステム
15年7月
26
30
57
労働経済動向パイロットシステム
12年11月
10
7
17
毎月勤労統計オンラインシステム
14年1月
168
165
334
社会福祉法人現況報告書システム
12年6月
0
0
0
農林水産本省
農林水産省電子申請システム
汎用
15年3月
413
37
451
動物検疫検査手続電算処理システム(ANIPAS)
専用
9年4月
150
147
297
輸入植物検査手続電算処理システム(PQ—NETWORK)
9年4月
172
68
241
水産庁
漁獲管理情報処理システム
専用
9年1月
305
299
605
経済産業本省
経済産業省電子申請システム
汎用
16年1月
585
173
759
新世代統計システム 注(3)
専用
12年2月
(354)
(271)
(626)
貿易管理オープンネットワークシステム(JETRAS)
12年4月
306
214
521
工業標準策定システム
14年4月
162
177
340
企業活動基本調査オンラインシステム 注(3)
16年6月
(127)
(108)
(236)
特許庁
電子出願関連事務処理システム
専用
2年12月
587
736
1,324
弁理士試験願書請求受付システム
16年2月
7
3
11
国土交通本省
国土交通省オンライン申請システム
汎用
13年6月
1,086
620
1,707
港湾EDIシステム
専用
15年6月
42
58
101
道路占用許可電子申請システム 注(3)
13年2月
(248)
(163)
(411)
特殊車両オンライン申請システム
16年3月
810
95
906
海上保安庁
港湾EDIシステム
専用
15年6月
39
54
94
環境省
環境省電子申請システム
汎用
14年3月
280
175
456
最高裁判所
最高裁判所汎用受付等システム
汎用
16年7月
214
416
631
汎用システム計(A)
16システム
 
6,270
3,781
10,051
専用システム計(B)
25システム
 
11,494
11,439
22,933
合計(A)+(B)
41システム
 
17,764
15,220
32,985
注(1)
 法務本省のオンライン登記申請システムは、総合的な受付・通知システムと接続している。
注(2)
 社会保険庁の手続は、厚生労働省電子申請・届出システムで受け付けている。(オンライン利用開始年月は15年10月)
注(3)
 ( )書きの支払金額は、システム合計額に含まれていない。

イ システムの利用可能手続の状況

(ア)利用可能な手続数

 政府の公表資料によると、行政機関が扱う申請・届出等手続でオンライン化された手続数は、12年度末にはオンライン化対象11,123手続のうち124手続(1.1%)しかなかったが、16年度末にはオンライン化対象14,205手続のうち13,669手続(96.2%)と、対象手続のほとんどがオンライン化されている状況である。
 今回、17年9月末現在における電子申請・届出等(以下「電子申請」という。)の状況について、電子申請を行う場合の電子証明書(注4) 等の必要性を含めて検査したところ、電子申請が可能な手続の数は、図表3—2のとおり、汎用システムで12,899手続(89.8%)、専用システムで1,455手続(10.1%)計14,354手続となっている。

(注4)
 電子証明書 電子申請に当たり、電子署名が本人によって行われたものであることを証明するための電磁的記録


図表3—2 電子申請が可能な手続数と電子証明書等の必要性の状況(17年9月末現在)

(単位:手続、%)

省庁名
汎用システム名
 
電子申請が可能な手続数
〔1〕電子証明書が必要な手続の割合
〔2〕電子証明書は必要ないがID等が必要な手続の割合
〔3〕電子証明書等が必要ない手続の割合
内閣本府
内閣府電子申請・届出システム
107
94.3
5.6
0
警察庁
警察庁電子申請・届出システム
172
100
0
0
防衛本庁
防衛庁申請・届出システム
43
93.0
6.9
0
金融庁
金融庁電子申請・届出システム
1,550
99.7
0
0.2
公正取引委員会
共通受付等システム
23
86.9
0
13.0
総務本省
総務省電子申請・届出システム
773
100
0
0
法務本省
総合的な受付・通知システム
161
97.5
2.4
0
外務省
汎用受付等システム
36
75.0
25.0
0
財務本省
財務省電子申請システム
253
98.8
0
1.1
文部科学本省
オンライン申請システム
2,031
99.9
0
0.0
厚生労働本省
厚生労働省電子申請・届出システム
1,755
85.7
14.2
0
農林水産本省
農林水産省電子申請システム
1,103
100
0
0
経済産業本省
経済産業省電子申請システム
2,682
99.7
0.1
0.1
国土交通本省
国土交通省オンライン申請システム
1,976
66.6
33.3
0
環境省
環境省電子申請システム
225
98.2
0
1.7
最高裁判所
最高裁判所汎用受付等システム
9
100
0
0
汎用システム計(A)16システム
12,899
(89.8)
<92.6>
<7.2>
<0.1>
省庁名
専用システム名
 
