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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成18年10月

社会保障費支出の現状に関する会計検査の結果について


(1)介護保険の財政状況

ア 介護保険特別会計の経理状況

(ア)経理状況

 市町村は、介護保険に係る歳入及び歳出について特別会計を設けることとなっており、全国の市町村分を集計すると、15年度(2,729市町村)及び16年度(2,248市町村(注) )の介護保険特別会計(保険事業勘定)の経理状況は、表3—4のとおりとなっている。

(注)
 2,248市町村 平成17年3月末現在の保険者数は2,249であるが、2保険者分をまとめて集計しているものがあるため2,248保険者となっている。


表3—4 介護保険特別会計(保険事業勘定)の経理状況

(単位:百万円)

科目
15年度
16年度
増減額
決算期
構成比
決算期
構成比
歳入
保険料
939,265
17.1%
956,451
16.1%
17,185
国庫支出金
介護給付費負担金
1,048,103
19.1%
1,138,862
19.2%
90,758
調整交付金
261,666
4.7%
283,511
4.7%
21,844
事務費交付金
30,083
0.5%
0
0.0%
△30,083
その他
5,905
0.1%
2,231
0.0%
△3,674
1,345,760
24.5%
1,424,605
24.0%
78,845
支払基金交付金
1,646,363
30.0%
1,798,811
30.3%
152,448
都道府県支出金
都道府県負担金
644,893
11.7%
705,182
11.8%
60,289
その他
353
0.0%
340
0.0%
△12
645,247
11.7%
705,523
11.8%
60,276
繰入金
一般会計繰入金
636,756
11.6%
696,576
11.7%
59,820
その他
189,345
3.4%
245,239
4.1%
55,893
826,102
15.0%
941,816
15.8%
115,714
繰越金
63,834
1.1%
72,137
1.2%
8,302
市町村債
財政安定化基金貸付金
4,321
0.0%
15,089
0.2%
10,768
その他
0
0.0%
217
0.0%
217
4,321
0.0%
15,306
0.2%
10,985
その他の収入
15,379
0.2%
16,199
0.2%
819
合計
5,486,275
100.0%
5,930,853
100.0%
444,578
歳出
総務費
194,877
3.6%
190,277
3.2%
△4,599
保険給付費
介護サービス等諸費
4,914,423
90.8%
5,334,660
91.5%
420,236
支援サービス等諸費
152,080
2.8%
182,397
3.1%
30,317
高額介護サービス等費
33,716
0.6%
37,425
0.1%
3,708
その他
9,879
0.1%
9,692
0.1%
△186
5,110,099
94.5%
5,564,176
95.4%
454,076
基金積立金
53,750
0.9%
32,802
0.5%
△20,948
公債費
財政安定化基金償還金
10,346
0.1%
7,503
0.1%
△2,842
その他
243
0.0%
503
0.0%
260
10,589
0.1%
8,007
0.1%
△2,582
その他の支出
37,716
0.6%
33,602
0.5%
△4,113
合計
5,407,033
100.0%
5,828,865
100.0%
421,832
歳入歳出差引残額
79,241
 
101,987
 
22,746
国庫支出金精算額等
54,137
 
58,757
 
4,619
国庫支出金精算額等差引額
25,103
 
43,230
 
18,126

注(1)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」による。
注(2)
 構成比は、小数点第2位以下を切り捨てているため、各項目を合計しても100にならない場合がある。以下同じ。

 上記介護保険特別会計の歳入の構成割合をみると、第1号被保険者から徴収した「保険料」が15年度17.1%、16年度16.1%、第2号保険料分としての社会保険診療報酬支払基金からの交付金である「支払基金交付金」が15年度30.0%、16年度30.3%、国、都道府県及び市町村の負担金等が15年度51.3%、16年度51.7%となっており、その他は財政安定化基金からの借入金である「財政安定化基金貸付金」などとなっている。
 また、歳出の構成割合をみると、介護給付費等の「保険給付費」が15年度94.5%、16年度95.4%と大部分を占めていて、その他は事務費である「総務費」や介護給付費準備基金への積立金である「基金積立金」などとなっている。

(イ)歳入歳出差引残額及び国庫支出金精算額等差引額

 歳入から歳出を差し引いた歳入歳出差引残額は、15年度792億余円、16年度1019億余円と歳入が歳出を上回る状況となっているが、これを市町村別にみると、15年度で30市町村、16年度で11市町村において歳出が歳入を上回り、その結果、歳入歳出差引不足となって翌年度の歳入を繰り上げてこれに充てるなどしている。
 この歳入歳出差引残額には、介護給付費負担金、支払基金交付金等のそれぞれについて、前年度以前分に係る追加交付額と当該年度分として超過交付された額として翌年度に返還すべき額とが含まれており、また、当該年度分としての不足額が未交付となっていることから、これらを控除又は加算するなどして調整した国庫支出金精算額等差引額では、15年度251億余円、16年度432億余円となっている。
 そして、これを市町村別にみると、プラスの市町村が15年度で2,012市町村、16年度で1,768市町村、マイナスの市町村が15年度で716市町村、16年度で479市町村、ゼロとなっている市町村が両年度とも1市町村となっている。

(ウ)介護保険の実質的補正収支

 国庫支出金精算額等差引額には、財政安定化基金からの貸付金、職員の人件費等の総務費、要介護認定等の事務費等が含まれていることから、それらを除いて、公費及び保険料の歳入と保険給付費、財政安定化基金拠出金、財政安定化基金償還金等(以下「介護保険給付費等」という。)の歳出との実質的な収支となるよう補正した収支(以下「実質的補正収支」という。)を算出すると、表3—5のとおりとなる。

表3—5 介護保険の実質的補正収支

(単位:百万円)

