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  • 平成18年10月

財投機関における財政投融資改革後の財務状況と特殊法人等改革に伴う財務処理の状況について


[別添]個別の財投機関の状況

 本項においては、本文の理解を深めるための一助として、検査対象とした財投機関37法人の事業運営及び特殊法人等改革等による組織改革の状況を「(1)法人及び財投事業の概要」、「(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況」、「(3)16年度の財投実績等の状況」の3つの項目に分けて簡潔に記述した。また、7法人(注45) については本文で当該法人について言及した事項などを「(4)財務等に関して留意すべき事項」の項目を設けて記述している。

(注45)
 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、独立行政法人環境再生保全機構、独立行政法人中小企業基盤整備機構、独立行政法人雇用・能力開発機構、独立行政法人労働者健康福祉機構及び独立行政法人日本学生支援機構


1 日本道路公団

(1)法人及び財投事業の概要

 日本道路公団(以下、この項において「公団」という。)は、通行又は利用について料金を徴収することができる道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を総合的かつ効率的に行うことなどによって、道路の整備を促進し、円滑な交通に寄与することを目的として、高速自動車国道及び一般有料道路の建設及び管理等を行っている。
 公団において、財政投融資の対象とされているのは、上記道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に関する事業である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 公団は、17年10月1日に解散し、公団の権利及び義務は同日設立された東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が承継している。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度2兆2078億円は12年度2兆3612億円の93.5%になっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は5300億円、16年度の財投機関債依存率は17.9%となっている。
 なお、公団は、民営化に備えて14年度から政府保証債による資金調達を行っており、16年度の発行額1兆4770億円は14年度2600億円の5.7倍となっている。

2 首都高速道路公団

(1)法人及び財投事業の概要

 首都高速道路公団(以下、この項において「公団」という。)は、東京都の区の存する区域及びその周辺の地域において、自動車専用道路の整備を促進して交通の円滑化を図り、もって首都の機能の維持及び増進に資することを目的として、有料の自動車専用道路の建設及び管理等を行っている。
 公団において、財政投融資の対象とされているのは、上記道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に関する事業である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 公団は、17年10月1日に解散し、公団の権利及び義務は同日設立された首都高速道路株式会社及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が承継している。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度4477億円は12年度3676億円の121.8%になっている。また、14年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は650億円、16年度の財投機関債依存率は9.7%となっている。
 なお、公団は、民営化に備えて15年度から政府保証債による資金調達を行っており、16年度の発行額3002億円は15年度1506億円の2.0倍となっている。

3 阪神高速道路公団

(1)法人及び財投事業の概要

 阪神高速道路公団(以下、この項において「公団」という。)は、大阪市及び神戸市の区域並びに京都市の区域のうち一部の地域並びにそれらの地域の間及び周辺の地域において、自動車専用道路の整備を促進して交通の円滑化を図り、もってこれらの地域における都市の機能の維持及び増進に資することを目的として、有料の自動車専用道路の建設及び管理等を行っている。
 公団において、財政投融資の対象とされているのは、上記道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に関する事業である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 公団は、17年10月1日に解散し、公団の権利及び義務は同日設立された阪神高速道路株式会社及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が承継している。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度の財投実績2624億円は12年度3516億円の74.7%になっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は450億円、16年度の財投機関債依存率は12.9%となっている。
 なお、公団は、民営化に備えて15年度から政府保証債による資金調達を行っており、16年度の発行額1760億円は15年度1205億円の1.5倍となっている。

4 本州四国連絡橋公団

(1)法人及び財投事業の概要

 本州四国連絡橋公団(以下、この項において「公団」という。)は、本州と四国の連絡橋に係る有料の道路及び鉄道の建設並びに管理を総合的かつ効率的に行うことなどにより、本州と四国の間の交通の円滑化を図り、もって国土の均衡ある発展と国民経済の発達に資することを目的として、本州と四国を連絡する有料道路の建設及び管理等を行っている。
 公団において、財政投融資の対象とされているのは、上記道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に関する事業である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 公団は、17年10月1日に解散し、公団の権利及び義務は同日設立された本州四国連絡高速道路株式会社及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が承継している。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度875億円は12年度1466億円の59.7%になっている。また、15年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は420億円、16年度の財投機関債依存率は20.0%となっている。
 なお、公団は、民営化に備えて15年度から政府保証債による資金調達を行っており、16年度の発行額587億円は15年度501億円の1.2倍となっている。

5 関西国際空港株式会社

(1)法人及び財投事業の概要

 関西国際空港株式会社(以下、この項において「会社」という。)は、航空輸送の円滑化を図り、もって航空の総合的な発達に資するため、関西国際空港の設置及び管理を行っている。
 会社において、財政投融資の対象とされているのは、空港建設事業である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 会社は、特殊法人等改革において現在の特殊会社としての経営形態を維持することとされており、昭和59年10月の設立から現在まで経営形態の変更はない。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、平成16年度257億円は12年度の221億円の116.2%になっているが、事業の進ちょくに応じて資金を調達するため年度間の変動が大きい状況となっている。また、15年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は300億円、財投機関債依存率は20.3%となっている。

6 成田国際空港株式会社

(1)法人及び財投事業の概要

 成田国際空港株式会社(以下、この項において「会社」という。)は、航空輸送の利用者の利便の向上を図り、もって航空の総合的な発展に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化に寄与することを目的として、成田国際空港の設置及び管理を行っている。
 会社において、財政投融資の対象とされているのは、空港建設事業である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 会社は、16年4月1日、解散した新東京国際空港公団の権利及び義務を承継して設立された。
 資産承継等の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は承継前の3049億円から1000億円となり、2049億円減少している。これは政府出資金33億円が償却されたほか、1496億円が無利子貸付金(一般会計分149億円、空港整備特別会計分1347億円)に、520億円が資本剰余金にそれぞれ振り替わったことなどによるものである。
 なお、14年度までに通常の民間企業に準じた会計基準に移行していたこと等から、承継資産の再評価は行っていない。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度169億円は12年度254億円の66.9%になっているが、年度間の変動が大きい状況となっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は500億円、財投機関債依存率は70.4%となっている。

7 東京地下鉄株式会社

(1)法人及び財投事業の概要

 東京地下鉄株式会社(以下、この項において「会社」という。)は、東京都の特別区の存する区域及びその付近において、地下鉄事業及びその附帯事業を経営している。
 会社において、財政投融資の対象とされているのは、地下鉄事業のうち、新線建設、安全防災対策等の事業である。なお、15年度以降財投実績はない。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 会社は、16年4月1日、解散した帝都高速度交通営団の権利及び義務を承継して設立された。資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 なお、同営団においても企業会計原則に基づいた会計経理を行っていたことから会社においては資産評価等は行われていない。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおりである。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っているが、15年度以降、財投機関債の発行実績はない。

8 独立行政法人緑資源機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人緑資源機構(以下、この項において「機構」という。)は、豊富な森林資源を開発するために必要な林道の開設、改良等の事業を行うとともに、水源をかん養するために必要な森林の造成に係る事業及びこれと一体として農用地、土地改良施設等を整備する事業等を行っている。
 機構において、財投資金を受け入れているのは、造林勘定及び林道等勘定である。

ア 造林勘定

 造林勘定において、財政投融資の対象とされているのは、水源かん養上重要な地域にある保安林又は保安林予定地のうち、水源かん養機能等が低下した森林を計画的に整備し、水源かん養機能をより高度に発揮させるための水源林造成事業である。

イ 林道等勘定

 林道等勘定において、財政投融資の対象とされているのは、森林の整備、林業の活性化、山村住民の定住条件の整備等を図る基幹的な林道を整備する緑資源幹線林道整備事業並びに農用地及び土地改良施設を整備するための農用地総合整備事業である。

(2) 特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、15年10月1日、解散した緑資源公団の権利及び義務を承継して設立された。
事業承継に伴う資産等承継について勘定別の主な状況は以下のとおりである。