電子申請が可能な手続数
〔1〕電子証明書が必要な手続の割合
〔2〕電子証明書は必要ないがID等が必要な手続の割合
〔3〕電子証明書等が必要ない手続の割合
金融庁
証券取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)
11
0
100
0
総務本省
政治資金政党助成業務システム
8
100
0
0
総務省電波利用電子申請・届出システム
144
100
0
0
法務本省
乗員上陸許可支援システム
5
0
100
0
国税庁
国税電子申告・納税システム(e—Tax)
905
100
0
0
情報公開請求受付システム
2
0
0
100
文部科学本省
電子調査票収集システム
5
0
100
0
厚生労働本省
港湾EDIシステム
5
0
100
0
労働保険適用徴収電子申請システム
48
100
0
0
労働経済動向パイロットシステム
1
0
100
0
毎月勤労統計オンラインシステム
1
0
100
0
社会福祉法人現況報告書システム
1
0
100
0
農林水産本省
動物検疫検査手続電算処理システム(ANIPAS)
6
0
100
0
輸入植物検査手続電算処理システム(PQ—NETWORK)
7
0
100
0
水産庁
漁獲管理情報処理システム
2
0
0
100
経済産業本省
新世代統計システム
3
100
0
0
貿易管理オープンネットワークシステム(JETRAS)
7
100
0
0
工業標準策定システム
1
0
100
0
企業活動基本調査オンラインシステム
1
0
100
0
特許庁
電子出願関連事務処理システム
274
0
100
0
弁理士試験願書請求受付システム
1
0
100
0
国土交通本省
港湾EDIシステム
4
0
100
0
道路占用許可電子申請システム
1
0
100
0
特殊車両オンライン申請システム
1
100
0
0
海上保安庁
港湾EDIシステム
11
0
100
0
専用システム計(B) 25システム
1,455
(10.1)
<76.7>
<23.0>
<0.2>
合計(A)+(B) 41システム
14,354
(100)
<90.9>
<8.8>
<0.1>
(注)
 (A)欄及び(B)欄の( )は、合計の手続数に対する構成比。〔1〕、〔2〕、〔3〕欄の<>は、それぞれ(A)欄又は(B)欄を100とした場合の比率


(イ)電子申請に際しての電子証明書等の必要性の状況

 電子申請が可能な手続は、電子申請の際、〔1〕電子証明書の添付が必要な手続、〔2〕電子証明書は必要ないが、事前登録により国の行政機関から配布されるID・パスワードが必要となる手続、〔3〕電子証明書、ID・パスワードのいずれも必要ない手続の3つに区分される。これらの手続の状況を汎用システム、専用システムの別にみると、次のとおりである。

a 汎用システム

 汎用システムで電子申請が可能な12,899手続について、電子申請の際の電子証明書等の必要性をみると、前掲図表3—2のとおり、〔1〕電子証明書の添付が必要な手続は92.6%と高く、〔2〕電子証明書は必要ないがID・パスワードが必要な手続は7.2%、〔3〕電子証明書、ID・パスワードのいずれも必要としない手続は0.1%となっている。

b 専用システム

 専用システムで電子申請が可能な1,455手続について、電子申請の際の電子証明書等の必要性をみると、前掲図表3—2のとおり、〔1〕電子証明書の添付が必要な手続は76.7%、〔2〕電子証明書は必要ないがID・パスワードが必要な手続は23.0%、〔3〕電子証明書、ID・パスワードのいずれも必要としない手続は0.2%となっている。

 したがって、電子証明書を取得せずにID・パスワードにより電子申請ができる手続の割合は、専用システムが汎用システムの3倍程度高くなっている。

(ウ)利用可能手続の全申請件数の状況

 16年度末において電子申請が可能な手続数は、巻末の別表〔2〕のとおり、汎用システム12,799手続、専用システム1,426手続である。これらの手続について、16年度の全申請件数(電子申請件数と書面による申請件数の計)の分布状況をみると、図表3—3のとおりである。
 このうち、各汎用システムで受け付けることができる手続についてみると、全申請件数が0件の手続が全体の52.4%、1件以上50件以下の手続が22.5%となっていて、電子申請を可能にしたものの、全申請件数そのものが少ない手続が74.9%を占めている。

図表3—3 手続の全申請件数の状況(16年度)

図表3—3手続の全申請件数の状況(16年度)

 このように、全申請件数が0件の手続が汎用システムの手続総数の相当数を占めている背景には、e—Japan重点計画等において、「国民等と行政との間の実質的にすべての申請・届出等手続を、2003年度までのできる限り早期にインターネット等で行えるようにする」とされたことなどを受け、各省庁が、原則としてすべての手続をオンライン化してきたことがある。
 一方、各専用システムで受け付けることができる手続については、16年度の全申請件数が0件の手続は全体の23.7%、1件以上50件以下の手続を含めると50%以上を占めている。

ウ システムの利用状況

(ア)電子申請数の推移

 電子申請等関係システムにおける15年度から17年度上期にかけての電子申請数の推移は、巻末の別表〔3〕のとおりとなっている。このうち15年度から16年度にかけての全体の伸びは、汎用システムでは約15倍、専用システムでは約1.2倍となっている。

(イ)16年度における電子申請等関係システムの利用状況

 16年度における電子申請数を全申請件数で除した率(以下「電子申請率」という。)は、図表3—4のとおり、汎用システムと専用システムの合計で0.94%となっており、これを汎用システム、専用システムの別にみると、次のとおりである。

a 汎用システム

 汎用システムの電子申請率は、「防衛庁申請・届出システム」(3.79%)、「金融庁電子申請・届出システム」(7.72%)及び公正取引委員会の「共通受付等システム」(3.92%)以外の13システムは1%にも満たず、特に全申請件数の多い法務省の総合的な受付・通知システム及び厚生労働省電子申請・届出システムはそれぞれ0.00%、0.01%となっており、全体でも0.02%と極めて低い状況となっている。これは、申請の機会自体が少ない割りには、ほとんどの手続において電子証明書の取得が必要となっていること、申請前にも数段階にわたって事前準備作業が必要となっていることなどシステムの利用の際の煩雑さなどが原因と思料される。

b 専用システム

 専用システムの電子申請率は、0%から99.3%までシステムによって大きな格差があるが、全体では5.57%となっている。
 利用率の高いシステムには、漁獲管理情報処理システム(99.3%)、工業標準策定システム(97.1%)、電子出願関連事務処理システム(89.0%)があるが、申請者本人に代わり代理人が報告できるよう電子署名を不要としたこと、電子データでないと申請できないようになっていること、ユーザの利便性を考慮して手続の簡略化を行ってきたことなどが高い原因であるとしている。
 一方、利用率の低いもののうち、政治資金政党助成業務システム(0%)は、17年2月の運用開始から間もないことから、16年度末時点で都道府県におけるシステムの受付窓口が整備されていないこと、労働保険適用徴収電子申請システム(0.02%)及び全申請件数の多い国税電子申告・納税システム(e—Tax)(0.1%)は、電子証明書の取得に費用がかかることなどが低い原因であるとしている。

