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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (警視庁)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

警察施設の整備に当たり、都道府県警察施設整備費補助金の算定が適切なものとなるよう改善させたもの


警察施設の整備に当たり、都道府県警察施設整備費補助金の算定が適切なものとなるよう改善させたもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)警視庁
(項)都道府県警察費補助
部局等
警察庁
補助の根拠
警察法(昭和29年法律第162号)
補助事業
都道府県警察施設整備
補助事業の概要
都道府県警察における警察本部庁舎や警察署庁舎等の警察施設の整備を行うもの
35警察署等の施設整備に係る国庫補助金交付額
101億0976万円
(平成13年度〜18年度)
過大に算定されていた国庫補助金相当額
1080万円
(平成15年度〜18年度)
適切でないと認められた国庫補助金相当額
1481万円
(平成13年度〜18年度)

1 補助金の概要

(1) 補助金の交付

 警察庁では、警察法(昭和29年法律第162号)に基づき、都道府県警察施設の整備事業を行う都道府県に対し、これらに要する経費の一部として都道府県警察施設整備費補助金(以下「補助金」という。)を交付している。
 補助の対象となる事業(以下「補助対象事業」という。)は、都道府県警察施設整備費補助金交付要綱(平成16年警察庁丁会発第237号。以下「交付要綱」という。)により、都道府県警察施設整備事業のうち、警察本部庁舎、警察署庁舎等(以下、これらを合わせて「庁舎」という。)、これらに附帯する車庫及び射撃場の警察施設の整備を実施するものである。

(2) 補助金の算定

 警察庁では、施設補助金新営基準表(以下「基準表」という。)により職員の役職や車両の種別ごとに面積を、また、施設補助金新営単価表(以下「単価表」という。)により庁舎、車庫などの建物の種別や構造ごとに1m 当たりの単価をそれぞれ定めている。
 都道府県警察では、基準表及び単価表に基づき、警察署等別に、庁舎、車庫、射撃場、くい打ちなどの区分ごとの補助対象面積等に1m 当たりの単価等を乗じて各区分の所要額を算出した施設補助金算定表(以下「算定表」という。)を作成し、警察庁に提出している。
 そして、車庫等については、面積や構造を算定表に記載されたとおりに整備することになっている。また、警察庁では、車庫の補助対象面積は柱で囲まれた部分の面積であるとしている。なお、補助金の交付額は、交付要綱に基づき、算定表に記載された所要額の合計額の10分の5となっている。

(3) 補助金の交付に係る手続

 交付要綱によれば、都道府県は、警察施設の整備を行う場合には原則として補助対象事業の契約を締結する日の20日前までに交付申請書を警察庁に提出し、警察庁ではこれを審査し、算定表の補助金額を上限として交付決定を行うこととなっている。

2 検査の結果

(検査の観点及び着眼点)

 本院は、警察施設の整備に要する補助金が毎年度多額に上っているため、合規性、経済性等の観点から、車庫及び射撃場の面積や車庫の構造は算定表に記載されたとおりに整備されているか、基準表において車庫の補助対象面積の範囲は適切なものとなっているか、単価表においてくい打ち工事の単価の適用は適切かなどに着眼して検査した。

(検査の対象及び方法)

 平成13年度から18年度までの間において19都府県(注1) に交付された補助金計101億0976万余円を対象として、19都府県警察(注2) において、実績報告書、完成図面等の書類により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、上記19都府県警察の35警察署等のうち、4県警察(注3) の6警察署に係る補助金計18億9307万余円において、次のような事態が見受けられた。

(1) 実際に整備された車庫及び射撃場の面積や車庫の構造が算定表とは異なっていたもの

3県警察(注4) (過大に算定されていた国庫補助金相当額1080万余円)

 車庫及び射撃場の面積や車庫の構造を算定表に記載されたとおりに整備することについて、警察庁からの周知徹底が十分でなかったなどのため、実際に整備された車庫及び射撃場の面積や車庫の構造が算定表とは異なっていた。