ア 造林勘定

 機構の造林勘定は、緑資源公団の造林勘定の資産及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は承継前の7498億円から6094億円になり、1404億円が償却されている。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価による減少1501億円である。

イ 林道等勘定

 機構の林道等勘定は、緑資源公団の林道勘定及び農用地整備勘定の資産(国が承継するものを除く。)及び負債を併せて承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は承継前の14億円から24億円になり、10億円増加している。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりである。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度78億円は12年度327億円の23.9%になっている。
 また、14年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は65億円、財投機関債依存率は19.9%となっている。

9 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、この項において「機構」という。)は、大量輸送機関を基幹とする輸送体系の確立等を図るため、鉄道の建設や鉄道事業者、海上運送事業者等による運輸施設の整備を促進するための助成等の支援等を行っている。
 機構において、財投資金を受け入れているのは、建設勘定、船舶勘定及び助成勘定である。

ア 建設勘定

 建設勘定において、財政投融資の対象とされているのは、鉄道施設を建設し、当該施設を民間鉄道事業者、第3セクター等に貸し付け又は譲渡する事業である。

イ 船舶勘定

 船舶勘定において、財政投融資の対象とされているのは、建造費用を分担する海運事業者の建造申込みにより船舶を建造し、当該事業者に使用・管理させる事業(以下「船舶共有建造業務」という。)である。
 船舶共有建造業務においては、機構が負担した建造費用は、海運事業者からの船舶使用料として徴収し、共有期間満了時には残存価格で当該事業者に譲渡することとされている。

ウ 助成勘定

 助成勘定における政府借入金は旧国鉄長期債務であり、東日本旅客鉄道株式会社等からの新幹線譲渡収入により償還しているもので、新規の借入れは行っていない。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、15年10月1日に、解散した日本鉄道建設公団(以下「旧鉄道公団」という。)と運輸施設整備事業団(以下「旧運輸事業団」という。)を統合して設立された。資産等承継について勘定別の主な状況は以下のとおりである。

ア 建設勘定

 機構の建設勘定は、旧鉄道公団の一般勘定の資産及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価等による減少413億円などである。

イ 船舶勘定

 機構の船舶勘定は、旧運輸事業団の船舶勘定の資産(国が承継するものを除く。)及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。資産評価等の結果、政府出資金は2億円減少しているが、これは、産投特会政府出資金の返納によるものである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価等による減少394億円、貸倒引当金の積増しによる減少272億円などである。

ウ 助成勘定

 機構の助成勘定は、旧運輸事業団の資産及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、国が承継したことによる減少1億円である。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度808億円は12年度の1343億円の60.1%になっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は650億円、財投機関債依存率は18.0%となっている。

(4) 財務等に関して留意すべき事項

 船舶勘定においては、承継前の欠損金が27億円であったが、承継の際の資産評価等の結果、欠損金が444億円に増加し、大幅な債務超過勘定となっている。
 このため国土交通省及び機構では、16年12月に「内航海運効率化のための鉄道建設・運輸施設整備支援機構船舶勘定見直し方針」を策定し、船舶共有建造業務の対象事業を絞り込むとともに、未収金の回収対策を強化することなどにより累積欠損金を解消することを目標としている。しかし、海運業界を取り巻く環境は依然として厳しく、未収金が新たに発生する可能性などもあることから、今後の推移を注視していくこととする。なお、17年度においては船舶未収金(船舶使用料等に係る未収金)が初めて減少となり、これに伴い引当金が減少したことなどにより当期総利益39億円を計上している。

10 独立行政法人水資源機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人水資源機構(以下、この項において「機構」という。)は、産業の発展及び人口の集中に伴い用水を必要とする地域に対する水の安定的な供給の確保を図ることを目的として、水資源開発基本計画に基づく水資源の開発又は利用のための施設の改築等及び水資源開発施設等の管理等を行っている。
 機構において、財政投融資の対象とされているのは、水道用水・工業用水・農業用水等に係る施設及び水路の建設事業である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、15年10月1日に、解散した水資源開発公団の権利及び義務を承継して設立された。資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は承継前の26億円から90億円になり、64億円増加している。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産は土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価等により294億円減少したものの負債も358億円減少したため資本が64億円増加している。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度411億円は12年度933億円の44.1%になっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は150億円、財投機関債依存率は24.9%となっている。

11 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下、この項において「機構」という。)は、石油・天然ガス及び金属鉱産物の安定的かつ低廉な供給に資するとともに、金属鉱業等による鉱害の防止に必要な資金の貸付けその他の業務を行っている。
 機構において、財投資金を受け入れているのは、石油天然ガス勘定、金属鉱業備蓄・探鉱融資等勘定及び金属鉱業一般勘定である。

ア 石油天然ガス勘定

 石油天然ガス勘定において、財政投融資の対象とされているのは、石油共同備蓄会社に対する施設建設資金等の融資事業である。
 なお、15年度以降財投資金の受入れはない。

イ 金属鉱業備蓄・探鉱融資等勘定

 金属鉱業備蓄・探鉱融資等勘定において、財政投融資の対象とされているのは、希少金属鉱産物の備蓄事業(以下「希少金属備蓄事業」という。)並びに国内における探鉱資金の融資、海外における探鉱資金の出融資及び海外における金属鉱物の探鉱等に必要な資金に係る債務保証(以下「探鉱投融資事業」という。)等である。
 なお、10年度以降財投資金の受入れはない。

ウ 金属鉱業一般勘定

 金属鉱業一般勘定において、財政投融資の対象とされているのは、金属鉱業等における鉱害防止工事資金の貸付事業(以下「鉱害防止資金貸付事業」という。)である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、16年2月29日に解散した金属鉱業事業団のすべての事業及び石油公団の一部の事業を承継して設立された。事業承継に伴う資産等承継について勘定別の主な状況は以下のとおりである。

ア 石油天然ガス勘定

 石油天然ガス勘定は、石油公団の石油備蓄勘定及び一般勘定の一部の資産及び負債を併せて承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりである。

イ 金属鉱業備蓄・探鉱融資等勘定及び金属鉱業一般勘定

 金属鉱業備蓄・探鉱融資等勘定及び金属鉱業一般勘定は、金属鉱業事業団の一般勘定の資産及び負債を、それぞれ主として希少金属備蓄事業及び探鉱投融資事業に係るものと鉱害防止資金貸付事業に係るものとに分割して承継している。その資産等承継の状況は別表3のとおりであり、両勘定の政府出資金の合計は、承継前の237億円から191億円となり、政府出資金46億円が償却されている。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、関係会社株式の計上方法を見直したことによる出資先出資及び有価証券の評価減55億円である。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、金属鉱業一般勘定における4億円である。また、財投機関債による資金調達は行われていない。

(4)財務等に関して留意すべき事項

ア 探鉱投融資事業における産投特会政府出資金の状況

 金属鉱業備蓄・探鉱融資等勘定においては、昭和38年度以降、探鉱投融資事業に、要する投融資等資金等として計229億円の産投特会政府出資金を受け入れているが、前記の資産等承継時における政府出資金の償却により、平成16年度末の残高は182億円となっている。
 探鉱投融資事業に係る投融資等の実績及び残高の推移をみると、表29のとおり、12年度以降、探鉱投融資実績は著しく低調であり、また、投融資した資金の回収も進んだことなどから、16年度末における投融資残高31億円は産投特会政府出資金残高に比べて著しく低額となっている。一方、原則として中長期で運用している有価証券の16年度末残高は、海外開発資金債務保証のための基金として保有している分37億円を含め、83億円と多額に上っている。

表29 探鉱投融資等実績及び残高の推移
(単位:億円)

区分
金属鉱業事業団
石油天然ガス・金属鉱物資源機構
12年度
13年度
14年度
15年度
16年度
国内探鉱融資
(昭和38年度より実施)
実績
6
6
6
6
残高
34
32
30
29
28
海外探鉱投融資
(昭和43年度より実施)
実績
0
残高
57
57
57
2
2
海外開発資金債務保証
(昭和43年度より実施)
実績
残高
1
0
0
0
0
投融資等残高計
93
90
89
32
31
産投特会政府出資金残高
229
229
229
182
182
(注)
 平成15年度分の実績は、すべて金属鉱業事業団における実績である。