図表3—4 電子申請等関係システムの16年度の利用状況

(単位:件、百万円)

省庁名
汎用システム名
電子申請が可能な手続数
 
電子申請率(B)/(A)
開発・運用経費(16年度支払金額)
全申請件数(A)
電子申請数(B)
内閣本府
内閣府電子申請・届出システム
107
5,162
3
0.05%
113
警察庁
警察庁電子申請・届出システム
171
1,433
12
0.83%
80
防衛本庁
防衛庁申請・届出システム
41
1,975
75
3.79%
107
金融庁
金融庁電子申請・届出システム
1,550
902,293
69,695
7.72%
266
公正取引委員会
共通受付等システム
23
74,635
2,929
3.92%
74
総務本省
総務省電子申請・届出システム
773
24,812
38
0.15%
434
法務本省
総合的な受付・通知システム
160
241,388,552
1,715
0.00%
354
<うちオンライン登記申請システム>(※)
<7>
<239,300,956>
<1,520>
<0.00%>
<127>
外務省
汎用受付等システム
36
9,178
7
0.07%
78
財務本省
財務省電子申請システム
253
77,856
39
0.05%
149
文部科学本省
オンライン申請システム
2,031
160,495
7
0.00%
200
厚生労働本省
厚生労働省電子申請・届出システム
1,745
143,667,280
28,356
0.01%
496
<うち社会保険関係手続>
<236>
<118,925,735>
<2,896>
<0.00%>
農林水産本省
農林水産省電子申請システム
1,103
161,749
3
0.00%
37
経済産業本省
経済産業省電子申請システム
2,682
448,855
2,815
0.62%
173
国土交通本省
国土交通省オンライン申請システム
1,907
2,290,126
7,042
0.30%
620
環境省
環境省電子申請システム
215
4,904
22
0.44%
175
最高裁判所
最高裁判所汎用受付等システム(※)
2
把握不可
1
把握不可
416
16システム
12,799
389,219,305
112,759
0.02%
3,781
省庁名
専用システム名
電子申請が可能な手続数
 
電子申請率(B)/(A)
開発・運用経費(16年度支払金額)
全申請件数(A)
電子申請数(B)
金融庁
証券取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)
11
63,961
46,667
72.96%
322
総務本省
政治資金政党助成業務システム(※)
8
8,346
0
0%
237
総務省電波利用電子申請・届出システム
128
370,224
568
0.15%
注(3) (8,285)
法務本省
乗員上陸許可支援システム
5
2,358,872
385,872
16.35%
50
国税庁
国税電子申告・納税システム(e—Tax)(※)
893
61,917,364
61,989
0.10%
8,564
情報公開請求受付システム
2
100,693
5,113
5.07%
2
文部科学本省
電子調査票収集システム
4
75,235
31,520
41.89%
81
厚生労働本省
港湾EDIシステム 注(2)
5
75,704
12,238
16.16%
30
労働保険適用徴収電子申請システム
48
5,228,858
1,308
0.02%
117
労働経済動向パイロットシステム
1
12,165
634
5.21%
7
毎月勤労統計オンラインシステム
1
227,269
57,205
25.17%
165
社会福祉法人現況報告書システム
1
1,407
88
6.25%
0
農林水産本省
動物検疫検査手続電算処理システム(ANIPAS)
6
243,293
213,268
87.65%
147
輸入植物検査手続電算処理システム(PQ—NETWORK)
7
457,640
347,270
75.88%
68
水産庁
漁獲管理情報処理システム
2
194,686
193,388
99.33%
299
経済産業本省
新世代統計システム
3
500,000
136,990
27.39%
注(3) (271)
貿易管理オープンネットワークシステム(JETRAS)
7
47,599
4,515
9.48%
214
工業標準策定システム
1
709
689
97.17%
177
企業活動基本調査オンラインシステム(※)
1
42,000
4,200
10.00%
注(3) (108)
特許庁
電子出願関連事務処理システム
274
2,578,413
2,295,788
89.03%
736
弁理士試験願書請求受付システム
1
15,352
7,602
49.51%
3
国土交通本省
港湾EDIシステム
4
978,513
152,465
15.58%
58
道路占用許可電子申請システム
1
18,851
2,320
12.30%
注(3) (163)
特殊車両オンライン申請システム
1
144,528
4,297
2.97%
95
海上保安庁
港湾EDIシステム
11
1,529,359
335,467
21.93%
54
25システム
1,426
77,191,041
4,301,461
5.57%
11,439
合計
41システム
14,225
466,410,346
4,414,220
0.94%
15,220
注(1)
 全申請件数(A)は、電子申請が可能な手続の全申請件数を合計したものであるが、手続によっては、実績ではなく推計で集計したものもある。
注(2)
 厚生労働本省の港湾EDIシステムの全申請件数(A)及び電子申請数(B)は、5手続のうちの1手続の数値である。
注(3)
 ( )書きの支払金額は、図表3—1と同様に、専用システムの計には含まれていない。
注(4)
 (※)のシステムは、その運用開始時期(ただし、国税電子申告・納税システム(e—Tax)については、全国に運用が拡大された時期)が16年度の途中となっているため、電子申請数(B)の集計期間は全申請件数(A)のそれと同一ではない。