科目
15年度
16年度
増減額
決算期
構成比
決算期
構成比
歳入
保険料
939,265
18.2%
956,451
17.3%
17,185
国庫支出金
介護給付費負担金
1,021,797
19.8%
1,112,556
20.1%
90,758
調整交付金
261,666
5.0%
283,511
5.1%
21,844
1,283,464
24.9%
1,396,068
25.2%
112,603
支払基金交付金
1,634,876
31.8%
1,780,090
32.2%
145,213
都道府県支出金
都道府県交付金
638,623
12.4%
695,347
12.5%
56,724
繰入金
一般会計繰入金
638,623
12.4%
695,347
12.5%
56,724
合計
5,134,854
100.0%
5,523,305
100.0%
388,451
歳出
保険給付費
介護サービス等諸費
4,914,423
95.8%
5,334,660
95.6%
420,236
支援サービス等諸費
152,080
2.9%
182,397
3.2%
30,317
高額介護サービス等費
33,716
0.6%
37,425
0.6%
3,708
市町村特別給付
933
0.0%
1,227
0.0%
293
審査支払手数料
8,767
0.1%
8,298
0.1%
△469
5,109,922
99.6%
5,564,008
99.7%
454,086
財政安定化基金拠出金
4,976
0.0%
5,129
0.0%
153
相互財政安定化基金負担金
178
0.0%
164
0.0%
△14
保健福祉事業費
299
0.0%
326
0.0%
26
公債費
財政安定化基金償還金
10,346
0.2%
7,503
0.1%
△2,842
合計
5,125,723
100.0%
5,577,133
100.0%
451,409
差引額
9,130
 
△53,827
 
△62,958
注(1)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」を基に作成
注(2)
 介護給付費負担金、支払基金交付金等は介護保険給付費等に対して定率で算定している。

a 15年度の1人当たり実質収支額

 15年度は第2期事業運営期間の初年度であり、介護保険財政としては、前記1—(1)—イ—(サ) のとおり、一定程度の余剰金が生ずることが想定される。そこで、全国の介護保険の実質的補正収支をみると、介護保険給付費等の歳出が5兆1257億余円であるのに対して、保険料等の歳入は5兆1348億余円で、差引き91億余円のプラスとなっており、実質的補正収支を第1号被保険者数で除した額(以下「1人当たり実質収支額」という。)は372円となる。
 また、1人当たり実質収支額を市町村ごとに算定すると、23,006円から△36,783円までとなっていて、プラスの市町村が1,851市町村、マイナスの市町村が877市町村、ゼロの市町村が1市町村となっている。

b 16年度の1人当たり実質収支額

 16年度は第2期事業運営期間の2年度目であり、介護保険財政としては介護保険給付費等と保険料等の額が同程度になることが想定される。しかし、全国の実質的補正収支をみると、介護保険給付費等の歳出が5兆5771億余円であるのに対して、保険料等の歳入は5兆5233億余円で、差引538億余円のマイナスとなっており、1人当たり実質収支額は△2,143円となっている。
 また、1人当たり実質収支額を市町村ごとに算定すると、25,848円から△37,194円までとなっていて、プラスの市町村が870市町村、マイナスの市町村が1,377市町村、ゼロの市町村が1市町村となっている。これらの市町村の第1号被保険者数に対する1人当たり実質収支額の分布は図3—3のとおりで、第1号被保険者数の少ない市町村では、プラス、マイナスの幅が大きく散在しているのに対し、第1号被保険者数の多い市町村では、ややマイナス付近に収れんしている状況である。

図3—3 1人当たり実質収支額の分布図(16年度)

図3—31人当たり実質収支額の分布図(16年度)

(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」を基に作成


イ 介護給付費準備基金

 市町村の介護保険特別会計に生じた剰余金は介護給付費準備基金として積み立てられることとなる。この介護給付費準備基金の保有状況をみると、15年度末では2,729市町村のうち2,285市町村で合計2259億余円、16年度末では2,248市町村のうち1,920市町村で合計2020億余円となっている。
 また、各市町村の基金残高状況は表3—6のとおりで、基金残高のない市町村が15年度末で444市町村、16年度末で328市町村となっている。

表3—6 介護給付費準備基金の残高別市町村数
介護給付費準備基金の残高
15年度末
16年度末
残高なし
444
328
残高あり
2,285
1,920
 
100万円未満
100万円〜1000万円未満
1000万円〜1億円未満
1億円〜10億円未満
10億円以上
118
488
1,248
402
29
118
293
1,053
436
20
2,729
2,248
(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」を基に作成


 そして、上記の基金の残高がない市町村(15年度末で444市町村、16年度末で328市町村)のうち、北海道ほか26都府県の市町村(15年度末で286市町村、16年度末で215市町村)について、基金残高のない理由について検査したところ、次のような状況となっていた。

〔1〕 介護給付費の額が事業計画で想定した額を予想外に上回ったことによるものが15年度で154市町村、16年度で129市町村

〔2〕 保険料の収納額が事業計画で想定した額を下回ったことによるものが15年度で20市町村、16年度で21市町村

〔3〕 その他の要因によるものが15年度で132市町村、16年度で84市町村

 また、このほかに、介護保険財政としては余裕があったが、基金として積立てを行っていない市町村もあった。

ウ 財政安定化基金の貸付け

(ア)貸付状況

 市町村は、前記のとおり、保険給付費の増加、保険料収入の低下などから介護保険財政の財源不足が生じた場合等には、財政安定化基金から借り入れることができることとなっている。
 そして、第1期事業運営期間(12年度から14年度)及び第2期事業運営期間(うち15年度及び16年度)の財政安定化基金の貸付状況についてみると、表3—7のとおり、15年度で170市町村、16年度で291市町村が貸付けを受けていて、その合計は、15年度で43億余円、16年度で150億余円となっている。また、16年度末現在における貸付残高の合計は413億余円で、財政安定化基金造成額2326億余円に対する割合は17.7%となっており、これを都道府県別にみると0.0%から75.2%までとなっている。

表3—7 財政安定化基金の貸付状況

(単位:千円)