 機構では、非鉄金属資源を巡る情勢として、今後は、中国を中心とした需要増大やそれに伴う価格高騰などを背景に、探鉱開発に係る投資活動の活性化が見込まれるとしていることから、産投特会政府出資金が出資の目的に沿って有効に活用されるよう上記事業の今後の実施状況について注視していくこととする。

12 独立行政法人国立病院機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人国立病院機構(以下、この項において「機構」という。)は、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療その他の医療であって、国の医療政策として担うべきものの向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的として、医療の提供、医療に関する調査及び研究並びに技術者の研修等の業務を行っている。
 機構において、財政投融資の対象とされているのは、病棟等の施設設備及び医療機器の整備に係る事業である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、16年4月1日に、国立病院特別会計で経理されていた病院等のうち、国立病院及び国立療養所に関して国が有する権利及び義務を承継して設立された。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度368億円は12年度における国立病院特別会計の財投実績942億円(注46) の39.1%となっている。また、財投機関債による資金調達は行われていない。

(注46)
 機構に移行しなかった国立高度専門医療センターに係る分を含んでいる。


13 独立行政法人環境再生保全機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人環境再生保全機構(以下、この項において「機構」という。)は、公害に係る健康被害の補償及び予防、民間団体が行う環境の保全に関する活動の支援等の業務を行っている。
 機構において、財政投融資の対象とされているのは、公害の防止に必要な施設の造成建設等を行う事業(以下「建設譲渡事業」という。)である。なお、建設譲渡事業は、18年度に終了予定となっている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、16年4月1日に公害健康被害補償予防協会及び環境事業団の権利及び義務(日本環境安全事業株式会社に承継された業務に係るものを除く。)を承継して設立された。建設譲渡事業は環境事業団の一般業務勘定で経理されていたが、機構への事業承継後は承継勘定で経理されている。
 資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は承継前の67億円から5億円となり、政府出資金55億円が償却されている。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、貸倒引当金の計上方法を見直したことによる貸倒引当金の積増し346億円であり、この貸倒引当金の積増しにより生じる損失等に対応した財務処理として、未収財源措置予定額356億円の資産計上を行っている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、新規事業の終了に伴い16年度10億円は12年度の246億円の4.1%になっている。 また、14年度から財投機関債による資金調達を行っており16年度の発行額は70億円、財投機関債依存率は87.5%となっている。

(4)財務等に関して留意すべき事項

 機構では、16年度末において、建設譲渡事業の割賦譲渡元金等に係る貸倒引当金を294億円計上しており、この貸倒引当金に係る財源措置に対応するため未収財源措置予定額298億円を資産計上している。機構には、独立行政法人環境再生保全機構法(平成15年法律第43号)に基づき、予算の範囲内において当該事業に係る業務の確実かつ円滑な実施のために必要な補助金が国から交付されることとなっており、機構では、上記の未収財源措置予定額について16年度から次期中期目標期間の25年度までの10年間で、上記の補助金により措置されることが見込まれるとして、環境省総合環境政策局長通達(環政総発第040401018号)等に基づき計上しているものである。また、償却済債権について取立益が発生した場合などには、その相当額を控除して各年度末の未収財源措置予定額を算定することとなっている。
 したがって、国の財政負担を軽減するために、償却済債権の取立てについても一層の努力が求められるとともに、未収財源措置予定額の解消は長期間にわたることから、上記の補助金による財源措置の状況を注視していくこととする。

14 独立行政法人中小企業基盤整備機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、この項において「機構」という。)は、中小企業者その他の事業者の事業活動の活性化のための基盤の整備を行うことを目的として、中小企業者その他の事業者の事業活動に必要な助言、研修、資金の貸付け、出資、助成及び債務の保証、地域における施設の整備、共済制度の運営等の事業を行っている。
 機構において、財投資金を受け入れているのは、一般勘定、施設整備等勘定、工業再配置等業務特別勘定(以下「工配特別勘定」という。)産炭地域経過業務特別勘定(以下「産炭特別勘定」という。)及び出資承継勘定の5勘定である。

ア 一般勘定

 一般勘定において、財政投融資の対象とされているのは、中小企業者の設立する組合等が工場団地その他集団化事業等を実施するのに必要な資金の融資を行う事業である。
 なお、9年度以降財投資金の受入れはない。

イ 施設整備等勘定

 施設整備等勘定において、財政投融資の対象とされているのは、特定の地域における施設の整備、賃貸その他の管理及び譲渡を行う事業等(以下「施設整備等事業」という。)である。

ウ 工配特別勘定

 工配特別勘定において、財政投融資の対象とされているのは、工業再配置の促進等に必要な工業用地等の造成、整備、管理及び譲渡を行う事業等(以下「工業再配置事業」という。)である。なお、工業再配置事業は26年3月末までに終了することとされ、その際、工配特別勘定は廃止することとされている。

エ 産炭特別勘定

 産炭特別勘定において、財政投融資の対象とされているのは、産炭地域における事業用団地の管理及び譲渡を行う事業等(以下「産炭地域振興事業」という。)である。
 なお、産炭地域振興事業における事業用団地の造成は13年度に終了し、産炭地域振興事業は26年3月末までに終了することとされ、その際、産炭特別勘定は廃止することとされている。

オ 出資承継勘定

 出資承継勘定において、財政投融資の対象とされているのは、ベンチャー企業等に対する出資事業である。
 なお、12年度以降財投資金の受入れはなく、現在保有するすべての株式の処分を終えたときは、出資承継勘定を廃止するものとされている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、16年7月1日、中小企業総合事業団の信用保険事業を除く事業、地域振興整備公団の地方都市開発整備等を除く事業及び産業基盤整備基金の省エネ・リサイクル事業を除く事業を承継して設立された。事業承継に伴う資産等承継について勘定別の主な状況は以下のとおりである。

ア 一般勘定

 一般勘定は、中小企業総合事業団の高度化、新事業開拓促進及び指導研修勘定(以下「高度化等勘定」という。)の資産(国が承継するものを除く。)及び負債並びに地域振興整備公団の工業再配置等事業勘定の一部の資産及び負債を併せて承継している。そのうち高度化等勘定の資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は承継前の1兆1950億円から9007億円となり、政府出資金2940億円が償却されている。
 また、高度化等勘定の資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、中小企業総合事業団から中小企業金融公庫へ承継された信用保険事業、機構の工配特別勘定及び産炭特別勘定への計3733億円の資金提供、貸倒引当金の計上方法を見直したことによる貸倒引当金の積増し1205億円である。

イ 施設整備等勘定及び工配特別勘定

 施設整備等勘定及び工配特別勘定は、地域振興整備公団の工業再配置等事業勘定のうち一般勘定に承継された分を除く資産及び負債を、施設整備等事業に係るものと工業再配置事業に係るものとに分割してそれぞれ承継している。その資産等承継の状況(一般勘定に承継された分を含む。)は別表3のとおりであり、政府出資金は承継前の892億円から868億円となり、政府出資金23億円が償却されている。
 また、資産評価等の内訳(一般勘定に承継された分を含む。)は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価等による減少1600億円である。

ウ 産炭特別勘定

 産炭特別勘定は、地域振興整備公団の産炭地域経過業務勘定の資産及び負債を承継している。その資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は承継前の615億円から0円となり、政府出資金615億円が償却されている。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価等による減少761億円、貸倒引当金の計上方法を見直したことによる貸倒引当金の積増し38億円である。

エ 出資承継勘定

 出資承継勘定は、産業基盤整備基金の出資特別勘定の資産(国が承継するものを除く。)及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、産投特会政府出資金の返納による「国が承継したことによる減少」131億円、出資先出資及び有価証券の評価減12億円である。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、施設整備等勘定及び工配特別勘定における15億円である。また、地域振興整備公団においては13年度から15年度まで財投機関債による資金調達を行っていたが、機構における発行実績はない。