エ システムの利用の向上に向けた課題

 上記のように、電子申請率が低いシステムが多いのは、国民に手続のオンライン化の状況が十分周知されていないことや、オンライン化されている手続の中には添付書類の提出など手続の一部がオンライン化されていないため、利用者にとって使い勝手が悪いことも考えられるが、電子証明書取得や事前の準備作業のために手間と経費を要するものがあることなどが要因となっており、これらの問題を解決することが電子申請を普及させる上での一つの課題となっていると考えられる。
 そこで、電子申請の利用手続や電子証明書等の必要性について、更に検査した。

(ア)電子申請の利用手続の流れ

 事前準備作業を含めた電子申請の利用手続について、国民生活との関わりが深く全申請件数自体は多いのに電子申請率がまだ低いシステムのうち、〔1〕オンライン登記申請システムを含む「総合的な受付・通知システム」、〔2〕「国税電子申告・納税システム(e—Tax)」、〔3〕社会保険・労働保険関係の手続を含む「厚生労働省電子申請・届出システム」の各システムの概要、利用のマニュアル、電子申請の手順等実際の作業の流れは、巻末の別表〔4〕のとおりである。
 すなわち、これらのシステムには、いずれも電子証明書の取得が必要となる手続がある。例えば個人が公的個人認証サービスを利用する場合、市区町村で住民基本台帳カードを取得し、これに電子証明書の発行(手数料は住民基本台帳カードが5百円程度、電子証明書が5百円程度、計1千円程度)を受けるとともに、ICカードリーダライタ(ICカードの情報を読み込むためのもので、価格は3千円程度から)を購入する必要がある。また、法人が、例えば民間認証局から電子証明書(同証明書の有効期間が約2年間のもので2万円から3万円)を取得する場合、個人と同様に電子証明書に対応したICカードリーダライタを別途購入する必要がある。
 このように、上記の3システムでは、電子申請の利用手続に係るマニュアルは整備されているものの、利用者が実際に電子申請手続を完了させるまでには様々な手順が必要とされ、その操作にはパーソナルコンピュータの取扱いに習熟を要するだけでなく、時間と経費を要する状況となっている。

(イ)電子証明書等の必要性

 電子申請が可能な手続のうち、〔1〕電子証明書が必要な手続と、〔2〕電子証明書は必要ないがID・パスワードが必要な手続の電子申請率について、後者の手続が比較的多く含まれている厚生労働本省及び国土交通本省の汎用システムを対象にして検査したところ、図表3—5のとおり、いずれも〔1〕よりも〔2〕の手続の方が電子申請率が高くなっていた。

図表3—5 電子証明書、ID・パスワード別の利用状況(16年度)
システム名
電子申請が可能な手続数
(電子申請率)
 
左のうち、16年度の全申請件数が0件の手続を除いた手続数
〔1〕電子証明書が必要な手続数
(電子申請率)
〔2〕ID・パスワードが必要な手続数
(電子申請率)
厚生労働省電子申請・届出システム
1,745
(0.019%)
996
(0.019%)
909
(0.006%)
87
(3.970%)
国土交通省オンライン申請システム
1,907
(0.300%)
1,084
(0.300%)
690
(0.202%)
394
(0.460%)

 そこで、各省庁の汎用システムの中で全申請件数の多いものから順に最大で20手続、計282手続について、電子申請ではなく書面で申請する場合の本人確認等の方法について検査した。その結果、図表3—6のとおり、書面申請の場合は「身分証明書等による本人確認は行わず、実印及び印鑑証明書も必要でない」手続が61.3%で過半を占めているが、これらの手続についても、電子申請の際には電子証明書を必要としているものが8割以上となっていた。

図表3—6 書面申請における本人確認方法と押印の必要状況(16年度)
本人確認等の形態
手続数(割合)
電子申請の場合の電子証明書等の必要性の状況
〔1〕電子証明書が必要
〔2〕ID・パスワードが必要
〔3〕電子証明書又はID・パスワードを必要としない
窓口で身分証明書等による本人確認を行い、実印及び印鑑証明書も必要
2
(0.7%)
2
0
0
窓口で身分証明書等による本人確認を行うが、実印及び印鑑証明書は必要ない
36
(12.7%)
33
3
0
窓口で身分証明書等による本人確認は行わないが、実印及び印鑑証明書は必要
17
(6.0%)
17
0
0
窓口で身分証明書等による本人確認は行わず、実印及び印鑑証明書も必要ない
<100%>
173
(61.3%)
<85.5%>
148
<11.5%>
20
<2.8%>
5
その他
54
(19.1%)
53
0
1
合計
282
(100%)
253
23
6

 以上のとおり、今後、電子申請等関係システムの利用の拡大を図っていくに際しては、新たに手続をオンライン化することの必要性、経済性を十分検討した上で、広報・普及活動を強化したり、添付書類の取扱いの見直しや利用促進のためのインセンティブ措置の導入を検討したりすることはもとより、各システムの操作性を向上させたり、手続によっては電子証明書に代えてID・パスワードによる本人確認に移行したりすることを検討し、国全体としても、電子証明書の取得に必要な住民基本台帳カードやICカードリーダライタの普及に取り組むことが必要である。
 電子証明書等の必要性を見直した結果、電子申請の利用状況が改善した参考事例を示すと、次のとおりである。

