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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

保健事業費等負担金の算定において、2回目以降の健康診査の受診人員数を算定対象に含めるなどしたため負担金が過大に交付されているもの


(82)−(85) 保健事業費等負担金の算定において、2回目以降の健康診査の受診人員数を算定対象に含めるなどしたため負担金が過大に交付されているもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)厚生労働本省
(項)保健衛生諸費
部局等
3県
国庫負担の根拠
老人保健法(昭和57年法律第80号)
補助事業者(事業主体)
4市
国庫負担対象事業
保健事業(健康診査)
国庫負担対象事業の概要
壮年期からの健康についての認識と自覚の高揚を図るため、住民に対し基本健康診査等の診査及び診査に基づく指導を行うもの
上記に対する国庫負担金交付額
499,509,521円
(平成14年度〜17年度)
不当と認める国庫負担金交付額
25,858,605円
(平成14年度〜17年度)

1 負担金の概要

 保健事業費等負担金(健康診査費分)(以下「負担金」という。)は、老人保健法(昭和57年法律第80号)に基づき、壮年期からの健康についての認識と自覚の高揚を図ることを目的に、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が、その区域内に居住地を有する40歳以上の者に対し、基本健康診査や歯周疾患検診等の診査及び当該診査に基づく指導を行う健康診査の実施に要する経費の一部を、国が負担するものである。
 この負担金の交付額は、交付要綱等に基づき、次のとおり算定することとなっている。
〔1〕 診査の種類ごとに定められている基準単価(基本健康診査については、更に集団検診、医療機関一括方式、医療機関個別方式等の実施方法ごとに定められている。)から、受診者等から徴収する額について診査の種類ごとに定められている徴収基準額(基本健康診査については、更に実施方法ごとに定められている。)を控除した額に、それぞれの受診人員数を乗じて得た額の合計額を基準額とする。そして、実際の徴収額が徴収基準額を上回る場合には、徴収基準額ではなく徴収額を基準単価から控除して基準額を算出する。また、70歳以上の受診者等について、徴収を行った場合は、徴収基準額がないため実際の徴収額を基準単価から控除して基準額を算出する。
〔2〕 〔1〕により算出された基準額、補助対象経費の実支出額及び総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額を比較して最も少ない額に3分の1を乗じて得た額を交付額とする。
 そして、健康診査は、医療保険各法の保険者が行う成人病検診等の健康診査に相当するサービスを受けた者は対象としないこと、同一人について年1回行うこととされている。また、基本健康診査の実施方法のうち、集団検診は、市町村が医師等を雇い上げるなどして、市町村保健センターや公民館等の施設で基本健康診査を実施するもので、医療機関一括方式は、医療機関に委託して、その医療機関の施設において、期日、時間を定めて、その間専ら基本健康診査を実施するものとされている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、負担金の交付額の算定が適切に行われているかに着眼し、20都道府県の192市町において、事業実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。そして、交付額の算定が適切でないと思われる事態があった場合には、更に事業主体に事態の詳細について報告を求め、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、3県の4事業主体において、負担金の交付額の算定を誤ったため、負担金交付額計499,509,521円のうち計25,858,605円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業主体において交付要綱等を十分に理解していなかったこと、県において事業主体から提出された事業実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを事業主体別に示すと次のとおりである。

 
県名
事業主体
年度
国庫負担対象事業費
左に対する国庫負担金交付額
不当と認める国庫負担対象事業費
不当と認める国庫負担金交付額
 
 
 
 
千円
千円
千円
千円
(82)
兵庫県
姫路市
14〜17
578,852
192,950
31,975
10,919
(83)
長崎県
長崎市
16、17
291,091
97,030
10,538
3,512

 上記の2市では、負担金の交付額の算定に当たり、基本健康診査の受診人員数の中に、2回以上基本健康診査を受診した者等計13,624人に係る2回目以降の延べ受診人員数等計14,272人(姫路市13,183人、長崎市1,089人)を含めるなどしていた。
 しかし、健康診査は、同一人について年1回行うこととされていることから、2回目以降の健康診査の受診人員数等は負担金の算定対象とはならない。
 したがって、2回目以降の健康診査の受診人員数等を除外するなどして適正な負担金の交付額を算定すると、姫路市については計182,031,354円、長崎市については計93,517,662円となり、交付額との差額、それぞれ計10,919,494円、計3,512,867円が過大に交付されていた。

(84)
三重県
四日市市
17
386,357
128,785
14,796
4,932

 四日市市では、負担金の交付額の算定に当たり、70歳未満の受診者については、基準単価から徴収基準額を控除し、70歳以上の受診者については、徴収基準額がないことから、基準単価をそのまま用いるなどしてそれぞれ基準額を算出していた。
 しかし、同市は、70歳以上の基本健康診査の受診者14,890人について、徴収額計14,762,600円を徴収していることから、基準額を算出する際には、基準単価から徴収額を控除する必要があった。
 したがって、70歳以上の基本健康診査の受診者に係る徴収額を基準単価から控除するなどして適正な負担金の交付額を算定すると123,853,850円となり、交付額との差額4,932,034円が過大に交付されていた。

(85)
兵庫県
芦屋市
14〜17
242,226
80,742
19,482
6,494

 芦屋市では、負担金の交付額の算定に当たり、医療機関等に委託するなどして市の保健センターを診査会場として実施した基本健康診査について、医療機関一括方式の基準単価(平成14年度8,058円、15、16両年度7,933円、17年度7,922円)を適用するなどしていた。
 しかし、上記の基本健康診査の実施方法は、実施場所が委託先の医療機関の施設ではないことから、医療機関一括方式ではなく、集団検診に該当し、集団検診の基準単価(14年度4,306円、15年度4,267円、16、17両年度4,247円)を適用すべきであった。
 したがって、医療機関等に委託して市の保健センターで実施した基本健康診査について集団検診の基準単価を適用するなどして適正な負担金の交付額を算定すると計74,248,050円となり、交付額との差額計6,494,210円が過大に交付されていた。

(82)−(85)の計
 
 
1,498,528
499,509
76,793
25,858