都道府県
14年度末貸付残高
(A)
左についての15・16年度償還額
(B)
15年度
16年度
16年度末貸付残高
(E)=(A)-(B)+(C)+(D)
16年度末財政安定化基金残高
(F)
財政安定化基金造成額
(G)=(E)+(F)
財政安定化基金造成額に対する貸付割合
(E)/(G)
貸付額
(C)
市町村数
貸付額
(D)
市町村数
北海道
1,828,487
978,355
28,333
5
76,793
9
955,258
10,325,245
11,280,503
8.4%
青森県
2,103,579
1,255,541
386,409
16
687,390
20
1,921,837
1,363,271
3,285,108
58.5%
岩手県
129,220
95,361
0
0
61,400
3
95,259
3,073,144
3,168,403
3.0%
宮城県
68,132
39,052
14,000
1
8,450
2
51,530
3,459,115
3,510,645
1.4%
秋田県
354,809
163,974
2,751
1
24,640
5
218,226
2,750,487
2,968,713
7.3%
山形県
517,046
307,988
36,082
3
102,440
5
347,580
2,417,962
2,765,542
12.5%
福島県
193,474
101,435
16,672
4
79,972
6
188,683
3,537,134
3,725,817
5.0%
茨城県
174,901
113,400
0
0
111,400
5
172,901
3,550,289
3,723,190
4.6%
栃木県
86,200
57,966
0
0
37,718
1
65,952
3,174,113
3,240,065
2.0%
群馬県
110,485
53,776
12,800
2
0
0
69,509
3,656,558
3,726,067
1.8%
埼玉県
0
0
0
0
0
0
0
8,013,534
8,013,534
0.0%
千葉県
90,384
67,257
0
0
83,946
2
107,073
7,685,752
7,792,825
1.3%
東京都
90,933
22,367
0
0
353,319
5
421,885
20,298,462
20,720,347
2.0%
神奈川県
13,640
13,321
0
0
35,783
2
36,102
12,018,837
12,054,939
0.2%
新潟県
1,604,181
1,069,462
196,214
15
248,989
8
979,922
4,497,185
5,477,107
17.8%
富山県
1,163,900
278,700
0
0
284,000
3
1,169,200
1,402,553
2,571,753
45.4%
石川県
895,410
691,160
44,000
4
190,100
5
438,350
1,683,917
2,122,267
20.6%
福井県
3,578
2,504
0
0
0
0
1,074
1,965,079
1,966,153
0.0%
山梨県
274,699
163,882
26,780
4
95,145
7
232,742
1,353,257
1,585,999
14.6%
長野県
1,593,429
1,098,801
83,417
9
516,084
17
1,094,129
3,283,270
4,377,399
24.9%
岐阜県
198,778
79,639
37,500
1
86,900
5
243,539
3,445,682
3,689,221
6.6%
静岡県
0
0
0
0
73,300
6
73,300
6,862,799
6,936,099
1.0%
愛知県
70,696
47,130
0
0
309,847
7
333,413
9,511,831
9,845,244
3.3%
三重県
58,000
39,000
19,454
2
314,030
7
352,484
3,172,472
3,524,956
9.9%
滋賀県
107,492
67,663
0
0
113,534
3
153,363
2,009,898
2,163,261
7.0%
京都府
2,331,514
543,361
432,339
10
539,761
10
2,760,253
2,118,569
4,878,822
56.5%
大阪府
107,072
71,381
799,331
5
2,361,408
14
3,196,430
11,361,910
14,558,340
21.9%
兵庫県
613,600
377,255
114,100
2
946,500
11
1,296,945
8,401,946
9,698,891
13.3%
奈良県
65,255
43,503
11,999
4
49,170
9
82,921
2,396,170
2,479,091
3.3%
和歌山県
527,207
262,416
142,544
6
429,535
13
836,870
1,576,255
2,413,125
34.6%
鳥取県
817,381
342,446
52,204
6
118,484
5
645,623
846,921
1,492,544
43.2%
島根県
47,390
10,531
0
0
131,843
2
168,702
1,741,203
1,909,905
8.8%
岡山県
871,600
554,623
8,100
2
0
0
325,077
4,203,090
4,528,167
7.1%
広島県
1,250,900
772,753
8,900
1
1,322,200
4
1,809,247
3,431,392
5,240,639
34.5%
山口県
1,382,140
489,051
153,262
11
283,629
12
1,329,980
2,419,541
3,749,521
35.4%
徳島県
1,324,929
594,164
51,510
6
257,394
12
1,039,669
1,212,417
2,252,086
46.1%
香川県
111,030
69,353
0
0
32,700
4
74,377
2,352,359
2,426,736
3.0%
愛媛県
293,324
118,455
60,467
10
214,210
4
449,546
3,074,767
3,524,313
12.7%
高知県
1,593,539
471,342
9,300
2
54,925
5
1,186,422
1,117,245
2,303,667
51.5%
福岡県
5,314,413
1,447,505
792,490
2
2,781,788
11
7,441,186
2,453,772
9,894,958
75.2%
佐賀県
505,466
245,310
98,000
1
51,000
1
409,156
1,628,505
2,037,661
20.0%
長崎県
1,411,574
638,576
434,311
10
1,072,257
10
2,279,566
1,316,607
3,596,173
63.3%
熊本県
2,013,828
939,129
145,628
13
320,703
16
1,541,030
3,016,185
4,557,215
33.8%
大分県
63,909
34,996
17,000
2
71,112
4
117,025
3,032,257
3,149,282
3.7%
宮崎県
793,996
589,358
36,522
4
58,341
4
299,501
2,515,071
2,814,572
10.6%
鹿児島県
1,696,857
694,093
16,000
2
36,000
4
1,054,764
3,700,794
4,755,558
22.1%
沖縄県
5,383,836
2,162,860
33,063
4
61,500
3
3,315,539
2,819,433
6,134,972
54.0%
合計
40,252,213
18,280,195
4,321,482
170
15,089,640
291
41,383,140
191,248,255
232,631,395
17.7%

 上記のうち、第2期事業運営期間の15,16両年度に貸付けを受けた北海道ほか26都府県の市町村(15年度で98市町村、16年度で191市町村)について、その貸付けを受けた理由について検査したところ、次のような状況となっていた。

〔1〕 介護給付費の額が事業計画で想定した額を予想外に上回ったことによるものが15年度で92市町村、16年度で176市町村

〔2〕 保険料の収納額が事業計画で想定した額を下回ったことによるものが15年度で12市町村、16年度で25市町村

〔3〕 その他の要因によるものが15年度で8市町村、16年度で14市町村

 このうちには、財源が不足するとして基金から借入れを行った後に財政事情が好転し、介護給付費準備基金の積立てを行っている市町村もあった。

(イ)貸付けを受けた市町村

 16年度に財政安定化基金から貸付けを受けた291市町村について、1市町村当たりの借入額は70万円から12億5600万円までとなっていて、平均は5185万余円となっている。
 上記市町村の歳入額全体に占める借入額の割合(以下「借入率」という。)についてみると、表3—8のとおり、大部分の市町村が3.0%未満となっており、最大の市町村でも5.6%となっている。