(g)電子証明書をID・パスワードに代えた結果、電子申請数が増加したもの
 社会保険庁では、電子申請の利用促進策の一環として、17年7月から同年9月まで、「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届」ほか5手続を3社会保険事務所において試行的に変更し、社会保険労務士が本人の代理で申請する場合、従前、社会保険労務士及び本人両者の電子証明書が必要であったものを、本人についてはID・パスワードに代えた。その結果、上記6手続の電子申請数は、16年度は月平均197件であったのに対し、17年度7月から9月には月平均948件に増加した。
 これを受けて、同庁では、18年6月から、全国の社会保険事務所において同様の取組を実施している。

オ 国における取組状況

 政府は、18年1月に策定した「IT新改革戦略」において、「オンライン利用促進対象手続について、各手続の利用目標を含む利用促進行動計画を2005年度に策定・公表し、2010年度までにオンライン利用率50%以上を達成する」こととしている。これを受けて関係省庁は、17年度末に「オンライン利用促進のための行動計画」を策定、公表し、利用者の視点に立って、添付書類の電子化、省略・廃止、インセンティブの付与、処理期間の短縮、本人確認方法の簡素化等について検討を進めることとしている。
 こうした中で総務省は、「行政情報の電子的提供業務及び電子申請等受付業務の業務・システム最適化計画」に基づき、国民等利用者の利便性の向上等の観点から17年度末までに、「電子政府の総合窓口」に各省庁の電子申請を一元的に受け付けるための窓口システムを整備しており、関係省庁は原則として、18年度までに電子申請等関係システムの窓口機能の移行作業等を行うとしている。

(2)電子入札システムの利用状況

ア システムの概要等

(ア)電子入札システムの概要

 各省庁は、調達手続の電子化推進の一環として、電子入札システムを導入している。
 電子入札システムは、公共工事の発注(工事に係る業務の発注も含む。以下同じ。)及び物品・役務の調達に当たり、従来、入札参加希望者が発注機関まで出向くか郵送で行っていた入札書の提出等をインターネットを利用して行えるようにし、企業の負担軽減だけでなく行政事務の簡素化・合理化も図ることを目的として開発し、運用しているものである。これにより事業者は、競争参加資格の確認申請、申請結果の確認、入札参加に必要な証明書等の書類の提出、入札書の送付、入札結果の確認、再度入札等の一連の入札手続を事業所から行うことができることとなった。

(イ)電子入札システムの開発の経緯

 物品・役務の調達手続の電子化は、総務省が中心となり、汎用性のある物品等の電子入札・開札システムの導入について11年度から取り組み、14年10月からシステムの運用を開始している。その後、同省は、各省庁の電子入札システムの導入に資するようシステムのソフトウェアを各省庁に無償で配布している(以下、このシステムを「総務省系入札システム」という。)。なお、同システムは物品・役務の調達用に構築したものであるが、ソフトウェアを改良することで、工事の入札業務にも対応する機能も追加することができるようになっている。
 一方、工事の発注手続の電子化は、国土交通省が、13年10月から一部の直轄事業で電子入札システムの運用を開始している。同省は、開発した電子入札システムのソフトウェアを一般に無償で提供しており、これを受けて2公益法人は、汎用性の高い電子入札システムのソフトウェアを開発し、有償で提供している(以下、このシステムを「国土交通省系入札システム」という。)。なお、国土交通省系入札システムの機能は順次拡大され、15年度には総務省系入札システムを活用し、物品調達の入札業務にも対応できる機能が付加されている。

イ システムの導入状況

 上記の電子入札システムについては、各省庁の内部部局が管理・運用しているものを検査の対象とした。図表3—7のとおり、各省庁は、毎年実施している工事又は物品・役務の入札案件数を考慮するなどして、総務省系又は国土交通省系のいずれかの入札システムを選定し、ほとんどの省庁が15年度末までにシステムを導入し、運用を開始している。そして、これらの電子入札システムに係る15、16両年度の支払金額は、合計で46億円となっている。

図表3—7 電子入札システムの導入状況及び支払金額

(単位:百万円)

省庁名
システム名
システム系統
入札機能
運用開始年月
支払金額
合計
15年度
16年度
内閣本府
電子入札・開札システム
総務省系
物品・役務
16年3月
101
48
149
(公正取引委員会)
(電子入札・開札システム)
2
2
総務本省
総務省電子入札・開札システム
14年12月
104
93
197
外務省
電子入札・開札システム
16年2月
68
147
216
警察庁
電子入札システム
物品・役務、工事
16年12月
20
36
57
経済産業本省
経済産業省電子入札システム
16年3月
37
56
94
環境省
電子入札・開札システム
16年3月
106
83
189
総務省系システム計(A)
906
法務本省
法務省電子入札システム
国土交通省系
物品・役務、工事
16年3月
20
104
124
財務本省
財務省電子入札システム
16年2月
48
85
133
文部科学本省
文部科学省電子入札システム
16年1月
191
160
352
厚生労働本省
電子入札システム
16年1月
146
175
322
農林水産本省
電子入札システム
16年2月
128
103
231
国土交通本省
国土交通省電子入札システム
15年4月(工事)、16年2月(物品・役務)
1,340
1,198
2,538
 
国土交通省系システム計(B)
3,703
合計(A)+(B)
4,610

注(1)
 内閣官房、内閣法制局、宮内庁、公正取引委員会及び金融庁は内閣本府の電子入札システムを、公安調査庁は法務本省の電子入札システムを、国税庁は財務本省の電子入札システムを、社会保険庁及び中央労働委員会は厚生労働本省の電子入札システムを、気象庁、海上保安庁及び海難審判庁は国土交通本省の電子入札システムをそれぞれ利用して電子入札を行っている。なお、公正取引委員会については、該当する支払金額があるために省庁名及びシステム名を( )書きとした。
注(2)
 これらのシステムの中には、地方支分部局の電子入札を処理しているシステムもある。