(4)財務等に関して留意すべき事項

ア 債券及び長期借入金の償還財源の状況(工配特別勘定及び産炭特別勘定)

 工配特別勘定及び産炭特別勘定の16年度末の貸借対照表における資産及び負債の状況は表30のとおりである。

表30 工配特別勘定及び産炭特別勘定の平成16年度末の貸借対照表の内訳
工配特別勘定
産炭特別勘定
資産
負債及び資本
資産
負債及び資本
科目
金額
科目
金額
科目
金額
科目
金額
 
資産計
億円
791
 
負債計
億円
777
 
資産計
億円
297
 
負債計
億円
482
 うち販売用不動産
218
流動負債
271
うち販売用不動産
82
流動負債
72
 うち仕掛不動産
10
 うち1年以内返済予定債権
197
 うち1年以内返済予定長期借入金
68
 うち1年以内返済予定長期借入金
61
固定負債
409
固定負債
506
 うち債券
262
 うち債券
480
 うち長期借入金
116
資本計
14
資本計
△184
 うち政府出資金
43
 うち政府出資金
 うち繰越欠損金
28
 うち繰越欠損金
184
販売用不動産等を除く資産計
563
債券及び長期借入金計
738
販売用不動産を除く資産計
215
債券及び長期借入金計
447

 上記のとおり、両勘定の資産のうち販売用不動産(仕掛不動産含む。以下同じ。)はそれぞれ228億円及び82億円と、いずれも資産の約3割を占めている。そして、両勘定の事業の終了期限がともに26年3月末とされている一方、債券及び長期借入金(以下「債券等」という。)の最終の償還期限は、いずれも23年3月となっている。
 そして、工配特別勘定は資産の金額が負債の金額を14億円上回っているが、産炭特別勘定は、負債の金額が資産の金額を184億円上回っていて債務超過の状況となっている。
 上記について、産炭特別勘定については、18年度に欠損金の解消と事業完了までの健全な業務運営を確保するための資金措置がなされているが、両勘定とも販売用不動産の販売状況によっては、債券等の償還財源が不足することが懸念されるため、事業運営について注視していくこととする。

15 独立行政法人都市再生機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人都市再生機構(以下、この項において「機構」という。)は、機能的な都市活動及び豊かな都市生活を営む基盤の整備が社会経済情勢の変化に対応して十分に行われていない大都市及び地域社会の中心となる都市において、市街地の整備改善及び賃貸住宅の供給の支援に関する業務及び都市基盤整備公団から承継した賃貸住宅等の管理等に関する業務を行っている。
 機構においては、上記の業務に係るすべての事業が財政投融資の対象とされている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、16年7月1日、都市基盤整備公団と地域振興整備公団の地方都市開発整備業務部門を統合して設立された。事業承継に伴う資産等承継について勘定別の主な状況は以下のとおりである。

ア 都市再生勘定

 都市再生勘定は、都市基盤整備公団の都市基盤整備勘定と地域振興整備公団の地方都市開発整備等事業勘定の資産及び負債を併せて承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の増減の主な要因は、土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価等による減少6198億円、未収財源措置予定額の計上による増加1402億円である。

イ 鉄道勘定

 鉄道勘定は、都市基盤整備公団の鉄道勘定の資産及び負債を併せて承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価等による増加1億円である。なお、機構では、16年7月1日、鉄道事業を民間事業者に譲渡しており、同年9月30日をもって同勘定は廃止された。そして、同勘定の廃止に伴い、同勘定に所属する権利及び義務はすべて都市再生勘定に承継された。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度1兆1055億円は12年度1兆1784億円の93.8%となっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は1600億円、財投機関債依存率は10.1%となっている。

16 国民生活金融公庫

(1)法人及び財投事業の概要

 国民生活金融公庫(以下、この項において「公庫」という。)は、一般の金融機関から資金の融通を受けることが困難な小企業をはじめとする国民大衆に対して、事業の経営の安定を図るための資金、生活衛生関係の営業について衛生水準を高めるための資金等を供給する業務を行っている。
 公庫においては、上記の貸付けに係る事業が財政投融資の対象とされている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 公庫は、行政改革推進法において、20年度に新たに設立される一の政策金融機関(以下「新政策金融機関」という。)に統合するものとされている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度2兆1946億円は12年度3兆2868億円の66.8%になっている。また、14年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は2400億円、財投機関債依存率は9.8%となっている。

17 住宅金融公庫

(1)法人及び財投事業の概要

住宅金融公庫(以下、この項において「公庫」という。)は、国民が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設及び購入に必要な資金について、民間金融機関では融資することが困難なものの貸付け又は民間金融機関による融資を支援するための貸付債権の買受けを行うなどの業務を行っている。
 公庫において、財政投融資の対象とされているのは、住宅の建設及び購入に必要な資金の貸付けを行う事業(財形住宅融資を除く。以下「住宅資金融通事業」という。)と、民間金融機関の住宅融資に係る貸付債権を買い受け、信託した上で、それを担保とした債券を発行する事業である。
 なお、住宅資金融通事業に係る財政融資資金からの資金調達については、災害復興向けを除き16年度で終了している。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 公庫は、独立行政法人住宅金融支援機構法(平成17年法律第82号)に基づき、19年4月1日に廃止され、同日、その権利及び義務を承継する独立行政法人住宅金融支援機構が設立される予定である。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度における財投資金の受入れはない。また、12年度から貸付債権担保住宅金融公庫債券(財投機関債)の発行を行っており、16年度の発行額は3600億円となっている。

18 農林漁業金融公庫

(1)法人及び財投事業の概要

 農林漁業金融公庫(以下、この項において「公庫」という。)は、農林漁業の生産力の維持増進及び食品の製造、加工又は流通の事業を営む者に対する食料の安定供給の確保に必要な長期かつ低利な資金で、一般の金融機関が貸し付けることが困難な資金を貸し付ける業務を行っている。
 公庫においては、上記の貸付けに係る事業が、財政投融資の対象とされている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 公庫は、行政改革推進法において、20年度に新政策金融機関に統合するものとされている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度1850億円は12年度2520億円の73.4%になっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は230億円、財投機関債依存率は10.3%となっている。

19 中小企業金融公庫

(1)法人及び財投事業の概要

 中小企業金融公庫(以下、この項において「公庫」という。)は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が供給することが困難なものの供給を行う融資業務、民間金融機関による供給を支援するための貸付債権の譲受け、債務の保証を行う証券化支援業務及び中小企業者に対する信用保険業務を行っている。
 公庫において、財投資金を受け入れているのは、融資勘定と証券化支援買取業務勘定である。

ア 融資勘定

 融資勘定において、財政投融資の対象とされているのは、中小企業者に対する融資事業である。

イ 証券化支援買取業務勘定

 証券化支援買取業務勘定において、財政投融資の対象とされているのは、民間金融機関が中小企業者に融資した無担保の貸付債権等を譲り受ける証券化支援買取業務である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 公庫は、行政改革推進法において、20年度に新政策金融機関に統合するものとされている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度9715億円は12年度1兆4899億円の65.2%になっている。また、融資事業においては14年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は2400億円、財投機関債依存率は19.6%となっている。

20 公営企業金融公庫

(1)法人及び財投事業の概要

 公営企業金融公庫(以下、この項において「公庫」という。)は、公営企業の健全な経営に資するため、特に低利、かつ、安定した資金を必要とする地方公共団体の公営企業の地方債等につき、当該地方公共団体に対してその資金を貸し付けるなどの業務を行っている。
 公庫においては、上記の貸付けに係る事業が財政投融資の対象とされている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 公庫は、行政改革推進法において、20年度に廃止するものとされ、地方公共団体のための資金調達を公庫により行う仕組みは、資本市場からの資金調達その他金融取引を活用して行う仕組みに移行させるものとされている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度1兆2517億円は12年度1兆7791億円の70.4%になっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は4000億円、財投機関債依存率は19.4%となっている。

