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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 補助金

私立大学等経常費補助金(私立大学教育研究高度化推進特別補助)の経理が不当と認められるもの


(23) 私立大学等経常費補助金(私立大学教育研究高度化推進特別補助)の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)文部科学本省
(項)私立学校助成費
部局等
文部科学本省
補助の根拠
私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)
補助事業者(事業主体)
学校法人獨協学園
補助事業
私立大学等経常費補助(私立大学教育研究高度化推進特別補助)
補助事業の概要
私立大学における学術の振興及び私立大学等における特定の分野、課程等に係る教育の振興のため、私立大学等の経常的経費について、学校法人に補助を行い、私立大学等における教育研究の高度化を図るもの
上記に対する国庫補助金交付額
1,705,795,000円(平成14年度〜16年度)
不当と認める国庫補助金交付額
3,600,000円(平成14年度〜16年度)

1 補助金の概要

 文部科学省は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)に基づき、私立の大学、短期大学及び高等専門学校(以下「私立大学等」という。)を設置する学校法人に私立大学等経常費補助金(私立大学教育研究高度化推進特別補助)(以下「補助金」という。)を交付している。この補助金は、私立大学における学術の振興及び私立大学等における特定の分野、課程等に係る教育の振興のため、私立大学等の経常的経費について、国から学校法人に補助を行い、私立大学等における教育研究の高度化を図るものである。
 補助金の額は、私立大学等経常費補助金・政府開発援助私立大学等経常費補助金交付要綱(昭和52年文部大臣裁定)に基づき、私立大学等経常費補助金(私立大学教育研究高度化推進特別補助)配分基準に定める項目により算定している。
 この補助の対象となる項目の一つに「研究科共同研究経費」があり、大学院研究科において実施される特定の研究課題についてプロジェクト・チームを編成して産業界及び国内外の大学院等の教員等との共同研究を実施している私立大学を設置する学校法人に対し、その共同研究の所要経費の2分の1以内の額を補助している。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、所要経費の算定が適切に行われているかなどに着眼し、文部科学省及び同省が平成16年度又は17年度に補助金を交付している582学校法人のうち49学校法人において、補助金の申請の算定資料等の書類により会計実地検査を行った。そして、所要経費の算定が適切でないと思われる事態があった場合には、学校法人に報告を求め、その報告内容を確認するなどの方法により検査した。

(2) 検査の結果

 検査したところ、学校法人獨協学園は、同省に提出した資料に、獨協医科大学医学部助教授が14年度から16年度までに実施した研究科共同研究に係る物品購入費等の所要経費を13,166,000円と記入しており、同省では、この数値に基づき、上記の所要経費に係る補助金を6,500,000円とするなどして、14年度から16年度までの同学校法人に対する補助金を合計1,705,795,000円と算定していた。
 しかし、上記の所要経費13,166,000円のうち6,986,722円については、同助教授が業者に架空の取引を指示して虚偽の請求書等を作成させ、同学校法人に架空の取引に係る購入代金を支払わせていたものであり、同助教授は6,986,722円全額を業者に預けて別途に経理していた。
 したがって、これを除外して算定すると、補助の対象となる所要経費は6,179,278円に減少するので、同助教授の研究科共同研究経費に係る適正な補助金は2,900,000円となり、補助金3,600,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同学校法人において、物品の納品検査等が十分でなかったこと、同助教授において、事実に基づいて所要経費の適正な執行を行わなければならないという基本的な認識を欠いていたこと、文部科学省において、学校法人及び教員等に対して補助金の不正使用の防止について必要な措置の導入や指導を行っていたものの、その周知徹底が十分でなかったことによると認められる。