ウ システムの利用状況

(ア)入札対象案件数の推移

 電子入札システムの導入後、各省庁は、入札対象案件のうち電子入札システムを利用する案件(以下「電子入札対象案件」という。)を順次選定している。内部部局における15年度から17年度(9月まで)の年度別の、入札対象案件数に占める電子入札対象案件数の割合は、図表3—8のとおり、工事、物品・役務のいずれも年々増加しており、17年度上半期では、それぞれ41.1%、54.5%となっている(各省庁の状況については巻末の別表〔5〕参照 )。

図表3—8 電子入札対象案件数の推移

(単位:件)

項目
15年度
16年度
17年度(9月まで)
入札対象案件数(A)
電子入札対象案件数(B)
割合
(B)/(A)
入札対象案件数(A)
電子入札対象案件数(B)
割合
(B)/(A)
入札対象案件数(A)
電子入札対象案件数(B)
割合
(B)/(A)
工事計
649
132
20.3%
513
143
27.8%
197
81
41.1%
物品・役務 計
2,577
129
5.0%
3,531
1,299
36.7%
2,264
1,234
54.5%

 電子入札対象案件数の割合を省庁別にみると、工事、物品・役務のいずれにおいても、省庁によって0%から100%まで極端な差がある。この割合が低い省庁についてみると、システムが導入されて間もないことから担当者が試行的に電子入札を実施していること、入札案件のうち政府調達案件だけを電子入札対象案件としていること、入札が集中するような場合、1日に処理できる電子入札の件数に限りがあることなどをその理由としている。

(イ)電子入札システムの利用状況

 15年度から17年度(9月まで)の間の電子入札システムの利用状況について、入札参加者の全部又は一部が電子入札システムを利用して入札した案件数が電子入札対象案件数に占める率(以下「電子入札率」という。)をみると、図表3—9及び3—10のとおりとなっている。
 すなわち、同期間の電子入札率の推移は、工事では、78.7%(電子入札実施件数104件)、86.0%(同123件)、88.8%(同72件)とおおむね高い水準であるが、入札参加者がすべて電子入札している割合は低下している。また、物品・役務の電子入札率は、28.6%(同37件)、31.4%(同408件)、32.6%(同403件)と相対的に低い水準で推移しているほか、入札参加者がすべて電子入札している割合も横ばいないし低下傾向となっている。

図表3—9 電子入札システムの利用状況(工事)

(単位:件)

省庁名
15年度
16年度
17年度(9月まで)
電子入札対象案件数A
電子入札実施件数
電子入札を実施せずE(E/A)
電子入札対象案件数A
電子入札実施件数
電子入札を実施せずE(E/A)
電子入札対象案件数A
電子入札実施件数
電子入札を実施せずE(E/A)
すべて電子入札B<B/A>
一部電子入札C<C/A>
計D(D/A)
すべて電子入札B<B/A>
一部電子入札C<C/A>
計D(D/A)
すべて電子入札B<B/A>
一部電子入札C<C/A>
計D(D/A)
警察庁
/
3
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
3
(100%)
3
 
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
3
(100%)
法務本省
0
0
0
0
0
2
0
<0%>
2
<100%>
2
(100%)
0
(0%)
0
 
0
 
0
0
0
財務本省
0
0
0
0
0
35
0
<0%>
32
<91.4%>
32
(91.4%)
3
(8.5%)
7
 
1
<14.2%>
5
<71.4%>
6
(85.7%)
1
(14.2%)
国税庁
/
0
0
0
 
0
0
3
0
<0%>
2
<66.6%>
2
(66.6%)
1
(33.3%)
文部科学本省
4
4
<100%>
0
<0%>
4
(100%)
0
(0%)
12
12
<100%>
0
<0%>
12
(100%)
0
(0%)
2
1
<50.0%>
0
<0%>
1
(50.0%)
1
(50.0%)
厚生労働本省
8
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
8
(100%)
12
0
<0%>
3
<25.0%>
3
(25.0%)
9
(75.0%)
4
1
<25.0%>
2
<50.0%>
3
(75.0%)
1
(25.0%)
社会保険庁
1
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
1
(100%)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
農林水産本省
1
0
<0%>
1
<100%>
1
(100%)
0
(0%)
2
1
<50.0%>
1
<50.0%>
2
(100%)
0
(0%)
12
0
<0%>
12
<100%>
12
(100%)
0
(0%)
経済産業本省
0
0
0
0
0
1
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
1
(100%)
2
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
2
(100%)
国土交通本省
118
67
<56.7%>
32
<27.1%>
99
(83.8%)
19
(16.1%)
71
52
<73.2%>
16
<22.5%>
68
(95.7%)
3
(4.2%)
42
22
<52.3%>
20
<47.6%>
42
(100%)
0
(0%)
気象庁
0
0
0
0
0
3
0
<0%>
2
<66.6%>
2
(66.6%)
1
(33.3%)
6
2
<33.3%>
4
<66.6%>
6
(100%)
0
(0%)
海上保安庁
0
0
0
0
0
2
0
<0%>
2
<100%>
2
(100%)
0
(0%)
0
0
0
0
0
合計
132
71
<53.7%>
33
<25.0%>
104
(78.7%)
28
(21.2%)
143
65
<45.4%>
58
<40.5%>
123
(86.0%)
20
(13.9%)
81
27
<33.3%>
45
<55.5%>
72
(88.8%)
9
(11.1%)
(注)
 斜線は電子入札化前


図表3—10 電子入札システムの利用状況(物品・役務)

(単位:件)

