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  • 平成18年度|
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生活保護費負担金の経理が不当と認められるもの


(140)−(148) 生活保護費負担金の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)厚生労働本省
(項)生活保護費
 
平成11年度は、
 
 
(組織)厚生本省
 
(項)生活保護費
部局等
9都府県
国庫負担の根拠
生活保護法(昭和25年法律第144号)
補助事業者
(事業主体)
9市
国庫負担対象事業
生活保護事業
国庫負担対象事業の概要
生活に困窮する者に対し最低限度の生活を保障するため、その困窮の程度に応じて必要な保護を行うもの
上記のうち指摘対象被保護世帯に対する国庫負担金交付額の合計
93,633,853円(平成11年度〜18年度)
不当と認める国庫負担金交付額
37,191,509円(平成11年度〜18年度)

1 負担金の概要

 生活保護費負担金は、都道府県又は市町村(特別区を含む。)が、生活に困窮する者に対し、最低限度の生活を保障するため、その困窮の程度に応じて必要な保護を行う場合に、その費用の一部を国が負担するものである。この保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産や能力等あらゆるものを活用することを要件としている。
 そして、この負担金の各事業主体に対する交付額は、次により算定することとなっている。

生活保護費負担金の経理が不当と認められるものの図1

 この費用の額及び返還金等の額は、それぞれ次により算定することとなっている。

ア 費用の額は、次の〔1〕及び〔2〕に〔3〕を加えて算定する。
〔1〕 保護を受ける世帯(以下「被保護世帯」という。)を単位として、その所在地域、構成員の数、年齢等の別に応じて算定される生活費の額から、被保護世帯における就労収入、年金受給額等を基に収入として認定される額を控除して決定された保護費の額の合計額
〔2〕 被保護者が医療機関で診察、治療等の診療を受けるなどの場合の費用(診療報酬等)について、その全額又は一部を事業主体が負担するものとして決定された保護費の額の合計額
〔3〕 事業主体の事務経費

イ 返還金等の額は、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず保護を受けた者が、資産を売却するなどして収入を得たときに返還した保護費の額等の合計額とする。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 生活保護は、生活に困窮するすべての者に対しひとしく最低限度の生活を保障する制度であり、公正な運営が強く求められていることから、本院では、合規性等の観点から、事業主体が収入の認定等を適切に行い保護が適正なものとなっているかに着眼し、11都道府県及び27都道府県の148市区において、事業実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、更に事業主体に事態の詳細について報告を求め、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、9都府県の9事業主体では、次のとおり、保護費の支給が適正でなかったため、国庫負担金37,191,509円が過大に交付されていて不当と認められる。
 上記の9事業主体では、被保護者が就労して収入を得ていたり、年金を受給していたりなどしているのに、被保護世帯から事実と相違した届出がなされ、これにより収入を実際の額より過小に認定するなどして保護費の額を決定していた。
 上記の事態について、一例を示すと次のとおりである。

<事例>

 A事業主体では、平成16年に世帯Bを対象として保護を開始し、引き続き保護を実施していた。そして、17年3月から18年3月までの各月の保護費の支給に当たり、同世帯からの収入はないとの届出に基づき収入を0円と認定して保護費の額を決定し、計1,728,690円を支給していた。しかし、実際には、同世帯の世帯主は、この間に就労して収入として認定されるべき計1,717,773円を得ており、このため同額の保護費が不適正に支給されていた。

このような事態が生じていたのは、被保護世帯において事実と相違した届出を行っているのに事業主体において収入の認定等に当たっての調査確認が十分でなかったこと、都府県において適正な生活保護の実施に関する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを都府県別・事業主体別に示すと次のとおりである。

  都府県名 事業主体
年度
国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金 摘要
     
千円
千円
千円
千円
 
(140)
福島県
いわき市
15〜18
3,809
2,857
3,129
2,346
就労収入を認定していなかったもの
(141)
群馬県
前橋市
14〜18
12,124
9,093
2,901
2,175
就労収入を過小に認定していたもの
(142)
東京都
立川市
12〜18
21,261
15,946
6,112
4,584
(143)
福井県
越前市
16〜18
4,756
3,567
3,298
2,473
就労収入を認定していなかったもの
(144)
静岡県
浜松市
14〜18
8,846
6,634
3,812
2,859
年金収入を認定していなかったものなど
(145)
愛知県
名古屋市
11、12、
14〜18
46,515
34,886
16,714
12,535
就労収入を認定していなかったものなど
(146)
大阪府
茨木市
13〜18
9,768
7,326
6,815
5,111
(147)
福岡県
飯塚市
15〜18
5,496
4,122
3,517
2,638
就労収入を認定していなかったもの
(148)
熊本県
人吉市
14〜18
12,265
9,198
3,287
2,465
就労収入を過小に認定していたもの
(140)−(148)の計
124,845
93,633
49,588
37,191