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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成18年10月

高速道路の建設事業に係る入札・契約制度の見直しの状況等について


 高速道路の新規建設事業については、18年3月31日に各会社と機構との間で締結された協定において、民営化後も各会社により引き続き行われることとされた。そして、今後の建設事業における入札・契約制度については、建設費を抑制し、債務を確実に償還するなどのためにも、競争性、透明性を確保し、談合の防止とともに、事業費のコスト削減にも寄与することが求められている。
 今回、各公団等における入札・契約制度の見直し策の実施状況について検査したところ、一般競争入札の導入や不落随契の廃止等の入札・契約方式の見直しについては、見直し策の内容に沿って実施されている。
 そして、各公団等の見直し策の実施に当たっては、見直し後の期間が短く契約実績が少ないものの、次のような状況が見受けられた。
〔1〕 落札率については、17年度前半から低下している状況が見受けられる。また、見直し後においては、受注意欲のある入札者が自発的に参加したと思料されることなどにより入札者数が多いほど落札率が低下する傾向もある。
〔2〕 入札者数については、見直し後に減少している状況が見受けられるが、入札参加資格の要件については、変更されていない。
〔3〕 総合評価落札方式については、見直し後において実績の拡大を図ることとしているが、導入後間もなく、実質的には試行段階にある。
〔4〕 工事費内訳書等の確認については、内容の確認により入札を取りやめた事態もあり、公正な入札の確保に効果があると認められるが、膨大な量の単価等について限られた時間の中で行わなければならないことから、発注者に係る負担も大きいため、比較的簡易な確認に止まっている状況も見受けられる。
〔5〕 工事発注単位の設定については、各公団は民営化され、債務負担行為に関する年限等の制約がなくなり、より柔軟な発注工期の設定が可能となっている。
 したがって、各会社においては、今回取りまとめられた入札・契約制度の見直し策の内容等を確実に実施するとともに、更に有効なものとするため、以下のような対応を図っていくことが望まれる。
ア 入札参加資格の要件については、適切な施工能力を有する者を選定して施工の確保を図ることに十分配慮しつつ、多くの入札者の参加により更に競争性の高い入札となることを指向して、その見直しについて検討すること
イ 品確法等で求められている総合評価落札方式の実施に当たっては、実績の増加を図っていくとともに、導入目的に沿った効果が得られるよう、実施方法等にも十分に配慮して適用していくこと
ウ 工事費内訳書等については発注者である各会社の事務負担も考慮した上で、より効果的な活用方法を検討すること
エ 工事発注単位の設定に当たっては、工事の実態を考慮しつつ、民営化の利点を生かしたより弾力的かつ経済的な方法を検討すること
 さらに、3会社及び機構においては、談合事件により被ったと認められる損害について、まだ違約金等の請求を行っていない契約については適時に適正な違約金等の請求を行い、その速やかな回復に努める要があると認められる。

 会計検査院としては、今後とも入札・契約制度の見直し策の効果の発現状況や談合事件により被ったと認められる損害の回復状況等について検査していくこととする。