表3—8 借入率別市町村数(16年度)
借入率
1.0%
未満
1.0%〜
1.9%
2.0%〜
2.9%
3.0%〜
3.9%
4.0%〜
4.9%
5.0%
以上
市町村数
108
105
58
16
2
2
291
(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」を基に作成


 また、上記291市町村の第1号被保険者1人当たりの借入額についてみると、最小115円から最大15,589円となっていて、平均は3,714円となっている。この1人当たり借入額の第1号被保険者数に対する分布は図3—4のとおりで、市町村の規模の大小にかかわらず、1人当たり借入額の分布は散在している状況である。
 なお、この借入額は第3期事業運営期間の3年間に償還されることになるが、その際、第1号保険料(基準額)に与える影響額を試算すると3円から433円程度となる。

図3—4 市町村別(第1号被保険者数別)の1人当たり借入額(16年度)

図3—4市町村別(第1号被保険者数別)の1人当たり借入額(16年度)

(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」を基に作成


エ 市町村の法定負担割合を超えた一般会計からの繰入れ

 介護保険制度においては、介護保険特別会計で生じた不足分について、財政安定化基金からの貸付けを受けずに市町村の一般会計からの繰入金で賄うことは、社会保険制度の趣旨を損なうものであるとして、厚生労働省は、市町村の法定の公費負担割合を超えて繰り入れることのないよう助言を行っている。しかし、この法定負担割合を超えて繰入れを行った市町村が、北海道ほか26都府県において15年度は28市町村(8億4919万円)、16年度は25市町村(7億5882万円)となっている。
 上記の理由について検査したところ、次のような状況となっていた。

〔1〕 第1号保険料の不足分を賄うためのものが15年度で10市町村、16年度で9市町村

〔2〕 第1号保険料の額を軽減するためのものが15年度で10市町村、16年度で10市町村

〔3〕 財政安定化基金からの借入金償還のためのものが15年度で13市町村、16年度で13市町村

〔4〕 その他のものが15年度で9市町村、16年度で6市町村

オ 第1号保険料の収納状況

 第1号保険料は、毎年度の初日(4月1日)を賦課期日としていて、その時点で年額18万円以上の年金給付を受けている者は、特別徴収として年金から保険料の天引きを行うこととなっており、また、特別徴収の対象とならない者については、普通徴収として個別に徴収することとなっている。そして、これら徴収方法別の割合を16年度の現年度分についてみると、特別徴収分が81.8%、普通徴収分が18.1%となっていて、特別徴収分が大部分を占めている。
 第1号保険料の現年度分の調定額に対する収納額の割合(以下「収納率」という。)については、15年度は2,729市町村で68.4%から100%、平均収納率は98.3%、16年度は2,248市町村で70.8%から100%、平均収納率は98.2%となっている。これらを徴収方法別にみると、特別徴収の収納率は100%であるが、普通徴収の収納率は15年度は55.0%から100%、平均収納率は90.9%、16年度は47.4%から100%、平均収納率は90.1%となっている。
 また、収納率別の市町村数についてみると、表3—9のとおり、全体では99%から100%未満が最も多く、普通徴収では90%から95%未満が最も多くなっている。

表3—9 収納率別の市町村数
現年度分
現年度のうち普通徴収分
収納率
15年度
16年度
収納率
15年度
16年度
96%未満
96%〜97%未満
97%〜98%未満
98%〜99%未満
99%〜100%未満
100%
23
38
215
879
1,466
108
29
48
217
835
1,054
65
80%未満
80%〜85%未満
85%〜90%未満
90%〜95%未満
95%〜100%未満
100%
22
53
322
1,185
1,039
108
36
60
405
1,056
626
65
合計
2,729
2,248
合計
2,729
2,248
(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」を基に作成


(2)保険給付の状況

ア 介護サービス受給者の概況

 全国の介護サービス受給者の概況については、次のとおりである。

〔1〕 全国の介護サービス受給者(月平均。以下同じ。)は、12年度の184万人から16年度は316万人と5年間で1.7倍に増加している。

〔2〕 16年度のサービス利用の内訳は、居宅サービス受給者が240万人で75.8%、施設サービス受給者が76万人で24.1%となっている。この5年間の利用状況をみると、居宅サービス受給者の伸びが1.9倍と施設サービス受給者の伸びの1.2倍を上回っている。

〔3〕 16年度の居宅サービス受給者を要介護度別にみると、要支援及び要介護1の受給者の利用が受給者全体の55.8%と半数を超えている。また、居宅サービスにおいては、比較的軽度な受給者が多く利用する傾向にある。

〔4〕 12年度から16年度までの5年間における居宅サービス受給者の伸びを要介護度別にみると、要介護1の受給者が39万人から93万人と2.3倍になっており、要介護度別では一番大きな伸びとなっている。

〔5〕 16年度の施設サービス受給者を施設別にみると、介護老人福祉施設の利用者が35万人で最も多く全体の46.6%を占めている。また、介護老人保健施設の利用者は27万人で35.9%、介護療養型医療施設の利用者は13万人で17.4%となっている。

〔6〕 12年度から16年度までの5年間における施設サービス受給者の伸びを施設別にみると、介護療養型医療施設の受給者が12年度の9万人から16年度の13万人と1.3倍になっており、施設別では最も大きな伸びとなっている。

イ 介護給付費の都道府県別の推移

 都道府県別の介護給付費は、表3—10のとおり、全国計では12年度の3兆2291億余円から16年度の5兆5220億余円へと1.7倍に増加している。また、この5年間の介護給付費を都道府県別にみると、神奈川県及び埼玉県が2倍を超える高い伸び率となっており、総じて関東、中部及び近畿地方の各都府県が高い伸びを示している。

表3—10 都道府県別の介護給付費

(単位:千円)