21 沖縄振興開発金融公庫

(1)法人及び財投事業の概要

 沖縄振興開発金融公庫(以下、この項において「公庫」という。)は、沖縄において一般の金融機関が行う金融サービスを補完し、民間投資を促進するため事業に必要な長期資金を供給するほか、住宅・医療・教育等の生活分野において一般の金融機関が供給することを困難とする資金を供給する業務を行っている。
 公庫においては、上記の資付け及び出資に係る事業が財政投融資の対象とされている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 公庫は、行政改革推進法において、沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)に規定する沖縄振興計画の期間(14年度から23年度)経過後に、新政策金融機関に統合するものとされている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度722億円は12年度1194億円の60.5%になっている。また、14年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は200億円、財投機関債依存率は20.7%となっている。

22 日本政策投資銀行

(1)法人及び財投事業の概要

 日本政策投資銀行(以下、この項において「銀行」という。)は、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資する事業に必要な資金の貸付け及び出資、当該資金に係る債務の保証等の業務を行っている。
 銀行においては、上記の貸付け及び出資、当該資金に係る債務の保証等に係る事業が財政投融資の対象とされている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 銀行は、行政改革推進法において、完全民営化するものとされ、20年度に銀行に対する国の関与を縮小して経営の自主性を確保する措置を講ずることとされている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度6355億円は12年度8257億円の77.0%になっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は2400億円、財投機関債依存率は26.8%となっている。

23 国際協力銀行

(1)法人及び財投事業の概要

 国際協力銀行(以下、この項において「銀行」という。)は、我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定に寄与するための貸付け等並びに開発途上にある海外の地域(以下「開発途上地域」という。)の経済及び社会の開発又は経済の安定に寄与するための貸付け等の業務を行っている。
 銀行においては、上記の貸付け等に係る事業が、財政投融資の対象とされており、これを国際金融等勘定と海外経済協力勘定に区分して経理している。

ア 国際金融等勘定

 国際金融等勘定において、財政投融資の対象とされているのは、日本の輸出入、日本企業の海外における経済活動の支援や国際金融秩序の安定のための出融資及び保証等の業務(以下「国際金融等業務」という。)である。

イ 海外経済協力勘定

 海外経済協力勘定において、財政投融資の対象とされているのは、開発途上地域の経済社会開発等に関わる様々な分野にわたり円借款等により低利かつ長期の資金を開発途上地域へ供与するなどの業務(以下「海外経済協力業務」という。)である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 銀行は、行政改革推進法において、20年度に新政策金融機関に統合し、国際金融等業務については新政策金融機関に、海外経済協力業務については独立行政法人国際協力機構に、それぞれ承継させることとされている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度9311億円は12年度8997億円の103.5%になっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は2400億円、財投機関債依存率は17.7%となっている。

24 日本私立学校振興・共済事業団

(1)法人及び財投事業の概要

 日本私立学校振興・共済事業団(以下、この項において「事業団」という。)は、私立学校教育の振興に資することを目的として、補助金の交付、資金の貸付けその他私立学校教育に対する援助に必要な業務及び私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)の規定による共済制度の運営に関する業務を行っている。
 事業団において、財政投融資の対象とされているのは、学校法人等に対する施設設備整備資金等の貸付事業であり、助成勘定のうちの一般経理において経理されている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 該当なし。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度170億円は12年度330億円の51.5%になっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は70億円、財投機関債依存率は13.0%となっている。

25 商工組合中央金庫

(1)法人及び財投事業の概要

 商工組合中央金庫(以下、この項において「金庫」という。)は、中小企業等協同組合その他主として中小規模の事業者を構成員とする団体に対する金融の円滑を図るために必要な業務を行っている。
 金庫においては、上記の者に対する長期資金の貸付けに係る事業が財政投融資の対象とされている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 金庫は、行政改革推進法において、完全民営化するものとされ、20年度に金庫に対する国の関与を縮小して経営の自主性を確保する措置を講ずるものとされている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度100億円は12年度429億円の23.3%になっている。また、金庫における16年度の財投機関債の発行額は3804億円となっているが、これは、財投改革以前から発行していた商工債券の発行予定額を基に、貸出総額に占める長期貸付の割合を乗ずるなどして算出した額を計上しているものである。

26 独立行政法人福祉医療機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人福祉医療機構(以下、この項において「機構」という。)は、社会福祉事業施設及び病院、診療所等の設置等に必要な資金並びに厚生年金保険、船員保険、国民年金及び労働者災害補償保険の各制度に基づき支給される年金たる給付の受給権を担保とした小口の資金の貸付け等の業務を行っている。
 機構において、財投資金を受け入れているのは、一般勘定と年金担保貸付勘定である。

ア 一般勘定

 一般勘定において、財政投融資の対象とされているのは、社会福祉事業施設等の整備に必要な資金の貸付けを行う事業(以下「福祉貸付事業」という。)及び病院又は介護老人保健施設等の整備に必要な資金の貸付けを行う事業(以下「医療貸付事業」という。)である。

イ 年金担保貸付勘定

 年金担保貸付勘定において、財政投融資の対象とされているのは、厚生年金保険法(昭和29年法律115号)、船員保険法(昭和14年法律73号)又は国民年金法(昭和34年法律141号)に基づく年金受給権者に対し、その受給権を担保として小口の資金の貸付けを行う事業(以下「年金担保貸付事業」という。)である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、15年10月1日に、解散した社会福祉・医療事業団の権利及び義務を承継して設立された。事業承継に伴う資産等承継について勘定別の主な状況は以下のとおりである。

ア 一般勘定

 一般勘定は、社会福祉・医療事業団の一般勘定のうちの一般経理に係る資産(国が承継するものを除く。)及び負債を承継している。資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は承継前の125億円から55億円になり、政府出資金70億円が償却されている。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、貸倒引当金の計上方法を見直したことによる貸倒引当金の積増し89億円である。

イ 年金担保貸付勘定

 年金担保貸付勘定は、社会福祉・医療事業団の年金担保貸付勘定の資産及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金はない。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、貸倒引当金の計上方法を見直したことによる貸倒引当金の積増し1億円である。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度3789億円は12年度4137億円の91.6%になっている。なお、年金担保貸付事業は13年度から開始された事業であり、この事業を除いた福祉貸付事業及び医療貸付事業に係る16年度の財投実績3467億円は12年度の83.8%になっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は600億円、財投機関債依存率は13.7%となっている。

27 独立行政法人雇用・能力開発機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人雇用・能力開発機構(以下、この項において「機構」という。)は、労働者の有する能力の有効な発揮及び職業生活の充実を図るため、雇用管理の改善に対する援助、公共職業能力開発施設の設置及び運営等の業務を行うとともに、勤労者の計画的な財産形成の促進の業務を行っている。
 機構において、財投資金を受け入れているのは、一般勘定と財形勘定である。

ア 一般勘定

 一般勘定において、財政投融資の対象とされているのは、労働者住宅その他の福祉施設、職業訓練施設等の整備に要する資金を貸し付ける事業(以下「雇用促進融資事業」という。)である。
 雇用促進融資事業においては、貸付金利が資金調達金利を下回るなどして発生した金利負担に係る経費や事務経費について、貸付金償却に要する経費を除き、補助金による財政負担を受け入れている。なお、雇用促進融資事業は、特殊法人等整理合理化計画に基づき、14年度に新規貸付業務を廃止し、貸付金債権の管理・回収、借入金の償還業務を行っており、7年度以降財投資金の受入れはない。

イ 財形勘定

 財形勘定において、財政投融資の対象とされているのは、勤労者財産形成持家資金等を貸し付ける事業(以下「勤労者財産形成促進事業」という。)である。
 なお、勤労者財産形成促進事業は、財投改革以降は郵便貯金及び簡易保険から直接資金調達を行うこととなっていて、11年度以降財投資金の受入れはない。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、16年3月1日に、解散した雇用・能力開発機構(以下「旧機構」という。)の権利及び義務を承継して設立された。事業承継に伴う資産等承継について勘定別の主な状況は以下のとおりである。

