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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

身体障害者保護費負担金の算定において、常勤医師加算の適用を誤ったため、負担金が過大に交付されているもの


(150) 身体障害者保護費負担金の算定において、常勤医師加算の適用を誤ったため、負担金が過大に交付されているもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)厚生労働本省
(項)身体障害者保護費
部局等
2県
国庫負担の根拠
身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)
国庫負担金交付先
市34、町14、村1、計49市町村(常勤医師配置の届出先名古屋市)
身体障害者保護費負担金(身体障害者施設訓練等支援費等に係る分)の概要
身体障害者更生施設等に入所し身体障害者施設支援を受けた身体障害者に対し、施設訓練等支援費を支給する市町村に対して交付するもの
上記に対する国庫負担金交付額の合計
8,537,041,148円
(平成15年度〜17年度)
不当と認める国庫負担金交付額
8,286,398円
(平成15年度〜17年度)

1 負担金の概要

 身体障害者保護費負担金(身体障害者施設訓練等支援費等に係る分。以下「負担金」という。)は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が、都道府県知事又は政令指定都市若しくは中核市の市長(以下「都道府県知事等」という。)の指定する身体障害者更生施設等に入所し身体障害者施設支援(以下「指定施設支援」という。)を受けた身体障害者(当該市町村に居住地等を有する者。以下同じ。)に対し、当該指定施設支援に要した費用について施設訓練等支援費を支給した場合等に、その支給に要する費用の一部を国が負担するものである。
 なお、市町村は、身体障害者に支給すべき施設訓練等支援費について、指定施設支援を行った身体障害者更生施設等に対して支払うことができることとなっており、この場合、身体障害者に対し施設訓練等支援費の支給があったものとみなされる。
 そして、この負担金の交付額は、次のように算定することとなっている。
〔1〕 所定の方式によって算定した基準額と、現に指定施設支援に要した費用から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕 〔1〕により選定された額から、所定の方式によって算定した利用者負担額を控除する。
〔3〕 〔2〕により算定された額に補助率10分の5を乗じて得た額を交付額とする。
 そして、基準額については、身体障害者更生施設等の入所定員及び入所者の障害程度区分に応じて定められた入所者1人当たりの月額単価に、常勤医師加算等の月額単価を加えるなどして算定した額を、市町村ごとに集計した年額となっている。
 このうち、常勤医師加算については、専ら身体障害者更生施設等の職務に従事する常勤の医師を1名以上配置しているものとして都道府県知事等に届け出た施設が指定施設支援を行った場合について加算することとなっている。また、常勤医師を配置していない場合であっても、複数の非常勤医師を配置して、その勤務する時間及び日数の合計が1日6時間以上かつ月20日以上となる場合については算定できることとなっている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、交付された負担金について施設訓練等支援費の支払が適正に行われているかに着眼し、20都道府県の104市町村において、事業実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、更に市町村に事態の詳細について報告を求め、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、名古屋市では、平成15年度に、同市に所在するA身体障害者更生施設から提出された常勤医師1名を配置している旨の届出について、これを適正なものとして受理していた。このため、同施設に施設訓練等支援費を支払っていた同市を含む2県の49市町村(注) では、入所者1人当たりの月額単価に、常勤医師加算の月額単価(入所者1人当たり15年度11,500円、16年度11,200円、17年度11,100円)を加えるなどして基準額を算定し、15年度から17年度までの間に負担金計8,537,041,148円の交付を受けていた。
 しかし、同施設に配置されていた医師は、同施設に併設している病院の診療科の責任者を兼務し、診療等に従事していたことから、専ら同施設の職務に従事していたとはいえず、同施設に常勤医師が配置されていたとは認められない。また、同施設における医師の勤務時間等についても、非常勤医師を配置した場合に常勤医師加算を算定できる1日6時間以上かつ月20日以上の要件を満たしていなかったことから、常勤医師加算を行っていたことは適切ではないと認められる。
 したがって、上記の49市町村において、常勤医師加算を除いた適正な基準額に基づいて15年度から17年度までの負担金の額を算定すると計8,528,754,750円となり、負担金交付額計8,537,041,148円との差額計8,286,398円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同施設から実態と異なる常勤医師配置の届出がなされているのに、名古屋市において、当該届出を受理する際の医師の勤務実態等についての審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。

 2県の49市町村  中津川、羽島、土岐、各務原、可児、山県各市、揖斐川町(以上岐阜県)、名古屋、豊橋、岡崎、一宮、瀬戸、半田、春日井、豊川、碧南、刈谷、豊田、安城、西尾、蒲郡、犬山、常滑、江南、尾西(平成17年4月1日以降は一宮市)、小牧、稲沢、東海、大府、知多、知立、尾張旭、日進、北名古屋、弥富各市、東郷、長久手、新川(17年7月7日以降は清須市)、七宝、甚目寺、蟹江、阿久比、南知多、吉良、幸田、額田(18年1月1日以降は岡崎市)、三好、小坂井各町、豊根村(以上愛知県)