都道府県
12年度
13年度
14年度
15年度
16年度
対12年度比
北海道
173,324,887
211,097,107
231,956,366
241,983,924
258,831,460
149.3%
青森県
51,669,588
64,995,655
71,586,824
77,273,310
83,463,010
161.5%
岩手県
44,358,891
54,922,828
59,668,626
64,480,585
69,824,878
157.4%
宮城県
49,077,151
63,900,272
72,574,526
81,572,152
91,411,517
186.2%
秋田県
43,926,236
54,194,549
59,206,008
61,163,787
65,699,590
149.5%
山形県
40,429,986
50,383,287
55,543,445
60,472,509
65,580,689
162.2%
福島県
49,730,482
63,213,975
71,079,928
78,611,623
87,586,456
176.1%
茨城県
54,827,648
69,751,334
78,948,047
87,791,179
98,686,228
179.9%
栃木県
42,371,077
52,468,141
59,710,329
65,697,986
71,555,191
168.8%
群馬県
50,327,048
63,543,561
72,090,606
79,176,180
87,029,731
172.9%
埼玉県
94,917,249
126,248,276
147,761,123
169,009,746
189,893,963
200.0%
千葉県
94,785,629
125,399,273
144,501,044
162,120,879
181,633,702
191.6%
東京都
251,990,436
332,664,509
390,147,339
437,657,147
477,006,316
189.2%
神奈川県
141,217,321
189,008,790
221,233,378
252,537,974
284,143,034
201.2%
新潟県
83,530,024
104,970,213
116,019,838
124,380,905
134,566,565
161.0%
富山県
41,350,198
51,297,508
57,916,624
62,081,566
66,775,108
161.4%
石川県
39,793,306
48,484,507
53,543,636
57,684,898
62,925,021
158.1%
福井県
29,700,000
35,778,918
38,854,886
41,020,771
44,207,891
148.8%
山梨県
21,717,655
27,673,170
32,070,088
35,916,954
39,564,596
182.1%
長野県
65,130,871
82,135,487
92,753,351
104,149,133
114,736,743
176.1%
岐阜県
48,895,195
61,865,509
70,424,336
78,115,809
87,252,762
178.4%
静岡県
80,607,564
104,672,653
122,338,514
138,520,751
155,386,503
192.7%
愛知県
127,422,211
164,575,604
188,307,908
210,975,489
235,466,536
184.7%
三重県
48,166,969
61,451,962
70,004,292
77,999,593
85,861,571
178.2%
滋賀県
28,034,452
36,708,049
42,482,977
46,742,340
51,936,645
185.2%
京都府
73,883,662
96,439,103
107,642,848
115,793,581
123,261,066
166.8%
大阪府
184,043,534
242,920,509
286,269,875
322,444,617
358,030,212
194.5%
兵庫県
133,425,173
172,354,345
198,500,314
220,738,348
241,392,953
180.9%
奈良県
32,105,858
42,267,365
49,053,434
53,409,681
58,300,889
181.5%
和歌山県
35,896,238
45,062,873
52,042,987
57,760,210
61,745,950
172.0%
鳥取県
23,515,558
29,987,918
32,844,429
34,733,440
36,739,590
156.2%
島根県
31,383,408
39,516,869
43,953,835
47,314,226
49,991,353
159.2%
岡山県
67,071,538
83,114,187
92,458,396
97,777,151
104,759,410
156.1%
広島県
90,152,661
113,585,994
127,169,659
139,515,391
151,092,717
167.5%
山口県
62,057,261
74,430,084
81,042,794
86,301,660
90,885,370
146.4%
徳島県
35,843,241
43,987,224
49,586,795
52,838,220
56,069,518
156.4%
香川県
31,971,165
40,518,093
45,855,290
49,565,592
53,466,031
167.2%
愛媛県
52,386,396
64,310,626
74,967,688
81,495,570
88,402,444
168.7%
高知県
39,038,533
45,981,557
48,957,655
50,096,606
52,507,996
134.5%
福岡県
161,716,992
197,553,177
219,256,510
234,130,935
251,179,733
155.3%
佐賀県
33,068,805
39,607,360
43,511,937
45,739,223
48,186,644
145.7%
長崎県
55,908,931
69,245,595
75,219,788
82,120,899
90,195,042
161.3%
熊本県
76,710,249
92,122,725
100,720,786
106,261,967
112,128,901
146.1%
大分県
45,629,802
55,623,032
61,048,980
65,703,790
70,343,302
154.1%
宮崎県
43,468,260
51,685,600
56,906,725
61,087,484
63,906,703
147.0%
鹿児島県
77,482,455
92,505,340
100,629,526
105,950,035
109,042,139
140.7%
沖縄県
45,076,473
54,222,385
57,713,533
57,404,751
59,428,645
131.8%
全国計
3,229,138,269
4,088,447,098
4,626,077,825
5,065,320,567
5,522,082,311
171.0%
(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」による。ただし、12年度については11箇月分の累計である。


ウ 介護給付費のサービス別の推移

 12年度から16年度までの5年間の介護給付費をサービス別にみると、表3—11のとおり、居宅サービス費が12年度の1兆0955億余円から16年度の2兆7063億余円と2.4倍になっており、施設サービス費の1.3倍を大きく上回っている。

表3—11 介護給付費のサービス別の推移

(単位:千円)

区分
12年度
13年度
14年度
15年度
16年度
対12年度比
居宅サービス
1,095,571,475
1,592,646,138
1,968,830,998
2,356,804,164
2,706,356,863
247.0%
 
訪問通所サービス
835,089,688
1,175,853,488
1,433,012,340
1,669,012,992
1,871,947,220
 
短期入所サービス
95,243,848
167,213,085
207,377,949
232,140,331
255,771,812
 
単品サービス
143,788,368
210,845,175
280,037,760
403,702,784
528,058,572
 
福祉用具購入費
5,497,327
8,433,642
10,083,469
10,988,438
11,179,292
 
住宅改修費
15,952,243
30,300,747
38,319,479
40,959,619
39,399,968
 
施設サービス
2,133,566,794
2,495,800,960
2,657,246,826
2,708,516,403
2,815,725,448
131.9%
 
介護老人福祉施設
967,216,926
1,121,103,142
1,169,170,790
1,172,366,516
1,225,612,545
 
介護老人保健施設
722,588,373
856,246,322
895,834,664
912,338,194
960,337,400
 
介護療養型医療施設
443,761,496
518,451,497
592,834,664
623,811,693
629,775,503
 
合計
3,229,138,269
4,088,447,098
4,626,077,825
5,065,320,567
5,522,082,311
171.0%
(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」による。ただし、12年度については11箇月分の累計である。