ア 一般勘定

 一般勘定は、旧機構の雇用促進融資勘定と、同じく旧機構の勘定の一つである雇用保険勘定の一部及び介護労働者福祉事業勘定の資産(国が承継するものを除く。)及び負債を併せて承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は承継前の2兆1592億円から3022億円になり、政府出資金1兆0018億円が償却されている。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価等による減少445億円、貸倒引当金の計上方法を見直したことによる貸倒引当金の積増し114億円である。このうち、財投事業である雇用促進融資事業に係る貸倒引当金の積増しは51億円である。この貸倒引当金の積増し分と当該事業の借入金償還に係る資金繰りに対応するための財源として、旧機構の雇用保険勘定の貸付金債権100億円を、一般勘定において区分経理している雇用促進融資事業の経理に繰り入れる措置を講じている。

イ 財形勘定

 財形勘定は、旧機構の勤労者財産形成促進事業勘定の資産(国が承継するものを除く。)及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりであり、資本金は承継前の15億円から10億円となっている。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、貸倒引当金の計上方法を見直したことによる貸倒引当金の積増し3億円である。

(3)16年度の財投実績等の状況

該当なし。

(4)財務等に関して留意すべき事項

ア 繰上償還等に伴い発生した支払準備金の状況(一般勘定)

 機構では、前記のとおり、雇用促進融資事業を一般勘定の中で雇用促進融資事業経理として区分経理しており、同経理の16年度末における現預金の残高は約92億円と多額に上っている。
 この現預金は、繰上償還等により貸付金回収額が借入金償還額を上回ることにより生じた余裕金と旧機構において貸付金の貸倒償却財源として受け入れた補助金等を、将来の借入金償還に係る支払準備金として保有しているもので、12年度以降の保有状況は表31のとおりとなっている。

表31 支払準備金の平成12年度以降の保有状況
(単位:億円)

\年度末
12
13
14
15
(機構)
16
現金・預金額
45
47
47
99
92

 機構では、当該資金を財政融資資金特別会計へ繰上償還する場合は補償金の支払が必要となることから、これを資金として保有し、内部規程に基づいて最長1年の定期預金等で運用しているが、16年度の受取利息は、約280万円(利回り換算0.03%)と低利の運用にとどまっている。
 一方、雇用促進融資事業に係る17年度以降12年間の資金収支見込みについてみると、表32のとおり、当面は多額の余裕金を保有することが見込まれることから、支払準備金に係る現預金の取扱いについて注視していくこととする。

表32 平成17年度以降12年間の資金収支見込み
(単位:億円)

\年度
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
翌年度繰越金
111
125
136
147
156
144
132
117
102
85
68
49

イ 債務超過の状況(財形勘定)

 財形勘定については、旧機構の勤労者財産形成促進事業勘定において、6年度決算から繰越欠損金を計上しており、12年度決算においては当期損失金77億円、欠損金331億円と、資本金15億円を316億円上回る債務超過の状況にあった。
 この欠損金の計上は、債務償還と貸付金回収に期間ミスマッチがあったため、金利低下局面において利回りが逆ざやで推移していたことによるものである。このため旧機構では、11年度に資金調達方法を10年満期一括償還の債券発行から5年満期一括償還の債券発行に改めるとともに、貸付金利を5年ごとに見直す5年固定金利制を取り入れている。
 そこで、12年度以降の利ざやの推移についてみると、図15のとおり、資金調達金利の低下により利ざやは改善され、15年度から順ざやに転じて当期利益金を計上し、16年度も当期利益金32億円を計上している。
 しかし、欠損金は383億円と未だ多額に上っていることから、今後の推移について引き続き注視していくこととする。

図15 利ざやの推移

図15利ざやの推移

28 独立行政法人労働者健康福祉機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人労働者健康福祉機構(以下、この項において「機構」という。)は、療養施設、健康診断施設及び労働者の健康に関する業務を行う者に対して研修、情報の提供、相談その他の援助を行うための施設の設置及び運営等の事業を行っている。
 機構において、財政投融資の対象とされているのは、労働災害を防止し、労働者の健康保持に寄与することを目的とした職場環境改善等を行う事業者に対して、必要な資金を貸し付ける事業(以下「労働安全衛生融資事業」という。)である。
 また、回収不能債権等を補てんするための経費、貸付金利回りが資金調達利回りを下回るなどして発生した金利負担に係る経費や事務経費については、それぞれ国から補助金及び運営費交付金による財政負担を受け入れている。
 なお、労働安全衛生融資事業は、特殊法人等整理合理化計画に基づき、13年度に新規貸付業務を廃止し、貸付金債権の管理・回収、借入金の償還業務を行っており、7年度以降、財政融資資金の受入れはない。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、16年4月1日に、解散した労働福祉事業団の資産及び負債のうち、福祉医療機構に承継された業務等に係るもの以外の資産(国が承継するものを除く。)及び負債を承継して設立された。なお、同事業団において財投事業である労働安全衛生融資事業を経理していた融資勘定については、勘定別の財務諸表が作成されていたが、機構への事業承継後は、同事業に係る経理について勘定別の財務諸表は作成されていない。
 資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は7665億円から1562億円となり、これに伴い政府出資金5948億円が償却されている。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価等による減少917億円である。労働安全衛生融資事業に係る資産の減少については、貸倒引当金の計上方法を見直したことによる貸倒引当金の積増し31億円があり、この貸倒引当金の積増しに充てるため、未収財源措置予定額19億円の資産計上を行っている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 該当なし。

(4) 財務等に関して留意すべき事項

ア 貸倒引当金に対する財政措置

 機構では、労働安全衛生融資事業に係る貸倒損失の発生に備えるための貸倒引当金を、16年度末において24億円計上している。そして、独立行政法人労働者健康福祉機構の業務運営並びに財務及び会計に関する省令(平成16年厚生労働省令第56号)等に基づき、年度末に算定した貸倒引当金に相当する額を未収財源措置予定額として計上しており、16年度末において24億円計上している。
 そして、機構では、年度内に発生した当該債権に係る貸倒損失については、各年度の予算により国から交付される補助金を充当することとしているが、各年度末に計上される貸倒引当金については、当該補助金等により措置されていないことから、前記の貸倒引当金に係る未収財源措置予定額の計上は、貸付金の回収が完了するまで継続することが見込まれる。
 したがって、今後、未収財源措置予定額の推移とこれに対する財源措置の状況を注視していくこととする。

29 独立行政法人日本学生支援機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人日本学生支援機構(以下、この項において「機構」という。)は、経済的理由により修学に困難がある優れた学生等に対する奨学金の貸与を行う奨学金貸与事業、留学生に対する奨学金の給付や各種留学生交流プログラム等を行う留学生支援事業及び各大学等が行う各種学生生活支援活動に資するための学生生活支援事業を行っている。
 機構において、財政投融資の対象とされているのは、奨学金貸与事業のうち有利子の奨学金を貸与する事業(以下「有利子貸与事業」という。)である。
 有利子貸与事業においては、財政融資資金借入金、財投機関債発行により調達した資金及び有利子貸与奨学金の回収金等を財源として貸付けを行い、回収元利金を財政融資資金借入金及び財投機関債の償還財源に充てている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、平成16年4月1日に、国、日本育英会及び財団法人日本国際教育協会等の公益法人において実施してきた各種の学生支援事業を整理・統合して設立された。なお、日本育英会において財投事業である有利子貸与事業を経理していた特別勘定については、勘定別の財務諸表が作成されていたが、機構への事業承継後は、同事業に係る経理について勘定別の財務諸表は作成されていない。
 資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は承継前の37億円から1億円となり、政府出資金35億円が償却されている。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、貸倒引当金の計上方法を見直したことによる貸倒引当金の積増し940億円である。この貸倒引当金の積増し等に充てるため、日本育英会の124億円相当の財産を見合い財源として活用するとともに、一般会計借入金641億円の償還免除及び未収財源措置予定額288億円(うち貸倒引当金見合い分は175億円)の資産計上を行っている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、貸付実績の拡大に伴い増加しており、16年度3067億円は12年度1887億円の162.5%になっている。また、13年度から財投機関債による資金調達を行っており、16年度の発行額は760億円、財投機関債依存率は19.9%となっている。

