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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 厚生労働省|
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  • 補助金

在宅福祉事業費補助金が過大に交付されているもの


(86)−(88) 在宅福祉事業費補助金が過大に交付されているもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)厚生労働本省
(項)社会福祉諸費
部局等
3県
補助の根拠
予算補助
補助事業者
3県
間接補助事業者(事業主体)
3市
補助事業
在宅福祉事業(在宅介護支援センター運営事業及び介護予防・地域支え合い事業)
補助事業の概要
在宅の老人等の福祉の向上を図るため、在宅介護等に関する総合的な相談に応じるなどの業務を行う在宅介護支援センターを運営するもの及び要介護状態にならないための介護予防や生活支援等のサービスを提供するもの
上記に対する国庫補助金交付額
187,733,000円
(平成16、17両年度)
不当と認める国庫補助金交付額
19,288,000円
(平成16、17両年度)

1 補助金の概要

 在宅福祉事業費補助金(以下「補助金」という。)は、在宅の老人等の福祉の向上を図ることを目的として、市町村(政令指定都市及び中核市を除き、特別区を含む。以下同じ。)が行う在宅介護支援センター運営事業又は介護予防・地域支え合い事業に対して都道府県が補助する場合に要する費用等について、その一部を国が補助するものである。
この補助金の交付額の算定等を上記の各事業ごとに示すと以下のとおりである。

(1) 在宅介護支援センター運営事業

 この事業は、市町村が、在宅の要援護高齢者等に対し、在宅介護等に関する総合的な相談に応じるなどの業務を行う在宅介護支援センターを運営する事業である。
 そして、この事業に係る補助金の交付額は、次のとおり算定することとされている。
ア 運営費の上限額として定められている基準額と補助の対象とされている経費(以下「対象経費」という。)の実支出額とを基幹型在宅介護支援センター(以下「基幹型センター」という。)及び地域型在宅介護支援センター(以下「地域型センター」という。)の各箇所ごとに比較し、各箇所における少ない方の額を算定上の基準額(以下「算定基準額」という。)として選定する。
イ アにより選定した算定基準額の合計額と総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額(以下「差引額」という。)とを比較して少ない方の額に4分の3を乗じて得た額と都道府県が補助した額とを比較し、少ない方の額を補助対象事業費として、この額に3分の2を乗じて得た額を補助金の交付額とする。

(2) 介護予防・地域支え合い事業

 この事業は、都道府県又は市町村等(政令指定都市、中核市及び市町村。以下同じ。)が、要援護高齢者等に対し、要介護状態にならないための介護予防や生活支援等のサービスを提供するもので、市町村等が実施する事業には、介護予防等事業のうちの食の自立支援事業や家族介護支援事業のうちの介護用品の支給等がある。
 そして、市町村が実施する事業に係る補助金の交付額は、所定の基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額を差引額と比較し、少ない方の額に4分の3を乗じて得た額と都道府県が補助した額とを比較して少ない方の額を補助対象事業費として、この額に3分の2を乗じて得た額とすることとされている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、補助金の交付額の算定が適切に行われているかに着眼し、10府県及び24都道府県の261市町村等において、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。そして、交付額の算定が適切でないと思われる事態があった場合には、更に事業主体に事態の詳細について報告を求め、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、3事業主体において、補助金の交付額の算定を誤ったため、補助金交付額計187,733,000円のうち計19,288,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業主体において交付要綱等の理解が十分でなかったこと、県において事業主体から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを事業別・事業主体別に示すと次のとおりである。

ア 在宅介護支援センター運営事業

 
県名
事業主体
年度
補助対象事業費
左に対する国庫補助金
不当と認める補助対象事業費
不当と認める国庫補助金
 
 
 
 
千円
千円
千円
千円
(86)
奈良県
生駒市
16、17
54,712
36,474
8,435
5,624

 基幹型センターには、社会福祉士等又は保健師のいずれかの資格を有する職員と、看護師又は介護福祉士のいずれかの資格を有する職員を、それぞれ配置することとされている。そして、資格を有しない職員等の人件費は、対象経費の実支出額に含めることができないこととされている。
 しかし、生駒市では、補助金の交付額の算定に当たり、基幹型センターの対象経費の実支出額に、上記の資格を有しない者の人件費を含めていたり、他の地域型センターに勤務し、その地域型センターの対象経費としている職員の人件費等を計上したりなどしていたため、補助対象事業費が計5,735,789円過大に算出されていた。
 したがって、適正な対象経費の実支出額に基づいて補助金の交付額を算定すると30,850,000円となり、5,624,000円が過大に交付されていた。

イ 介護予防・地域支え合い事業

(87)
茨城県
ひたちなか市
16、17
69,377
46,251
12,383
8,256

 介護用品の支給対象者は、要介護4又は5に相当する在宅の高齢者であって市町村民税非課税世帯に属するものを介護している家族とされている。
 しかし、ひたちなか市では、補助金の交付額の算定に当たり、「要介護3の高齢者」や「課税世帯に属するもの」を介護している家族を支給対象者に含めていたため、補助対象事業費が12,383,290円過大に算出されていた。
 したがって、適正な対象経費の実支出額に基づいて補助金の交付額を算定すると37,995,000円となり、8,256,000円が過大に交付されていた。

(88)
群馬県
前橋市
16、17
157,514
105,008
8,112
5,408

 食の自立支援事業に係る補助金交付額の算定に当たっては、利用者から食材費等の実費相当分を利用料として徴収した場合には、寄付金その他の収入額にその合計額を計上し、対象経費の実支出額から同額を控除することとされている。
 しかし、前橋市では、補助金の交付額の算定に当たり、食の自立支援事業の利用者から徴収した利用料の合計額を対象経費の実支出額から控除していなかったなどのため、補助対象事業費が8,112,674円過大に算出されていた。
 したがって、適正な対象経費の実支出額に基づいて補助金の交付額を算定すると99,600,000円となり、5,408,000円が過大に交付されていた。

イの計
 
 
226,891
151,259
20,496
13,664
ア、イの計
 
 
281,603
187,733
28,931
19,288