エ 都道府県別・要介護度別の介護給付費

 16年度における都道府県別・要介護度別の介護給付費は、表3—12のとおりとなっており、介護サービス受給者数では要支援、要介護1の軽度者の利用割合が高くなっているが、介護給付費でみると、要介護5が1兆3133億余円で23.7%、要介護4が1兆2496億余円で22.6%と重度者の給付割合が高くなっている。また、都道府県別にみると、北海道ほか43都府県では、要介護4及び要介護5の重度の給付割合が1位又は2位となっているが、福岡県及び長崎県では、要介護1の給付割合が1位、佐賀県では要介護1の給付割合が2位となっているなど軽度者の給付割合が高くなっている。これは、福岡県等において、軽度者の訪問介護、通所介護の利用が他の都道府県と比較して多いことなどによるものである。

表3—12 都道府県別、要介護度別介護給付費の給付状況(16年度)

(単位:千円)

都道府県
非該当
要支援
要介護1
要介護2
要介護3
要介護4
要介護5
北海道
8,047
8,052,248
50,216,227
37,866,787
42,874,608
53,577,355
66,236,188
258,831,460
青森県
3,371,447
15,031,318
13,295,670
15,109,720
16,972,817
19,682,036
83,463,010
岩手県
1,889,626
11,288,633
9,638,804
12,208,401
16,674,312
18,125,101
69,824,878
宮城県
2,305,863
15,826,994
13,797,731
16,436,848
20,435,807
22,608,274
91,411,517
秋田県
1,563,123
10,160,125
9,089,125
11,630,397
15,155,071
18,101,748
65,699,590
山形県
5,671
1,572,773
11,439,851
9,153,265
11,670,569
14,769,266
16,969,293
65,580,689
福島県
2,106,179
14,635,794
12,923,855
16,286,092
20,127,822
21,506,714
87,586,456
茨城県
5,263
1,970,670
15,476,482
14,984,550
20,057,052
24,146,801
22,045,410
98,686,228
栃木県
1,739
1,657,582
11,003,487
10,018,448
13,149,286
18,668,627
17,056,021
71,555,191
群馬県
2,384
2,332,280
15,307,453
12,858,193
16,920,393
20,696,923
18,912,106
87,029,731
埼玉県
491
4,191,262
29,196,761
28,688,406
37,776,205
48,330,911
41,709,927
189,893,963
千葉県
1,342
4,412,834
29,751,975
26,552,684
34,520,604
45,309,687
41,084,575
181,633,702
東京都
7,589
14,159,967
75,122,260
68,792,592
88,765,432
111,930,862
118,227,614
477,006,316
神奈川県
2,637
7,152,247
47,329,092
42,366,065
52,659,666
64,358,167
70,275,160
284,143,034
新潟県
-583
2,470,970
19,255,479
18,200,614
24,492,732
31,189,929
38,957,423
134,566,565
富山県
1,080,726
9,796,353
10,074,239
12,865,094
15,036,234
17,922,461
66,775,108
石川県
1,495,159
11,136,040
9,245,107
11,231,102
13,864,036
15,953,577
62,925,021
福井県
1,726
1,309,480
8,312,560
6,031,753
8,078,808
9,983,318
10,490,246
44,207,891
山梨県
782,283
6,597,890
5,873,734
7,413,096
9,197,822
9,699,772
39,564,596
長野県
2,761
2,633,355
17,436,727
15,167,223
20,530,550
27,538,018
31,428,110
114,736,743
岐阜県
704
2,317,926
13,970,271
13,246,395
16,539,406
19,678,030
21,500,028
87,252,762
静岡県
698
3,239,696
25,764,962
23,457,149
29,321,702
36,847,796
36,754,499
155,386,503
愛知県
8,836
5,960,363
41,053,960
36,138,495
45,721,259
54,649,909
51,933,713
235,466,536
三重県
2,341,101
14,209,798
12,558,972
16,657,000
20,761,164
19,333,537
85,861,571
滋賀県
2,994
1,072,182
8,847,942
8,065,156
9,914,852
11,987,840
12,045,680
51,936,645
京都府
1,515
2,638,897
20,082,264
18,479,473
24,145,349
28,529,964
29,383,603
123,261,066
大阪府
13,383
12,050,664
67,537,970
53,660,818
63,966,940
81,276,415
79,524,023
358,030,212
兵庫県
250
9,008,200
43,218,770
36,146,413
44,430,400
53,294,922
55,293,998
241,392,953
奈良県
1,888
1,967,995
11,005,170
9,040,694
11,554,411
13,100,514
11,630,218
58,300,889
和歌山県
907
2,625,300
10,104,209
8,669,416
11,064,299
13,849,978
15,431,841
61,745,950
鳥取県
-19
1,435,097
6,189,946
5,517,903
6,774,707
8,077,665
8,744,291
36,739,590
島根県
1,375
1,616,840
8,203,825
6,885,176
8,533,694
10,885,488
13,864,956
49,991,353
岡山県
6,159
4,033,769
19,260,550
15,407,113
19,048,601
22,633,961
24,369,257
104,759,410
広島県
6,959,474
27,346,284
22,191,812
26,574,048
31,042,397
36,978,701
151,092,717
山口県
1,911
3,547,999
16,215,496
12,803,528
15,899,460
20,471,826
21,945,150
90,885,370
徳島県
2,821,185
10,853,382
7,658,306
9,332,160
12,742,515
12,661,970
56,069,518
香川県
5,075
2,265,979
10,885,186
8,007,491
8,792,283
11,053,322
12,456,695
53,466,031
愛媛県
3,344,350
16,263,247
12,639,054
14,697,702
18,442,221
23,015,870
88,402,444
高知県
6,101
1,975,670
8,774,416
6,922,047
8,629,938
11,574,533
14,625,290
52,507,996
福岡県
3,148
14,017,068
55,522,537
37,690,464
42,629,375
52,390,449
48,926,692
251,179,733
佐賀県
2,465,006
9,495,155
7,076,181
9,268,420
10,414,852
9,467,030
48,186,644
長崎県
6,219,709
20,391,439
13,260,265
15,288,661
17,023,197
18,011,770
90,195,042
熊本県
5,761,211
21,716,827
14,436,120
18,571,695
24,852,985
26,790,062
112,128,901
大分県
2,002
4,214,697
12,302,959
9,447,288
11,903,367
15,536,389
16,936,600
70,343,302
宮崎県
3,438,690
11,033,670
9,202,637
10,800,932
12,708,888
16,721,886
63,906,703
鹿児島県
7,149,819
20,442,543
13,755,197
18,367,128
24,021,661
25,305,791
109,042,139
沖縄県
1,875
2,330,696
11,107,585
8,128,524
11,334,347
13,864,406
12,661,212
59,428,645
全国計
97,872
183,329,657
966,121,862
805,110,930
1,004,438,795
1,249,677,073
1,313,306,121
5,522,082,311
給付割合
0.0%
3.3%
17.4%
14.5%
18.1%
22.6%
23.7%
100.0%
注(1)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」による。
注(2)
 金額の太線で囲ったものは当該都道府県のうちで最も金額の多いものであり、太字は次に金額が多いものである。
注(3)
 非該当の97,872は介護保険制度創設以前からの施設入所者で、現行の要介護認定等では非該当となるが、特例措置として介護サービスを受けている者である。