(4)財務等に関して留意すべき事項

ア 貸倒引当金に対する財政措置

 有利子貸与事業について、日本育英会では、延滞債権の増加に対応して財務基盤を強化するために11年度以降国から受け入れた出資金及び補助金(財務基盤整備費)などを原資とする資金を運転資金等とは別途に管理しており、この資金について15年度末においては77億円を投資有価証券等で保有していた。しかし、貸倒損失が発生した場合には、日本育英会に対し別途、予算の範囲内において国から補助金が交付されることとなっていたことなどから、事業承継前にこの資金が取り崩された実績はなく、全額がそのまま機構に承継され、貸倒引当金に充当するものとされた。
 一方、機構においては、16年度以降も未収財源措置予定額の一部として補助金を受け入れており、貸倒損失が発生した場合には、この補助金を充当することにしているほか、その残額は貸倒引当金の財源に充当するものとして、上記の資金に繰り入れており、16年度末においては88億円を有価証券等で保有している。
 機構では、今後も同様に上記の補助金を受け入れる予定であることなどから、当該資金は引き続き増加することが見込まれ、当面使用される予定のない多額の資金が保有され続けることになる。また、貸付規模の拡大により新規貸付金に係る貸倒引当金に対応した未収財源措置予定額も増加している。したがって、今後、未収財源措置予定額に対する今後の財源措置の状況について注視していくこととする。

30 独立行政法人国立大学財務・経営センター

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人国立大学財務・経営センター(以下、この項において「センター」という。)は、国立大学法人等の教育研究環境の整備充実並びに財務及び経営の改善を図り、もって国立大学等における教育研究の振興に資することを目的として、国立大学法人等の施設の整備等に必要な資金の貸付け及び交付並びに国立大学法人等の財務及び経営に関する調査及び研究、その職員の研修等の業務を行っている。
 センターにおいて、財政投融資の対象とされているのは、国立大学附属病院の施設及び設備の設置等に必要な資金の貸付事業であり、施設整備勘定において経理されている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 センターは、16年4月1日に、国立学校特別会計に所属する権利及び義務のうち、国立大学の移転等により不用となった財産のうち文部科学大臣が指定した財産に係るもの、国立学校特別会計の財政融資資金からの負債に係るもの等を承継して設立された。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度544億円は12年度における国立学校特別会計の財投実績665億円の81.8%となっている。また、財投機関債による資金調達は行われていない。

31 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構(以下、この項において「機構」という。)は、民間において行われる生物系特定産業技術に関する試験及び研究に必要な資金の出資及び貸付け、農業に関する技術上の試験及び研究等の業務を行っている。
 機構において、財政投融資の対象とされているのは、民間において行われる生物系特定産業技術に関する試験及び研究に必要な資金の出資及び貸付け等を行う業務(以下「民間研究促進業務」という。)であり、民間研究促進業務勘定において、当該資金を受け入れている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、15年10月1日に、独立行政法人農業技術研究機構から移行して設立された。そして、民間研究促進業務を実施していた生物系特定産業技術研究推進機構は、同日、解散し、その資産及び債務は、国が承継する資産を除き、機構が承継している。
 資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は320億円で変わっていない。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、関係会社株式の計上方法を見直したことによる出資先出資及び有価証券の評価減256億円である。
 なお、機構は、18年4月1日に、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構に移行した。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、12年度19億円であったが、16年度における財投資金の受入れはない。また、財投機関債による資金調達は行われていない。

32 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、この項において「機構」という。)は、石油代替エネルギーに関する技術及びエネルギー使用合理化のための技術並びに鉱工業の技術に関し、民間の能力を活用して行う研究開発、民間において行われる研究開発の促進、これらの技術の利用の促進等の業務を行っている。
 機構において、財投資金を受け入れているのは、基盤技術研究促進勘定、研究基盤出資経過勘定、鉱工業承継勘定及び特定事業活動等促進経過勘定である。

ア 基盤技術研究促進勘定

 基盤技術研究促進勘定において、財政投融資の対象とされているのは、鉱工業基盤技術に関する試験研究を民間に委託して行い、その成果を普及する事業である。

イ 研究基盤出資経過勘定

 研究基盤出資経過勘定において、財政投融資の対象とされているのは、高度な産業技術の研究開発に必要な施設・設備であって、個々の企業では整備することが困難な研究基盤施設を整備するために地方公共団体及び民間企業の出資で設立される法人に対して出資する事業である。なお、同勘定は、5年度以降財投資金の受入れはなく、出資会社の株式処分の終了に伴い、18年4月1日に廃止された。

ウ 鉱工業承継勘定

 鉱工業承継勘定において、財政投融資の対象とされているのは、民間における鉱工業基盤技術に関する試験研究開発のための出融資事業である。なお、同勘定は、株式の管理、貸付金債権等の管理、回収等を行っており、13年度以降財投資金の受入れはなく、25年度に廃止する予定となっている。

エ 特定事業活動等促進経過勘定

 特定事業活動等促進経過勘定において、財政投融資の対象とされているのは、リサイクル設備等の設置又は改善を行う事業者の借入れに係る債務の保証を行う事業である。
 なお、同勘定は、承継した債務保証の管理等を行っており、6年度以降財投資金の受入れはなく、事業終了時に廃止することとされている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、15年10月1日に、解散した新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「旧機構」という。)の資産及び負債を承継して設立された。その後、16年7月1日に、解散した産業基盤整備基金の再生資源利用等特別勘定のうちリサイクル等経理の資産及び負債を承継した。なお、旧機構は、15年4月1日に、基盤技術研究促進センターから鉱工業基盤技術に係る資産及び負債を承継している。事業承継に伴う資産等承継について勘定別の主な状況は以下のとおりである。

ア 基盤技術研究促進勘定

 基盤技術研究促進勘定は、旧機構の基盤技術研究促進勘定の資産及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価等による減少45億円である。

イ 研究基盤出資経過勘定

 研究基盤出資経過勘定は、旧機構の産業技術研究基盤出資勘定の資産及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、関係会社株式の計上方法等を見直したことによる出資先出資及び有価証券の評価減40億円である。

ウ 鉱工業承継勘定

 鉱工業承継勘定は、旧機構の鉱工業承継勘定の資産及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、関係会社株式の計上方法を見直したことによる出資先出資及び有価証券の評価減6億円である。

エ 特定事業活動等促進経過勘定

 特定事業活動等促進経過勘定は、産業基盤整備基金の再生資源利用等特別勘定のうちリサイクル等経理の資産及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりである。このほかに資産評価等に伴う資産の減少の主な要因として、保証債務の会計処理変更に伴う保証債務見返の減11億円がある。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度94億円であり、12年度の実績はない。また、財投機関債による資金調達は行われていない。

33 独立行政法人科学技術振興機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人科学技術振興機構(以下、この項において「機構」という。)は、新技術の創出に資することとなる科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する基礎研究、基盤的研究開発、新技術の企業化開発等の業務及び我が国における科学技術情報に関する中枢的機関としての科学技術情報の流通に関する業務その他の科学技術の振興のための基盤の整備に関する業務を行っている。
 機構において、財政投融資の対象とされているのは、科学技術振興のための基盤整備を図ることを目的としたデータベースの作成、提供等を行う事業であり、文献情報提供勘定で経理されている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、15年10月1日に、解散した科学技術振興事業団の権利及び義務を承継して設立された。
 資産等承継の状況は別表3のとおりであり、政府出資金は888億円で変わっていない。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりである。このほかに資産評価等に伴う資産の減少の要因として、会計処理変更に伴う情報資産の評価減72億円がある。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度15億円は12年度37億円の40.5%になっている。
 また、財投機関債による資金調達は行われていない。