省庁名
15年度
16年度
17年度(9月まで)
電子入札対象案件数A
電子入札実施件数
電子入札を実施せずE
(E/A)
電子入札対象案件数A
電子入札実施件数
電子入札を実施せずE
(E/A)
電子入札対象案件数A
電子入札実施件数
電子入札を実施せずE
(E/A)
すべて電子入札B
<B/A>
一部電子入札C
<C/A>
計D
(D/A)
すべて電子入札B
<B/A>
一部電子入札C
<C/A>
計D
(D/A)
すべて電子入札B
<B/A>
一部電子入札C
<C/A>
計D
(D/A)
内閣官房
0
0
0
0
0
32
0
<0%>
4
<12.5%>
4
(12.5%)
28
(87.5%)
4
0
<0%>
1
<25.0%>
1
(25.0%)
3
(75.0%)
内閣法制局
0
0
0
0
0
5
0
<0%>
1
<20.0%>
1
(20.0%)
4
(80.0%)
2
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%))
2
(100%)
内閣本府
8
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
8
(100%)
121
0
<0%>
10
<8.2%>
10
(8.2%)
111
(91.7%)
80
5
<6.2%>
24
<30.0%>
29
(36.2%)
51
(63.7%)
宮内庁
0
0
0
0
0
1
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
1
(100%)
0
0
0
0
0
公正取引委員会
0
0
0
0
0
13
0
<0%>
1
<7.6%>
1
(7.6%)
12
(92.3%)
8
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
8
(100%)
警察庁
63
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
63
(100%)
245
0
<0%>
1
<0.4%>
1
(0.4%)
244
(99.5%)
金融庁
18
0
<0%>
2
<11.1%>
2
(11.1%)
16
(88.8%)
25
0
<0%>
3
<12.0%>
3
(12.0%)
22
(88.0%)
総務本省
23
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
23
(100%)
95
2
<2.1%>
5
<5.2%>
7
(7.3%)
88
(92.6%)
88
8
<9.0%>
1
<1.1%>
9
(10.2%)
79
(89.7%)
法務本省
0
0
0
0
0
17
2
<11.7%>
10
<58.8%>
12
(70.5%)
5
(29.4%)
39
3
<7.6%>
7
<17.9%>
10
(25.6%)
29
(74.3%)
外務省
23
0
<0%>
3
<13.0%>
3
(13.0%)
20
(86.9%)
196
0
<0%>
8
<4.0%>
8
(4.0%)
188
(95.9%)
72
0
<0%>
1
<1.3%>
1
(1.3%)
71
(98.6%)
財務本省
11
0
<0%>
1
<9.0%>
1
(9.0%)
10
(90.9%)
142
6
<4.2%>
33
<23.2%>
39
(27.4%)
103
(72.5%)
79
2
<2.5%>
26
<32.9%>
28
(35.4%)
51
(64.5%)
国税庁
0
0
0
0
0
72
2
<2.7%>
23
<31.9%>
25
(34.7%)
47
(65.2%)
文部科学本省
5
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
5
(100%)
46
2
<4.3%>
0
<0%>
2
(4.3%)
44
<95.6%>
19
4
<21.0%>
4
<21.0%>
8
(42.1%)
11
(57.8%)
厚生労働本省
42
12
<28.5%>
16
<38.0%>
28
(66.6%)
14
(33.3%)
342
80
<23.3%>
189
<55.2%>
269
(78.6%)
73
(21.3%)
164
32
<19.5%>
102
<62.1%>
134
(81.7%)
30
(18.2%)
社会保険庁
10
0
<0%>
3
<30.0%>
3
(30.0%)
7
(70.0%)
27
0
<0%>
4
<14.8%>
4
(14.8%)
23
(85.1%)
2
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
2
(100%)
農林水産本省
0
0
0
0
0
18
0
<0%>
15
<83.3%>
15
(83.3%)
3
(16.6%)
35
1
<2.8%>
17
<48.5%>
18
(51.4%)
17
(48.5%)
経済産業本省
0
0
0
0
0
73
0
<0%>
3
<4.1%>
3
(4.1%)
70
(95.8%)
34
0
<0%>
5
<14.7%>
5
(14.7%)
29
(85.2%)
国土交通本省
5
0
<0%>
2
<40.0%>
2
(40.0%)
3
(60.0%)
19
0
<0%>
14
<73.6%>
14
(73.6%)
5
(26.3%)
48
15
<31.2%>
28
<58.3%>
43
(89.5%)
5
(10.4%)
気象庁
0
0
0
0
0
4
0
<0%>
1
<25.0%>
1
(25.0%)
3
(75.0%)
19
0
<0%>
9
<47.3%>
9
(47.3%)
10
(52.6%)
海上保安庁
2
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
2
(100%)
2
0
<0%>
1
<50.0%>
1
(50.0%)
1
(50.0%)
142
16
<11.2%>
41
<28.8%>
57
(40.1%)
85
(59.8%)
海難審判庁
0
0
0
0
0
1
0
<0%>
0
<0%>
0
(0%)
1
(100%)
0
0
0
0
0
環境省
0
0
0
0
0
64
0
<0%>
15
<23.4%>
15
(23.4%)
49
(76.5%)
57
0
<0%>
22
<38.5%>
22
(38.5%)
35
(61.4%)
合計
129
12
<9.3%>
25
<19.3%>
37
(28.6%)
92
(71.3%)
1,299
92
<7.0%>
316
<24.3%>
408
(31.4%)
891
(68.5%)
1,234
88
<7.1%>
315
<25.5%>
403
(32.6%)
831
(67.3%)
(注)
 斜線は電子入札化前


エ システムの利用の向上に向けた課題

 前記のように電子入札率が低いシステムについては、入札参加希望者にとって電子入札システムを利用するメリットが顕著には感じられないこと、また、従前から紙媒体による入札を行っていることなどから、電子入札を行う誘引が働きにくいことなどが要因と考えられる。
 そこで、各省庁の電子入札システムを利用する際の手続の相違や、入札書の提出以外の入札関係手続の状況について、更に検査した。