オ 16年度におけるサービス別・要介護度別の介護給付費

(ア)サービス別の介護給付費

 16年度におけるサービス別の介護給付費は、居宅サービスが2兆7063億余円で49.0%、施設サービスが2兆8157億余円で50.9%となっている。これをそれぞれのサービスの種類別にみると、表3—13のとおり、居宅サービスでは、訪問介護が6264億余円、通所介護が6179億余円、通所リハビリテーションが3102億余円、居宅介護支援が2385億余円、短期入所生活介護が1984億余円、認知症対応型共同生活介護が1951億余円と上位を占めている。また、施設サービスでは、介護老人福祉施設が1兆2256億余円と最も多額で、以下、介護老人保健施設が9603億余円、介護療養型医療施設が6297億余円となっている。
 なお、16年度の介護給付費について、サービス種類別に前年度に対する増加率をみると、居宅サービスでは認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の伸びが最も高く、次いで、特定施設入所者生活介護(有料老人ホーム等)、通所介護等が高い伸びを示しており、施設サービスでは、介護老人保健施設の伸びが最も高くなっている。

表3—13 サービス種類別の介護給付費(16年度)
(単位:千円)
区分
内容
16年度
給付割合
居宅サービス
 
2,706,356,863
100.0%
 
訪問通所サービス
 
1,871,947,220
69.1%
 
訪問介護
居宅でうける入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話
626,481,779
23.1%
訪問入浴介護
居宅で浴槽を提供されてうける入浴の介護
49,612,437
1.8%
訪問看護
居宅でうける療養上の世話と診療の補助
110,730,812
4.0%
訪問リハビリテーション
居宅でうける心身の機能の維持回復を図り日常生活の自立を助けるための理学療法・作業療法等のリハビリテーション
5,140,372
0.1%
通所介護
通所による入浴、食事の提供その他日常生活上の世話と機能訓練
617,938,249
22.8%
通所リハビリテーション
通所による心身の機能の回復維持を図り日常生活の自立を助けるための理学療法・作業療法等のリハビリテーション
310,297,085
11.4%
福祉用具貸与
日常生活上の便宜を図る用具や機能訓練のための用具で、日常生活の自立を助けるものの貸与
151,746,486
5.6%
短期入所サービス
 
255,771,812
9.4%
 
短期入所生活介護
短期入所による入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話と機能訓練
198,469,549
7.3%
短期入所療養介護(老健)
短期入所による看護、医学的管理下の介護と機能訓練等の必要な医療と日常生活上の世話 
49,884,869
1.8%
短期入所療養介護(医療)
7,417,394
0.2%
単品サービス
 
528,058,572
19.5%
 
居宅療養管理指導
病院の医師等による療養上の管理と指導
19,671,359
0.7%
認知症対応型共同生活介護
共同生活を営む住居でうける入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話と機能訓練
195,180,457
7.2%
特定施設入所者生活介護
有料老人ホーム等でうける入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話
74,662,769
2.7%
居宅介護支援
心身の状況、環境、本人や家族の希望等をうけサービス内容等の計画を作成して行う事業者等との連絡調整等
238,543,987
8.8%
福祉用具購入費
入浴又は排せつの用に供する福祉用具等の購入
11,179,292
0.4%
住宅改修費
手すりの取付けなどの住宅の改修
39,399,968
1.4%
施設サービス
 
2,815,725,448
100.0%
 
介護老人福祉施設
特別養護老人ホームでの入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話
1,225,612,545
43.5%
介護老人保健施設
介護老人保健施設での看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話
960,337,400
34.1%
介護療養型医療施設
療養病床等を有する病院等での療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他の世話及び機能訓練その他必要な医療
629,775,503
22.3%
合計
 
5,522,082,311
 
(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」等による。


(イ)サービス別・要介護度別の介護給付費

 16年度におけるサービス別・要介護度別の介護給付費は、表3—14のとおりとなっており、居宅サービス(2兆7063億余円)では、要介護1及び要介護2の軽度者の給付割合が28.6%及び18.5%と高くなっているのに対して、施設サービス(2兆8157億余円)では、要介護5及び要介護4の重度者の給付割合が34.4%及び29.7%と高くなっている。

表3—14 サービス別・要介護度別の介護給付費(16年度)

(単位:千円)

区分
非該当
要支援
要介護1
要介護2
居宅サービス
給付割合
 
182,496,243
6.7%
775,692,721
28.6%
502,076,238
18.5%
 
訪問通所サービス
 
127,463,948
564,133,390
340,154,970
 
訪問介護
 
50,353,622
194,068,953
104,976,303
訪問入浴介護
 
38,134
1,304,372
2,639,035
訪問看護
 
2,122,724
18,683,114
15,934,090
訪問リハビリテーション
 
125,753
998,434
838,383
通所介護
 
46,217,084
203,186,436
123,541,369
通所リハビリテーション
 
18,435,229
105,343,967
66,434,897
福祉用具貸与
 
10,171,403
40,548,113
25,790,894
短期入所サービス
 
893,822
25,214,014
37,534,026
 
短期入所生活介護
 
712,516
19,343,723
28,602,281
短期入所療養介護(老健)
 
162,162
5,306,476
8,123,438
短期入所療養介護(医療)
 
