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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第1 国会|
  • (衆議院)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

議員会館の入構車両警備業務における警備単価の積算について、所要人員数の算出を業務の実態に適合させるなどして適切なものとするよう改善させたもの


議員会館の入構車両警備業務における警備単価の積算について、所要人員数の算出を業務の実態に適合させるなどして適切なものとするよう改善させたもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)衆議院
(項)衆議院
部局等
衆議院
契約名
第一議員会館及び第二議員会館の入構車両警備業務
契約の概要
第一議員会館及び第二議員会館への入構車両によるテロを防止することを目的とした警備業務
契約
平成17年4月
随意契約
(単価契約)
平成17年8月
一般競争契約
(単価契約)
平成18年4月
一般競争契約
(単価契約)
警備費の支払額
2億4022万余円
(平成17、18両年度)
節減できた警備費
6966万円
(平成17、18両年度)

1 契約の概要

(1) 警備契約の内容

 衆議院では、第一議員会館及び第二議員会館(以下「議員会館」という。)への車両による危険物、爆発物等の持込みを阻止し、テロを防止することを目的として、議員会館の入構車両警備業務を警備会社に請け負わせている。この契約は議員会館の警備箇所(以下「警備ポスト」という。)に常時警備員を配置して警備を行うもので、平成17年度上期は警備日数1日当たりの人件費等を、17年度下期及び18年度は警備時間1時間当たりの人件費等を、それぞれ警備単価とする単価契約となっている。そして、これらの警備単価に警備日数又は警備時間数を乗ずるなどして、警備費を17年度上期5765万余円、17年度下期6003万余円、18年度1億2253万余円、計2億4022万余円支払っている。

(2) 警備単価の積算

 衆議院では、警備契約に係る予定価格の積算に当たり、建築保全業務積算基準(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)等に基づき、警備単価を次のように算定するなどしている。
ア 「建築保全業務労務単価」(国土交通省大臣官房官庁営繕部決定)又は一般に公表されている積算参考資料の警備員の日額の労務単価を1日の実働時間である8時間で除するなどして警備員1人当たりの時間単価を算定する。
イ 17年度上期の契約においては、アの時間単価に警備員の所要人員数及び1日の警備時間数を乗じて、警備日数1日当たりの警備単価を国会開会中458,822円、閉会中423,528円、解散中357,982円と算定する。
ウ 17年度下期及び18年度の各契約においては、アの時間単価に警備員の所要人員数を乗じて、警備時間1時間当たりの警備単価をそれぞれ37,815円、37,710円と算定する。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 本院は、衆議院において、経済性等の観点から、警備単価の積算に当たり、所要人員数が契約に定める業務内容に応じた適切なものとなっているかなどに着眼して、各年度の契約書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 衆議院では、警備単価の積算に当たり、各警備ポストに常時警備員を配置する必要から警備員が交互に休憩をとるための交替要員が必要であり、この休憩は緊急事態に対処するための待機を兼ねるとして、警備ポスト数を上回る所要人員数を算定していた。
 しかし、緊急事態に対処するための待機を兼ねるとした休憩時間についてみると、衆議院から警備会社に対して仕様書等による具体的な指示はなく、実際にもこの間警備員は警備業務に従事しておらず、実質的に休憩時間となっていた。
 このように、所要人員数に実質的に休憩となっている交替要員数を含めて警備単価を積算していたことは適切とは認められず、改善を図る必要があると認められた。

(節減できた警備費)

 上記により、所要人員数から交替要員数を除くことにより業務の実態に適合させるなどして修正計算すると、警備単価は、17年度上期は1日当たり国会開会中298,818円、閉会中275,832円、解散中234,968円などとなり、また、17年度下期は1時間当たり27,250円、18年度は1時間当たり27,250円などとなる。これらの警備単価に警備日数又は警備時間数の実績を乗ずるなどした警備費は17年度上期3788万余円、17年度下期4362万余円、18年度8904万余円、計1億7055万余円となり、前記の警備費支払額を17年度上期1976万余円、17年度下期1640万余円、18年度3349万余円、計6966万余円節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、衆議院において、警備単価の積算に当たり、警備業務の実態を十分に把握していなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、衆議院では、19年9月に積算業務を行う会計課長に文書を発し、警備単価の積算に当たり、所要人員数に交替要員数を含めず、警備ポストに配置する警備員の数を所要人員数として用いることとする処置を講じた。