<事例1>

 A県警察は、平成16、17両年度にB警察署の鉄筋コンクリート造の車庫の整備に当たり、算定表において車庫の補助対象面積540.9m に鉄筋コンクリート造の車庫の単価88,200円/m を乗ずるなどして補助金を2218万余円と算定していた。
 しかし、実際に整備された車庫の構造は、算定表の記載とは異なり鉄骨造となっており、本件車庫について、鉄骨造の単価73,343円/m を用いて算定すると1844万余円となり、国庫補助金相当額373万余円が過大となっていた。

(2) 基準表における車庫の補助対象面積の範囲や単価表におけるくい打ち工事の単価の適用が明確となっていなかったもの

4県警察(注3) (適切でないと認められた国庫補助金相当額1481万余円)

ア 基準表において車庫の補助対象面積の範囲が明確となっていなかったもの

 警察庁では、車庫の補助対象面積は柱で囲まれた部分の面積であるとしているにもかかわらず、ひさし部分の面積も車庫としての利用があるとして認めているものがあり、基準表において車庫の補助対象面積の範囲が明確となっていなかった。

<事例2>

 C県警察は、平成13、14両年度にD警察署の鉄筋コンクリート造の車庫の整備に当たり、算定表において車庫の補助対象面積350m に鉄筋コンクリート造の車庫の単価95,471円/m を乗じて補助金を1670万余円と算定していた。
 しかし、実際に整備された車庫の面積には、柱に囲まれていないひさし部分の面積73.3m が含まれていて、警察庁では、ひさし部分の面積についても車庫としての利用があるとして、当該面積に係る国庫補助金相当額350万円も含めて補助金を交付していた。

イ 単価表においてくい打ち工事の単価の適用が明確となっていなかったもの

 警察庁では、車庫等の整備に当たり、単価表には、鉄筋コンクリート造を対象としたくい打ち工事の単価のみを記載していた。しかし、単価表に記載のないくい打ち工事や地盤改良工事であっても相応の事業費が伴うとして、鉄筋コンクリート造のくい打ち工事の単価を適用することを認めているものがあり、くい打ち工事の単価の適用が明確となっていなかった。

<事例3>

 E県警察は、平成15、16両年度にF警察署の車庫の整備に当たり、算定表において車庫の補助対象面積515.3m に鉄筋コンクリート造の車庫を対象としたくい打ち工事の単価5,009円/m を乗ずるなどして補助金を120万余円と算定していた。その後、同県警察において、車庫の構造を鉄骨造に変更することになったが、くい打ち工事については車庫の構造に合わせて変更しておらず、鉄筋コンクリート造の車庫を対象としたくい打ち工事の単価をそのまま適用していた。
 そして、警察庁では単価表に記載のない鉄骨造の車庫を対象としたくい打ち工事であっても相応の事業費が伴うとして、同額を交付していた。

 このように、実際に整備された車庫及び射撃場の面積や車庫の構造が算定表とは異なっていた事態や、基準表における車庫の補助対象面積の範囲や単価表におけるくい打ち工事の単価の適用が明確となっていなかった事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められた。

ア 警察庁において

(ア) 補助対象事業の実施に当たって、都道府県警察に対して、車庫及び射撃場の面積や車庫の構造を算定表に記載されたとおりに整備することについて周知徹底していなかったこと
(イ) 基準表において車庫の補助対象面積の範囲を明確にしていなかったり、単価表においてくい打ち工事の単価の適用を明確にしていなかったりしていたこと

イ 都府県警察において、補助対象事業の実施に当たって、補助金の算定を適切に行う認識が十分でなかったこと

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、警察庁では、19年10月に事務連絡を発するとともに、同年同月に同庁主催の会議を開催して、次のような処置を講じた。
ア 都道府県警察に対して車庫及び射撃場の面積や車庫の構造を算定表に記載されたとおりに整備することについて周知徹底を図るとともに、算定表の審査や補助対象事業終了後の確認を十分行うこととした。
イ 基準表において車庫の補助対象面積の範囲を明確にするとともに、単価表においてくい打ち工事の単価の適用を明確にした。

 19都府県  東京都、大阪府、青森、岩手、秋田、福島、群馬、千葉、神奈川、愛知、滋賀、和歌山、鳥取、高知、福岡、長崎、大分、宮崎、鹿児島各県
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