34 独立行政法人情報処理推進機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人情報処理推進機構(以下、この項において「機構」という。)は、情報処理の高度化を推進することを目的として、プログラムの開発及び利用の促進、情報処理に関する安全性及び信頼性の確保、情報処理サービス業等を営む者に対する助成並びに情報処理に関して必要な知識及び技能の向上に関する業務を行っている。
 機構において、財投資金を受け入れているのは、地域事業出資業務勘定、事業化勘定及び特定プログラム開発承継勘定である。

ア 地域事業出資業務勘定

 地域事業出資業務勘定において、財政投融資の対象とされているのは、システムエンジニア等の人材を育成し、高度な開発技術の実践指導を行う施設等を運営する第3セクターに出資を行う事業で、7年度以降財投資金の受入れはない。

イ 事業化勘定

 事業化勘定において、財政投融資の対象とされているのは、我が国のIT分野においてニーズがあるものの、事業化のリスクが高く民間企業単独では実現が困難なソフトウェアの開発の支援を行う事業(以下「戦略的ソフトウェア開発業務」という。)である。

ウ 特定プログラム開発承継勘定

 特定プログラム開発承継勘定において、財政投融資の対象とされているのは、ソフトウェア産業の育成を図るため、特定分野のプログラムを対象に開発テーマと開発企業を公募により募集し、プログラムを開発・普及させる事業(以下「特定プログラム開発承継業務」という。)である。なお、特定プログラム開発承継業務は、特殊法人等整理合理化計画に基づき、14年度に新規事業を終了し、同年度以降財投資金の受入れはなく、19年度までに同勘定を廃止することとされている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、16年1月5日に、解散した情報処理振興事業協会(以下「旧協会」という。)の権利及び義務を承継して設立された。事業承継に伴う資産等承継についての勘定別の主な状況は以下のとおりである。

ア 事業化勘定及び特定プログラム開発承継勘定

 事業化勘定及び特定プログラム開発承継勘定は、旧協会の振興業務勘定のうち戦略的ソフトウェア開発業務経理の資産及び負債を戦略的ソフトウェア開発業務に係るものと特定プログラム開発承継業務に係るものとに分割してそれぞれ承継している。その資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりである。

イ 地域事業出資業務勘定

 地域事業出資業務勘定は、旧協会の地域事業出資業務勘定の資産及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、関係会社株式の計上方法を見直したことによる出資先出資及び有価証券の評価減13億円である。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度7200万円は12年度34億円の2.1%となっている。また、財投機関債による資金調達は行われていない。

35 独立行政法人情報通信研究機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人情報通信研究機構(以下、この項において「機構」という。)は、情報の電磁的流通及び電波の利用に関する技術の研究及び開発、高度通信・放送研究開発を。行う者に対する支援、通信・放送事業分野に属する事業の振興等の業務を行っている機構において、財投資金を受け入れているのは、基盤技術研究促進勘定、出資勘定及び通信・放送承継勘定である。

ア 基盤技術研究促進勘定

 基盤技術研究促進勘定において、財政投融資の対象とされているのは、通信・放送基盤技術に関する試験研究を民間に委託する支援事業である。

イ 出資勘定

 出資勘定において、財政投融資の対象とされているのは、通信・放送技術に関する研究開発における共同利用型の施設整備のための出資事業であり、11年度以降財投資金の受入れはない。

ウ 通信・放送承継勘定

 通信・放送承継勘定において、財政投融資の対象とされているのは、民間における通信・放送基盤技術に関する試験研究開発のための出融資事業である。なお、同勘定は、株式の管理、貸付金債権等の管理、回収等を行っており、13年度以降財投資金の受入れはなく、24年度に廃止する予定となっている。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、16年4月1日に、国が承継する資産を除き、解散した通信・放送機構の資産及び債務を独立行政法人通信総合研究所が承継し、同研究所の名称が現名称に改められたものである。なお、通信・放送機構は、15年4月1日に、基盤技術研究促進センターから通信・放送基盤技術に係る資産及び負債を承継している。
 事業承継に伴う資産等承継について勘定別の主な状況は以下のとおりである。

ア 基盤技術研究促進勘定

 基盤技術研究促進勘定は、通信・放送機構の基盤技術研究促進勘定の資産及び負債を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、土地・建物等の事業用資産及び有形固定資産の評価等による減少24億円である。

イ 出資勘定

 出資勘定は、通信・放送機構の研究開発出資勘定の資産及び債務を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、関係会社株式の計上方法を見直したことによる出資先出資及び有価証券の評価減12億円である。

ウ 通信・放送承継勘定

 通信・放送承継勘定は、通信・放送機構の通信・放送承継勘定の資産及び債務を承継しており、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、関係会社株式の計上方法を見直したことによる出資先出資及び有価証券の評価減8億円である。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度98億円であり、12年度の実績はない。また、財投機関債による資金調達は行われていない。

36 独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(1)法人及び財投事業の概要

 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、この項において「機構」という。)は、国民保健の向上に資することを目的として、医薬品の副作用等による健康被害の迅速な救済を図り、国民の健康の保持増進に寄与する医薬品技術等の研究及び開発を振興する業務、医薬品等の品質、有効性及び安全性の向上に資する審査等の業務を行っている。
 機構において、財投資金を受け入れているのは、研究振興勘定及び承継勘定である。

ア 研究振興勘定

 研究振興勘定において、財政投融資の対象とされているのは、新規の医薬品及び医療機器の開発に関する研究を民間等に委託して行い、その成果を普及する事業(以下「研究振興委託事業」という。)である。なお、研究振興委託事業は、16年4月1日から事業を実施している。

イ 承継勘定

 承継勘定において、財政投融資の対象とされているのは、民間において行われる医薬品技術に関する試験研究に必要な資金の出資及び貸付けを行う事業(以下「研究振興出融資事業」という。)である。
 なお、研究振興出融資事業は、特殊法人等整理合理化計画に基づき、15年度に新規出融資事業を終了し、出資先会社の株式の処分及び貸付金債権の管理・回収並びに借入金の償還業務を行っている。同勘定では、16年度以降財投資金の受入れはなく、35年度までに同勘定を廃止することとされている。

(2) 特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 機構は、16年4月1日に、国、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(以下「旧医薬品機構」という。)及び財団法人医療機器センターの一部の業務を統合して設立された。
 事業承継に伴い、旧医薬品機構研究振興勘定の資産及び負債のうち、研究振興勘定は、資産(現金及び預金)2億円を承継しており、承継勘定は研究振興勘定が承継した資産以外の資産及び負債を承継している。そして、資産等承継の状況は別表3のとおりである。
 また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、関係会社株式の計上方法を見直したことによる出資先出資及び有価証券の評価減275億円である。
 なお、機構の財投事業に係る権利及び義務は、17年4月1日に、独立行政法人医薬基盤研究所に承継されている。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度6億円は12年度19億円の31.6%になっている。また、財投機関債による資金調達は行われていない。

37 独立行政法人奄美群島振興開発基金

(1) 法人及び財投事業の概要

 独立行政法人奄美群島振興開発基金(以下、この項において「基金」という。)は、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励することを目的として、奄美群島振興開発計画に基づく事業に伴い必要な資金に係る保証、融資及び出資等の事業を行っている。
 基金において、財政投融資の対象とされているのは、奄美群島内における事業者の金融機関からの借入れ等について債務保証を行う保証業務及び奄美群島内における産業基盤の拡充・改善等の促進に必要な資金等の出融資を行う出融資業務である。

(2)特殊法人等改革等による事業承継等の状況

 基金は、16年10月1日に、解散した奄美群島振興開発基金の権利及び義務を承継して設立された。
 資産等承継の状況は別表3のとおりである。
また、資産評価等の内訳は別表4のとおりであり、資産の減少の主な要因は、貸倒引当金の計上方法を見直したことによる貸倒引当金の積増し20億円である。

(3)16年度の財投実績等の状況

 財投実績は、別表5のとおり、16年度は12年度と同額の3億円となっている。また、財投機関債による資金調達は行われていない。