19,144
563,815
808,307
単品サービス
 
45,017,018
167,308,104
115,517,729
 
居宅療養管理指導
 
648,904
4,036,800
3,319,526
認知症対応型共同生活介護
 
 
49,966,526
59,408,882
特定施設入所者生活介護
 
2,457,380
19,457,170
12,996,718
居宅介護支援
 
41,910,734
93,847,609
39,792,602
福祉用具購入費
 
1,267,236
3,687,947
2,115,116
住宅改修費
 
7,854,219
15,349,265
6,754,397
施設サービス
給付割合
97,872
0.0%
833,415
0.0%
190,429,141
6.7%
303,034,693
10.7%
 
介護老人福祉施設
97,872
833,415
70,341,075
121,420,042
介護老人保健施設
 
 
108,041,354
159,149,979
介護療養型医療施設
 
 
12,046,711
22,464,672
合計
97,872
183,329,657
966,121,862
805,110,930

区分
要介護3
要介護4
要介護5
居宅サービス
給付割合
490,747,323
18.1%
411,776,215
15.2%
343,568,123
12.6%
2,706,356,863
100.0%
 
訪問通所サービス
326,005,999
270,959,544
243,229,369
1,871,947,220
 
訪問介護
93,884,202
88,615,654
94,583,046
626,481,779
訪問入浴介護
5,756,236
12,332,670
27,541,991
49,612,437
訪問看護
17,368,259
20,636,324
35,986,301
110,730,812
訪問リハビリテーション
940,721
1,028,771
1,208,310
5,140,372
通所介護
122,140,804
81,913,605
40,938,951
617,938,249
通所リハビリテーション
61,055,099
40,957,742
18,070,151
310,297,085
福祉用具貸与
24,860,679
25,474,778
24,900,619
151,746,486
短期入所サービス
59,993,979
71,989,197
60,146,774
255,771,812
 
短期入所生活介護
46,897,906
56,721,154
46,191,968
198,469,549
短期入所療養介護(老健)
11,886,572
13,434,018
10,972,203
49,884,869
短期入所療養介護(医療)
1,209,501
1,834,025
2,982,603
7,417,394
単品サービス
97,480,351
64,443,746
38,291,624
528,058,572
 
居宅療養管理指導
3,401,608
3,577,502
4,687,019
19,671,359
認知症対応型共同生活介護
52,476,200
26,137,640
7,191,209
195,180,457
特定施設入所者生活介護
13,996,882
14,597,882
11,156,737
74,662,769
居宅介護支援
27,605,660
20,130,722
15,256,660
238,543,987
福祉用具購入費
2,017,515
1,408,450
683,028
11,179,292
住宅改修費
5,249,481
2,975,278
1,217,327
39,399,968
施設サービス
給付割合
513,691,472
18.2%
837,900,859
29.7%
969,737,997
34.4%
2,815,725,448
100.0%
 
介護老人福祉施設
215,066,166
385,906,751
431,947,224
1,225,612,545
介護老人保健施設
234,620,840
276,991,132
181,534,095
960,337,400
介護療養型医療施設
64,004,466
175,002,975
356,256,678
629,775,503
合計
1,004,438,795
1,249,677,073
1,313,306,121
5,522,082,311
(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」による。


カ 16年度における介護給付費の都道府県別の給付割合

(ア)都道府県別・サービス別の給付割合

 16年度における介護給付費の居宅サービス及び施設サービス別の給付割合を、都道府県別にみると、図3—5のとおり、居宅サービスの給付割合が最も高いのは東京都で56.0%、次いで神奈川県の54.9%となっており、施設サービスの給付割合が最も高いのは高知県の63.0%、次いで富山県の62.2%となっている。

図3—5 都道府県別・サービス別の給付割合(16年度)

図3—5都道府県別・サービス別の給付割合(16年度)

(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」を基に作成


(イ)都道府県別・居宅サービス種類別の給付割合

 16年度における介護給付費の居宅サービス種類別の給付割合は、表3—13のとおり、〔1〕訪問介護が23.1%、〔2〕通所介護が22.8%、〔3〕通所リハビリテーションが11.4%、〔4〕短期入所生活介護が7.3%、〔5〕認知症対応型共同生活介護が7.2%となっており、これを都道府県別にみると、図3—6のとおりとなっている。

〔1〕 訪問介護の給付割合は、東京都が36.8%、大阪府が33.4%と高く、鳥取県が12.4%、富山県が13.0%と低くなっている。

〔2〕 通所介護の給付割合は、沖縄県が34.5%、新潟県が33.4%と高く、鹿児島県が14.9%、東京都が17.6%と低くなっている。

〔3〕 通所リハビリテーションの給付割合は、鹿児島県が25.4%、熊本県が23.7%と高く、東京都が4.2%、神奈川県が6.4%と低くなっている。

〔4〕 短期入所生活介護の給付割合は、新潟県が15.0%、富山県が13.5%と高く、沖縄県が3.7%、福岡県が4.1%と低くなっている。

〔5〕 認知症対応型共同生活介護の給付割合は、長崎県が19.3%、青森県が18.0%と高く、沖縄県が2.1%、東京都が3.0%と低くなっている。

図3—6 都道府県別・居宅サービス種類別の給付割合(16年度)

図3—6都道府県別・居宅サービス種類別の給付割合(16年度)

(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」を基に作成


(ウ)都道府県別・施設サービス施設別の給付割合

 16年度における介護給付費の施設サービス施設別の給付割合は、表3—13のとおり、〔1〕介護老人福祉施設が43.5%、〔2〕介護老人保健施設が34.1%、〔3〕介護療養型医療施設が22.3%となっており、これを都道府県別にみると、図3—7のとおりとなっている。

〔1〕 介護老人福祉施設の給付割合は、山形県が56.8%、島根県が53.0%と高く、徳島県が31.7%、高知県が33.7%と低くなっている。

〔2〕 介護老人保健施設の給付割合は、宮城県が51.0%、秋田県が45.1%と高く、高知県が20.5%、東京都が24.4%と低くなっている。

〔3〕 介護療養型医療施設の給付割合は、高知県が45.6%、山口県が38.0%と高く、宮城県が5.7%、秋田県が7.7%と低くなっている。

図3—7 都道府県別・施設サービス施設別の給付割合(16年度)

図3—7都道府県別・施設サービス施設別の給付割合(16年度)

(注)
 厚生労働省「介護保険事業状況報告年報」を基に作成