会計名及び科目
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一般会計
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(組織)財務本省
(組織)国税庁
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(項)財務本省
(項)税務官署
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部局等
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(1)
(2)
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財務本省
国税庁
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外国へ長期出張する職員に支給する旅費の概要
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(1)
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外国の研究機関に派遣し、併せて現地の財政事情等の調査を行う職員に日当、宿泊料等を支給するもの
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(2)
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外国における税務行政、税制等の研究、公開情報の収集、短期出張者の支援等の用務を行う職員に日当、宿泊費等を支給するもの
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外国へ長期出張する職員に支給した旅費の合計額
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(1)
(2)
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2億4781万余円
3919万余円
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(平成15年度〜18年度)
(平成17、18両年度)
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上記のうち節減できたと認められた日当及び宿泊料の合計額
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(1)
(2)
計
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387万円
566万円
954万円
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(平成15年度〜17年度)
(平成17、18両年度)
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財務本省では、職員を長期間外国の研究機関等に派遣し、併せて現地の財政事情等の調査を行わせている。また、国税庁では、職員を長期間外国に出張させ、外国における税務行政、税制等の研究、公開情報の収集、短期出張者の支援等の用務を行わせている。これらの用務のため外国へ出張する職員に対して、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和25年法律第114号。以下「旅費法」という。)の規定に基づき、交通費、日当及び宿泊料等の旅費を支給している。
このうち日当及び宿泊料は、旅費法の規定に基づき、旅行先の区分に応じた一日又は一夜当たりの定額(以下「単価」という。)により算定することとされており、高い単価から順に指定都市、甲地方、乙地方、丙地方の区分となっている。
そして、国家公務員等の旅費支給規程(昭和25年大蔵省令第45号。以下「支給規程」という。)により、指定都市、甲地方等の範囲が定められている。
支出官等は、旅行命令権者から提示された旅行命令簿、出張する職員が作成する旅費請求書及びその他旅費請求書に添付された資料で旅行先を確認した上で、出張する職員に対し当該旅行先の区分の単価により日当及び宿泊料を支払っている。
本院は、財務本省及び国税庁において、合規性、経済性等の観点から、日当及び宿泊料が旅行先の区分に応じて適切に算定されているかなどに着眼し、次のア、イの旅費を対象に、旅行命令簿、旅費請求書等の書類により会計実地検査を行った。
ア 財務本省については、平成15年度から18年度までに外国の研究機関等に長期間派遣した職員21名に対して支払った旅費計2億4781万余円
イ 国税庁については、17、18両年度に、アメリカ合衆国のワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス(以下、これらを「3都市」という。)に長期間出張して用務を行う職員(以下「長期出張者」という。)6名に対して支払った旅費計3919万余円
ア 財務本省
検査したところ、アメリカ合衆国に所在する研究機関に派遣した職員2名に対して15年度から17年度までに支払われた旅費について、次のような事態が見受けられた。
財務本省では、外国の研究機関等へ職員を長期間派遣する場合の日当及び宿泊料について、旅行命令上の用務先をもってその算定上の旅行先とする取扱いとしている。
前記の職員2名の旅費について、財務本省では、旅費請求書の宿泊地欄に記載された都市名が指定都市に該当することなどから、出張している期間において指定都市の単価を適用し、日当及び宿泊料を計2450万余円と算定していた。
しかし、上記の旅費に係る旅行命令簿には、用務先欄及び用務欄に、甲地方に所在する派遣先の研究機関名、財政事情等を調査する国名であるアメリカ合衆国等が記載され、また、旅費請求書の備考欄にはこの旅行命令簿の用務内容が記載されており、これらの書類からは用務先を特定し難いものとなっていた。一方、出張中の用務先の明確な記録としては、当該職員が派遣先の研究機関に所属していたことを示す資料のみが残されていた。
このように、財務本省において、旅行命令簿等の用務先が旅行先の区分を特定できるよう記載されていないにもかかわらず、旅費請求書に記載された都市名により指定都市の単価を適用して日当及び宿泊料を支給していたことは適切とは認められない。
したがって、当該職員の派遣先である研究機関の所在地を旅行先とし、この旅行先の区分である甲地方の単価により日当及び宿泊料を修正計算すると合計2063万余円となり、前記の日当及び宿泊料は計387万余円節減できたと認められた。
イ 国税庁
検査したところ、前記の3都市において用務を行う長期出張者に対する17、18両年度の旅費の算定について、次のような事態が見受けられた。
国税庁では、3都市において用務を行う出張については、旅行命令簿の用務先欄及び旅費請求書の宿泊地欄に当該都市名が記載され、3都市はいずれも支給規程によると指定都市に該当することから、指定都市の単価を適用して日当及び宿泊料を算定していた。そして、長期出張者は国税庁が現地で借り上げた事務所(以下「現地事務所」という。)に宿泊することから、宿泊料の単価について一定の減額をして、日当及び宿泊料を計3448万余円と算定していた。また、旅行命令簿及び旅費請求書には現地事務所の所在地は記載されていなかった。
しかし、上記の現地事務所は、事務室、居室等を備えていて、長期出張者はこの現地事務所で宿泊するとともに、3都市における用務及びその用務のための活動は現地事務所を拠点として行っていた。そして、これらの3都市に係る現地事務所の所在地は、いずれも支給規程に定める甲地方になっていた。
このように、国税庁において、3都市に係る長期出張者の実際の用務の拠点及び宿泊場所が現地事務所であるにもかかわらず、指定都市の単価を適用して日当及び宿泊料を支給していたことは適切とは認められない。
したがって、現地事務所の所在地を旅行先とし、この旅行先の区分である甲地方の単価により日当及び宿泊料を修正計算すると合計2882万余円となり、前記の日当及び宿泊料は計566万余円節減できたと認められた。
以上のように、旅行命令簿等の用務先が旅行先の区分を特定できるように記載されていないのに、旅費請求書に記載された都市名により指定都市の単価を適用して日当及び宿泊料を算定していたり、長期出張者の実際の用務の拠点及び宿泊場所である現地事務所の所在地が甲地方であるのに、指定都市の単価を適用して日当及び宿泊料を算定していたりした事態は適切とは認められず、改善を図る必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、次のことによると認められた。
ア 財務本省において、旅行命令簿の用務先が旅行先の区分を特定できるように記載されていなかったため、旅費の請求に当たり旅費請求書が適切に作成されていなかったこと、派遣された職員に出張中の実際の用務先を明確に記録、保管させて、旅費の適正な精算に活用することとしていなかったこと
イ 国税庁において、長期出張者の出張地における活動先と現地事務所の所在地が異なる場合に用務の拠点である現地事務所の所在地を旅行先とする取扱いとなっていなかったこと、旅行命令簿及び旅費請求書において現地事務所の所在地が明示されていなかったこと
上記についての本院の指摘に基づき、財務本省及び国税庁では、外国へ長期出張する職員に対する日当及び宿泊料の算定が適切に行われるよう、次のような処置を講じた。
ア 財務本省
19年9月に関係部局に対して事務連絡を発し、外国の研究機関等に長期間派遣される職員に係る旅費について、旅行先の区分を特定できるよう、旅行命令簿の用務先欄に派遣先である研究機関等の所在地を記載するなどすることを周知し、出張中の用務先を示す資料を具体的に定め、これを旅費請求書に添付させることとした。
イ 国税庁
19年9月に事務取扱要領を制定し、長期出張者で出張地における活動先と現地事務所の所在地が異なる場合には、用務の拠点である現地事務所の所在地を旅行先とする取扱いとし、旅行命令簿及び旅費請求書に現地事務所の所在地を明記することとした。