(ア)電子入札システムで利用できる電子証明書

 入札参加希望者は、電子入札システムを利用するに当たって応札する省庁ごとに利用者登録をする必要があるが、登録に際しては、各省庁のシステムで利用できる電子証明書を発行元から有償で取得することとされている。
 電子証明書は、図表3—11のとおり、17年9月末現在では2種類があり、それぞれ11省庁及び10省庁の電子入札システムで利用されている。そして、電子証明書の種類と電子入札率の関係をみると、法務省商業登記認証局が発行する電子証明書しか利用できない10省庁の電子入札率は、9の民間認証局が発行する電子証明書が利用できる10省庁の電子入札率に比べて、おおむね低い傾向となっている。

図表3—11 利用可能な電子証明書の種類別にみた電子入札率
省庁名
システムで利用できる電子証明書(法人の代表者の場合)
17年度(9月まで)の電子入札率
工事
物品・役務
内閣官房
〔1〕法務省商業登記認証局が発行する電子証明書
入札機能なし
25.0%
内閣法制局
同上
0%
内閣本府
同上
36.2%
公正取引委員会
同上
0%
警察庁
0%
0.4%
金融庁
入札機能なし
12.0%
総務本省
同上
10.2%
外務省
同上
1.3%
経済産業本省
0%
14.7%
環境省 注(2)
電子入札案件なし
38.5%
財務本省
〔2〕9の民間認証局が発行する電子証明書
85.7%
35.4%
国税庁
66.6%
34.7%
文部科学本省
50.0%
42.1%
厚生労働本省
75.0%
81.7%
社会保険庁
電子入札案件なし
0%
農林水産本省
100%
51.4%
国土交通本省
100%
89.5%
気象庁
100%
47.3%
海上保安庁
電子入札案件なし
40.1%
法務本省 注(3)
〔3〕上記〔1〕及び〔2〕の電子証明書
電子入札案件なし
25.6%
注(1)
 17年度において、工事又は物品・役務のいずれかに電子入札案件があったものを対象としている。
注(2)
 環境省の工事の入札では、民間認証局の電子証明書も利用できる。
注(3)
 法務本省では、法務省商業登記認証局の電子証明書は17年6月以降利用可能となった。

 なお、入札参加希望者の利便性を考慮して利用できる電子証明書の範囲を拡大するため、国土交通本省では、18年1月以降、法務省商業登記認証局の電子証明書を、内閣本府では、同年2月以降、複数の民間認証局の電子証明書をそれぞれ利用できるようシステムを改良している。
 また、省庁によっては、入札参加希望者が電子入札システムを利用せずに紙媒体で入札する場合、理由書を提出させているが、それによると、電子証明書を取得しても全省庁で使える統一システムにはなっていないため、費用対効果の面で問題があるとして利用していない事業者もあるなど、電子証明書の利便性の問題を理由にしている事業者も見受けられた。

(イ)入札関係手続の状況

 電子入札システムの導入により、入札関係手続のうちの入札書の提出は、入札参加希望者の事業所から直接オンラインによる提出が可能となったが、入札書の提出以外の入札関係手続の状況は、18年5月1日現在、巻末の別表〔6〕のとおりとなっている。
 すなわち、入札公告の公表手続、入札参加に必要な書類の提出手続は、電子入札システムを導入している全省庁でオンライン化されているが、入札説明書、仕様書等の交付や、必要に応じて開催される入札説明会等の開催に際しては、入札参加希望者が発注元に直接出向くことが必要であるなどの手続が残っている。

 したがって、今後、電子入札システムの利用の向上を図っていくためには、入札参加希望者のニーズや利便性を考慮し、各省庁のシステムで利用できる電子証明書の種類を拡大して、全省庁のシステムで利用可能となるよう検討したり、入札関係手続のオンライン化対象の範囲の拡大を検討したりなどして、入札参加希望者の負担軽減と行政事務の簡素化・合理化が必要である。

オ 国における取組状況

 国土交通省では、同省が担当府省となって、18年3月、公共事業支援システム(官庁営繕業務を含む。)の業務・システム最適化計画を策定した。これは、各省庁が行う公共工事等における共通的な事務手続に着目し、業務の効率化・合理化、利便性の維持・向上、経費削減等を図るため、〔1〕入札情報提供業務として、工事又は業務の発注に係る情報を入札参加希望者及び国民に公表する業務、〔2〕入札手続業務として、工事又は業務の発注及び入札を執行し落札者を決定する業務等を対象として、最適化を図るものである。このうち、〔2〕については、入札参加希望者等の利便性の向上を図るため、入札手続時に必要となる入札説明書及び図面等の関連情報を入札参加希望者に電子的に配布するシステムを整備することにより、入札説明書等の配布窓口への訪問に要する手間を軽減するなどの取組からなっている。
 また、経済産業省では、同省が担当府省となって、16年9月、「物品調達、物品管理、謝金・諸手当、補助金及び旅費の各業務・システム最適化計画」を策定し、その中で契約の電子化は調達・契約手続の合理化等の一環であるとして、「電子契約システム」を速やかに構築することとしている。そして、総務省が中心となって、契約の電子化の推進・実現に向けて設置した「政府調達(公共事業分野を除く)における契約の電子化のあり方に関する検討会」において、契約の電子化におけるシステム上の諸課題等について検討を行い、電子契約に関する最終報告書を17年4月に作成した。この報告書の中では、電子入札システムから落札者名や落札金額などの情報が、19年から運用が予定されている電子契約システムへ伝達される仕組みとすることとされている。